DVD記録も、ついにメディアの物理的限界と言われる8倍速にまで到達した。各ドライブメーカーとも高速化にしのぎを削っており、まだ8倍速対応メディアが市場に出る前に、8倍速書き込みドライブが登場するといったフライング発売?が行なわれるなど、競争もヒートアップしている。 DVDライターのトップブランドPioneerも当然8倍速ドライブを投入するであろうと言われていたわけだが、ついに8倍速記録対応の次期モデル、DVR-A07-Jが登場する。しかも今度は、白黒2色のカラーバリエーション2モデルである。 もちろんPioneerのやることだからただ速く書けるだけではなく、当然前モデルから安定性を引き継ぎながら、さらに機能的にも進化しているハズだ。さっそくその個性的な新モデルのスペックをチェックしていこう。 ◆ 斬新なルックス まず今回のモデルでうれしいのは、バツグンにかっこよくなったフロントベゼルだ。正面から見ると、トレイ部まで完全にフロントパネルと一体化しているという、シンプルながらもスタイリッシュなデザインだ。ベゼル全体は樹脂製だが、独特のヘアライン仕上げで金属版のように見える。 イジェクトすれば、フロント部の上部半分がダイナミックにせり出し、閉じればまたピッタリと隙間なく収まる、精度の高い作りだ。いままでありそうでなかった、「かっこいいドライブ」に仕上がっている。
またカラーも2色で、白モデルがDVR-A07-J、黒モデルがDVR-A07-J-BKとなる。このような高級志向、そしてカラーバリエーション展開は、多くのユーザーに歓迎されることだろう。 というのも、昔はこのようなリテールのドライブを買って自分で組み込むようなPCというのは、ケースも無骨で大抵は冴えないクリーム色、サイドパネルはいつも開けっ放しで中身のケーブルが半分デロンと露出しているようなイメージは、確かにあった。 だが今の自作用PCケースはそんな時代とは全然違う。アルミなど金属フレームをふんだんに使い、フロントパネルもかなりかっこよくなっている。だがせっかくそんなケースを買っても、必ず正面にベゼルが露出するDVDドライブが旧来のクリーム色じゃ、あまりにもイケてないではないか。 A07-Jのこの質感は、イマドキの自作派が本当に待っていたドライブだと言えよう。なにせベゼルのヘアライン仕上げ、これは同社のHiFiオーディオ機器製造のノウハウを投入したものだという。PCケースでもオーディオ機器に似せたデザインのものが登場しているが、ついにオーディオメーカーとしても知られるPioneer本家本元の技術がPCのフロントパネルにお目見えするわけである。 だー待て待て、買いに走る前にもうちょっとオジサンの話を聞きなさい。今度のA07-Jはそれだけじゃあないんだヨ。 ◆ 速い、カッコイイだけじゃない 今のPCのトレンドは、なんと言っても「静音化」だ。自作PCの世界ではCPU冷却の水冷化やファンレス電源など、静音できる材料はかなり揃ってきた。にもかかわらず、これまで高速化が進行するDVDドライブだけは、盛大な回転音と振動をバリバリまき散らしていなかっただろうか。 もちろんPioneerのこれまでのモデルも、静音化と振動対策は行なわれてきており、他社製よりも静かという評価は得ている。だがそれはまだまだ比較論の段階であったわけだ。 筆者が思う今回のA07-J最大のポイントは、徹底的な静音設計にある。この「静音化」をキーワードに、A07-Jに搭載された新技術を紐解いてみよう。 ・密閉度の高いベゼル ・音質を変える? 独自のハニカム筐体
・コンテンツで回転数を変えるアドバンスド静音ファーム そこでPioneerでは、CDやDVD再生時には自動的に回転数を落とす「アドバンスド静音ファーム」を新たに開発、A07-Jに搭載している。例えばDVD-Rの書き込みでは8倍速全力で回転し、DVD-Videoの再生時には2倍速で回るといった動作を、ファームウェアが勝手に判断してやってくれるのだ。
よぉしじゃあさっそくA07-J採用の他社製ドライブ買ってくればオッケー、と思われるかもしれないが、それは甘ーいのである。上記の静音化技術は、Pioneerから発売されるこのA07-Jにしか搭載されないのだ。静音化を目指すなら、PioneerブランドのA07-Jを指名買いでよろしくネ、ということなのである。 ◆ 他社より速い? 8倍速の秘密 もしかしてあなたは、DVDドライブは8倍速ならどれも速さは同じ、だと思ってないだろうか。実はここに、スペック表記のトリックが存在する。 そもそもDVD8倍速記録というのは、メディアの内周から外周までの全域を同じ速度で書いているわけではない。賢明な読者諸氏にこういうトコから説明するのも気が引けるが、回転運動というのは一定速度で回転していても、外周に行くほど相対速度が速く、内側にいくほど遅くなるという物理的な大原則がある。 DVDメディアも同じで、外周が8倍速で書けるだけの相対速度を持つよう回転していても、内周で同じだけの相対速度を出そうとしたら、メディアの回転数をもっともっと上げなければならなくなる。だがメディアの回転数の限界は一般的に10,000rpmあたりが限界と言われており、それ以上回転させるとメディアが割れてしまうのである。 そこで8倍速DVDドライブでは、外周は8倍速で書くが、内周はもっと遅いスピードで書くという、Zone CLVという方法を取っている。そう、「8倍速」という表記は、メディアの外側部分を書くときの一時的なスピードを表わしているに過ぎないのだ。 そうするとだ、同じ8倍速ドライブでも8倍速で書けるゾーンが広いほど、1枚のメディアを書き上げる時間は短くなるわけだ。また内周で書き込み速度が落ちるときも、4倍ぐらいにガクンと落ちるのではなく、6倍ぐらいで頑張るドライブのほうが「トータルで速いドライブ」と言える。
A07-Jは、まさにこれをやっているのだ。だから同じ8倍速ドライブでも、他社製よりも本当に速いという結果が出ている。速度にも妥協がないわけだ。もちろん安定書き込みのために従来からある4つの技術、「スマートレーザードライバー」、「Ultra DRA」、「液晶チルト機構」、「プレジション・レコーディング・テクノロジー」はそのままA07-Jにも搭載されている。これらの詳細は、Pioneerから公開されている技術情報ページで詳しく解説されているので、興味のある方はご覧頂きたい。 ・Pioneer All About DVD 技術情報ページ ◆ ついにDVDマルチリードに いろいろなメディアを使いこなすユーザーにとって、A07-Jを買う安心材料がまた一つ。ついにDVD-RAMの読み込みをサポートしたのだ。これでついにPioneer初のDVDマルチリードドライブが誕生したわけだ。正直言って筆者も、PioneerはRAM対応はやらないだろうと踏んでいただけに、この変更点の衝撃度はデカい。
現在DVD-RAMは、PCよりもビデオレコーダでの普及が-RWと共に伸びている。したがってレコーダで書いたものがPCで読めるだけで十分というユーザーもたくさんいることだろう。 もちろんただ読めるだけではなく、A07-Jのバンドルソフト「Ulead DVD MovieWriter Advance SE」には、DVD-VRインポート機能がある。RAMの内容をPCで編集したのちDVD-Rに書く、といったこともOKだ。さらにAC-3エンコード機能もついているので、リニアPCM音声に容量を食われるということもない。
◆ 総論 さて、Pioneerの新DVDライターDVR-A07-Jが、今までの視点とは違った部分にまで手を入れた、実に画期的なドライブであることがお分かりいただけたことと思う。さらにこのあと、毎回恒例の開発者インタビューも予定されている。数々の静音化技術の詳細や、実際どれぐらい静かなの?といったポイントも、明らかになることだろう。 スピード、安定性、静音性でDVDライターの頂点を極めるDVR-A07-J。やっぱり今年もトレンドの中心となるのは、Pioneerのようだ。 パイオニアのホームページ
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