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「悪の組織」の女性スパイ“カオリ”。首領の命により『ゴールデンアイ』の情報を手に入れるべく、単身EA本社に潜入。 |
都内某所でのこと。ある「悪の組織」の女性スパイ“カオリ”はクサっていた。それもそのはずこの「悪の組織」、あれやこれやでまったく“世界征服”が進まない。カオリはテレビ電話に応答した悪の首領をなじっていた。
「首領様、最近世界征服の活動が全くございませんが……」
「そないなこと言うけど、最近テロとかヨンさま騒動とかで、当局のしめつけが厳しいんや」
「イヤ、ヨン様は関係ないのでは……」
「ヨンさま来たら空港とか警備やらで大変やろ? そうそう、やっとれんて、破壊工作も」
「それとこれとは違うのでは……。でも何かしら活動をしないことには私も世界征服の夢あふれるオンナ幹部への道が閉ざされてしまいます。何か行動を起こさなければ」
「う〜ん、そうや! このあいだ記事を読んだんやけど、007の新しいゲームが出たそうやけど、これまでと違うそうやな」
「違うというと何か? どうせ、ジェームズ・ボンドがやりたい放題なんでしょ?」
「イヤイヤ、ちゃんとチェックしとかなあかんで。最新の“007”のゲーム『ゴールデンアイ ダーク・エージェント』では悪役が主役らしいやないか。みてみぃ、タイトルにもなっとるくらいや。今度はそのゲームをバイブルに我々勉強したらエエのんちゃうか?」
「いや、勉強したらエエのんちゃうかって、そんな適当な……」
「そやから、ちょっと日本のエレクトロニック・アーツに潜入してきてぇな」
「『ゴールデンアイ』の情報を盗んでくるのですね!」
「そうや、今度は『ゴールデンアイ』をバイブルに世界征服や! きばりや!!」
とかいった会話が交わされ、カオリは単身エレクトロニック・アーツに潜入を試みた。たくさんの警備員が目を光らせているだけではなく、ガラス張りのビルにガラス張りのエレベーターという実に潜入しづらい最先端のビルにエレクトロニック・アーツのオフィスはある。
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ポップに隠れて様子を伺う“カオリ”。 |
「とは言うものの、どこをどうしらべればれいいのやら……」
思案に暮れていたカオリにひとりの男が近寄ってきた。エレクトロニック・アーツの社員証を首からぶら下げたその男はやおらカオリに話しかけてきた。
「あの……弊社に何か用ですか?」
「ハッ、貴様、何ヤツ!!」
「いや、『何ヤツ』もなにも……こっちは社員だし、そっちこそなんなんですか? あ、わかった。新しいバイトかなんかでしょ? 慣れなくて緊張して、変なこと口走ってるんでしょ。ま、こっちですから、デバッグルームは」
有無を言わさず社内に引き込まれるカオリは「いや、そんなよく確認もしないで……簡単に!!」と狼狽えながらも内心、ご都合主義の展開にほくそ笑んでいた。
「アヤベプロデューサー、新しいバイトつれてきました!!」
ゲーム機の置かれたこぎれいな部屋に通されると、髪を短く揃えた男がクルリとこちらを向き声を荒げた。
「……いや、なんやねんバイトって。そんなカワイイバイトなんか来るわけ無いだろ! もうちょっとゲーム会社の現状を思いしらんかい」
が、アッサリとここまで潜り込めたことから、カオリはさっさと「なんかよくわからないけど、まんまと中心部まで潜り込めたようね。我々は世界征服をねらう悪の結社。大人しく『ゴールデンアイ』の資料を渡しなさい!!」とばかりに本題に入った。
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記憶を呼び覚まされたアヤベプロデューサー&カオリの悪の組織チーム VS オオヤナギPRマネージャー&助っ人参加のナカジマプロダクトマネージャーのEA社員チームでタッグ対決!!
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その瞬間、アヤベプロデューサーは遠い目をしながら「なんか、そのセリフどこかで聞いたような……そうか、昔オレもそうやってここに潜入したような気がする。それでもって、夢あふれる悪の化身として、ゲームで世界征服してやる……とかいって『ゴールデンアイ』とかつくってたんだ!」と記憶を呼び覚まされ涙を流した。
「ウソぉ!!!」
「そうだそうだ。それで、悪の組織に寝返るダークヒーローのゲームつくったんだっけ。思い出した限りはしょうがない。一緒に『ゴールデンアイ』の秘密を持ち帰ろう」
ところが、そうは問屋が下ろさない。先ほどのEA社員、オオヤナギが出口を塞いだ。
「いやプロデューサー、そんなん大人しくここから外に出すわけにはいきませんよ!! そうでなくても、人手が足りないのに。いやいや、そうじゃなくて……そんなゲームの情報を持ち出すなんて見過ごせませんよ。それだったら我々社員を『ゴールデンアイ』で倒してからいってください」
「おっしゃ! プロデューサーのチカラ見せつけちゃるわ!! 2人タッグで対戦で決着じゃー」
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フロアーが妖しく光る部屋で、迫力の大画面スクリーンにゲーム画面を投影してゲームスタート!! |
と、言うわけで説明しよう!! 「ゴールデンアイ」では4画面分割で4人対戦が可能だ。最近の“対戦ゲーム”の主流はネットワーク対戦で、もちろんこの「ゴールデンアイ」でもサポートされている。しかし、この4画面分割対戦では、また違った“熱き戦い”がある。なにせ敵となる人間がすぐ横にいるわけで、言葉や表情が聞こえ、見えるわけだ。単純にゲーム世界を超えた「人間同士の駆け引き」が露骨なまでにあらわになるのだ。
わざと勝ち誇ることで敵を焦らせたり、ウソと見せかけて本当の居場所を言ってみたり……。逆にポロリと呟いたことが敵に居場所を教えるきっかけになったりして、思いがけない反撃を受けたり。それもこれも一緒にプレイしているからこその楽しさだと言える。ある意味パーティプレイとも言えるこのモード。
実際に戦いが始まってみると、さすがにカオリが苦戦。ゲームに関してはプレイステーション 2を持っているとはいえ、詳しくないのでゲームがスタートしても「なんで当たんないのよぉ」を連発。そこでさらにたたみかけるようにアヤベプロデューサーの「今、オレやられた? オレやられたの?」の叫び声がこだまする。
「ヒヒヒヒヒヒシシシィ〜」
そこにもってきてオオヤナギが助っ人として呼んだナカジマプロダクトマネージャーの勝ち誇った甲高い笑い声が響き渡り、さらにアヤベの手元が狂い、カオリの「マジ、ムカツクゥ」が響く。しかしここでアヤベプロデューサーの仕掛けたワナにオオヤナギ、ナカジマが引っかかり「ヨッシャー!!」とホッと一息……というのも束の間、味方のワナに引っかかるカオリ! 愕然とするアヤベ!! 笑うナカジマ!!! 阿鼻叫喚の大絶叫プレイ大会となったエレクトロニック・アーツ日本支部の夜は更けていったのだった。
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アヤベプロデューサー |
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カオリ |
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ナカジマプロダクトマネージャー |
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オオヤナギPRマネージャー |
戦いすんで、ふと、我に返ったアヤベプロデューサー。
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悔しさをかみ締める、アヤベプロデューサーとカオリ。 |
「ちくしょー負けた、負けた。おまえが初心者だからだ!! ちょっとは練習してから忍び込めよ」
「わ、私のせいですか??」
切り返すカオリだったが、その声にも元気はない。「撃て、なんでもイイから撃ちまくればいいんじゃー」とまで言われガンバってはみたたものの、やはり足を引っ張ったことに代わりはない。そんなしょんぼりなカオリに意外なところから助け船が出された。
「まぁまぁ、そんなん仲間割れしないで。この『ゴールデンアイ』をもうちょっと楽しんで、勉強してくださいよ」
「オ、オオヤナギさん〜」
「1本、税込みで7,140円ですから」
「買うんですかぁ」
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敗れた二人はこの後、デバッグルームで連れて行かれ、デバッグ地獄に放り込まれるのであった。 |
「負けたし当然でしょ。それと、アヤベさん。負けた限りは上司でも何でもない!! カオリと一緒にデバッグルームで地獄のデバッグやってもらいましょうかぁ」
「くぅ、この屈辱。怨み晴らさでおくものかぁ……」
「アヤベさん、古いから……それ」
「ゴールデンアイ ダーク・エージェント」マスターへの道は遠く険しい。ストーリーモードをクリアしたからと言って、それはゲームの終わりではない。それは新たなる戦いへの序章にすぎないのだ!!
ちなみに前述の通り「ゴールデンアイ」はネットワークモードにも対応している。さらにネットワークで対戦するにしてもサーバー使用料などは発生しない。つまり、インターネットへの接続環境さえ整っていれば、あとはプレイステーション 2を接続するだけだ。さらにいえば、11月3日に発売された最新の薄型プレイステーション 2 (SCPH-70000 CB) であれば、ネットワーク接続端子が標準で付いているため、まさにコードをつなぐだけだ。
今回はみんなが集まって一緒に対戦するパーティプレイ的な楽しみ方を取り上げたが、ネットワークの果てにいる誰ともわからないプレーヤー達との戦いもこれまた楽しいものだ。それも手間は掛からないし、お金も掛からない。難しいなんて思っている人がいたらそれは残念な話。1本ケーブルをつなぐだけで、めくるめく新たな戦いの世界が広がる。ゆけ! カオリ、世界制覇のその日まで……。 |
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