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"Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語" |
2001年初頭にデビューした、世界初のDVD-R for Generalに対応したドライブ、パイオニア「DVR-A03-J」の登場から、現存するすべてのコンシューマDVDソリューションが始まった。そしてその年の夏、筆者らは国内初のDVD-Rドライブのみに言及した書籍「DVD-Rドライブ活用マニュアル」を上梓している。のちにその書籍はパイオニアの目にとまることとなり、以降DVR-A07-Jまで続く同社製ドライブ付属書籍の底本となったのである。
この書籍でドライブの構造からDVD規格に至るまで、俗に「光り物」と呼ばれる光学記録ディスクに対する濃い知識を存分に披露してくれたのが、共著者の北川 達也氏である。現在もニュースサイトや雑誌、書籍などで精力的に執筆活動を続けており、その筋ではかなりの有名人と言っていいだろう。
今回はその北川氏と一緒に、DVD±R 16倍速、DVD+R DL 4倍速というパイオニアの新ドライブ「DVR-A08-J」の魅力に迫ってみたい。
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書籍としては国内初となった記録型DVD本「DVD-Rドライブ活用マニュアル」(2001年8月
インプレス刊) |
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光学系デバイスに詳しいライターの北川 達也氏 |
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さっそく分解してみる |
小寺:今日はよろしくお願いします。「DVR-A08-J」の魅力ってことで、ここに現物があるんですが。編集部で買ってきたらしいですよ、これ。
北川:僕はA03-Jから全部買ってますよ。A08-Jはこないだ黒を買いました。黒は人気高いですよね、パイオニアは伝統的にトレイも黒だし。他メーカーさんも黒モデルをラインナップしてきましたよね。
小寺:マニアなら新色のシルバーを買うべきですよねぇ?
北川:いや僕、べつに色で集めているわけではないので。(笑)
小寺:まあ外側眺めてるだけでもアレなんで、一応中とか覗いてみますか。
北川:どんどんピックアップちっちゃくなって、どんどん部品数少なくなってるのがポイントなんですよ。メイン基盤も裏に部品がなんにもないですもん。技術進歩の証ですね。
小寺:このレンズの奥に、液晶収差補正で使う液晶があるわけですね。
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ドライブ内で一番高いパーツがピックアップだという |
液晶収差補正機構は、パイオニアだけのオリジナル
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北川:2層のことを考えたら、このピックアップは良くできてますよ。液晶収差補正はピックアップ固定のままで、ディスクの傾きと厚み方向の追従ができますから。
小寺:それで2層の高速書き込みに進化したわけだ。もともとはディスクの反り対応だったよね。
北川:ちなみにこの液晶収差補正機構は、ブルーレイにもいいですよ。ブルーレイはDVD系に比べて厚み方向の誤差がものすごくシビアなんで、球面収差補正はまちがいなく必須になるでしょう。パイオニアの液晶収差補正機構は性能的にもいいので、他のメーカーはライセンスしてでも採用するんじゃないかと思いますね。
小寺:今のところDLメディアは2.4倍速のものしかないんですが、これを4倍速で書くというのは結構難しいんでしょうか。
北川:2層の奥の層を書くときには、手前の層を透過するためにレーザーが1/2に減少するんですよ。ということは単層で8倍の書き込み出力があれば、奥の層では4倍の出力になりますよね。A08-Jは単層なら16倍で書けるレーザー出力があるわけですから、理論上は2層の奥も8倍で書けるということですね。ただ、これはあくまでも単なる机上の理論であって、現時点で2層の4倍速書き込みドライブを製品化・量産化できているということがすごいんです。
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メディアの製造方式にまで話が及んだ
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小寺:パイオニアのドライブの場合、ファームウェア内にメディアごとの最適な書き込みデータが入っているので、高速記録も安心して任せられますよね。
北川:パイオニアが偉いなと思うのは、結構ダメなメディアあるじゃないですか。1枚70円とかで売ってるヤツ。ああいうのもかなり書いてくれるんですよ。4倍で書けないメディアでも2倍で書いたり。
小寺:ああいうメディアにも可能なかぎり正しく書けるようなつくりになっているようです。しかもそれがファームのアップデートでどんどん向上していくんです。
北川:DVD-R/RWのメディアを書くと言う点では、パイオニアは間違いなくスタンダードですよ。 |
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取り付けネジの部分は、ちゃんとスポンジに切れ目が入っている |
小寺:静音材も徹底的に入れてますよね。横のドライブ取り付けのためのねじ穴のところまで、ちゃんとスポンジで埋めてる。
北川:これ、防塵対策と静音の両方で効きますよね。A07-Jのときからやってますけど、こういうところにお金かかってる。
小寺:これ、ネジが入る部分のスポンジにスリット切ってますね。こうやってちゃんと切っとかないと、ネジ締めたときにスポンジ巻き込んじゃって、はがれちゃうんでしょうね。
北川:きめの細かいところがよくできてますよ。
小寺:振動防止のためのDRAって、この上の鉄板みたいなヤツですよね。
北川:これで振動を吸収するわけですか。
小寺:DRA自体はA05-Jから付いてるんですけど、Ultraが付いてUltra DRAになったのは、A07-Jからでしたね。何がUltraかというと、ゾーンCLVとかやるようになって、記録時の回転数がいろいろになったじゃないですか。だからいろんな周波数のときでもちゃんと振れるように、ダンパー部分の材質を変えたと。
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振動対策として重要なUltra DRA |
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ダンパー部の素材が改良されている
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北川:材質がUltraなんだ。振動対策は、高品質の書き込みには重要です。でも確かに使ってて静かですよね。もっともA05-JやA06-Jのときは、もともとメディアの回転が5,000回転とか6,000回転とかだったんでそんなに気にならなかったんですけど、10,000回転近くなっちゃうと差が出ますよね。
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小寺:9月には同スペックの外付けドライブ「DVR-S806-J」もリリースされますが。
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メーカー製の外付けドライブなら、安心感も倍増 |
北川:内蔵型にはケース内に収容できるというメリットがありますけど、安定して書くなら、外付けの方がいいです。内蔵型だと、ケース内での方々への電力供給の影響がどうしてもある。外付けのほうが電源環境が統一できるので、安定しますよね。僕は焼く時間も決めてますから。夜中の2時から5時まで。そこが一番電源の変動がない。皆さん寝てるじゃないですか、急にドライヤーをガーッと使い始めるわけでもないし。僕はその時間でしか焼きません。
小寺:キミ昔かたぎのせんべい屋みたいだね(一同笑)。オレはこの時間じゃないと焼かねぇなんて。
北川:自作派の人で外付けのケースを自分で買う人もいると思います。一つアドバイスしておきたいんですが、買うときにはドライブの消費電力とか良く確認しないと、結構電源が足りてないものがあるので、注意して欲しいですね。特にACアダプタで駆動するタイプは、スペックが足りてないものが多いです。でも「DVR-S806-J」はちゃんとパイオニア側で電力計算されてますから、安心できますよね。
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小寺:今後、DVDライターはどういう形で進化していくでしょうね?
北川:単層のライティング速度はこれ以上いかないでしょう。だって思いません? 12cmのむき出しのメディアを10,000回転で回してんですよ。この技術すごくないですか。HDDは8cmの円盤で密閉されてますけど、こんな周り囲っただけでそれをやるんですから。しかもHDDの基板はガラスですよね。DVDメディアなんてただのポリカーボネートですよ? 強度とか平滑度とか比べものにならない。「もっと速くならないんですか」ってよく言われますけど、これを今10,000回転で回して書いてるってこと自体がすごいことだと思いますけどね。
小寺:DVD+R DLの速度向上はどうでしょう?
北川:DLは現状で規格が2.4倍ですが、規格としてはすぐ4倍になるんじゃないでしょうか。メディアの色素のほうも高速タイプをベースに開発しているという話ですし、レーザー出力も単層で16倍が書ければ、可能ですよね。僕がパイオニアさんに期待するのは、DVD-RのDLとDVD-RWの記録速度をどこまで上げるか。メディア回転数は頭打ちなので、やっても16倍までです。もしレーザーパワーが上がれば、DLはもうちょっと速くなるかもしれませんね。
小寺:最後に、今まで歴代のパイオニア製DVDライターを使い続けての感想は?
北川:共通して言えるのは、どの時点の製品でもDVD-Rの記録品質が一番高かったところでしょうか。もっとも汎用性の高いメディアで、これはすごいことだと思いますね。 |
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テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクター/エディタとして10数年のキャリアを持つ。手がけた作品は2000本近くにのぼるという本物の映像のプロでありながら、ペンを取れば軽快な文章によるコンシューマ機器の解説で人気を博す。
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