2007年に初代dynabook SS RXが登場してから約2年半。この製品は登場時,世界最軽量の12.1型モバイルノートとして話題になった。
この2年半の間,本製品の外観は大きく変わっておらず,Thin&Lightかつ堅牢,長時間のバッテリー駆動が可能,といった特徴が登場時から受け継がれている。その,1kg前後の高堅牢性ボディは,多くのメーカーが同様の製品をラインナップするなかでも,いまだ色褪せてはいない。それだけ,先見の明があった製品といえるだろう。
もちろん,この2年半の間に,製品のブラッシュアップは行われてきた。 あまり変化していないと記した外装に関しても,堅牢性の強化は続けられている。第3者の認証機関による100kgf面加圧、75cm落下、100cc浸水といったテストをクリア。昨今のモバイルPCはとくに堅牢性を重視する傾向が強くなっているが,持った瞬間に”軽い”と感じられるような1kg前後の重量で,高い堅牢性を持つところに意味がある。
本機dynabook SS RX2は、基本スペックの面では,2008年にインテル® Centrino® 2プロセッサー・テクノロジーを採用。現在は1.4GHzの超低電圧版 インテル® Core™2 Duo プロセッサー SU9400とモバイル インテル® GS45 Express チップセット,メモリ4GBを搭載。もちろん,この秋以降はWindows 7 Professionalをプリインストールしている。厚さ19.5〜25.5mmのボディに光学ドライブを搭載している点は初代機から受け継がれている。
また,dynabook SS RXシリーズの顔ともいえるSSDは128GBと512GBの二つのモデルが用意されている。ちなみに東芝はSSDを自社生産しており,PCリテラシーの高いユーザに性能面で定評がある。
しかも,直販サイトであるSHOP 1048において,従来はWiMAX搭載機は512GB SSDモデルのみであったのが,Windows 7プリインストールのタイミングで128GB SSDとWiMAXを組み合わせたモデルが用意された。
512GB SSD+WiMAXモデルも依然,プレミアムなモデルとして用意されているが,こちらは高価でちょっと手が出ない人にとっては、コストパフォーマンスにすぐれた128GB SSD + WiMAXモデルは、有力な選択肢となるだろう。
dynabook SS RX2はこの薄さ、軽さと堅牢性を両立したモバイルノートだ |
2スピンドルでこれだけのスリムボディを実現しているノートPCは希少だ |
WiMAX搭載機との組み合わせが可能になった128GB SSD。東芝はその製造メーカーでもあり,年を追うごとに高速化も果たしている |
モバイルPCは基本的にどこでも使えることが望まれる。自分の“シマ”といってもいい自宅やオフィスのような場所から,カフェや電車内,屋外などさまざまな場所で使用される。このように使う場所が変化しても,その場に適応しやすいユーティリティを本製品は提供している。
例えば,ネットワーク設定ツールである「ConfigFree」は,プロファイルを登録しておくことでネットワーク環境にあった設定を適用することができる。有線LANがあるオフィス,WiMAXがつながる場所,Wi-Fiホットスポットなど,場所に応じてネットワーク接続形態が変わるのが当たり前だが,そうした変化を検知して,自動的にその環境に適したプロファイルへと切り替えてくれるのである。
また,ACアダプタが利用できない環境,すなわちバッテリー駆動に関しても面白い機能が用意されている。バッテリー駆動時間は14時間。この値は大容量バッテリーなどではなく,製品に付属のバッテリーで実現されているものだ。WiMAXやWi-Fiなどを使っていても、一日の仕事をこなすには十分な駆動時間が約束されている。
それでも無駄にバッテリーを使って,いざというときに使えなくなる不安はあるもの。そうした不安を取り除くために,ユーザそれぞれに工夫した運用方法というものがあるのではないだろうか。
本製品では,ボタン一つで液晶ディスプレイのバックライトを消灯させる機能を装備。液晶のバックライトはノートPCのコンポーネントのなかでも消費電力が大きめであるだけに,この機能はバッテリー切れの不安を解消する一助となるだろう。また,ビジネス文書を扱っているとき,電車やカフェなどで人がのぞき込む気配がしても,ボタン一つで画面を見えにくくするという秘匿性の面でも意味をあると感じられる機能だ。
バッテリー駆動に関しては,ecoモードとecoユーティリティも面白い機能だと思う。ecoというキーワードを聞くと,昨今は地球の環境問題に結びつけられがちだが,ノートPCにおいては消費電力を削減することでバッテリー駆動時間が延びるという実用的な意味がある。
ecoモードとは東芝独自の省電力設定の名称であるが,このツールであるecoユーティリティでは,その設定におけるPCの消費電力をグラフ化してくれるのである。省電力設定でどのぐらい電力が抑制されるかを視覚的に把握することができるのだ。
ConfigFreeはネットワーク設定を検知して,プロファイルを切り替えられる。現在のネットワーク状況を診断するツールも便利だ |
ecoユーティリティはPCの消費電力をグラフ化。省電力設定がどの程度の電力抑制につながるかビジュアル的にチェックできる |
dynabook SS RX2は,ナショナルブランドらしい薄さ,軽さ,高堅牢性を追求した,このジャンルのモバイルPCを代表する製品の一つに数えられる。有線LAN環境がない場所での接続性もモバイルPCの一つで要件といえる昨今においてはWiMAXの搭載で,よりその性能を高めたといえる。
そのWiMAX搭載モデルに,128GB SSDを搭載した用意することで,導入コストの選択肢が広がったことは歓迎できる。SSDはWindows起動の高速化にも寄与するものであり,頻繁な電源オン/オフ,ハイバネーションへの移行を伴うような使い方において,その効果は体感できるはずだ。
もちろん,個々のスペックだけを見れば,本製品を上回るスペックのモバイルPCも存在する。しかし,dynabook SS RX2は、モバイルPCに求められるさまざまな要素を高いレベルで共存させている。だからこそ,さまざまな制約が伴うモバイル利用においても不満を感じることが少ない。
冒頭でも触れたとおり,本製品は基本的なコンセプトを変えずに2年半にかけてブラッシュアップされてきた。WiMAXの搭載は、そのバランスをさらに高い次元に持ち上げるものだといえるだろう。
(Reported by 多和田新也)