なぜ私が興味を持ったかといえば、単なるファイルサーバーでなく、私の仕事を進める上で、非常に便利なツールになり得る可能性を持っているからだ。
私の仕事は、雑誌や書籍のための写真を撮ることから広告写真まで。また作品撮りやデジタルカメラやそれに伴うデジタル機器のレビュー記事まで書いたりと多岐にわたっている。
フィルム時代は写真を撮り、プロラボでポジフィルムを現像し、セレクトして納品という手順だったが、現在ではすべてデジタルデータ渡しである。もちろん原稿やらそれにともなう情報もデータで渡している。その渡し方に問題がある。デジタル最先端を走っているフォトグラファーと自負しているわりには、データをCD-Rに焼いて郵送したり、車を飛ばして届けたりしている(もちろん制限速度だけれど)。なんてアナログなんだろう。もちろん出版社など一部の会社はFTPサーバー等を用意してくれたりするので、そこにUPしたり、データ量が少なければメール添付もするがまれである。
自前でサーバーを用意してとも考えたが、仕事先別にアクセスできるフォルダを用意するなど管理が面倒である。そこに登場した「quanp」はプレイス(フォルダー)ごとに共有相手を簡単に指定できるときたもんだ。いや〜便利である。
他にも使い方がある。私の作品を共有プレイスに入れておき、使ってもらえそうな相手と共有設定しておけば、作品を使ってもらえる可能性がグーっと大きくなる。
私ならでの使い方を色々やってみたので見てもらおう。
右の写真を見てもらおう。「quanp.on」を立ち上げた最初の状態で、横列が1つのカテゴリーになっており、「レイヤー」と呼ぶ。各プレイスがレイヤー別に並べてある。周辺に未設定のプレイスの枠が空いているので、そこに新たなファイルを入れると空いた列が加わり、全体の面積が増えていく。右の写真はこの全体を見るためのマップなのだ。
そしてプレイスのいくつかは、青の矢印のマークが付いているのが分かるだろう。私から相手を招待してシェアしたプレイスだ。青地に白い矢印は、相手から私にシェアの申し込みがあり、承諾して増えたプレイスだ。この時招待する相手のアクセス制限を「編集者」にすればまさに共有状態で、相手が見えているというより同じ箱を使っている感覚になる。
作ったプレイスも招待されて増えたプレイスも、私なりのカテゴリの位置に移動している。上の2列はLibraryで、国内海外で撮った作品を入れて、必要そうな相手とシェアしようと思っている。このとき、同じプレイスに何人でも招待でき、「読者」設定すれば、内容を変更されることはなく、見えるだけなのだ。ここをガンガン増やして、「読者」をどんどん増やせば、レンタルポジ屋の開業である。これで老後も安心なのだ。 真ん中は「Private」となっているが、ペットやら趣味のものと、出納帳など誰にも見せないが、長期ロケ先でも便利なように用意した。
その下「Works」がもっとも重要なカテゴリーで、仕事先である出版社や広告制作会社等の担当者とプレイスをシェアするために用意してある。 それでは、実際に使っている様子を紹介しよう。
さっそく仕事先でもある某出版社の編集者S氏を招待して、彼から発生する仕事はquanpの共有にしたプレイスで写真データの受け渡しを始めた。S氏からはラフデザインがUPされ、それを元に撮影をしてそのデータをUPする。これだけの使い方だがとても便利だ。これならいけると、私にとって主要な仕事先の担当者3名を招待し、quanpでファイル交換ができるようになった。
この調子で仕事先のほとんどとシェアできるようになれば、すごくデータ受け渡しのロスが少なくなるだろうし、どんな遠隔地でもインターネットさえあればOKなのである。 それではシーン別での使い方を紹介しよう。
スタジオのカメラはパソコンと無線LANで繋がるようになっており、自動的に任意のフォルダに保存されていく。特にセレクトやレタッチをする必要がないときは、そのフォルダからプレイスに「自動アップロード設定」をしておけば自動的にquanpのプレイスに保存される。まさに私はシャッターを押すだけでよいのだ。
写真データに限らず、textをはじめデータなら何でもアップロードできる。見るときは目的のファイルをダブルクリックすればプレビューが見られる。プレビューが見られないファイル形式のものでも、「ダウンロードして開く」と出る仕様だ。下手にノートパソコンやUSBメモリーで機密情報を持ち歩くよりよっぽど安全である。写真データはJPEGはもちろん、BMPなどもサムネイル画像が見る事ができる。残念ながらまだRAWやTIFFなどはサムネイル画像が見えないが、近いうちに見えるようになることを期待している。
データの安全迅速を考えると、我々カメラマンには今後必須アイテムになっていくだろうし、このサービスを利用することで、一歩進んだカメラマンになれるのかもしれない。