●足りなきゃ 足せばいい!
 ついこないだ登場したと思ったら、なんかもー誰もが使いまくりの装置となったHDD搭載DVDレコーダー。

 周知の通り、従来のビデオデッキと同様にテレビ放送を録画・再生できるマッシ〜ンだが、テープメディアを一切使わないのが何しろ便利───思う存分HDDに番組を録画しまくり、観まくり、コレだ!! と思った番組はDVDにダビング保存しておく。今更何を!? てな感じではあるが、HDDとDVDは、テープメディアにはまったくなかった便利さをわしらにもたらした。で、拙者もHDD搭載DVDレコーダーをガシガシと使用中だ。

 ところで、HDD搭載DVDレコーダーを使い続けてきて改めて気づいたのだが、テレビ番組等を録画するメディアとしては、やっぱりDVDよりHDDの方が快適だというコト。絶対保存版!! を作るには恒久的に保管できるDVDメディアの方がイイと思うが、頻繁に観るとか、一度観たら消しちゃうとか、とりあえず録っておこうという番組の録画は、HDDのほうが何かと快適である。

 ま、説明するまでもナイんですけど、DVDと比べてHDDの方が圧倒的に大容量&アクセスが高速なので、まずは録画可能時間をあまり気にせず予約録画等を行える。それから複数のコンテンツを同じHDD上(つまりレコーダー内)に置いておき、いつでもサクッと観られること。ある程度長時間の連続ドラマなんかでも、HDD上に入れておけばいつでも好きな回やシーンを即観られて愉快。DVDに入れちゃってもいいのだが、ディスクをいちいち出し入れするのも手間だし……ってソコまで怠惰になったのかよ>俺!! いやぁ、だってぇ〜、HDDで録画・再生すんのがラクなんですもん。

 しかし!! 少々問題が。恐らくコレをお読みの皆さんと同様、便利だしラクっちゅーコトでHDDばかりを録画・再生に使っていたら、HDD容量が足りなくなってきたのだ。度々観る映像、まだ観てない録画、DVDにダビングして保存版にしようかな〜と考え中のコンテンツが増え、HDDが手狭に。一方では「アレも観たいコレもチェックしたい」という録画予約ターゲット番組が以前にも増して増え、やややヤバい、そろそろHDD容量がなくなっちゃうヨ!! と。

●無限の録画欲にこたえる

 そんなところへ登場したのがHDDの増設が可能なパイオニア “スグレコシリーズ”。要は、実質上、HDD容量を増やせるHDD搭載DVDレコーダーが出てきたわけであり、HDD残量僅少状態の俺の物欲発動!! ソレ欲しぇーッ!! と思って買おうとしたが、春に登場してきたHDD増設可能モデル(DVR-RT50H、DVR-540H、DVR-640H)は、受信できる放送が地上波アナログとBSアナログにのみ限られていた。

 ん〜、これからはやっぱりデジタル放送時代なわけで、ハイビジョンコンテンツを録画したいわけで、2011年にはアナログ停波なわけで……とHDD増設OKの魅力に後ろ髪引かれつつも、購入には至らなかった。

 が!! しかし!! ここにキて!! 俺の三大欲望を全て満たすHDD搭載DVDレコーダーが登場ッ!! ていうか俺の三大欲望とは!? デジタル放送受信欲、HDD増設欲、そしてハイビジョンコンテンツたっぷり録画欲!! これに対応するスグレコシリーズが登場したのであった!! すなわちデジタルチューナーを搭載しつつ、録画・再生のためのHDD増設が可能であり、プラズマテレビ等のハイビジョンテレビにビシッと対応しまくったスグレコが4機種も登場!!

 新しいスグレコ4機種は、それぞれ、DVR-DT75、DVR-DT95、DVR-RT700D、DVR-RT900D。全機種ともHDD内蔵DVDレコーダーであり、かつ、地上/BS/110度CSデジタルと地上アナログの放送を受信できるチューナーを内蔵する。そして全機種とも、録画・再生のためのHDDを外部に増設できる。当然、デジタル放送のハイビジョンコンテンツをHDD(内蔵・増設とも)に録画しまくることが可能だ。

●DVR-DT75   ●DVR-DT95
●DVR-RT700D   ●DVR-RT900D

 各機種を軽く見ていくと、まずDVR-DT75とDVR-DT95は、ベーシックなHDD内蔵DVDレコーダーって感じ。両機の違いは内蔵HDD容量で、DVR-DT75が250GB、DVR-DT95が400GBとなる。

 DVR-RT700DとDVR-RT900Dは、上記のDVR-DT75とDVR-DT95に録画・再生可能なVHSビデオデッキを内蔵した感じのモデルだ。DVR-RT700DとDVR-RT900Dの違いはHDD容量で、DVR-RT700Dが250GB、DVR-RT900Dが400GB。

 4機種のイメージは、DVR-RT700DとDVR-RT900Dが「デジタル放送対応の最新HDD内蔵DVDレコーダーが、当然欲しいんだけど、録りためたVHSビデオテープ資産も活用したいんだよーん」てな人向け。DVR-DT75とDVR-DT95は俺向け……違う!! いや、ある意味合ってるが、VHS録画・再生機能は特に必要ない人全員向けと言えよう。

 全員向けとか大胆にも言い切ったが、だってそりゃそーでしょ、これから買うならデジタルチューナー内蔵してないとネ。そしてデジタル放送を録るHDD内蔵DVDレコーダーと来りゃ、ハイビジョン番組の録画なのであり、そうなりゃどー考えてもHDD増設可能であるのが望ましい。そのあたりの詳細は後述するが、ハイビジョン番組は超美しいが、それを録画するにはHDDにたっぷり余裕がないとヤバいってコトなのである。

 さて、ま、ぶっちゃけ、ドレを衝動買いしちゃってもデジタル放送時代&ハイビジョン録画においてノープロブレムな新型スグレコ4機種だが、俺的に惹かれるのはDVR-DT95。最初から比較的に大容量なHDDを内蔵しているし、既にVHS資産を処理済み(DVDメディアにダビングしちゃったんダ)の拙者なので、VHSデッキレスのモデルが最適。それとブラックフェイスのデザインも好みっス。

 てなわけで早速このDVR-DT95を試用し、その利便等を実感していくことに。……でも、たぶん、使う前から想像するに、増設HDDが最強に便利なんだろうな、とか思いつつ。

 DVR-DT95は、パイオニアの最新型HDD内蔵DVDレコーダーってコトで、画質も使い勝手も非常にオーケー感の高い一台だが、そういった良さを圧倒的かつ超越的に上回るのが、HDD増設のメリットだ。俺的結論から言えば、HDDを増設できるコトが、スグレコの便利さ快適さを、んズガァ〜ン!! と高めてくれている。

 もースゲく単純なコトなんスよコレ。HDDが増設できると、レコーダーのHDD容量不足がなくなるのだ。これだけで、今まで感じてきた多くのストレスが吹っ飛ぶ。問題が解決する。ラクさが増幅されて楽しくなっちゃう。また、一台のHDD内蔵DVDレコーダーの活用幅がグッと広がったりもする。

●増設HDD前面   ●増設HDD背面   ●設置性もよし!

 まずは“片っ端からHDDに録画する”というコトをヤリまくっても安心。DVR-DT95には400GBのHDDが内蔵されており、ハイビジョン録画(DRモード)で最長約46時間録れる。一見「そのくらい録れれば十分」と思えるが、しかし、パパもママもボクもとみんなで好みの番組を予約録画すると、この先ずっとHDD容量に余裕がある……とは言えない。さらに、パパもママもボクもとみんなでハイビジョン番組を録画したりすると、当然もっと早くHDD容量を使い切っちゃう。

 だがDVR-DT95を始めとする新型スグレコ4機種の場合、HDDを増設できる。専用の増設HDDとして、容量400GBのHDD-S400と、容量250GBのHDD-S250があるが、これらを増設すれば“内蔵HDDの容量が増えたことと同義”になる。例えば増設HDDに番組を録画してもいいし、内蔵HDD容量を広げるために内蔵HDD上の録画番組を増設HDDにムーブしてもいい。HDD-S400を繋げるとすれば、DVR-DT95の合計HDD容量が800GBになる、って感じで使えるわけですな。

●ケーブル一本でかんたんに接続
 ちなみに、増設HDD対応のスグレコシリーズに増設できるHDDの数には限りがない。何台でもOK。増設HDDを買えば買うほど、HDD上に録画保存できる番組を増やせる。こういうコトできんのはスグレコだけですな。

 ただしHDD増設に関しては若干の制限がある。ひとつは、スグレコに対し同時に繋げる増設HDDは1台まで、ということ。それから、1台の増設HDDを複数台のスグレコに接続できない、つまり増設HDDは特定のスグレコ専用のHDDとなる。それと、増設HDDに放送を録画する場合、録画モードはDRモードのみとなる。が、録画番組のムーブは、内蔵HDD←→増設HDD間で自由に行える。また、HDD対HDDのムーブとなるので、いわゆるダビング速度は、DVDに対するものよりかな〜り高速だ。地上デジタル(17Mbps基準)は5倍速、BSデジタル/110度CSデジタル(24Mbps基準)なら3.4倍速となる。

 さておき、これまでは“HDD内蔵DVDレコーダーにおける限りある資源”だったHDD容量を自由に増やせること。HDD容量を気にせず録画していける───HDDを後で増やせるから安心、というのがHDD増設対応スグレコのスゲく巨大な開放感であり気持ちよさであり実用性なのである。

●増設HDDとの接続
 スグレコには増設HDDがつながるのダ!! しかも何台でも好きなだけ!! ってコトを考えると、様々な利用法が浮かんでくる。

 例えばユーザー毎にHDDを分ける───DVR-DT95の内蔵HDDはみんなで使う分で、こっちの増設HDDはママの録画番組専用で、こっちはボク専用で、パパの増設HDDはボーナスが出てから買うから我慢してネ、とかやってもいい。パパのボーナスが予想以上であった場合、パパ専用に複数の増設HDDを用意し、映画用、スポーツ番組用、ライブ番組用、アダル……ともかく、ジャンル事に増設HDDを用意してもいい。

 増設HDDを使えば、ユーザー毎にHDDを分けたり、番組ジャンル毎に分けたりできる。コレって従来のHDD内蔵DVDレコーダーではちょっと考えられなかった使い方だ。もちろん、こまめにDVDへとダビング等し、ユーザー毎の映像コレクションを作ったり番組のジャンル分けをすることもデキるのだが、HDDとDVDじゃぁ入る番組の本数時間数が全然違うわけですな。効率や手間やラクさを考えると、やはり増設HDDを自由に増やしていけるというのは有り難い。

 それから、HDD増設可能なスグレコならではのメリットもある。ハイビジョン番組の録画・保存である。

 デジタルチューナー内蔵のHDDレコーダーならハイビジョン番組を録画できたりする。パイオニアのプラズマテレビ、ピュアビジョンとかでハイビジョン番組を観ると、えっれぇキレイである。ので、ナイスなハイビジョン番組はハイビジョンのまま録画して何度も観たいのである。

 が、内蔵HDD容量に限りのあるレコーダーの場合、録画できるハイビジョン番組本数がずいぶん限られる。ハイビジョン番組は美麗で精細だが、標準画質番組と比べたら動画のデータ容量がかなりデカいからだ。純粋にデータ容量だけ考えると、標準画質の4倍くらいになりますな、ハイビジョン。

 それと、HDDに録画したハイビジョン番組をDVDメディアにダビングした場合、DVD自体の仕様上、ハイビジョンクオリティじゃなくて標準画質になってしまう。画質が下がる。それじゃあ保存しとく意味が薄れちまうじゃん、と。

 そこでHDDで録画・再生ですよ旦那!! デジタル放送対応っつーかハイビジョン対応の新型スグレコシリーズなら、データ容量的にデカいハイビジョン番組を録画しまくってHDD容量が不足しても、増設HDD繋ぎゃぁ問題解消ですよ奥さん!! つーわけで、ハイビジョン番組をたっぷり録画して残した〜いっ、というユーザーにもHDD増設のメリットは大きいのである。

 増設HDDの実用性にコーフンしつつDVR-DT95を試用してきた俺だが、HDD内蔵DVDレコーダーとしての使いやすさも多々あった。

 例えば単純明快で扱いやすいリモコン。その表面に見えるボタン類は、HDD内蔵DVDレコーダーのリモコンとしては最も少ない部類となる22個しかない。リモコン下側のカバーを開くと詳細な機能設定をするためのボタン類が出てくるが、ま、だいたいの場面においてこの22個のボタンを操作すれば使えちゃう。

  スマートジョグで使いやすいリモコン

 とりわけイイ感じなのは、スマートジョグを始めとする大きめのボタン類だ。スマートジョグは放送視聴中、ビデオ再生中、ディスクナビ使用中等、DVR-DT95の状態によって機能が変わるジョグダイヤル。例えばデジタル放送視聴中にクルリと回すと、画面上にチャンネルや番組内容を含めたチャンネルリスト表示がなされ、手っ取り早く目的のチャンネルに切り替えることができる。ビデオ再生中に回せばCMスキップ、一時停止中はコマ送り・戻しといった機能をササッと使える。

  あまり使わないボタンはカバー内に

 よく使うボタンとしては、例えば水色の[見る]ボタン。コレを押せば録画番組一覧(ディスクナビ)が表示される。ここでスマートジョグを回せば、録画済みの見たい番組をサクッと選択できる。緑の[番組表]ボタンを押せば、電子番組表が表示され、ここでもまたスマートジョグを使って、目的の番組情報を見たり、その番組の録画予約を行える。デカめの目立つボタンを触っていけば、だいたい使いこなせちゃうDVR-DT95ってわけですな。

  これが水色の[見る]ボタンだ

 あ、それとハイビジョンテレビにDVR-DT95接続した時、電子番組表がずいぶん鮮明かつ読みやすく表示されるっつーのも良かった。1920×1080ドットのフルHD画質で表示される高解像度の電子番組表は、7ch表示だと画面が丸ごと番組表になった感覚で、非常に見やすく快適だ。4ch表示にするとさらに情報量が増え、より細かな番組情報を知ることができる。

  高解像度の電子番組表(7ch表示)

 他、スグレコ従来機種から続く相変わらずのわかりやすさも多々ある。メニュー表示はパッと見、どの機能・階層を操作しているのかを把握しやすいし、機能や状況に応じて操作を助けるメッセージも表示される。操作に迷った時に押すと次の操作に関わるアドバイスを表示してくれる[気がきくナビ]ボタンや入力したキーワードに関連する様々な番組を検索・自動録画できる[気がきく!録画辞典]も健在だ。

  気がきくナビ

 てなわけで、デジタルハイビジョンチューナーを搭載し、ハイビジョン番組を録画・再生可能であり、録りまくっても安心な増設HDDが使えて、かなりデキるヤツなのだが操作感は至ってイージーなDVR-DT95。これからハイビジョン対応のHDD内蔵DVDレコーダーを買おうっつー人は絶対必ずチェックして欲しい一台ですな。てゅーかハイビジョン番組を録りまくって手間&問題なくラクに観るなら、やっぱりハイビジョン&増設HDD対応の新型スグレコ4機種のどれかだよなぁ〜とか思う俺である。

  買い換えならコレだ!

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。フォトエッセイのスタパデイズをAlt-R(http://www.alt-r.com/)にて連載中。