第8回

みんなのためのWiMAXパソコン

〜ライトにも、ヘビーにも使える

●ホテルのインターネット接続に代替できる実力

 半年ぶりに大阪に出張してきた。宿の手配を人任せにし、取材現場への最寄りということで、けっこうな高級ホテルに宿泊した。部屋の居心地は十二分によかったのはさておき、閉口したのはインターネットだ。昨今のホテルの常識として各部屋でのブロードバンド接続サービスがあり、宿泊したホテルも例外ではなく、デスクに有線LANのケーブルが引き込まれていた。

大阪をはじめ、接続可能エリアはここ数ヶ月で加速度的に広がっている

 この手のサービスでは、この有線LANケーブルを持参したPCに接続し、ブラウザを起動すると、スタートページがどこに設定されていても、自動的に申し込みのページにリダイレクトされ、部屋番号などを入力することで、インターネットに出て行けるようになる。このホテルもそうだった。ただ、値段がすごい。24時間1680円もするのだ。夜にチェックインして、朝にはでかけてしまうので、この値段はすごく割高に感じた。  部屋は14階。けっこうな高層だ。幸い、もう一台、WiMAXパソコンを持参していたので、つながってくれと祈る気持ちで液晶ディスプレイを開いたところ、スンナリとつながり、安定した接続が得られた。これで1680円を払わなくてもすむ。

 それにしても、この半年の基地局整備はすごい。半年前はつながらなかった場所でも、WiMAXが使えるようになっている。たとえば、京阪電車に乗って郊外に向かい、地下部分を抜けて京橋駅の手前で地上に出るとスッとWiMAXに接続でき、そこから大阪市を抜けて、某電気メーカーの本社がある地域まで、たまに切れてもすぐつながる状況を維持しながら電車の中で快適にインターネットが使えた。これは、半年前にはかなわなかったことだ。高層ビル群が東京ほどではないという点でも、大阪のWiMAXはかなり快適に使えるという印象を持った。

●リーズナブルなUQ 1Dayサービス

 UQコミュニケーションズのWiMAXには、複数の契約形態が用意されている。どんなに使っても月額4480円のUQ Flatがベストな選択だが、月額料金とは別に登録料として2835円の登録料が必要など、ちょっと敷居が高いと感じるユーザーもいるかもしれない。

 たまの出張時、特別な外出時に使えるだけでいいというのなら、24時間600円のUQ 1dayを、その都度使ったらどうだろうか。こちらは登録料もいらない。600円だけの、まさに破格のサービスで、購入する側が台所事情をちょっと心配になるくらいだ。

 たとえば、大阪在住のビジネスマンが朝一の新幹線で東京に向かい、一泊して戻ってくるようなケースでは、新幹線の中と都営地下鉄駅ではUQ WiFiを使い、宿泊先ホテルや都市部の地上ではWiMAXを使うというような行動をすべてカバーできる。場合によっては24時間分だけで一泊二日の出張をまかなえるかもしれない。

 UQ 1Dayを最初に利用するには、まずWiMAX統合ポータルからUQコミュニケーションズを選択し、住所、氏名、メールアドレスやクレジットカード番号等を入力してUQ 1day契約の申し込みをする。実際にUQ 1Dayを利用する際には、そのあとに利用時間の購入をすることで、インターネット接続が可能となる。次回またUQ 1Dayを利用する際には、すでにユーザー情報の登録は終わっているので、利用時間を購入するだけで済む。

 1週間に一度つないだり、あるいは1ヶ月のうちの数日間の出張時だけ使う、といったライトなユーザーにとっても、WiMAXパソコンであれば、いざ接続したいと思ったときに、通信端末を持ってきていないことに気がつくといった間抜けな事態にもならない。そういう意味では、WiMAXパソコンは、その本体さえあれば、いつでもどこでも24時間600円ポッキリでインターネットにつながることが保証されたPCであるといえる。

●つながれば便利、便利だから持ち出す、持ち出すからつなげる

 こうして日常的にWiMAXを使うようになると、とにかくいつでもつながっているのが当たり前という感覚になり、たとえ10分しか使わないことがわかっていても、UQ 1Dayの利用時間を購入してしまうようになる。そして、せっかく24時間の利用権があるのだからと、そのあとも、今までPCを使わなかったようなところでもインターネットに接続する。それが便利で、今までよりもPCを持ち出す機会が増える。そして、そのうちに、めんどうくさくなって、結局UQ Flatを契約してしまうことになるだろう。

各地での接続性が高まるにつれ、いよいよ実用的になってきたWiMAXパソコン。最新のラインアップはUQ公式ページで確認できる

 まさに、UQコミュニケーションズの思うつぼ的展開だが、わかっていても、そうなってしまう魅力がそこにはある。液晶を開けばつながっているという快感を、たとえ24時間でも一度体験してしまうと、「つながらない」ということが、なんと不自由なことなのかと感じるようになってしまうのだ。

 個人的には、今後、モバイルで使うPCの購入に際しては、WiMAXを搭載していない機種を選ぶことはありえないだろう。自分にとってこれまでの必須条件は、SSD、HDMI、Bluetooth、GPSだったのだが、それらよりも、ずっと優先順位は高い。  その気持ちは、実際に使ってみなければわからないとは思うのだが、UQコミュニケーションズは、半信半疑疑であっても利用を体験できる施策をたくさん用意している。12月7日から始まった「15日間WiMAXお試し利用」サービスもそのひとつだ。WiMAXパソコンであれば、15日間無料で、フルにサービスを利用できるのだ。ただし、このチャンスは一台のWiMAX搭載PCにつき、一度だけだ。でも心配はない。その体験をしてしまったら、WiMAXにつながない選択肢などありえないことを確証し、サービスに加入してしまうのが目に見えているからだ。

[Text by 山田 祥平]