今回は渋谷の街でWiMAXを試してみた。前回の新宿同様、渋谷も駅周辺はほぼUQが公表するWiMAXのサービスエリア内に入っている。細かく見ると、駅の南西方面に「2009年12月末までに拡大予定」となっているエリアがあるが、そのあたりは住宅街で、地元の人以外にはあまり関係のないエリアだ。渋谷に仕事や遊びで来ている人にとって、事実上渋谷周辺はサービスエリア内にあると言って問題ないだろう。
今回もテストにはWiMAX内蔵の「VAIO Pシリーズ」を使っている。測定は10月21日の昼頃に行った。
※WiMAX接続に使用する機種によって接続速度や感度に違いがある場合があります。ご了承ください。繁華街、かなりOK
駅近くの開けた待ち合わせスポット。WiMAXがもっとも本領を発揮するスペースだ
渋谷センター街のスペイン坂。路地は狭く、左右には建物が建ち並ぶが、電波状態は良好
まずは渋谷を代表する待ち合わせ場所、ハチ公像の目の前(正確には後ろだが)でWiMAXの速度を測定してみた。ハチ公像は屋外、それも空がかなり開けた場所にあるので、当然のようにWiMAXのアンテナ表示はバリバリの5本で、10Mbpsクラスで通信が行えた。通常のWebブラウジングはもちろん、Flashを多用するなどした「重たい」Webサイトを閲覧するにも、まったくストレスを感じない速度である。待ち合わせのわずかな時間でも、これから行く店や買い物の下調べができそうだ。
前回の新宿同様、空が開けた場所ではバリ5本の通信ができるのだが、やはりビルに囲まれた狭い路地では、電界が弱い場所も少なくない。渋谷はセンター街をはじめそういった道が多いのだが、しかし完全に通信できなくなる場所は見られなかった。たとえば車が通れないほどの道であるスペイン坂でも、アンテナ表示は5本か4本となり、やや不安定ながら最大で10Mbps近い速度で通信ができた。
逆に完全に開けているのに電波状況の悪い場所も見られた。NHKの裏手、公園通りから代々木公園に入ったところでは、アンテナ表示は1本となり、3Mbps程度の速度となった。あまり人通りの多い場所でもなく、そもそもネット接続がニーズがなさそうな場所だが、都会にもこうした場所があることには注意が必要そうだ。とはいえ、アンテナ1本でもMbps級の速度が出るのは驚きである。
意外と使えるビルの中
公園通りのパルコ前交差点にあるエクセルシオールカフェ。店内やや奥のほうでも使用できた
公園通りのパルコ周辺にあるエクセルシオールカフェの店内でもWiMAXを試してみた。WiMAXは周波数特性上、屋内には入り込みにくいとされているが、窓からそれほど離れていなければ、基地局のない屋内でもそれなりに使えることが多い。今回は窓際の席では試せなかったが、窓から少し離れた席でも、アンテナ表示は3本から2本で、3Mbps程度で通信が行えた。
さらにスペイン坂下にあるパルコのZERO-GATEに入っているワインバー「ZARU」の店内でも試してみた。この「ZARU」、UQが公表している「実測地点表示」では「ZARU付近」として測定結果が公表されている。それによると、2009年8月の測定で、速度は下り4.6Mbps/上り1.0Mbpsとなっている。しかし店内となると、ZARUにはあまり窓も大きくなく、WiMAXにとってはやや不利かな、と思っていたのだが、意外や意外、アンテナ表示はバリバリの5本で、10Mbpsを超える速度で通信ができてしまった。
大きなデパートなどの奥の奥の最深部、などともなると、屋内基地局が設置されていないと、やや厳しいかもしれない。しかし窓のある飲食店を選べば、WiMAXは使えることが多い。まだ完全に「どこでも使える」というわけではないのが、ちょっと店を選べば使えてしまうので、「買い物や仕事の合間にお茶を飲みながらネット接続」という用途には十分、と感じられた。
[Reported by 白根雅彦]