WiMAXは通信速度こそ速いが、まだサービスを開始して間もないため、カバーエリアの狭さが……と言われることが多い。筆者も先行無料サービスが開始した直後の今年3月、WiMAX端末を持って東京を少しうろついたが、「速い！」と感動できる場所がある一方で、「ココがつながらないのかー」と不満を覚えるところもあった。

連載第1回は、摩天楼立ち並ぶ西新宿。高層建築物のふもとはWiMAXの苦手とするところだが、いきなりそこに挑むスパルタンな企画である

　しかしサービス開始から半年以上が経過し、カバーエリアは予想以上に広がっている。UQがホームページ上で公開している「サービスエリアマップ」では、都内にあったカバーエリアの穴は、かなり埋められた。基地局の増設は予想以上のハイスピードで進んでいるようで、展開計画の前倒しも公表されている。状況は日々変化しているのだ。

　では実際のところ、「いま」はどうなのだろうか。どの場所でどのくらいの速度で使えるのだろうか。WiMAXのエリアは建設中で、毎日のように変わっていく状況ではあるが、それでも「いま」がどうなっているかを知りたい。そんなわけで今回は「突撃！ WiMAX探検隊」と称し、WiMAX内蔵パソコンを片手にさまざまな場所にゲリラ測定に赴くこととなった。

　今回の測定に使っているのは、ソニー製の「VAIO Pシリーズ」だ。最大通信速度は下り13Mbps/上り3MbpsのWiMAXモジュールを内蔵している。

　測定はWeb上のブロードバンド向け通信速度測定サービスをいくつか試し、速い数値を採用している。特記しない限り、基本的には下りの速度で表記している。

　WiMAX探検隊の初回となる今回は、手始めにビジネスマンなどによるデータ通信ニーズの高そうな新宿の西側、副都心方面に挑んでみた。ちなみに測定したのは10月21日午前である。

駅周辺、基本的に問題なく使える

JR新宿駅の西口改札前。地下だが、電波状態は非常に良好

やや電界が弱くなる西口ヨドバシカメラ前。とはいえ、アンテナ本数は4本

　新宿駅周辺は、基本的にはほぼ全域がUQ公表のWiMAXサービスエリア内に入っている。そのため、ちょっと周囲の開けた屋外であれば、たいていはアンテナ表示はバリバリの5本表示で10Mbps前後の速度で通信できた。正直、バリ5の場所が多く、驚かされた。このくらいの速度だと、Webブラウジングはもちろん、動画サイトだろうがFTPのアップロード/ダウンロードだろうが、まったくストレスを感じない。

　JR新宿駅については、西口地下改札の周辺でもバリ5本の10Mbps程度で通信が行えた。WiMAXは地下には弱いという話を聞いていたものの、先入観をくつがえされた感じだ。

　ビルに囲まれた一方通行の狭い道などでは、電波の入りが少し弱くなった。たとえば新宿西口にあるヨドバシカメラ周辺で試したところ、アンテナ表示が5本から4本になるところが見られた。ただ、減るとは言っても5Mbpsくらいの速度は出るので、やはりWebブラウジングなどでストレスは感じない。下手な公衆無線LANより速いことを考えれば、十分以上だ。

　新宿周辺はほとんどエリア内だが、一部の路地がエリア外となっている。今回の試用中も、ある路地に入ったところ、ほとんど接続できない状況があった。UQのサービスエリアマップを見たところ、ちょうどその場所だけピンポイントでカバーエリア外とされている。ビル街の路地は電波の浸透が悪く、カバーされにくい場所もあるようだ。1分も歩けばエリア内に入れるので、実用上どのくらい問題になるかは微妙なところだが、それでもUQには早くカバーをして欲しいところである。

都庁第一本庁舎でWiMAXは使えるのか

東京都庁のまわりをぐるりと一周してみたが、電界はまったく弱くならず

　新宿のランドマークとも言える都庁の第一本庁舎にも行ってみた。第一本庁舎は新宿副都心でも最大の高層ビルだ。まず第一本庁舎の周囲を一周しながらWiMAXを試したところ、東西南北どの方向でもバリ5本の10Mbpsクラスで通信ができた。WiMAXは狭い路地は不得意だが、空が開けていれば、巨大な高層ビルの真下でも問題はないようだ。

　都庁周辺だと、地下入り口や第一本庁舎1階のエントランスでもWiMAXが利用できた。WiMAXはこういった屋内や地下などでも、外からの電波をとらえて使えてしまうようだ。とくにこのあたりは基地局が多く、さまざまな方向から電波が飛んできて、死角が少ないのかもしれない。

　ここまで、新宿駅からビル街を通り、都庁舎までWiMAXを試してきたが、予想以上のつながりやすさに、正直筆者は驚かされた。半年前に試したときは、こんなにもつながらなかったからだ。WiMAXのネットワークの展開速度、恐るべしである。この分だと、次の半年後にはさらにつながりやすく、速度も速くなっていそうだが、現時点でも「ビジネスマンが営業周りの途中にメールで重たい資料をダウンロードする」くらいの使い方には十分すぎる速度だと感じた。

[Reported by 白根雅彦]