第6回

地下鉄駅や新幹線で無料で使えるUQ Wi-Fi

〜WiMAXの過渡期を支える。でもいつかは

●WiMAXを補完するUQ Wi-Fi

成田エクスプレス新型車両はUQ Wi-Fiが使用可能な代表的な列車。電車内でも安定した通信が行える

 WiMAXは使用する周波数もWi-Fiとほぼ同じで、まさに広域Wi-Fiといっても差し支えない。だから、というわけではないだろうが、UQコミュニケーションズはWiMAXを補完するサービスとして、公衆無線LANスポット「UQ Wi-Fi」を提供している。UQ WiMAX加入者なら月額利用料が無料、というのもうれしい。

 具体的には東海道新幹線のN700系車両、成田エクスプレスのE259系、そして都営地下鉄の一部駅をのぞくほぼ全駅、そして国内の各空港などでサービスが提供されている。

 成田エクスプレスなどは、直接WiMAX接続したままで成田空港までの路線のほとんどをカバーすることもできるが、車内で使うPCのアンテナで屋外からの電波をつかまえるよりは、電車内のアクセスポイントにWi-Fi接続した方が、今のところは快適だ。ちなみに、現状では移動する電車の中にWiMAXの基地局免許は交付されないため、Wi-Fiを使わざるを得ないそうだが、将来的には電車の中にもWiMAXの基地局を設置し、WiMAXのままで安定した接続ができるようになるという。

 また、新幹線については、N700系の車両でWi-Fiが使える。成田エクスプレスとは違い、新幹線沿線がすべてWiMAXでカバーされるようになるまでには、もう少し時間がかかるだろう。それまではWi-Fiが心強い味方となる。トンネルの中でも途切れないのがうれしい。N700系の車両は、各窓側席の足下にコンセントも用意されているので、バッテリの残り容量を心配することなく道中を過ごすことができる。今のモバイルPCは、東京から新大阪くらいの道中では平気でバッテリが持つが、やはり、目的地に到着したときに、満充電の状態にあるのは心強い。

●WiMAXにこそ期待したいシームレス地下鉄車内接続

 一方、地下鉄駅では都営地下鉄の各駅がサポートされているが、順次、東京メトロの各駅にも拡充されていくことになっているようだ。地方都市の地下鉄駅への拡大も時間の問題だ。

 UQコミュニケーションズの計画では、このUQ Wi-Fiサービスは、あくまでもWiMAX本サービス開始当初の暫定的なものであり、未来にわたって提供されるものではないらしい。なぜかといえば、当然、将来的にはあらゆるエリアをWiMAXで包み、WiMAXとWi-Fiを切換える必要すらなくなるのが理想だからだ。

 地下鉄駅なら駅構内のみならず、駅間でも電波を捕獲できるようにWiMAXの基地局を配置し、地下鉄車内で途切れることなくインターネットが利用できるようになれば最高だ。都心での移動を地下鉄に頼るユーザーは決して少なくない。携帯電話さえ通じない駅間をWiMAXがサポートするようになれば、その優位性は一気に高まることになるだろう。比較的広い範囲を包むWiMAXだからこそ期待できる方向性だ。

 もっとも、駅構内だけのサポートであっても、現在のWi-Fiがそうであるように、駅から駅へと電車が進行し、停車してサービスエリアに入ると接続し、発車すると切れるという状況が繰り返されても、それなりに使いものにはなる。メールの読み書きや、ちょっとしたウェブのブラウズなら、駅への到着を待ってクリックすれば、目的のリンクが開き、それに目を通している間に次の駅に到着する。シームレスとはいかないが、ある程度の実用性はあるわけだ。

●WiMAXワンストップに向けて

 UQのWi-Fiサービスの利用は簡単で、しかも無料で提供されるのだが、利用の前にはちょっとした申し込みの手順が必要になる。月額4480円のUQ Flatか、1日利用のUQ 1Day、どちらかを利用すると、My UQからUQ Wi-Fiの申込ができるようになるので、そこで手続きをすれば、SSIDやWEPキーなどがメールで送られてくる、という寸法だ。PCでその設定をすませれば、サービスエリアに入ったときに自動的に接続するはずだ。使う予定があるときには、前もって自宅で手動設定しておけば、使い始めにとまどうこともない。

 ただし、Wi-Fiの利用に際してはWiMAXのように、接続した時点ですぐにインターネットが利用できるようになるわけではない。接続した状態で、ウェブブラウザを開くと、スタートページがどこに設定されていたとしても、無条件にログインのページにリダイレクトされるので、そこでログインIDとパスワードを入力することで認証する手順が必要だ。認証をクリアして初めてインターネットが使えるようになる。

 この手順はWiMAX接続の認証に比べると面倒で、802.1x認証などを使って自動的に接続するような仕組みがあったほうがいいのでは、と思ってしまう。とはいえ、UQコミュニケーションズとしては、あくまでもUQ Wi-Fiを暫定的なサービスとして提供するものであり、将来的には撤廃し、すべてをWiMAXのワンストップでカバーするようになるということを示唆しているのかもしれない。

[Text by 山田 祥平]