断トツNo.1の冬タイヤで試走ッ!!

今日はワクワクドキドキの最新冬タイヤ試走会〜♪ そう、今年の8月に発表された「ダンロップの2012-2013年シーズン用冬タイヤ」こと「WINTER MAXX(ウインターマックス)」を装着しての試走なのである。

ダンロップの新スタッドレスタイヤ「WINTER MAXX」の試乗会に来たのだ! これが「WINTER MAXX」だ

ダンロップの冬タイヤと言えば「DSXシリーズ」がおなじみだった。昨シーズン用のトップモデルは「DSX-2」。俺のクルマにも装着しているが、これがまあ「滑る気がしないタイヤ」なのだ。が、この新スタッドレスタイヤ「WINTER MAXX」は、俺の最高に安心で快適な「DSX-2」より大幅に性能UPしているとのこと。

具体的には、「DSX-2」と比べて、氷上でのブレーキ性能が11%アップ。濡れた路面でのブレーキ性能が15%アップ。さらに耐摩耗性能は48%アップで、タイヤのゴムが減りにくく長持ちになっているのだそうだ。そして「WINTER MAXX」は「ダンロップ史上で断トツNo.1の氷上性能」を実現したという。

ホントにぃ〜? だって俺愛用の「DSX-2」とかマジ最強なんですよ。今年の頭に関東で大雪降ったじゃないですか。そのとき「DSX-2」で峠越えして雪道&アイスバーンをかなり走ったが、これがもう安心であり快適♪ 真冬の峠道をあれほど安全に走れたのは初めて。

以前の真冬だと、雪道やアイスバーンを通るとき、手に汗握りつつ心で「滑るなよ〜」と念じつつ、肩こりするほど緊張していた。が、しばらく「DSX-2」で走ると「あら滑らない、これなら大丈夫」てな感じ。リラックスして走れる。「DSX-2」のスタッドレスタイヤとしての性能の高さが、俺に安心感を与えたのである。ホントに前述のように「滑る気がしないタイヤ」なのだ、「DSX-2」は。

俺が履いてるDSX-2はコレ! ハイパーテトラピックやビッググラスファイバーが氷を引っ掻いてグリップする

だが「WINTER MAXX」は「DSX-2」を大幅に超える性能を持つという。しかも、「DSX-2」に採用されていた「ビッググラスファイバー」や「ハイパーテトラピック」といった「氷を引っ掻くことでグリップ力をもたらした素材」は、「WINTER MAXX」には使われていない。ゴム素材で勝負をかけたとか。

え〜っ、引っ掻き系素材ナシで氷上性能大幅アップって、ホントにぃ〜? 大丈夫なの〜そんなんで〜、とか思うわけですよ俺としては。じゃあ実際に試してみようゼ、というハコビになったのだ。

てなわけで以降、実際に「WINTER MAXX」と「DSX-2」で雪上や氷上を走り比べてみて実感したことなどを書いてみたい。

その性能向上、素人でもわかる?

これぞダンロップのテストコース。見渡す限り一面の銀世界……ってホントに大丈夫なのか?俺

よっしゃ〜走り比べだゼ〜、と鼻息荒く北海道のテストコースに来た俺なんですけど、雪道を踏みしめたら「あ」と思った。俺ったらモータージャーナリストでもなければ雪国育ちでもないし、北海道で圧雪路や氷結路を走るのなんて初体験。さらにタイヤとかクルマに関してはフツーにシロートである。

前述のとおり、「WINTER MAXX」の氷上でのブレーキ性能は、「DSX-2」と比べて「11%アップ」している。その数値はわかる。けど、「DSX-2」も凄い性能なわけですよ。その凄い性能が11%アップって、シロートが体感できるものなのだろうか? 真冬の一時期にしか雪上や氷上を走行しないフツーのドライバーに、その差がわかるのだろうか?

……ちょっと心配になってきた。でもまあ、ここまで来ちゃったら比べてみるしかない。差がわかんなかったら「わっかんな〜い★」とか言って去年と同じ「DSX-2」を使い続けよっと。

てなわけでテストコースへ。コースは圧雪路〜氷結路の状態で、典型的な雪国の真冬の道という感じ。起伏もあって、フツーのタイヤ(夏タイヤ)では走行不可能ですな。

テスト用のクルマとして、セダンやワンボックスなど各車種がペアで用意され、それそれ最新スタッドレスタイヤ「WINTER MAXX」と先代モデルのスタッドレスタイヤ「DSX-2」が装着されている。タイヤ以外の条件を全部揃えた状態で、「WINTER MAXX」と「DSX-2」での走り比べができるというわけだ。

で、まず大雑把な結果から言えば、シロートの俺でも「WINTER MAXX」と「DSX-2」の差がハッキリわかった。また、車種を問わず、どのシチュエーションでも「WINTER MAXX」のほうが「より安定しているし安心感があるスタッドレスタイヤ」だと感じられた。

たとえば発進。普通の速度での発進は「WINTER MAXX」も「DSX-2」も、まあだいたい同じように雪や氷をしっかり掴んで安定しつつ前進するという感じ。そ〜んなに大きな差はないなあ、みたいな。

しかし、急発進だと差がわかる。「DSX-2」の場合、急発進直後にクルマがやや腰を振る感じ(クルマが左右に揺れる感じ)で滑るが、間もなくグリップを取り戻す。ただ、グリップを取り戻した後も、腰を振る感じが少し続いた。

一方「WINTER MAXX」の場合、急発進後に滑っている時間が短く、腰を振る感じも非常に少ない。また、「DSX-2」と比べて明らかにスピードの乗りがいい。「WINTER MAXXのほうがグリップしているし、よく加速していく」と感じられる。

停止〜急停止をすると差がもっとわかる。停止では大きな差は感じられないものの、急停止をすると「WINTER MAXX」の安定感と安心感が光る。「DSX-2」より明らかに制動距離が短いのだ。また、「DSX-2」の場合は急制動時に斜体が左右にプルプルと震えるような感じだったが、「WINTER MAXX」ではそういう違和感が少なく安定してガッシリ止まるという印象になる。

な〜るほど。これはビシッとわかる性能差。凄いじゃん「WINTER MAXX」!! 「DSX-2」よりさらに「頼れるタイヤ」って感じ。じゃあ、もっと比べちゃいましょう〜♪

WINTER MAXX」は氷上での安定性抜群!!

次いで、完璧な氷結路上での走行を試してみた。氷結路……っていうより、これ、スケートリンクのような氷の上ですな。「WINTER MAXX」、ここではどんな性能を見せてくれるのか?

まずはこの氷結路上で、発進、走行、停止を。ハッキリ言って、低速域では、「WINTER MAXX」も「DSX-2」も十分グリップして安定して走行できた。な〜んだ完全な氷の上って、わりと滑らないモンなんですね〜、と同乗者と話していたが、試しに歩いてみたら一瞬でスッ転びましたとさ。あーこわ。アーンド、痛っ。でもスタッドレスタイヤってホント滑らないんですな。

さておき、今度はもう少しスピードを出しての氷結路走行。まっすぐ走っているときは、どちらのタイヤでもほとんど差はない。のだが、コーナリング時の安定性〜足元シッカリ感〜滑りにくさは、明らかに「WINTER MAXX」が優位。「DSX-2」も十分グリップするが、少々足元シッカリ感に欠け、安定性プチ足りず、ときどきツツッと滑りだすかな、みたいな印象となった。

氷結路をDSX-2を履いたフィットで走る。普通に走る分には全く問題ないが、スピードを上げていくと時々スリップするのを感じる
続いてWINTER MAXX。あれれ?DSX-2と同じくらいスピードを上げても安心。コーナーやブレーキでもしっかり感を感じる
磨き上げられた氷結路。意外と滑らないんじゃないの〜? と思って試しに歩いてみたら、なにこれっ!? 全然普通に歩けないんですけど!!

次に登坂路。まずは氷結路登坂を試してみた。ツルツルの氷でできた坂道である。勾配は「4%」、つまり100m進むと4m高くなる坂道ですな。こんな状況、普通じゃぜったいあり得なさそうな状況だけど、でもトライ。その結果、明かな差が感じられた。

まず「DSX-2」だが、この氷の斜面でも、じわじわと登坂していく。が、アクセルコントロールに気を抜くと、ときどき「ズッズズズ〜ッ」と滑る感じ。

一方「WINTER MAXX」も、じわじわと登坂。「DSX-2」のときよもアクセルコントロールがラクだ。ただ、気を抜くと滑る。のだが、一瞬「ズッ」と滑るものの、すぐにグリップを取り戻すという印象になる。

氷結登坂路にチャレンジ。こんな凍った坂道、普通ないと思うけど…… DSX-2だと時々滑りつつもしっかりと登っていく WINTER MAXXでも時々滑るものの、滑る度合いは明らかに少ない

続いて圧雪路の登坂も試した。勾配は、なんと「13%」。文字で書くと「ふーん」的な印象だが、ドライバーの感覚で「勾配13%の圧雪路」を見ると、完全にスキー場。こんなトコ、クルマじゃ絶対無理。ちょっと雪上車持ってきて〜、みたいな。でもトライ。結果、さらに両タイヤの差が感じられた。

正直、「DSX-2」だと、けっこー怖い感じ。かなり緻密にクルマをコントロールしないと、すぐに「プリップリッ」てな感じでタイヤが滑り、制御を失いがちで、もしかしたら登りきれないかも? と思ったほど。まあ、実際の道路ではアリエナイ状況なので、真冬の峠越えもイケる「DSX-2」であっても、マジでけっこー苦戦した。

一方の「WINTER MAXX」だと、アクセルを踏みすぎなければ、まずまず問題なく氷結路の坂道を上がっていく。って、シラッと書いてますけど、実際に俺と同乗者は「お〜っ上がってく〜、マジかウィンターマックス〜」とハモった感じ。限界的なシチュエーションではあるが、スタッドレスタイヤとしての「底力」を感じた。

13%の勾配はかなりきつい感じ。DSX-2だと途中で本当にダメかと思うほどだった さすがに神経は使うものの、スピードに乗ると結構スルスルと登ってしまったWINTER MAXX。スゲーぜ!!

高速走行〜一般道路走行

徐々に「WINTER MAXX」の氷上・雪上性能がわかってきた俺。では次、ちょっとスピード出して走ってみましょう〜♪

テストコースには、長い直線やコーナー、クネクネ道、さらには下りのコーナーもあるので、ここを60km/h〜120km/hで走ることに(注:テストコースでの走行であり、安全対策は充分考慮されています)。路面は圧雪路で場所によっては新雪が積もっていて、ほかのクルマが走った跡もあり、シチュエーションとしてはリアルな豪雪後の道路って感じですな。

ハッキリ言って雪道を60km/h以上で走った経験に乏しく、さらに100km/hも出したことは皆無。再度「シロートでもスタッドレスタイヤの性能差わかるのぉ?」的な不安が生じていた。

だが、シッカリ体感できた。明かだったのは、「DSX-2」より「WINTER MAXX」のほうがより安定感があるということ。

たとえば80km/h〜100km/hでの高速走行中、ってか、こんな速度で雪道走ったの初めてなんですけど! 結構走れちゃうのね! 今時のスタッドレスってスゲーななんて感心しつつ、敢えてハンドルを左右に切ってみると、「DSX-2」だと車体が左右に振られがちだが、「WINTER MAXX」だと振られにくい。「WINTER MAXX」だと「足をしっかり踏ん張っている」という印象がある。

だだっ広い直線で100km/h以上でスラローム。こんな経験初めてだけどちゃんと違いが分かりますなぁ

コーナリング時も同様で、「WINTER MAXX」だと車体がフラつきにくく安定性があり、安心感がもたらされる。一方「DSX-2」だと少々フラつくような感じで、フラつくたびに少し「あっ」と焦る感覚。

前述のとおり、車種などタイヤ以外の条件は揃えて試走している。ので、やはり「WINTER MAXX」のほうがリアルな雪道を走行するときの安定感〜安心感が高いのだと思う。

とりわけその「安定感〜安心感の高さ」を感じたのは、下りのコーナー。速度によっては「WINTER MAXX」であっても「DSX-2」であっても横滑り状態になってしまうが、同じ横滑り状態でも「WINTER MAXX」のほうが車体のフラつきが少ないし、滑ったりグリップしたりにメリハリがある。「WINTER MAXX」のほうが、「いま滑った」「いまグリップした」というのがよりよくわかる。ので、安心感がある。結果、ドライバーとしてより落ち着いて車体をコントロールできる。

最後に、一般道も走ってみた。無理なチャレンジは禁物なので、フツーに走り比べてみたところ、全体的に「WINTER MAXX」のほうが「腰がある」というか「カッチリ」した感じ。ハンドリングへの追従性もちょっと良い、みたいな? 「DSX-2」は滑りはしないものの「まあ、雪の上だしネ(こんな感じかな)」という気分になる。

また、「WINTER MAXX」はときどき「なんか乾いたアスファルトを夏タイヤで走ってる感じ?」てな印象になる。ハンドリングに対する追従性がよいと感じたし、コーナーへの進入〜コーナーを抜ける〜直線での加速、という流れを危なげなくこなしてくれる。

雪の積もった一般道でも走ってみて、DSX-2も安心だけど、WINTER MAXXはその上を行く感じ。素人の俺でもこんなに分かるなんてWINTER MAXXってスゲー

すんごいネ「WINTER MAXX」。「DSX-2」ユーザーとしてはけっこーショックっす。やっべぇ超履きてぇ「WINTER MAXX」、とか思っちまいました。

WINTER MAXXってなんでこんなに滑らないのか!? 開発者の方々に聞いてみるのだ

にしても、「WINTER MAXX」には、「DSX-2」に採用されていたような「氷を引っ掻くことでグリップ力をもたらした素材」は含まれていない。ゴムだけでここまでのスタッドレスタイヤを作るって、いったいどうやっているのか? う〜む……俄然気になる!!

てコトで、後編では「WINTER MAXX」の開発者の方々にインタビュー。断トツNo.1スタッドレスタイヤ「WINTER MAXX」のヒミツを探ってみたい。

後編はこちら

(スタパ齋藤)