週刊モバイルCATCHUP特別編スマートにテレビ電話が使える!最軽量のテレビ電話対応FOMA端末
N2102V
NTTドコモの提供する次世代携帯電話サービス「FOMA」。エリアも着実に充実し、いよいよ本格的にPDCサービスからの乗り換えを検討する時期になってきた。そんなFOMAの中でも注目されるのがテレビ電話対応端末として最軽量を実現した「FOMA N2102V」だ。筆者も購入したN2102Vを見ながら、その実力をチェックしてみよう。

そろそろFOMAを考えよう
大きさ、重さともPDC端末と変わらないレベルにまとまっている
高品質、高機能、先進性を感じさせるスタイリッシュフォルム
 最近、「FOMAはどうなの?」「パケット通信料が安いってホント?」といった質問をよく耳にする。2001年10月に正式サービスを開始してから、間もなく2年。ようやくFOMAのメリットが理解され、注目されてきたようだ。

 FOMAはサービス開始当初、まだエリアが充実していないため、PDCサービスのような感覚で使えないという側面があった。しかし、次世代携帯電話サービスには周波数の利用効率が高くなるため、通信料を安くできるというメリットがある。たとえば、PDCサービスのパケット通信料は1パケットあたり0.3円だが、FOMAでは1パケットあたり0.2円が標準で、パケットパックを契約することにより、1パケットあたり0.1円〜0.02円までコストダウンができる。つまり、パケット通信料だけを考えれば、標準でPDCサービスの2/3、1/3〜1/15まで節約できるわけだ。メールやコンテンツ閲覧を頻繁に利用するユーザーにとって、これは見逃せないメリットと言えるだろう。

 また、FOMAには次世代携帯電話ならではのサービスも提供されている。そのひとつがテレビ電話だ。テレビ電話はまだユーザーが慣れていないため、今ひとつ照れがあるが、実際に使ってみると、これがなかなか楽しい。パーティや旅行先といったイベントから実況中継気分でテレビ電話を掛けたり、離れたところに居る家族や友だちの顔を見ながら、リアルタイムでコミュニケーションができる。もちろん、日常生活の中でもユーザーの工夫次第で、いろいろと役立つことがある。なかには、FOMAのテレビ電話でパソコンの画面を見せながら、操作のわからないところをアドバイスしてもらうといったエピソードもあるくらいだ。

 ただ、いざFOMAに移行することを考えたとき、気になるのが端末のスペックだ。特に、サービス開始当初はやや大ぶりな端末が多く、既存のPDC端末からはなかなか移行しにくい感もあった。しかし、今年のはじめからはPDC端末にスペック的にも見劣りしない端末が続々と登場し、いよいよ本格的にFOMAへの移行を検討する時期に入ったと言われている。

カラーは、ライトシルバー、ブルー、シルバー/ブラックの3色となる
 今回紹介するNEC製端末「FOMA N2102V」は、FOMAのNシリーズ初のテレビ電話対応端末だ。従来のテレビ電話対応端末はスタンダードタイプの端末に比べ、やや大きい印象だったが、FOMAのテレビ電話対応端末としては最軽量となる109gを達成しており、外見もPDC端末と変わらないレベルにまとめられている。また、テレビ電話だけでなく、iモーションや静止画メールなどのサービスにも対応しており、データ通信ケーブルを利用すれば、最大384kbpsのパケット通信サービスも利用可能だ。実際に端末を見ながら、その出来をチェックしてみよう。
コンパクトでスマートな折りたたみボディ
Nシリーズのお家芸ともいえる、しっかりとしたつくりの折りたたみボディに2.2インチのTFTカラー液晶を搭載している
イメージウィンドウは1.0インチTFTカラー液晶で、撮影時のファインダー活用のほか、バッテリー残量など各種情報表示機能もある
外側カメラ上部に装備された、赤外線通信ポート
使い勝手の向上したニューロポインターを中心に、[ファンクションボタン]、[MULTI]ボタン、[Menu]ボタンが配置されている
 製品の細かいスペックなどについては、NECのWebサイト「ワイワイもばいる」、NTTドコモの製品情報ページ、近日掲載のケータイ新製品SHOW CASEを参考にしていただきたい。ここでは実際の端末を触った筆者なりの印象を中心に紹介しよう。

 まず、ボディはNシリーズのお家芸でもある折りたたみデザインを採用しているが、全体的にコンパクトかつスマートにまとめられているのが特長だ。くり返しになるが、過去のFOMA端末はほとんどの機種がPDC端末よりも大ぶりだったが、N2102VはPDCサービスのN505iと比べてもまったく遜色のないサイズで、厚みも25mm、最薄部では21mmにまでスリム化されている。重量も109gしかなく、この点でもPDC端末とほとんど変わらないという印象だ。

 メインディスプレイの受話口の横に「内側カメラ」、背面ディスプレイ上には「外側カメラ」を装備し、トップ部分には赤外線通信ポートを備える。右側面には平型コネクタのイヤホンマイク端子、左側面には外部接続端子を備える。

 メインディスプレイは176×240ドット表示が可能な約2.2インチのTFTカラー液晶パネル、「イメージウィンドウ」と呼ばれる背面ディスプレイは88×72ドット表示が可能な約1.0インチのTFTカラー液晶パネルを採用する。PDC端末では高機能モデルを中心に、背面カラー液晶ディスプレイが標準的となっているが、FOMA端末ではN2102Vが初の背面カラー液晶ディスプレイ搭載モデルとなっている。ちなみに、イメージウィンドウは電波状態やバッテリー残量、メールや着信状況が見られるだけでなく、端末を閉じた状態で静止画撮影をするときのファインダーとしても利用可能だ。

 ボタン類は最近のNシリーズのFOMA端末でおなじみとなったニューロポインターを中心にレイアウトしている。ニューロポインターはパソコンのスティックタイプのポインティングデバイスに似たもので、中央の突起部を360度方向に動かし、画面上のアイコンやメニューを選択することが可能だ。操作には若干、慣れが必要だが、既存のPDC端末にはない新しいアプローチとして注目される。ニューロポインターの左右上には場面ごとに機能が変わる[ファンクションボタン]、左下にはマルチタスクのメニューを呼び出す[MULTI]ボタン、右下には[Main Menu]を呼び出すための[Menu]ボタンをレイアウトしている。また、ニューロポインターの左右には着信時に点灯する[キー照光ランプ]を備えており、待受時に端末を開いていると、ニューロポインター周囲に内蔵されたランプとともにゆっくりと点滅するしくみになっている。
複数の機能を同時に使える「マルチタスク」
 一方、機能面はどうだろうか。初期のFOMA端末はPDC端末に比べ、メールなどの標準的な機能でやや見劣りがしたが、今年に入って発表された「新世代FOMA」は、基本的に昨年の504iシリーズや504iSシリーズとほぼ同等の機能を搭載している。また、FOMAのNシリーズは基本的なソフトウェアの構成を共通化しており、ユーザーインターフェイスも先に発売された「FOMA N2051」や「FOMA N2701」とほぼ同じとなっている。

 メールはフォルダ管理に対応しており、メールアドレスや電話帳に登録されているグループ単位での自動振り分けにも対応する。同様にiモードのBookmarkもフォルダ管理に対応しており、出荷時に設定されている[Bookmark]フォルダ以外に9つまでフォルダを追加することが可能だ。日本語入力はNシリーズでおなじみの「T9入力」や「ワード予測」にも対応しており、ひらがな候補や変換候補を選択するとき、前述のニューロポインターでカーソル(ポインタ)を動かして選べるようにしている。よく使う単語を登録する「ユーザー辞書」や辞書を追加できる「ダウンロード辞書」にも対応しており、NECのメーカー公式サイト「みんなNらんど」から追加辞書をダウンロードすることが可能だ。

 全体の機能としては、これもFOMAのNシリーズでおなじみとなった「マルチアクセス」や「マルチタスク」にも対応する。マルチアクセスは音声通話とパケット通信の複数を同時に行なえるもので、音声通話中にメールを送受信したり、iモードを利用中に着信に応答するといった使い方を可能にする。マルチタスクはN2102Vに搭載されている機能を同時に複数、利用できるもので、[Main Menu]に表示されている[メール]グループ、[iモード]グループ、[設定]グループ、[ツール]グループのいずれかの機能を最大3つまで起動することができる。たとえば、音声通話中に電話帳を検索したり、メール作成中にカメラを起動したり、スケジュールを参照するといった使い方ができるわけだ。
通話中でも画像メールが送れる「スピードフォトメール」
32万画素CMOSイメージセンサを採用した外側カメラ
内側にも11万画素のカメラを搭載している
外側カメラに「ムーバ用レンズ」を装着すれば、接写撮影も可能だ
暗所で便利なモバイルライトは光量も十分だ
 次に、カメラについて見てみよう。カメラは内側カメラが11万画素、外側カメラが32万画素のCMOSイメージセンサを採用する。外側カメラにはN505iなどにも付属している「ムーバ用レンズ」を装着し、接写撮影をすることが可能だ。

 カメラはデスクトップにある[カメラ]アイコンや[Main Menu]から起動することができる。起動時に、静止画を撮影する[フォトモード]や動画を撮影する[ムービーモード]、連続撮影が可能な[連写モード]を選ぶ。撮影できる静止画サイズは640×480ドットの「VGA」、352×288ドットの「CIF」、176×198ドットの「待受画面」、176×144ドットの「メール(大)」、128×96ドットの「メール(小)」の4種類、動画は176×144ドットの「サイズ大」と128×96ドットの「サイズ小」の2種類から選択が可能だ。これらの内、VGAサイズの静止画は外側カメラのみで撮影することができる。

 撮影時の機能としては、最大4段階、最大5倍の[ズーム」、セピアや白黒で撮影できる[色調切替]、風景やナイトモードが選べる[撮影モード]、保存するときの画質が選べる[画像保存設定](動画の場合は[動画保存設定])、5段階に調節できる[明るさ調整]、撮影時の光源に合わせた設定ができる[ホワイトバランス]などが用意されている。動画については、撮影する容量(時間)を[メール]と[動画メモ]から選べる[動画容量設定]も設定することができる。

 待受画面サイズやメールサイズの静止画撮影時にはフレームを追加したり、撮影後の静止画にはマーカースタンプや文字スタンプを追加することもできる。ムービーモードで撮影した動画は、静止画を切り出したり、動画の一部のみを切り出すこともでき、約15秒以内の動画(最大100kbytes)はiモーションメールとして、メールに添付することが可能だ。もちろん、撮影した静止画や動画を待受画面などに貼り付けることもできる。ちなみに、iモーションで送られたメールはiモーションメール対応端末だけでなく、QuickTime 6.3の3GPPコンポーネントをインストールしたパソコンでも再生が可能だ。

 また、前述のマルチアクセスやマルチタスクを活かした使い方として、N2102Vでは通話中に画像を送信できる「スピードフォトメール」が利用できる。通話中に[機能]メニューから[スピードフォトメール]を起動すると、カメラで周囲の状況を撮影したり、N2102Vに保存されている画像を通話中の相手のメールアドレスに画像付きメールを送信することが可能だ。もちろん、撮影時には通常のカメラ起動時と同じように、明るさや画像サイズなどを設定することもできる。現場の雰囲気をすぐに伝えたいときなどに便利な機能だ。
2つのカメラを活かしたテレビ電話
 N2102Vで最も注目されるテレビ電話機能だが、使い方はいたって簡単だ。電話番号をダイヤルし、ニューロポインター左上の[ファンクションボタン]を押せば、テレビ電話として発信することができる。テレビ電話を受けるときは、テレビ電話で掛かってきたかどうかが画面に表示されるので、発信時と同じように左上の[ファンクションボタン]で応答することができる。もし、何らかの理由でテレビ電話で応答したくないときは、通常の[発話]ボタンやニューロポインター中央の決定ボタンを押せば、代替画像で応答することができ、途中で通常のカメラ画像に切り替えることも可能だ。代替画像は標準で設定されているものを利用することも可能だが、前述のカメラで撮影した画像を設定することもできる。

 また、テレビ電話は端末と人間の顔が離れるため、通常はイヤホンマイクが必要になるが、N2102Vでは内蔵スピーカーとマイクを使ったハンズフリー通話が可能だ。ハンズフリー通話は、発話ボタンを長押しすることで切り替えられる。周りに迷惑が掛からない状況を選ぶ必要はあるが、複数の人で応答し、テレビ電話会議のように使うのも楽しいだろう。

 さらに、N2102Vのテレビ電話では、通話中に外側カメラに切り替え、周囲の状況を中継することもできる。たとえば、旅行先の風景を家族にリアルタイムで見せたり、パーティの様子を来られなかった友だちに中継するといった使い方ができるわけだ。これはFOMAならではの便利な活用例のひとつだ。
スマートに使えるFOMA N2102V
 NEC初のテレビ電話対応端末として登場した「FOMA N2102V」は、FOMAサービスのメリットを知り尽くしたNECならではのノウハウが盛り込まれた端末だ。ただ単にテレビ電話やiモーションなどが利用できるだけでなく、それらのサービスをいかに手軽に使えるか、便利に活用できるかがよく考えられている。ボディもPDC端末と変わらないほど、スマートにまとめられている。手軽にFOMAをはじめたいユーザーなら、要チェックの端末と言えるだろう。
関連情報
FOMA N2102Vニュースリリース(NEC)
FOMA N2102V製品情報(NEC)
FOMA N2102Vニュースリリース(NTTドコモ)

FOMA N2102V製品情報(NTTドコモ)
NEC「わいわいモバイル」
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1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindowsXP基本編完全版」や、「できるVAIO 基本編 2003年モデル対応」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。(impress TV)も配信中。