法林岳之執筆 新グローバル世代のフラッグシップ3G端末(後編)「Vodafone 902SH」サービス解説
本格的にサービスの展開が開始され、注目を集めているVodafone 3Gサービス。そのフラッグシップモデルに位置付けられるのがシャープ製端末「Vodafone 902SH」だ。Vodafone 3Gで提供される新しいサービスの内容を交えながら、Vodafone 902SHの活用スタイルを見てみよう。
「Vodafone 902SH」速報レビュー

 Vodafone 3Gの新サービスにフル対応


ドラマ、ヒット曲、アイドルグラビアなど大容量コンテンツが楽しめる。話題の韓流ドラマもラインアップしている。


902SHは、たっぷり聞かせる約90秒のロングバージョンにも対応。より長い「着うた(R)」だから、聴く楽しみも倍増だ。

 カメラで撮影した画像を送信できる「メール」、サイトへの接続を簡単にした「バーコードリーダー」、高いグラフィック処理能力を活かした「Vアプリ」など、常にVodafoneの最新サービスをサポートする機能を搭載し続け、市場をリードしてきたシャープ製端末「SHシリーズ」。Vodafoneが昨年末から本格的に展開するVodafone 3Gサービスのフラッグシップモデルに位置付けられるVodafone 902SHも新サービスをフルにサポートしている。

 まず、パソコンと連携したコンテンツ配信という新機軸を打ち出し、注目を集めているのが「Vodafone live! BB」だ。国内の携帯電話サービスでは豊富なコンテンツが提供されているが、これまでは基本的に端末でコンテンツを購入し、ダウンロードする形をとっている。これに対し、ボーダフォンがVodafone 3Gサービスにおいて、新たに提供を開始したVodafone live! BBでは、パソコンでケータイ向けのコンテンツをダウンロードし、Vodafone 902SH上でコンテンツキーを購入するという新しい仕組みを実現している。パソコンでダウンロードしたデータは暗号化されており、パソコン上で閲覧できないが、ダウンロードしたデータをSDメモリカードに保存し、902SHに装着してコンテンツキーを取得すれば、暗号化が解除され、端末上で閲覧できるという流れだ。端末のみのダウンロードでは難しかった数Mバイトや数十Mバイトといった大容量のコンテンツ配信が受けられるうえ、支払いも面倒な手続きをすることなく、端末上の操作で決済できるという特長を持つ。

 Vodafone live! BBではJ-POPや邦楽などの音楽コンテンツ、ドラマの名場面、グラビアコンテンツなどが提供されているが、高品質な液晶ディスプレイ、3Dサラウンド&ステレオスピーカーを備えた902SHなら、こうしたコンテンツもより良い環境で再生できるわけだ。ちなみに、902SHのSDメモリカードスロットは、すでに512Mバイトや1Gバイトといった大容量のSDメモリカードの動作も確認されているため、思う存分、Vodafone live! BBのコンテンツを保存し、端末上で楽しむことが可能だ。

 同じ音楽関連のコンテンツとしては、従来からVodafone live!で提供されていた「着うた」に加え、「着うた/ロングバージョン」の配信が開始されており、902SHはいち早くこれに対応している。着うた/ロングバージョンは着うたの長さを約90秒まで拡大したもので、大容量のデータ通信が可能なVodafone 3Gならではのサービスとなっている。

 一方、端末上でゲームが楽しめるVアプリも容量が拡大され、902SHでは最大1Mバイトの大容量アプリを楽しむことが可能だ。902SHではVアプリが対応している場合、パッケージに同梱されている「L型ビデオケーブル」でテレビと接続することにより、Vアプリをテレビ画面で楽しむことも可能だ。しかもテレビ出力は日本やアメリカで採用されているNTSC方式に加え、欧州などで採用されているPAL方式にも切り替えられるため、海外旅行中に902SHをテレビに接続して、Vアプリや撮影した画像を楽しむといった活用も可能だ。



PC経由でダウンロードした暗号化コンテンツをSDメモリカードの指定の場所に移動させる。端末でコンテンツを表示させ、コンテンツ・キーを購入するとコンテンツが再生できるという仕組み。なかなか親切で便利だ。



最大1Mバイトのアプリケーションまで対応。エキサイティングな大容量ゲームや対戦アプリなど、3Gならではの本格ゲームを手の中で満喫できる。

いつものケータイが世界で使えるグローバル対応

前編でも触れた、「グローバル」仕様で共通化されたメインメニュー。

 Vodafone 3Gでは「グローバル」というキーワードが使われている。ユーザーインターフェイスがボーダフォングループの海外端末とも共通化されたグローバル仕様であることは前編でも触れたが、もうひとつ大切な「グローバル」がある。それは通信方式だ。

 902SHは国内のVodafone 3Gサービスで採用されている「W-CDMA方式」に加え、欧州や米国の一部などで採用されているGSM方式にも対応している。Vodafone 3Gサービスでは国際ローミングが利用できるため、いつも使っている902SHを海外に持っていき、日本と同じ電話番号で、いつもの感覚で利用できるのだ。ちなみに、902SHはW-CDMA方式とGSM方式の自動切替にも対応しているため、渡航先で面倒な設定変更をすることなく、そのまま利用することが可能だ。

 Vodafone 3Gサービスの国際ローミングは、通話が世界112の国と地域、SMSが世界109の国と地域、ボーダフォンライブ!が世界45の国と地域で利用できる(2004年12月16日現在)。3GサービスならではのTVコールも英国、オランダ、スペインで利用でき、国際標準仕様のMMS(Multimedia Messaging Service)にも準拠しているため、いわゆる「国際写メール」的な活用も可能だ。つまり、日本人が渡航することの多い大半の国や地域で、いつものケータイ「Vodafone 902SH」でさまざまなコミュニケーションが可能になるわけだ。


お互いの顔を見ながら通話ができるTVコール。もちろん「デスクポジション」なら、より快適なコミュニケーションができる。


TVコールイメージ。実際にはASV液晶ならではのハイコントラストによる高い視認性と、内蔵のステレオスピーカーでクリアな音質を実感できる。もちろんBluetooth(R)対応なので、市販のヘッドセットを利用すればスタイリッシュでもある。

SDメモリカードを使いこなせ!!

大容量の、512MB、1GBのSDメモリカードにも対応している。


メインカメラは、AF・光学2ズーム、有効画素数202万画素のCCDが採用されている。


サブカメラはTVコールに使用し、有効画素数11万画素のCMOSを搭載している。


同梱のマルチステレオイヤホンマイクを接続すれば、ポータブルオーディオプレーヤーとしても活躍する。

 Vodafone 902SHはVodafone 3Gの新サービスに対応し、さまざまな機能が搭載されているが、これらを上手に活用するために大切なのが「SDメモリカード」だ。SHシリーズは国内のケータイにおいて、いち早くSDメモリカードスロットを装備し、これを活かすための機能を搭載してきたが、今回の902SHにもそれらは継承されている。

 まず、有効画素数202万画素のCCDカメラで撮影した静止画や動画は、本体メモリーとSDメモリカードに保存できる。SDメモリカードの場合、保存形式はデジタルカメラと同じDCF形式に準拠し、静止画のプリント指定ができるDPOFにも対応しているため、SDメモリカードをDPEサービスに持ち込めば、指定した画像のみを指定枚数でプリントすることができる。もちろん、メモリーカードスロットを装備した家庭用インクジェットプリンターも利用可能だ。

 次に、会議や取材などで欠かすことができない「ボイスレコーダー」機能も搭載されている。ボイスレコーダーは、電池満充電で約5時間まで録音できる「長時間録音」、メールへの添付に適した「メール添付用」の2種類が用意されている。「長時間録音」の保存はSDカードのみで、「メール添付用」は本体メモリーとSDメモリカードに録音可能だ。プライベートシーンでは、文字によるメールで伝えにくい内容をボイスメールの形式で送信するといった使い方もできる。ちなみに、添付する際の時間は約3分が目安で充分な長さといえる。

 そして、SHシリーズが従来から力を入れているSD-Videoの再生にも対応する。AQUOSやGalileo、HDD/DVDレコーダーなどで録画した番組をASF形式でSDメモリカードに保存し、902SH上で再生するという使い方だ。902SHは高画質&高コントラストのモバイルASV液晶を搭載しているため、SD-Videoもクリアな画質で楽しむことが可能だ。スウィーベルスタイルのボディをビューアポジションに切り替え、横長の自然な画面で録画した番組を再生できるのも902SHならではのメリットだ。

 また、パソコンなどで音楽CDから取り込んだ音楽データを端末上で再生する音楽プレーヤー機能も継承されている。902SHはSD-Audio規格で保存された「セキュアMP3」形式の音楽データの再生に対応しており、付属のマルチステレオイヤホンマイクを接続し、ポータブルオーディオプレーヤーとして活用することが可能だ。ちなみに、セキュアMP3形式の音楽データを生成するアプリケーションとしては、著作権保護機能に対応した「SD-Jukebox」(Panasonic)が販売されており、ファイルの書き込みにはSDメモリカードリーダー/ライターが必要になる。

 さらに、902SHにはメインディスプレイの背面に3Dサラウンド対応のステレオスピーカーが搭載されており、単体でも臨場感溢れるサウンドでしっかりと音楽が楽しめる。低音強調設定などの機能も、音にこだわるユーザーにとっては見逃せない機能だろう。

 このほかにもWordやExcelで作成した文書を専用サイトからメールを利用して閲覧できる「SVG-T機能」、XMDF形式やText形式の書籍や辞書が利用できる「電子ブック機能」を搭載するなど、国内でもっとも幅広く普及しているSDメモリカードを十二分に活かす環境を整えている。


ボイスレコーダーは録音時に、「長時間録音」と「メール添付用」が選べる。


すでに、V602SHでも対応している「SVG-T機能」。試しにインプレス周辺の地図(PDFファイル)を表示させてみた。PCで作成したファイルを専用サイト「ぎゃらも!ビュー」に送ると、SVG-Tフォーマットに変換されたデータがサイトからメールで送られてくる。そのデータをフォルダに保存すれば閲覧できる。もちろん「拡大」や「移動」など便利な機能もある。


電子コミックダウンロードサイト画面

グローバルに使えるハイクオリティケータイ「902SH」

 進化を続け、市場をリードしてきたシャープ製端末「SHシリーズ」は、グローバル仕様という新しいステージに進んだが、従来モデルから培われてきたハイスペック&ハイクオリティを継承しながら、使いやすさも考慮されたフラッグシップに相応しい端末として仕上げられている。新しいステージで楽しく使えるVodafone 3Gサービスを最大限に生かす端末として、幅広いユーザーにおすすめしたい端末だ。


■関連情報
902SH製品サイト(ボーダフォン)
902SH製品サイト(シャープ)

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■法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP SP2対応 基本編 完全版」「できるブロードバンドインターネット Windows XP対応」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。

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