法林岳之執筆スマートに使えるVodafone 3G対応おサイフケータイ®「Vodafone 703SHf」
非接触ICカード「FeliCa」を搭載したケータイが注目を集めているが、ボーダフォンもいよいよ「おサイフケータイ® Vodafone live! FeliCa」のサービスを開始した。その対応第一弾となるのがシャープ製端末「Vodafone 703SHf」だ。ボーダフォン向けを始め、常に革新的な端末を供給し続けてきたシャープならのではのノウハウが活きた注目の端末だ。まずはひと足早く入手できた703SHfの実機を見ながら、完成度や使い勝手をチェックしてみよう。
後編「Vodafone 703SHf」でおサイフケータイ®を試す! 11.17アップ予定
スマートに持ち歩けるコンパクトボディ

3G端末でありながらコンパクトに仕上がっており、女性が持っても違和感がない

おサイフケータイ®のロゴに、「Vodafone live! FeliCa」が入っている

カーボンブラック

ウェーブレッド

コルクベージュ
 私たちの生活に欠かすことができないケータイ。その利便性をさらに高めるサービスとして注目されているのが非接触ICカード「FeliCa」を搭載した「おサイフケータイ®」だ。ボーダフォンもいよいよ「おサイフケータイ® Vodafone live! FeliCa」のサービスを開始し、その対応端末第一弾として、シャープ製端末「Vodafone 703SHf」が発売される。

 ボーダフォンは昨年来、Vodafone 3Gサービスの本格的な展開を開始している。3Gサービスは従来のPDC方式などと違い、割安なパケット通信プランが用意され、高速なデータ転送、高機能なサービスも魅力だが、Vodafone 3GサービスではVodafone live! BBや国際ローミングなど、他社とは少し違ったアプローチのサービスも提供し、着実に支持を拡げている。
 今回、発表された703SHfは、2005年夏に発売された「Vodafone 703SH」をベースにしたもので、おサイフケータイ®の機能を追加しながら、さらに使いやすさに磨きをかけた端末だ。ボディは女性の手のひらにも収まるほどのサイズで、折りたたみデザインの3Gケータイの中でも最もコンパクトな部類に入る。縦×横×厚さだけでなく、重量も約109gと軽いのもうれしい点だ。

 また、703SHfはユニークなカラーリングを採用しているのも特徴のひとつだ。現在、多くのケータイはフラットなカラーリングを採用しているが、703SHfは「水圧転写塗装」と呼ばれる方法を採用することにより、今までのケータイとは少し違った質感や繊細なグラフィックを実現している。水圧転写はさまざまな図柄が印刷された特殊フィルムを水面上に浮かべ、プラスチックや金属などの三次元的な形状に図柄を転写する特殊な印刷方法だ。703SHfではボディカラーが3色、用意されているが、いずれも個性的で質感の高いカラーリングに仕上がっている。


モバイルASV液晶と130万画素カメラを搭載

2.0インチQVGAモバイルASV液晶にグレードアップしたメインディスプレイ

通常のTFTカラー液晶との比較イメージ。一目で違いがわかる

サブディスプレイ横に「おサイフケータイ®」対応のマークがついた
 メインディスプレイは最大240×320ドット/26万色表示が可能な2.0インチモバイルASV液晶を採用している。モバイルASV液晶はシャープの液晶テレビ「AQUOS」で培われたASV液晶技術を応用したもので、上下左右160度という広い視野角、300:1という高いコントラストを実現している。明るい屋外から暗い室内まで、高い視認性が確保されているが、特に動画や静止画を再生すると、他の液晶パネルとの差はハッキリとわかるレベルだ。背面側に備えられたサブディスプレイはモノクロ液晶を採用しており、時計表示や電波状態、ICカードロック状態などを確認できるようにしている。ちなみに、サブディスプレイ横にはスモールライトが備えられているが、その隣におサイフケータイ®のマークがあることからもわかるように、703SHfはサブディスプレイ側に非接触ICカードのFeliCaが内蔵されている。つまり、こちら側をリーダーライターにかざして、おサイフケータイ®のサービスを利用するわけだ。

 カメラは130万画素CMOSイメージセンサーを採用し、最大960×1280ドットの静止画を撮影することが可能だ。従来の703SHは標準撮影のみだったが、703SHfは接写に対応しており、カメラ部横の切替スイッチを備えている。小さなモノのクローズアップ撮影が可能なほか、QRコードの認識、URLやメールアドレス、電話番号などの文字読み取りにも対応する。メインディスプレイ側にはTVコールに利用するための11万画素サブカメラを備えており、自分撮りをすることも可能だ。カメラの機能としては、セルフタイマーや4枚/9枚の連写などにも対応している。

130万画素CMOSカメラを搭載している   カメラ横に切り替えスイッチがつき、接写にも対応した   11万画素のサブカメラは、TVコールや自分撮り用だ
         

  miniSDメモリスロットは本体右側に配置されている   IrDA(赤外線)は本体左側に配置されている

 撮影した画像は本体メモリ、miniSDメモリカードに保存され、サムネイル形式で閲覧することができる。画像編集はリサイズや回転などができるが、メールの作成画面から直接、画像を選んだときにリサイズすることも可能だ。画像はメールへの添付や待受画面への登録ができるほか、赤外線通信やBluetooth®を利用して、パソコンに転送することもできる。ちなみに、Bluetooth®はHandset、Hands-Free、Dial-up Networking、Object Pushのプロファイルに対応しており、Bluetooth®ワイヤレスヘッドセットなども利用することが可能だ。


着うたフル®やSD-Audio&AAC再生に対応

SD-Audio、AAC再生に対応しプレイリストの一覧表示なども便利だ

ステレオイヤホンマイクはパッケージに同梱されている

最大256MBのminiSDメモリカードに対応している

当然Vodafone live!BBにも対応している
 703SHfはこの他にもさまざまな機能が703SHから継承されており、非常に完成度の高い端末に仕上げられている。
 たとえば、ミュージックプレイヤーもそのひとつだ。最近、音楽再生機能を搭載したケータイが注目を集めているが、ボーダフォンのSHシリーズはJ-SH51以来、継続して、ミュージックプレイヤーを搭載してきた老舗的存在だ。パソコンで音楽CDから取り込んだ音楽データをSD-Audio規格に準拠したセキュアMP3及びセキュアAAC方式に変換し、miniSDメモリカードに保存することで、703SHfで音楽を再生できるわけだ。音楽データの形式はSD-Jukebox(別売)が対応するSD−Audio規格のセキュアMP3、セキュアAAC形式に加え、iTunesで取り込むことができるAAC形式にも対応する。もちろん、Vodafone live!で配信されている着うたフル®にも対応している
 パッケージにはステレオイヤホンマイクが付属しているが、着信時には相手の名前や電話番号を表示することができるマイク付液晶オーディオリモコンもオプションで販売されており、通勤や通学中にも本格的なミュージックプレイヤーとして活用することが可能だ。ちなみに、miniSDメモリカードは別売だが、推奨最大サイズは256MBまでとなっており、家電量販店などで購入することが可能だ。

 また、Vodafone 3Gならではの機能として、ぜひ楽しみたいのが「Vodafone live! BB」だ。Vodafone live! BBはボーダフォンのパソコン向けサイトからダウンロードしたミュージックビデオやドラマなどをminiSDメモリカードに保存し、703SHfでコンテンツ・キーを購入することにより、従来のケータイでは味わえなかった高品質なコンテンツを楽しめるというサービスだ。現在、ボーダフォンのテレビCMに連動した企画として、CMのメイキングやウェブシネマの「香港バタフライ」も11/15までの期間限定で無料配信されている。まずはそちらから楽しんでみるのがオススメだ。この他にも、日本でも人気のアメリカドラマ「24-TWENTY FOUR-」、Vodafone3G向けのケータイ版オリジナルストーリーとなる「24 CONSPIRACY」も「Vodafone live!」からダウンロードすることができる。

 この他にもSD-Videoに対応した「ビデオプレイヤー」、会議の録音などにも役立つ「ボイスレコーダー」などの機能が搭載されている。Vアプリについては最大1Mバイトまでの大容量に対応しており、703SHfには「グラディウスII〜ゴーファーの野望〜」「チェイスH.Q.3D」の体験版がプリインストールされる。

チェイスH.Q.3D ©TAITO 1988. 2005   グラディウスU〜ゴーファーの野望〜 ©1985 2005 KONAMI

 日本のニーズに応えるユーザーインターフェイス
 さて、実際に端末を使う上で、気になるユーザーインターフェイスについてだが、従来の703SH同様、日本のユーザーのニーズに合わせた仕様が継承されている。
 たとえば、メールの作成画面では宛先や件名、本文、受信メール画面では差出人や件名、日付、本文がひとつの画面に表示される。もちろん、受信メールのフォルダによる管理にも対応しており、差出人や件名による自動振り分けも設定可能だ。圏外やオフライン中に送信できなかったメールを圏内に移動したときに自動的に再送信する「自動再送メール」、頻繁にメールを送る宛先を登録しておくことができる「簡単メール宛先設定」なども利用可能だ。
  件名、差出人などの情報が同一面に表示   未読/既読が一目でわかる受信ボックス   フォルダごとに自動振り分けも設定可能
     
  メニューアイコンなどが一括してカスタマイズすることができる                            ©Disney

 この他にも待受画面からダイヤルボタンを押すことで、電卓やマネー積算メモ、アラーム、スケジュール画面が簡単に呼び出せる「クイックオペレーション」、ユーザーが頻繁に利用する機能を登録できる「ショートカット」、インデックスメニューやアイコン、タイトル行などを一括して変換できる「カスタムスクリーン」なども受け継がれている。

 もちろん、Vodafone 3GのW-CDMA方式に加え、欧州などで広く利用されているGSM方式にも対応しているため、703SHfを対応地域に持っていけば、そのまま、利用することも可能だ。年末年始に海外旅行を計画しているユーザーには要チェックのポイントだろう。

 なお、後編はボーダフォン初の「おサイフケータイ® Vodafone live! FeliCa」の概要とサービスをレビューするので楽しみにしてほしい。(11/17アップ予定)


■関連情報
・Vodafone 703SHf製品サイト(ボーダフォン)
 http://www.vodafone.jp/japanese/products/model_3G/v703shf/

・Vodafone 703SHf製品サイト(シャープ)
 http://k-tai.sharp.co.jp/products/v/703shf/

■関連記事

・ボーダフォン、おサイフケータイ対応の「703SHf」を11日発売
 http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/26483.html

・おサイフケータイ対応のシャープ製「703SHf」
 http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/25715.html

■法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindowsXP基本編完全版」や、「できるVAIO 基本編 2004年モデル対応」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。asahi.comでも連載執筆中