インタビューでもあったように、33年の歴史が詰まった集大成の1つであるAero
Streamシリーズ。前述のとおりケースやパーツ選びにこだわっているとのこと。そこで今回はHotHot REVIEW!特別編として、Aero
Streamで採用されているケースを中心に、各構成について検証していく。同社のBTO対応モデルはさまざまなバリエーションがあるが、今回はミニタワーモデルとタワーモデルから注目製品をピックアップして紹介しよう。
eX.computer「Aero Stream RA7A-C24/S2」
〜信頼性重視の静音エアフローが魅力の6コア・ハイエンドPC
eX.computer「Aero Stream RA7A-C24/S2」 |
ツクモのオリジナルPC「eX.computer」シリーズのなかでも中核を成すスタンダードモデルが「Aero Stream(エアロストリーム)」シリーズ。なかでもやはり誰もが選びやすいというのはATXサイズの豊富な拡張性を持つタワータイプだ。タワータイプはIntel CPU搭載モデル、AMD CPU搭載モデルが選べるほか、BTOと併せてベースモデルとしてもパフォーマンスレベルに合わせ、CPUの種類やオンボードグラフィックスやディスクリートグラフィックスなど豊富な選択肢が用意されている。
今回試すにあたりサンプル機としてAero Streamタワータイプでも最新モデルとなる「RA7A-C24/S2」をお借りすることができた。このモデルは発表間もないAMDの最新6コアプロセッサ「Phenom II X6 1100T」と、Radeon HD 6870を組み合わせた「VISION Black」対応のハイエンドモデルである。AMDは消費者が使用用途に応じてPCを選びやすくするためのロゴプログラム「VISION」を提唱しているが、その中で「VISION Black」は、ハイエンドゲームや大容量の映像・データ処理をスムーズに行えるエンスージアスト向けの製品に付与されるロゴである。では、そうしたパフォーマンス面とともにインタビュー編で伺ったオリジナルケースのこだわりなどを実機に触れながら見ていこう。
●静かさとハイパフォーマンスを両立するAero Streamオリジナル筐体Aero Streamタワーモデルの筐体はいわゆる自作PCの標準であるミドルタワーサイズ。5インチベイ4基と5インチ/3.5インチ共用ベイ1基、シャドウベイ5基という豊富な拡張性を備え、購入後、将来にわたる拡張を可能としている。マットブラックの外観は、フロント側面にシルバーのラインをあしらったひと目でAero Streamであるとわかるデザインだ。
Aero Stream筐体のエアフローにおける基本理念であるのが前後12cmファン。まずフロントファンは、ケースのフロントパネル下部がメンテナンス用のカバーとなっており、ここからアクセスできる。ファンには防塵フィルタが装着されており、室内の塵による内部パーツへの影響を防いでいる。そして吸気はフロントパネル側面のスリットから行なう。フロントファンのカバーにはデザインこそボーダーであるが、そこにスリットはなく、これは正面側への音漏れを防ぐ効果を狙っているというのはインタビューで伺ったとおりだ。実際、高性能ビデオカードを搭載する本機の場合、それなりの動作音がするのは仕方ないとしても、フロント側に立って耳を澄ませばサイドに立った時よりも音量が少ないように感じられる。また、ファンのブレードには細かな凸凹のあるディンプル加工を施し、さらにファン用の開口部はフィルタ用のガードの他には遮るものがなく、こうしたところでも風切り音を抑制している。
リアのファンももちろんディンプル加工されたもの。こちらは排気側であるため防塵フィルタは装着されていないが、ケース外側のファンガードはハニカム構造のホールが設けられている。これは通常のパンチングメッシュよりも風切り音が少ないという点で採用されているという。
これに加え、タワータイプではもう2箇所ケースファンを追加搭載可能だ。高性能なCPUやビデオカードに対応するケースだけに、そうした構成ではより積極的な冷却が必要となる。そのため、タワータイプの筐体には、CPU、ビデオカードに直接風を当てる位置にそれぞれ12cmファンが各1基、計2基追加搭載することができる。もちろん、吸気側となるため、防塵フィルタが装着されている。フィルタガードは標準でケースの外側に装着されており、スライド式に簡単にメンテナンスできる。
ケースのサイドパネルは手回しネジで簡単に開くことができる。このあたりは最近のケースでは定番だが、タワータイプは右側も左側も手回しネジだ。内部のスペースはタワーサイズだけに広々としており、メンテナンスで内部に手を入れる際にもあまり狭さを感じない。また、5インチベイの下は全てシャドウベイとなっている。シャドウベイは計5基で、そのどれもが固定が楽なトレイ式を採用している。また、HDDを詰め込んでもそのドライブの間隔には余裕があり、フロントファンからのエアフローが各ドライブを効率的に冷却する設計だ。コストが重視されるBTOパソコンにおいても、こうしたこだわりのデザインを採用している点は好感触。ケースのフレームの端も、各所で折り返しが付けられており、剛性も十分だ。
左サイドパネルは手回しネジで簡単オープン。内部スペースはATXマザーボードを収めてもまだ四隅に余裕のあるほど広々。シャドウベイはトレイ式で5基用意されている | 右サイドパネルも手回しネジで開閉できる。シャドウベイのHDDはこちら側からコネクタを接続できる |
シャドウベイのトレイの着脱方法を記したラベルも貼られている | HDDトレイはソフト樹脂製。ネジ不要でHDDを固定、ベイに装着することが可能だ |
●最新6コアCPUをベースにそのパフォーマンスを高い信頼性とともに提供
ここからはサンプル機をベースに内部スペックを紹介していこう。サンプル機は「RA7A-C24/S2」の標準構成。AMDの最上位CPUを採用するモデルだけにこれが最小構成というわけではないが、BTOによって各所でさらなるパフォーマンスアップが可能である点を最初にお断りしておく。
CPUは繰り返しとなるがAMDのPhenom II X6 1100T。最大3.3GHzのコアを6つ、さらに型番末尾に「T」が付くのはTurbo Core機能を搭載している証だ。Turbo Coreとは冷却面での余裕と負荷に応じて3.3GHz以上のオーバークロックを行なう仕組みで、瞬発的なパフォーマンスをさらに高める。また、Phenom II X6は6コアというコンシューマレベルでは現在最大数のマルチコアCPUを比較的低価格で入手できる点が魅力だ。
メモリはSanMax製のDDR3-1333メモリが2GB×2枚、計4GB搭載している。なぜSanMax製か、というのはインタビュー記事のとおり。ツクモが最重要視している信頼できるチップ、信頼できるモジュール、信頼できるメーカーという点に合致しているということだ。BTOメニューではこのほか2GB×4枚(8GB)や4GB×2枚(8GB)、4GB×4枚(16GB)といった容量アップに対応する。32bit OSを使う上では標準の4GBでも構わないが、64bit OSとメモリを大量に用いるビデオ編集アプリケーション等の用途で用いるならばできるだけ潤沢な容量を選んでおきたい。もちろん、個人でのメモリの追加には相性といったリスクもある。購入時に将来を見越して搭載しておけばそれだけ相性などのリスクは回避できることに加え、SanMax製モジュールの安心感も心強い。
ハードウェアではないが少しOSについても紹介しておこう。RA7A-C24/S2が標準搭載するのはWindows 7。Windows 7には32bit版と64bit版が存在するが、そのどちらも同価格で選択可能だ。また、グレードに関してもHome Premium、Professional、Ultimateの3つのグレードから選択できる。Aero Stream購入者の傾向としては、Windows 7の時代になってからは64bit版が人気だそうだ。64bit版であれば4GBを超えるメモリを活用することができ、その上で32bit版アプリケーションを動かすような場合でも、各アプリケーション毎に最大3GBを割り当てることができる。つまり、大容量メモリを要するアプリケーションでは、例えそれが32bitアプリケーションであっても64bit版を選択するメリットがあるわけだ。また、アプリケーションとしては、本体と同時にOffice 2010も購入できる。メインPCとして活用したい方は、プリインストールされるOfficeのBTOオプションにも要チェックだ。
さて、再びハードウェアに戻ろう。HDDはWestern Digitalの「WD10EARS」。SATA接続で容量1TBのドライブだ。WD Cavior Greenに属する製品なので、どちらかと言えば省電力で静音なモデル。BTOメニューには、ユーザーの嗜好に合わせて、2TBの大容量HDDやIntelの高速SSDなど、そのほかにも豊富な選択肢が用意されている。また、2台目のHDDを搭載できるメニューも用意されている。
マザーボードはASUSTeKのM4A88TD-V EVO/USB3。AMD 880Gチップセットを搭載したモデルであり、チップセット側の機能としてオンボードグラフィック機能も搭載している。さすがに高性能ビデオカードを標準搭載する今回のモデルには、ビデオカード無しのオンボードグラフィックスを使うという選択肢は用意されていない(最低限の低価格ビデオカードの選択肢は有り)。しかしバリエーションモデルとしてはオンボードグラフィックスを利用する低価格なモデルも用意されている。静音性重視のユーザーや既に目的のビデオカードを入手しているユーザーはそちらのモデルもチェックしよう。この製品でもうひとつポイントとなるのはUSB 3.0、SATA 3に対応している点。USB 3.0は現行のUSB 2.0に対し約10倍となる5Gbps、SATA 3は2.5の2倍となる6Gbpsの転送速度を実現する次世代インタフェースだ。今後末永く愛用しようという方にはこうしたマザーボードチョイスも注目して欲しい。
ビデオカードはRadeon HD 6870を搭載したXFXの製品。Radeon HD 6870はRadeonシリーズの最新世代。DirectX 11をサポートするハイエンド向けのグラフィックスチップ(GPU)だ。各種のゲームを快適に楽しめるハイエンドクラスのパフォーマンスを持ちながら、同時に消費電力もこのクラスでは低く抑えられている。また、BTOオプションのなかにはRadeonシリーズの各グレード、そしてNVIDIA GeForceシリーズのビデオカードも用意されている。3D性能もビデオカード選びのポイントだが、それ以外にも例えば動画編集などにおいてGPGPU機能のCUDAが活用したいというのであればGeForceを選ぶというのも有りだろう。
最後は電源。標準の電源はTopower製の630W(最大730W)モデル。12cmファンを搭載した静音モデルであるとともに、高効率の証である80 PLUS認定を受けた電源だ。また、BTOメニューには、最大で1200Wの電源も用意されている。さらに高性能なビデオカードを積むような際、HDDを最大まで積込むような際には大容量電源を選びたい。また、大容量という方向だけでなく、より小容量な電源も選択可能だ。ただし出力の関係上、標準のRadeon HD 6870のまま選択した際には見積ページの下、注意事項の欄に警告が表示されるので要注意だ。このようにBTOの見積もりページも、細やかな配慮がなされている点もうれしい。BTOに慣れないという方でも、注意事項をチェックしながらであれば、誤った構成をしないで済み、安心して購入できる。
●6コアCPUと高性能ビデオカードにより3Dゲームやビデオ編集で活躍
それでは最後にパフォーマンスを計測してみよう。本モデルはPhenom II X6 1100Tを搭載するモデルのなかでもビデオカードの3Dパフォーマンスに重きをおいたモデルである。そこで、Futuremarkの3DMark 06および、Final Fantasy Official Benchmarkでその性能を測ってみた。
【表1】評価機の構成
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【表2】ベンチマーク結果
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Windows エクスペリエンスインデックスのプロセッサ欄のとおり、高クロックな6コアCPUだけあってシステム面のパフォーマンスは良好。さらに高性能ビデオカードで3DMarkのスコアはかなり高く、3Dゲームを楽しみたいという方にとっては気になるモデルであるのは間違いない。Final Fantasy XIVのようにかなりヘビーなタイトルでも、オフィシャルのスコア目安と照らし合わせれば快適と言えるスコアを示している。
また、高クロックな6コアCPUはゲームのほかにもビデオ編集やRAW現像などで効果を発揮するし、RadeonやGeForceは一部のビデオ編集ソフトではアクセラレーション機能が利用でき、GPUを3D以外の分野でも活用できる。AMDは自社のCPUとGPUでギガスレッドというコンセプトを打ち出しているが、まさにそれを具現化したモデルと言える。最初にゲーム向けと紹介してしまったが、この点に捕らわれず、ハイパフォーマンスを求めるユーザーに幅広く検討していただきたい。価格は11万4,980円(12月10日時点)と、予算としての大台はやや上回ってしまうが、ゲームやビデオ編集のような用途を検討する方にとってはコストパフォーマンス面でも魅力的なものであるだろう。
□eX.computerのホームページ
http://www.tsukumo.co.jp/bto/index_2.html
□製品情報
http://www.tsukumo.co.jp/bto/aerostream_2.html
eX.computer「Aero Stream RM7J-C24/S」
〜ミニタワーの小さな筐体に秘められた静音、信頼性へのこだわりを見る
eX.computer「Aero Stream RM7J-C24/S」 |
タワーモデルがATXマザーボード対応のパフォーマンス向け構成であるのに対し、ミニタワーモデルはマイクロATXマザーボード対応の省スペース&コストパフォーマンスモデルとなっている。とはいえコンパクトななかにも普段使いに十分なパフォーマンスを持ち合わせているのがAeroStreamシリーズだ。BTOによって高性能なプロセッサ、ハイエンドビデオカードなども組み合わせればゲームのような用途にも対応できる発展性を秘めている。
今回はサンプル機としてミニタワーモデルでもちょうどミドルに位置する「RM7J-C24/S」をお借りして、本機の性能やインタビュー編で伺ったオリジナルケースのこだわり、厳選パーツなどを見ていく。
●こだわりケースはタワーモデルを踏襲しつつミニだけの設計もありフロント側面にあるシルバーのラインはタワーモデル、スリムモデルと同じAeroStreamシリーズ筐体のトレードマークとなっている。ミニタワー筐体はタワー筐体と比べると高さはもちろんかなり低く抑えられているほか、実は幅もちょっとスリムだ。だからタワー筐体だと難しいデスク上に置けたり、奥行きも短いからよりスマートに置くことができる。実測値だが、186(W)×400(D)×364(H)mm。手元のマイクロATXケースと比べるとそれぞれ若干小さく、マイクロATXケースのなかでもひとまわりコンパクトな印象だ。そのぶん設置スペースには悩むことも減るだろう。
まずはフロントインターフェースのカバー。マグネット式のカバーはタワーモデルと共通。突起に指を引っ掛ければ簡単に開くことができ、カチッとキッカリ90度で止まってくれる。内部にはUSBとオーディオ入出力が用意されており、もちろんカバーがコネクタのホコリ詰まりを防いでくれる。
その下はファンカバーとなっている。こちらは下方向にスライドするとロックが外れ、開くと防塵カバー付きのフロント12cmファンが現れる。注目して欲しいのは側面吸気。カバー側はスリット的なデザインだが、ここに吸気用のスリットは設けられていない。また、防塵フィルタにはタイラップがひとつ付いている。ごく単純な仕組みだが、フィルタ交換のためにカバーを外す際、これに指を引っ掛ければ簡単に外すことができる。また、いちおう防塵フィルタの固定のためにファンガードは付いているが、その後ろの筐体フレームにはパンチングメッシュ等もなく、開口部が広くとられている。風切り音を低減すると説明された箇所だ。もちろんファンのブレードもディンプル加工されており、こちらもノイズを抑制できるというデザインだ。
ケースの側面はフラット。タワー筐体モデルと異なりサイド吸気を廃している。手回しネジ2つでサイドパネルを外せば、広い内部スペースが現れる。HDDが搭載されているのは3.5インチベイの2段目。その下にも1基が搭載できるほか、ケース底面にも1基搭載できるスペースがある。HDDも熱を発するパーツであるが、例えば標準搭載位置の次に増設する際は、ケース底面に装着すれば、高速HDD等で生じる熱問題を回避することができる仕組みだ。
リアのファンも12cm径でこちらもディンプル加工された製品。こちらはガードなしというわけにもいかないため、ハニカムデザインの穴がケース側に設けられている。これも通常のパンチングメッシュと比べ、風切り音が少ないということで採用されているとのことだ。
電源は12cmファンを搭載したTopower製350W(最大430W ※こちらは同じTopowerでも80 PLUSではない)モデル。ケーブルはタイラップでまとめられており、電源自体のコネクタもこの容量の電源であれば十分な種類と数を備えている。例えばBTOでより高性能なCPUやビデオカードを選ぶ場合には、同じくBTOで用意されているより大容量な電源を選択するのがよいだろう。
ケースの内部スペースはマイクロATXとしては十分なものがある。いちばん大きいのはビデオカードの後方にあたる部分からシャドウベイを廃しているところだろう。ひとつ上のモデル「RM7J-D24/S」では同じケースでGeForce GTX 470が選択できるのだが、筆者が調べたところ、さらに長い全長310mmのRadeon HD 5970を搭載してもなおフロントファンまでに余裕を残すほどのスペースが確保されていたから3Dパフォーマンス志向の方は必見だ。そしてケースの奥行きも186mmほどあることに加え、パッシブダクトもないことから、かなり大きなCPUクーラーを搭載することが可能だ。CPUクーラーはBTOにも用意されているので、さらなる静音を目指すユーザーはこちらもチェックだ。
●ツクモ厳選の「信頼できる」メーカーパーツ
ここからはサンプル機をベースに内部スペックを紹介していこう。サンプル機はRM7J-C24/Sの標準構成だから、各パーツはエントリー的なものとなっている。つまりこれが最小限であって、さらなるパフォーマンスを求める方にはもっと高性能なBTOオプションが用意されているということを念頭に置いて読んでほしい。
まずCPUはLynnfieldと呼ばれる、クアッドコアのCore i5-760(2.8GHz)。Intel Turbo Boostテクノロジにも対応しており、必要な時に熱設計の許す範囲で定格クロックを上回る最大3.33GHzまでのオーバークロック動作を行なうことでパフォーマンスをさらに高めている。
メモリはDDR3-1333メモリを2GB×2枚、計4GB搭載している。モジュールはSanMax製でインタビューでも信頼性重視として掲げた同社のこだわりのモジュールだ。4GBという容量はWindows 7を使うならば最低限確保したいところ。BTOでは最大16GBまで4段階で提供されている。なお、32bit OSではこのうち3GB強ほどしか利用できないが、64bit OSでは容量全てを利用することが可能だ。
HDDはWesternDigital製の500GBドライブ。どちらかと言えば静音性と省電力性能を重視したモデルが搭載されていた。ただしストレージはBTOでも最も多くのメニューが用意されている項目である。容量であれば最大2TBまで、速度で言えばSSDや10000rpmタイプのHDDを選択することもできる。BTOでは追加のHDDも用意されているので、例えばパフォーマンス狙いとしてシステム用の1台目としてSSDを、データ用の2台目には大容量HDDといった組み合わせが実現できる。
マザーボードはMSIのH55M-P33。比較的最近になって登場したIntel H55 Expressチップセット搭載マザーボードだ。シンプルなレイアウトだが基本機能はひと通り揃った製品で、最近のトレンドとなっているCPUフェーズ数を負荷に応じて切り替える省電力機能も備えている。
ビデオカードはZotac製のGeForce 210カードを搭載していた。GeForce 210ならばファンレスのカードもあるところ、搭載されていたのはファン付きのカードだ。静音という意味ではファンレスの方が有利だが、信頼性という面ではファン付きの方が勝るという選択だろう。ファンがあるからと言っても実際の動作音はそこまで大きくは感じられない。
そしてやはり静音性という面ではAeroStream ミニタワーは優秀と言えるだろう。タワーモデルよりもさらに静か。もちろん無音とはいかない。しかし前後ファン、CPUファンにビデオカードのファン、そして電源ファンと、要所要所で合計5つのファンが搭載されているわけだが、そのようにちゃんと冷やされて、なおかつ静かなのだ。筐体のビビリ音も検証している中では確認できなかった。
CPUはCore i5-760。RM7J-C24/SはBTOオプションを含めて全てクアッドコア | メモリはサンマックス製モジュールを採用 |
ビデオカードはGeForce 210。Zotacの製品でロープロファイルのファン搭載モデルだ | デバイスマネージャーから見たRM7J-C24/Sのハードウェア構成 |
●Windows Live Essencialsを初期導入済み
ここで、OSインストールモデルにおけるソフトウェア構成を確認しておこう。基本的にいわゆる家電メーカーのPCでは各種の体験ソフトやプリインストールソフトが搭載されているのに対し、ショップブランドPCはそうしたものがほとんどなく、クリーンインストール状態であることが好まれるという面がある。Aero StreamもショップブランドPCの例にもれず、プリインストールソフトは最小限だ。ただし、今では初心者の方がBTOパソコンを選ぶというのもよくあるということで、Windows Live Essencialsは初期導入されている。
バックアップツールの「eX.Backup」もインストールされているが、これは購入時の初期イメージをDVDにバックアップするため。もちろんその後もバックアップツールとして利用可能だ。もちろん、OS付きモデルを選んだ場合、DSP版のインストールDVDが付属するのだが、ドライバ等を含めた状態のバックアップを作成しておけば以降の手間を省くことができる。その他はセキュリティ対策ソフトの体験版など、やはり最小限。あくまでも自分自らアプリケーションを選んでいくというスタイルだ。
PCには必須という方も多いOfficeソフトウェアも同時購入が可能だ。BTOオプションではOffice 2010のPersonal、Home and Business、Professionalの各グレードが選択でき、プリインストール状態で出荷される。また、OSに関してもWindows 7のHome Premium、Professional、Ultimateの各グレードが32bit版、64bit版ともに用意されている。法人向けも同様だが、ドメイン参加や互換性のためのXP Mode(Aero Streamではプリインストール済み)を利用できるProfessionalが標準となっている点が唯一異なるところだ。
●優れたパフォーマンスを確認
では最後にベンチマークを計測して締めくくろう。とはいえ今回は標準構成なため、さらなるCPUパフォーマンスを求めるならばCPUを、さらなる3Dパフォーマンスを求めるならばビデオカードを、というようにBTOできることを予めお断りしておく。とはいえこの価格としては十分なパフォーマンスを秘めている。メインPCとしてそのまま使っても良し、自作PCのベースマシンにしても良しといった万能型は、まさにスタンダードモデルである。
【表1】評価機の構成
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【表2】ベンチマーク結果
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ミニタワーモデルはコストパフォーマンス重視の構成であるので、基本的にはシステムベンチマークを中心に見ていこう。まずはCore i5-760のパフォーマンスが優秀だ。PCMark05のCPUスコアは10000を超えており、同時にメモリスコアも10000を超えている。一方で、Windows エクスペリエンスインデックスを見てわかるとおり、GeForce 210ではグラフィックス性能が高いとは言えない。いちおうCPUやチップセットの統合グラフィックよりは上、ウィンドウデスクトップが中心で3Dゲームをしないというのであれば問題ないが、逆にそうした用途に使いたいのであればこの部分がBTOで強化したいポイントとなる。このグラフィック面を除けばどのスコアもバランスが良い。普段使いのメインPCとしては十分なスペックだ。この構成が8万円以下で入手できるAeroStreamは、ここまで紹介してきた信頼性や静音性とともに、コストパフォーマンス重視のユーザーにぜひ検討して欲しいPCだ。