液晶プロジェクターの解説ではさまざまな問題点を挙げてきたが、それらの問題点は「オフィスビジョン」を使えばほとんどすべて解決できてしまう。まず設置場所から見ていこう。パイオニアの「オフィスビジョン」シリーズでは、オプションのキャリアブルスタンドを使用すれば、1人で手で押して簡単に移動することができ、置き場所を選ばない。製品の大きさは一般的なエレベーターにらくらく載るサイズなので、フロアなどにある簡易打ち合わせスペースはもちろん、会議室や休憩室など、電源を確保できる場所ならどこにでもたいてい設置が可能だ。設置というよりは、使う場所に持っていって「置く」という表現のほうが適切かもしれない。自席で会議をすることだってあたりまえとなる。たとえば、「おい、ここで打ち合わせするからみんな集まれ」と言って、チーム会議を画面を見ながら行う、なんてことがすぐにできてしまうのだ。会議が終わったら、元の場所に戻せばよい。とても簡単だ。また、プラズマディスプレイは表示が明るく視野角も広いので、明るいフロアや会議室などでもハッキリと画面が見え、画面に対して横から見ても問題なく画面の情報を読み取ることができる。日当たりの良し悪しなどの会議室の環境を気にする必要がなく、そもそも会議室を予約しなくても、ちょっとしたスペースをすぐに簡易会議室へと変えてしまうことが可能になるのだ。
さらに設定も簡単だ。そもそも、プラズマディスプレイを使うときに特別な設定のようなものはない。基本的な使い方はパソコン用のディスプレイと何ら変わるところがないのだ。製品にはリモコンが付属するが、本体にある操作用ボタンはパネルの左下に目立たなく配置されていて、目に付くのは主電源のボタンだけである。電源コードをコンセントに接続し、主電源を入れれば準備完了。ディスプレイの背面にDsub
15ピンの入力端子が2つ付いているので、パソコンをそのどちらかに接続すれば画面が映る。この2つの入力端子は、後から接続したパソコンを優先して表示するようになっている。たとえば打ち合わせ中に「ちょっとこれも見てくれよ」といった具合に自分のパソコンを空いているほうの端子に接続すれば、画面が自動で切り替わる。説明が終わったら、端子からパソコンを抜けば元の画面に自動で戻るという仕組みだ。しかも、このプラズマディスプレイは、パソコンの機種毎に微妙に違うクロック周波数、クロック位相などを自動で最適な状態に調整してくれるから、何台ものパソコンを切り替えて使うのにとても便利。これらの機能は簡単でかつ分かりやすく、ビジネスでの使用をよく考えた仕様と言える。
画質面でも、プラズマディスプレイは液晶プロジェクターとは比較にならないほどキレイだ。パソコン用のディスプレイとほとんど変わらない鮮明さを接続するだけで得ることができる。たとえば、プラズマディスプレイ上ではエクスプローラのファイルの文字までハッキリと、机の上のディスプレイと同じように読むことが可能だ。極端な話、この大きなディスプレイで普段の仕事をしても問題がないレベルである。製品は50V型モデルの「PDP-50FX10」と42V型モデルの「PDP-42FX10」の2モデルあり、画素数は50V型が1,365×768ドット、42V型が1,024×768ドットとなっている。どちらのモデルも画素数にぴたりと合った解像度のほうがハッキリと表示できるが、それ以外に圧縮という条件はつくが、最大で1,920×1,200ドットまでサポートしている点が驚きだ。入力端子は、パソコン用のDsub
15ピンのほかにもS-VIDEOとコンポジットビデオ、コンポーネントビデオを備えているので、DVDプレイヤーなどを接続して表示することもできる。音声入力端子も持っているが、業務用なのでスピーカーはオプション品となっている。
プラズマディスプレイということで、この製品にはチラツキや残像がほとんどなく、長時間見ていても目が疲れにくい。発色も、パソコン用の液晶ディスプレイなどよりもかなりキレイな色再現性を見せる。また、画面の近くで実際に手で画面を指しながら打ち合わせができるために、打ち合わせがダレにくいという点もこの製品ならではの特徴だ。
液晶プロジェクターでは、スクリーンに近付くと影が映ってしまうので、画面をみんなで指差しながら、あーだこーだと会議を進行することは不可能である。こういったプラズマディスプレイを使用した会議の形態自体が新しいものなので表現が難しいが、たとえば畳半分ほどの大きさの紙資料のまわりに集まり、直接資料の該当部分を指差しながらみんなで話し合う、というような雰囲気に近い。資料への修正は、画面を見ながらその場で修正を入れればよいし、会議が終わったら、そのファイルを議事録とともに電子メールで参加者に配布すれば効率もよい。なにより資料が目線に近く、資料を囲むという雰囲気があるのでみんなの活気を維持して会議を進行することが可能だ。
「設置場所を選ばず」、「設定がいらず」、「活気を維持できる」、これこそ新時代のミーティングツールと言えるだろう。
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プラズマディスプレイを使った会議では、明るい部屋でも画面の細かい文字までハッキリと見える。画面を前に、直接指で画面を指しながら、活気のある会議を行うことができる。



基本的にはリモコンなしで問題ないが、4:3モードと16:9モードの変更、画面の彩度の設定など、細かい画面設定などにはリモコンを使用する。



明るさやシャープネスの設定など、設定画面は通常のプラズマディスプレイTVとほぼ同じ内容だ。これらの設定はすべてリモコンから行う。


背面には、Dsub 15ピン×2、S-VIDEO×1、コンポーネント×1、コンポジット×1の映像入力端子のほか、ステレオミニジャック×2、RCA×1のオーディオ入力、スピーカー出力が備えられている。



ディスプレイの下(画面左のボタン)に主電源ボタンがあり、中央に電源端子(画面右)がある。とてもシンプルで分かりやすい。



キャリアブルスタンドは地震などで倒れにくいようにハの字型の構造になっている。このキャリアブルスタンドにより、打ち合わせスペース間の移動などを簡単に行うことができる。
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