パワフル&長もち これがユビキタスネットワーク社会の電源だ!パナソニックの次世代乾電池「オキシライド乾電池」、登場!!
電子機器の風景を一変させたアルカリ乾電池の登場から40年。ついに、次世代を拓く革命的な電池が登場した。その名は「オキシライド乾電池」。現行アルカリ乾電池の1.5倍という圧倒的なパワー&長もち性能を発揮するというのだが……果たしてどの程度の違いがあるものなのか実際にテストしてみた。

鳴り物入りで登場した「オキシライド乾電池」とは?
 

子供だった筆者はアルカリ乾電池の金色に輝くボディーにうっとりしたものだ。赤や黒のボディーのマンガン電池に比べて、なんとゴージャスで高級感があり、リッチに見えたこと。で、実際に使って見てさらにびっくり。懐中電灯はまぶしく光るし、ラジコンカーは眠りから覚めたようにパワフルに動き回るし…。


乾電池と社会の移り変わり

その後、アルカリ乾電池の強力なパワーに牽引されるようにして、さまざまなポータブル機器がこの世に産み出され、アルカリ乾電池はその中心的地位を占めるようになった。もはや、何をするにも「アルカリ」なしでは考えられないぐらいなのである。

そして、感動のアルカリ乾電池発売から40年。ついに、アルカリに代わる次世代の乾電池が登場したのである。パナソニックの「オキシライド乾電池」だ! これまでの高性能化への挑戦は、あくまでも「アルカリ乾電池」の枠内での改良だった。しかし、ついにブレイクスルー的新技術によって、パワーアップと長もちを両立させた次世代乾電池の開発に成功したのだ。

 
“量”より“効率”をとことん追求!  
 

一般的な乾電池は、負極(−)に亜鉛を、正極(+)に二酸化マンガンと黒鉛を使用し、電解液に浸して電気を取り出すしくみになっている。


これがオキシライド乾電池の中身だ

オキシライド乾電池は、まずこの材料を革新し、正極として新たに「オキシ水酸化ニッケル」を採用した。これは、二次電池(充電式電池)であるニッケル水素電池の正極として使われているもの。これが、「OXY nickel hydRoxIDE」すなわち「OXYRIDE」(オキシライド)のネーミングの由来だ。

さらに、より大きなパワーを引き出すために、高効率化を追求。高負荷の放電に耐える二酸化マンガンを採用したほか、黒鉛の粒子を従来比2分の1以下に細かくし、表面積を増やすことで電導性を向上させた。さらに材料の充填度合いを上げ、電解液を増量させる工法を確立、粒子間のすきまなどの無駄を徹底的に減らした。材料をぎちぎちに押し込んで電流を増やすという発想ではなく、材料の持てる力を最大限に引き出すために、効率を上げることに最新技術を注ぎ込んで創られた次世代型の乾電池なのだ。

 
アルカリ乾電池より1.5倍パワフルで長もち (※注1)  
 

こうした技術により、アルカリ乾電池の1.6Vを上回る1.7Vの高電圧を実現。維持電圧が高く、長時間使用しても電圧が下がらない。このすぐれた特性はあらゆる用途で発揮されるが、特にモーターやデジカメ、ストロボなどパワーを必要とする機器に最適な電池といえる。

コスト・パフォーマンスの高さも抜群だ。単3型アルカリ乾電池が1本160円に対して、同オキシライド乾電池は1本180円。性能は平均してアルカリ乾電池の1.5倍をマークし(※注1)、デジカメでは撮影枚数が約2倍に伸びる。これらのメリットが、1本あたりたったの20円で受けられるのは安いのではないだろうか。

オキシライド乾電池が得意とするのは、ポータブルオーディオなど中電流域の機器から、デジカメ、ミニラジコンやストロボなどの高電流域の機器で、時計やリモコンなどの低電流域には向かないという。とくに豆球タイプのライトに使用すると、明るく光りすぎてフィラメントが切れてしまう可能性が…。逆に言えば、それはオキシライド乾電池がいかにハイパワーであるかの証明だろう。

 
40年の技術蓄積が「オキシライド」に結実  

アルカリ乾電池と比較して、持ちもパワーも大幅アップ

 新製品をこの世に送り出すには、最新のテクノロジーだけではなく、それを生産ラインに乗せるための工法の開発が重要になってくる。

 また、身近な乾電池という製品が、いくら高性能化したとしても販売価格が2倍になっては、一部マニア層はともかく、市場としては受け入れられない。それだけではない。子どもからお年寄りまで、誰もが安心して使える高い安全性も必須の要件である。

 同社が40年間継承・発展させてきた技術が基盤となり、これらひとつひとつのハードルをクリアした上で、ついに次世代乾電池の登場となった。

 さて、オキシライド乾電池の実力はいかに? “パワフル&長もち”はどの程度のものなのか、実際に試用してみた。

 
オキシライドvsアルカリ「パワフル&長もち」を徹底検証! (※注2)
 
 

“パワー”の比較のためにラジコン・バギーを、また、総合的な使用感テストとしてストロボと電動歯ブラシを用い、オキシライドとアルカリの差をテストした。

 
出足の力強さとレスポンスの速さを実感  
 

土手を疾走するラジコンバギー。オキシライド乾電池だと、力強い出足でストレスなし!

ラジコンバギー

単3乾電池6本を使用。土手の傾斜を2台同時に駆け上がるテストを繰り返した。相当な急坂だが、オキシライド乾電池使用のバギーの出足は力強い。スタートダッシュわずか2mの間に、テール・トゥー・ノーズ状態となり、勝負がついてしまう。エンジンでいえば“ふけ上がりの良さ”を実感。

また、スラローム走行でも、コントローラーの急激な切り替えしにも即応してくれ、胸のすくような操作が味わえる。

 
チャージの完了時間が短い!衰えない!  

使用ストロボはPanasonic PE-20ST

オキシライド乾電池なら磨き心地が違う!

ストロボ

GN20のストロボで、単3乾電池2本を使用。200回連続発光してチャージ時間を比較した(グラフ参照)。1回目のチャージは、アルカリ4秒78に対して、オキシライドは 4秒38とあまり差はない。ところが、すでに5回目の時点で大きく差が開いた。アルカリが5秒10と急速に衰えを見せたのに対して、オキシライドは4秒40と、ほとんど落ちない。その後のチャージアップ時間も、オキシライドは伸び方がゆるやか。200回目で、アルカリ10秒4、オキシライド6秒61と、1.52倍もの差が開いた!




最後に、最近は学校や職場で使っている女性が多いという電池式の携帯用電動歯ブラシで試してみた。単3電池1本を使用するタイプだ。オキシライドに変えると、心地よい振動が骨まで伝わってくるほどパワフル。一度この刺激を知ってしまうと、元のアルカリ乾電池では物足りないと思うこと間違いなし

これからは、オキシライドが電池の標準だ!  

40年ぶりに登場した次世代乾電池に大興奮だ!

正直、テストに入る前はこれほど差が出るものとは思っていなかった。メーカーが言う数値なんて、はっきり言っていちばん条件が良かったときだけのこと、ちょっとでも差があれば、ユーザーは恩恵を受けることは間違いないんだし…みたいに思っていたのだ。しかし、どの機器においても、アルカリに対するオキシライドの優位は歴然。「40年ぶり」といううたい文句に値するパワーと持続力を持っていることが確認できた。はっきり言って冷静に判断しないといけない筆者が興奮している始末なのである。

筆者は取材などで特にストロボを使う機会が多いが、この結果を見せつけられると、オキシライド以外の選択肢は考えられない。

いったい、この圧倒的なパワーの秘密はどこにあるのだろうか? オキシライド乾電池の開発リーダーである松下電池工業株式会社の野矢重人氏に話をうかがった。

(text by 木地本昌弥)

※注1 パナソニックアルカリ乾電池比較 1,000mW連続放電
※注2 パナソニックアルカリ乾電池比較 100mW連続放電 20℃ 終止電圧1.0V

■関連情報
・パナソニック電池サイト
 http://panasonic.jp/battery
・ニュースリリース
 http://matsushita.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn040128-1/jn040128-1.html

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・松下、次世代乾電池「オキシライド乾電池」
 http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0128/pana.htm



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