ボーダフォンの端末ラインアップにおいて、初のカメラ付きケータイ、初のメガピクセルケータイなど、常に最先端をリードしてきたシャープ製端末「SHシリーズ」。ボーダフォンの第三世代携帯電話サービス「Vodafone Global Standard」でも「V801SH」という魅力的な端末をリリースしている。 ボーダフォンは3Gサービスにおいて、ケータイの世界共通規格のひとつであるW-CDMA方式を採用しているが、実は通信方式だけでなく、サービスなどを含めた総合的なグローバル化を推し進めようとしている。もちろん、端末のグローバル化もそのひとつだ。世界共通仕様のプラットフォームを提供することで、世界共通のコンテンツ利用やワールドワイドなコミュニケーションを実現し、グローバルなケータイサービスを展開しようとしているわけだ。 今回発売されるVodafone 902SHは、このボーダフォンのグローバル戦略に基づいた端末だ。その型番からもわかるように、3Gサービスのフラッグシップ的な端末として位置付けられている。3Gが採用するW-CDMA方式に加え、欧州などで利用されているGSM方式に対応し、2.4インチモバイルASV液晶や光学2倍ズーム搭載202万画素カメラ、Bluetooth、3Dサラウンド&ステレオスピーカーなど、日本のSHシリーズで培われたノウハウや最先端の技術を投入し、世界中のハイエンドユーザーが満足できるような高品質な端末に仕上げられている。 |
今回試用したミラーホワイトの他、ウォームオレンジとチタングレーの3色展開となる。 |
まず、Vodafone 902SHのボディは通常の折りたたみデザインをベースにしながら、液晶ディスプレイ部を反転させられ二軸回転式の「スウィーベルスタイル」を採用している。このスウィーベルスタイルはV602SHやV402SHでも採用され、たいへん好評を得たが、3Gならでは新しいサービスも利用できるため、用途に合わせたポジションチェンジが使いやすくなっている。メールやコンテンツ閲覧時は「オープンポジション」、カメラ利用時などには「ビューアポジション」、TVコール(テレビ電話)や端末上の動画コンテンツ閲覧には「デスクポジション」で利用することができる。特に、TVコールのような新しい使い方には、スウィーベルスタイルのようなフレキシブルな端末デザインが非常に適している。 また、ボディ全体の質感も非常に良く、デザインも落ち着きと高級感のあるものにまとめられており、フラッグシップモデルに相応しい仕上りとなっている。 |
Vodafone 902SHは前述の通り、ボーダフォンのグローバル戦略に基づいた3G端末だ。そのため、全体的な仕様もグローバル仕様に基づいている。たとえば、通信方式は3Gで採用されているW-CDMA方式と欧州などで採用されているGSM方式の両方に対応しているが、3G/GSMオート切替となっているため、Vodafone 902SHを持ったまま海外に出かけ、サービス対応地域であれば切り替え操作などをすることなく、そのまま渡航先で使うことができる。 また、メニュー画面などのユーザーインターフェイスもグローバル仕様に基づいており、デザインもヨーロピアンテイストにまとめられている。グローバル仕様のユーザーインターフェイスは日本のユーザーインターフェイスと違い、全体的にシンプルにまとめられており、操作体系も一定のルールに基づいている。たとえば、ソフトキーの表示は画面左が「Yes」や「選択」などの肯定形、右が「No」や「戻る」などの否定形に統一されている。 |
キー配列は直感的に操作できるように配慮されている。左右上のソフトキーも左側に「選択」や「Yes」、右側に「戻る」や「No」などが表示されるようになっている。 |
カメラはボタン側の背面に202万画素CCDカメラ、メインディスプレイ側にTVコールや自分撮りに使える11万画素CMOSカメラを搭載している。メインカメラはV602SH同様、オートフォーカス機構と光学2倍ズームを搭載しており、3G端末の中でもトップレベルのスペックを実現している。撮影に適したビューアポジションでの使い勝手も考慮されており、側面に備えられたズームボタンで光学2倍ズームのON/OFF、シャッターボタンはフォーカスロック、押し切って撮影というカメラらしい使い方を可能にしている。 もちろん、SHシリーズではおなじみの高機能な撮影機能も継承されている。設定値を変更しながら撮影する「ブラケット連写」、スポーツのフォームチェックにも適した「オーバーラップ連写」などは、ここ一番に威力を発揮する撮影機能だ。 |
サブカメラは、有効画素数11万画素のCMOSを採用されている。「モバイルASV液晶」と「スウィーベルスタイル」との組み合わせで、国内でも海外でも3G TVコールが楽しめる。 さらに操作性を向上させたサイドキー。光学ズームの操作やAFロックなどカメラ設定だけでなく、メール確認や通話などの操作が可能だ。 |
こうしたカメラや動画コンテンツ閲覧を活かすために、Vodafone 902SHには高い視認性を確保した「モバイルASV液晶」という新しい液晶パネルが搭載されている。ASV液晶は「Advanced Super V」と呼ばれる液晶技術を利用したもので、シャープの液晶テレビ「AQUOS」で培われた技術が活かされている。 モバイルASV液晶は従来の約2倍に相当する300:1というコントラストを実現し、屋内外でも高い視認性を確保している。視野角も上下左右に160度と非常に広く、カメラ利用時に自由なアングルで撮影するなどの活用が可能だ。 こうしたモバイルASV液晶のクオリティの差をもっとも実感できるのは、パソコンやDVD/HDDレコーダーなどで録画したASFファイルを再生するビデオプレーヤーの環境だ。同様のビデオプレーヤーは一部の端末にも搭載されているが、Vodafone 902SHは視認性が良いだけでなく、非常に色鮮やかなムービーを再生することができる。 |
モバイルASV液晶とスウィーベルスタイルが実現した新しいポジションともいえる「デスクポジション」。TVコールや動画コンテンツの閲覧をよりスタイリッシュに演出してくれる。 |
Vodafone 902SHが従来の国内向け端末と大きく異なる点のひとつがBluetoothを搭載しているという点だ。Bluetoothは2.4GHz帯を利用したワイヤレスコミュニケーションができ、Vodafone 902SH同士、対パソコン、対ヘッドセットなど、さまざまな機器との接続を可能にしている。なかでも便利なのがBluetoothヘッドセットとの接続だ。 Bluetoothというと、従来はPDAやパソコンとの接続が重視されていたが、ヘッドセットとの接続が可能になったことで、ビジュアルコミュニケーションを実現するTVコールの快適性が大きく向上する。従来のテレビ電話環境ではイヤホンマイクを利用するか、端末のスピーカーホン機能でコミュニケーションをするのが一般的だった。しかし、イヤホンマイクは接続に手間が掛かるうえ、スピーカーホンは周囲に音が聞こえてしまうなど、不満点が多かった。Vodafone 902SHではBluetoothヘッドセットをあらかじめペアリングしておけば、TVコールがあったとき、ワイヤレスで手軽にビジュアルコミュニケーションが楽しむことが可能だ。ちなみに、Vodafone 902SHのBluetoothは、「Handset」「Hands-Free」「Dial-up Networking」「Object Push」のプロファイルに対応している。 また、もうひとつのワイヤレス環境として、赤外線通信にも対応している。V602SHなど、従来の端末でも搭載されてきた機能だが、Vodafone 902SHも対応しており、対応機器とのデータ送受信をはじめ、赤外線通信を利用したリモコン操作も可能だ。 この他にもVodafone 902SHには、新グローバル世代を実感させる多くの機能が搭載されている。後編ではVGSの新サービスへの対応などもまじえながら、その実力を解説する予定だ。 |
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■法林岳之 |
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