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DVR_A07_J 静音化の秘密が明らかに!
DVR-A07-J開発者に聞く
DVD アンケート SE-E33


 数ある8倍速DVDライターの中でも最高速、そしてユニークな静音設計で評判のPioneer DVR-A07-J。すでに出荷も開始され、滑り出しも好調のようだ。

 さて今回のDVR-A07-Jレビュー後編は、前回お約束したとおり、恒例となった開発者インタビューである。今回の注目ポイントはやはり、高速ドライブでは仕方がないと諦めていた静音という部分に着目し、かつ積極的に取り組んだところだろう。

 従来モデルよりも動作音を最大で75%も低減したというDVR-A07-J。その秘密を解き明かしていこう。


◆ ルックスだけじゃない、フロントパネルの秘密

 まず最初に、この静音化をやろうと思われたいきさつみたいなところから伺ってみたい。A07-Jの商品企画を担当した、コンポーネンツ事業部 事業企画部の甲斐 拓氏だ。

甲斐:我々も以前の商品からそれなりの静音化を考えていたんですけれども、やはり記録速度及び再生速度がアップすることによって、ドライブから出てくる騒音もいっそう気になるんではないかということです。昨今の静音化PCですね、水冷パソコンがそれなりに売れていますが、せっかく静かにしたパソコンがあるにもかかわらず、ディスクを入れたらギャンギャンうるさいというのは、ちょっと本末転倒になってしまうんでないかと。そこで今回、差別化も図るという意味で静音化に着目しましょうということになりました。

甲斐 拓氏
商品企画を担当した甲斐 拓氏

小寺:でもタイミングとしては、静音化の製品を出されたのは早かったですね。僕は8倍速が定番になって、うるさいよね、じゃあ静音、という流れかなと思ったんですが。

甲斐:うちでは毎回アンケート等をやっておりますが、やはり音の問題がTOP5に入っていました。それがA06の時点だったので、A07では本格的に改良していこうと。そうすれば、従来うちの製品を買ってくれなかった方にも売れるんじゃないかと(笑)。

 では具体的に静音化技術のお話を伺ってみよう。まず構造面で注目したいのが、ベゼルのデザインだ。A07で機構面の責任者である工藤 則夫氏はこう語る。

工藤:静音化ということでドライブを測定していきますと、トレイが出てくるところの周りとか、そういうところから音が漏れやすいというのがわかりました。そこからスタートしまして、じゃあデザインも変えて静音化も、っていうところで、デザイナーも企画も含めて漏れの少ない構造を考えていった結果、でかいトレイカバーといったものをデザインしていきました。

工藤 則夫氏
機構面の責任者、工藤 則夫氏

小寺:結構ぴったり閉まるんですよね、これ。

工藤:密閉度を高めているんですよね。音が出るってことは隙間があるってことなんで、静音化の機構的な面で言えばそこなんですよ。それと合わせて新しいデザインというのもありますね。

小寺:トレイカバーって、ちょっと斜めに面取りされていますね。
 
工藤:最外形よりはちょっと小さくなっているので、イジェクト時にも引っかからず開きやすくなっています。

小寺:パネルの質感とかこだわってますよね、今までドライブに高級感って求められなかったような気がするんですけど。

工藤:最近のAVパソコンはそれなりの高級感を出してきて、イルミネーションとかも凝っていますので。ま、かといってコストの面でアルミにはできませんので、ある限られた予算の中で高級感を出せるデザインをと。強いて言うと、当社のDVDレコーダにも色は違いますが、同一の物を使っているモデルもあります。

小寺:天版のハニカム構造ですけれども、音を静かにするというよりも、不快じゃない音に変換するということですけれども。

工藤:そうですね、高い方の音をちょっと減らすということですね。結果的にAカーブっていう聴感補正した形で、何dB下がった、という評価をしています。

小寺:音漏れが問題になるのは、前面だけですか?

工藤:PCに付けた場合、振動が伝わってきたりはしますので、中身の対策で振動を伝わりにくくしています。

 振動吸収という面では、今回から新たにUltra DRA( Dynamic Resonance Absorber)という機構が採用された。従来のDRAとはどう違うのだろうか。DVD規格の面から製品をマネージメントする、片多(かたた) 啓二氏に伺った。

片多:回転数を上げたことに対して、ダンパー材質を見直しました。普通この手のメカニカルな振動吸収機構っていうのは、狭い回転数の範囲でしか効かないんですよ。それをディスクがゆっくり回転している時も、早く回転している時も効くようにしました。CDDAの低回転から、DVD-R 8倍速の9000回転ぐらいまで。実を言いますと弊社の昔のDVD-ROMドライブでも、同じような構造を使っていました。一番最初は速度競争を4xから始めて16xまで突っ走って、CDでは48xまで突っ走って、その時にうるさいという意見が非常に多く来て、そこから静音設計というものが始まっているんです。

片多 啓二氏
DVD規格の面から製品をマネージメントする、片多 啓二氏


◆ ファームウェアがコンテンツを見張る?

 静音化の大きなポイントとして、Pioneer独自のアドバンスド静音ファームウェアの存在がある。常駐ユーティリティではなく、ファームウェアベースで何が再生されているかを判断して回転数を自動制御する技術、この実現は大変だったのではないだろうか。A07-Jの静音ファームウェアを担当したのは、大高下(おおこうげ) 貴宏氏だ。

大高下:判定の仕組み自体はちょっとお話しできないのですが、確かにそこは非常に苦労しましたね。

大高下(おおこうげ) 貴宏氏
静音ファームウェアを担当した大高下(おおこうげ) 貴宏氏

小寺:シロウト考えでは、なんらかの常駐ユーティリティでやったほうが早いようにも思うのですが。

片多:たとえばバンドルするソフトにそういう機能を入れてもらうっていうのもひとつの方法なんですけれども、それだとバンドルするソフトが常駐しなくなった瞬間に働かない。まあ、種々のOS、たとえばUnixとかMacですね、後から買っていただく商品が何に繋がるか分からないわけですし、ユーティリティを使ったのでは、OSとかの環境が同じWindowsでも、それがちょっと変わっただけでも動かないといった問題がどうしても出てきます。やはり弊社としてちゃんと動きますよ、と保証するのは、やはりドライブの中に入れないとできないわけです。

 実際にそのファームの動きを大高下氏にデモしていただいたので、その映像をご覧頂こう。まずメディアを入れた状態では、いきなり最高速では回らない。音楽CDのリッピングなどでパフォーマンスが必要なときには、リッピング開始から約7秒ぐらいで最高速の40倍速にまでスピードアップする。

動画
パフォーマンスが必要なときは、自動的に最高速にアップ
クリックすると動画で見られます

 その状態から音楽再生に移ってみよう。これも再生開始から約7秒程度で回転数が落ちる。そこからさらに数秒経つと、CD再生の最低速である9.3倍速に落ち着く。回転の減速中でも、音楽の再生音がとぎれないといった工夫もされている。

動画
コンテンツを再生すると、自動的に回転数を落として静音化
クリックすると動画で見られます

小寺:御社のHPからダウンロードできる「アドバンスド静音ユーティリティ」っていうのがありますけれども、あれを使って動作モードが3種類ぐらい変えられるんですよね?

大高下:静音モード、パフォーマンスモード、標準モードですね。静音モードというのは工場出荷時の設定で、ディスクを入れた直後はゆっくり回転させていて、必要なシーンに応じて速度を上げたり下げたりといった動作をします。一番弊社として推奨しているモードです。

小寺:何もしなければこの静音モードですね。

大高下:はい。パフォーマンスモードっていうのは、入れた直後は高回転するようになっています。静音モードでは具合が悪い場合はこれで、それでも静音モード自体が働くことによって不具合が生じるって場合は、従来通りの標準モードというのもあります。アドバンスド静音機能とはまた別に、最高回転数を制限するっていうリミッタ機能もあります。


◆ 8倍速ドライブ最高速の秘密

 今度は8倍速ライティングの部分を伺ってみよう。お話し頂くのは、ファームウェア全体を管理する坂田 晴康氏だ。

小寺:A07-Jは8倍で書くゾーンが広いので、結果的に他社のドライブよりも速いということでしたけれども、だいたい8倍で書くゾーンというのはどれぐらいなんでしょうか?

坂田:まず回転数の制限でですね、内周まで全部8倍速で書くわけにはいかないわけです。当社の基準としまして、だいたい9000回転が限界でしょう、それ以上は危険だ、ということで、ある程度余裕を持った回転数までは8倍で書くと。物理アドレスで言うと、3万から5万っていうところなんですけど。

坂田 晴康氏
ファームウェア全体を管理する坂田 晴康氏

小寺:容量とか面積で言うとどのぐらいでしょうね?

坂田:ユーザーデータエリアで言うと、内周から671MBまでは6xCLV、それ以降は8xCLV。面積で言えばユーザーデータでエリアでは半径5mmぐらいですね。最内周から行くと1cmぐらいになるんですけれども、5〜6mmぐらいは6xCLVで、できるだけ内周から8xCLVになるようにしてます。

小寺:じゃあ、ほとんど8倍のエリアなんですね。

甲斐:平均したら7.8倍速ぐらいですね。

片多:その7.8倍速におとしめてるのは、内周の6xCLV部分だけではなくて、他にパワーキャリブレーションとかいろいろ工夫してる時間が長いってのがありまして。

小寺:今までの8倍速で先行していたドライブでは、4倍速のメディアを無理矢理8倍で書くみたいな物がありましたけれども、今回のA07に関してはどうなっているのでしょうか?

坂田:うちのは8倍速のメディアを認識して8倍で書きます。やはりうちは一貫して記録品質という物を特に大事にしていますので、無理矢理4倍メディアに書けば書けるのかもしれませんが、やっぱり特性の保証された8倍用のディスクに対して8倍で書くというような方針を取っています。

小寺:なるほど。もう4倍速のメディアで書く裏技みたいな物は通用しないよということですね?

片多:それってもし書き損じがあった場合に、誰も責任を取らないって状態になってしまいますよね。それはよくないなと。あと弊社の場合は、DVDプレイヤーとかレコーダとかカーナビとか商品群がありまして、そちらに持って行った場合にかからないといったことがありますと、自分の首を自分で絞めちゃうことになりますよね。それはもう基本的にやらないということにしています。

小寺:今回のドライブからRAMリードに対応しましたけれども、それはやっぱりニーズがあったってことなんですか?

甲斐:それもアンケート結果に含まれていた内容ですね。国内だけの市場だけかもしれませんが、松下さんのRAMレコーダはそれなりのシェアを取っていると思います。海外のユーザーはまったく要らないよと言われるぐらいのレベルだったんですけれども、国内だけRAMリードは欲しいと。

片多:DVD-RAMとかDVD±RWは、CPRMっていうコピーライトマネージメント機能を持っています。そのディスクに入った、コピーライトマネージメントのかかったコンテンツっていうのは、そのディスクから外に出せない。ですからどうしてもそのディスクは読めないとまずいので、今回のRAMリードもですね、バージョン2.0と2.1のみ、つまりぶっちゃけた話、DVDビデオレコーディングフォーマットで書かれたディスクをきっちり再生するということがメインの目的になるんです。それはもうレコーダ、プレーヤを出しているメーカーとして、ユーザーさんの要求に応えてあげる必要があるということですね。

小寺:ユーザーからすると、RAMのリードができたら次はライトも行くんじゃないかと思うんですが、その辺どうでしょうか?(笑)

甲斐:A05から我々はRの4倍速を出していまして、A06に+R/RWが追加されました。そして今回RAMリードが追加されたと。結局ホップステップジャンプで通称スーパーマルチに移行していくのではと予想している方々もいるかもしれませんけど……それはないです(笑)。

小寺:ないんですか(笑)。今後のお話として、今8倍速っていうのは物理的な限界に来ていますよね。これ以降のスピードアップはどういう形になっていくんでしょうか?

甲斐:まあ、おそらくは12もしくは16倍速で記録するという形になると思います。ただし我々が設定している9000回転ぐらいが限度だと考えていたら、内周がものすごく速くなるのではなく、外周が速くなる、要はゾーンが増えるような形で考えています。

小寺:9000回転で回すと、最外周では理論的には何倍速で書けることになるんですかね?

坂田:16倍かな? たとえば速度競争が16まで行ったとしても、外周ちょろっと16倍で書くぐらいなんですよね。それをユーザーさんがどれだけ求めているか。技術としてはもちろん挑戦していくべきだと思いますが、それをやったからといってどれだけの人が喜ぶのか疑問ですね。

片多:結局、平均倍速競争ですね。16xを入れたとしも平均倍速があんまり変わらないというか、下手するとむしろ悪くなる。各速度でパワーキャリブレーションとかやったり、そこでいったんスピンドルをあげるとかいった動作が入ると、その分時間が延びてくるので、なかなか厳しいかなと。16倍で書くこと自体は多分問題なく書けると思うんですけれども、それで平均記録倍速がどこまであげられるかっていうのは疑問なところがあります。もっともお客さんが外周まで書かなければ、16倍にならないと(笑)。

小寺:そうですよね、3GBぐらいだと全然関係ないってことになりますね(笑)。なるほど、そうだよな。

インタビュー風景


◆ 総論

 DVR-A07-J開発陣のインタビュー、いかがだったたろうか。静音化技術もさることながら、安定した記録にこだわる同社のポリシーは、最初のドライブのころから一貫して揺るぎないことが確認できた。さらに今後DVDドライブの行方を探る意味でも、今回はいろいろ貴重なお話を伺うことができたのではないかと思う。

 安定性、静音、スピードの3部門で最高峰の栄冠に輝くPioneer DVR-A07-J。現時点でこれを超えるDVDライターは、無い。

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パイオニアのホームページ
http://www.pioneer.co.jp/

パイオニア DVR-A07-J 製品ページ
http://www.pioneer.co.jp/dvdrrw/dvr-a07-j/index.html

All About DVD-R/RW(DVD-R/RW総合案内サイト)
http://www.pioneer.co.jp/dvdrrw/

DVD/CDライター商品情報
http://www.pioneer.co.jp/dvdrrw/product/


= 小寺信良 =
テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクター/エディタとして10数年のキャリアを持つ。手がけた作品は2000本近くにのぼるという本物の映像のプロでありながら、ペンを取れば軽快な文章によるコンシューマ機器の解説で人気を博す。
小寺信良

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