ビジネスユースのプロジェクターに求められる重要ポイントがコンパクト性だ。

 TH-P1SDの本体サイズはW234×H65×D188(mm)という大きさで液晶プロジェクターとしては世界最小。設置面積的にはB5ファイルサイズのモバイルノートパソコンよりも圧倒的に小さく、比較的小さなテーブルで書類を広げたとしてもその余ったスペースで十分設置できるほど。

 重量は1.3kgで、これも液晶プロジェクターとしては最軽量になる。女性でも片手で持ち運ぶことが余裕で可能だ。

 また、リモコンも小型のカードタイプ。ボタンの数は操作に迷わないよう、必要最低限にまとめられている。

 こうなると、ミーティングなど社内での持ち運びだけでなく、社外でのプレゼンにも難なく携行することができるのではないだろうか。これからは、「My パソコン」でなく、「My プロジェクター」という姿も増えてくるのではないだろうか。

 いくら小型で軽量といわれても、社外への携行に「?」をつける読者も多いと思う。なぜなら、プレゼンには必ずパソコンがつきもので、いままでは、これ抜きにでは考えられなかったからだ。

 しかし、この状況がTH-P1SDによって劇的に変わっていくかもしれない。パソコンレスで、プロジェクターだけのプレゼンという新しいプレゼンスタイルだ。これには、セキュリティの観点からパソコンの持ち出しが難しくなっているという背景だけではなく、機種名にもなっている「SD」がキーワードになってくるのだ。

   
小型・軽量光学エンジンや専用フレームレス冷却ファン、薄型マグネシウムキャビネットなどにより、液晶プロジェクターとして世界最小・最軽量を実現した「TH-P1SD」

コンパクトモバイルノートパソコン「Let's note R3」と比較してもほぼ同サイズという小ささ

付属のワイヤレスリモコンはカードタイプで手にすっぽりと収まるサイズ
     

みだし

 ここでは、新しいプレゼンのスタイルを実現する、SDメモリーカードの機能に注目しよう。

 まずは、結論から話してしまう。TH-P1SDにはSDメモリーカードスロットが装備されているので、画像データを記録したSDメモリーカードだけでプレゼンが可能となる。結果、パソコンは必要ないということになる。

 個人情報流失などの問題でセキュリティが強化され、社外にパソコンを持ち出すのが厳しくなっている。こうした状況の中でもプレゼンのニーズはあり、そのクオリティは落とせない。だからこそ、パソコンを使わないSDメモリーカードを使ったプレゼンスタイルは画期的で、今後主流となっていくと考えられる。

 では、実際の仕様を見てみよう。投写可能な画像はJPEG(DCF規格準拠)で、パソコンがなくてもSDメモリーカードから直接映像の投写ができる。パナソニックのビジネスプロジェクターサイト(http://panasonic.biz/projector)で提供されているアプリケーションソフト「イメージクリエーター1.5」により、予めパワーポイントのデータをJPEG画像に変換してSDメモリーカードに保存すれば、あとはTH-P1SDに挿入するだけで、起動した直後からプレゼンを開始でき、パソコンの起動を待つことも不要である。

 デジカメで撮影した写真の鑑賞にもTH-P1SDは活躍する。デジタルカメラのSDメモリーカードをTH-P1SDに挿入するだけで、手軽に大画面投写を実現できるのだ。記録画素数が高い写真データでも、TH-P1SD側で細部の表現まで情報欠落のない解像度に変換してから全画面表示してくれる。コンパクト性とあいまって、どこでも大画面で、デジカメで撮影した写真を鑑賞できる。パソコン経由での鑑賞と比較してスピーディなのは言うまでもない。また、LUMIXで撮影した動画(Motion JPEG)も再生可能なので、LUMIXユーザーには嬉しいところだ。

 さらに、SDメモリーカードをセキュリティ用途にも応用できる。SDメモリーカードをTH-P1SDに挿入し、そのSDメモリーカードを「キー(鍵)」として登録してセキュリティモードを「SDカードキー」モードに設定すると、以後、キー登録したそのSDメモリーカードが挿入されていないと、TH-P1SDの操作を不可能にできるのだ。

 その他の接続端子としては、ビデオ入力端子、Sビデオ入力端子を各1系統ずつ装備する。DVDプレーヤーやビデオカメラなどの接続にはこの端子を利用することになる。パソコン入力はDSub15ピンのRGB入力を1系統備える。音声入力端子はRCAピンプラグタイプが1系統あり、音声が必要な場合には「あってよかった」と思うに違いない。

 この他、接続端子ではないが、本体には盗難防止用のロック穴が設けられている。これはノートパソコンの盗難防止用のものとして認知度の高いKensingtonロック準拠なので、ノートパソコン用の盗難防止ロックチェーンなどが利用できる。こうした盗難防止の機能は地味ながらありがたい。

   
TH-P1SD右側面には、本機の特長でもあるSDメモリーカードスロットが装備されている

変換アプリケーションソフト「イメージクリエーター1.5」でMicrosoft(R) PowerPoint(R)ファイルも、簡単にJPEG画像データへ変換できる

最下段にある十字キー群はSDメモリーカードの操作に特化しており、SDメモリーカード内画像データのスライドショー再生や写真の90°回転などが簡単に行える

TH-P1SD背面。ビデオ、Sビデオを各1系統、DSub15ピンのRGB入力を1系統、音声入力端子はRCAピンプラグタイプを1系統備える
     

みだし

 次に、誰でも簡単に使えて、セットアップもすごく楽であるという点に注目したい。

 まず電源はSDメモリーカードをスロットに挿入すると、自動的に検知し自動的にスタンバイ電源がオンになる。これは「ダイレクトパワーオン」機能を備えているためで、ボタンを押す必要もない。

 入力切り替えもボタンを押す必要がなく、入力信号を検知し、自動的に入力チャンネルを選択する。これは「オート入力サーチ」機能によるものである。

 ビジネスシーンでは投写距離が十分に取れないことが多く、それでいて大画面投写が要求される。これはかなり過酷な要求なのだが、TH-P1SDは60インチ(4:3)画面をわずか約1.7mで投写できる短焦点性能が与えられている。

 また、テーブルなどに設置した場合は、本体底面のアジャスト脚を利用して上向きに投写することとなる。すると、通常は映像が台形状に歪んでしまう。しかし、TH-P1SDには傾きを自動検出して、適性な台形補正をリアルタイムで行う賢い機能「リアルタイムキーストン補正」が備わっている。

 さらに使用後も、すぐに電源コードを抜ける「ダイレクトパワーオフ」機能を搭載しているので、プレゼン後のかたづけもスムーズで、なにより無駄な作業時間が省けるといった点でスマートだ。

 これらの機能は、外出先に持ち運んでプレゼンに使用する場合、簡単・スピーディにセットアップを完了でき、設置場所の状況を問わず活躍してくれるという点で、非常に良く考えられた操作性を実現しているといえる。

   
SDメモリーカードをスロットインするだけで、自動的に電源がオンになり(ダイレクトパワーオン機能)、入力ソースを検知して(オート入力サーチ機能)サムネイル表示をしてくれる

リモコンの[MENU]ボタンで起動するメニュー。映像調整や位置調整などの通常項目のほか、セキュリティ設定やSDピクチャー設定などの独自項目も存在する

適性な台形補正をリアルタイムで行ってくれる「リアルタイムキーストン補正」(画像はイメージ写真です)
     

みだし

 続いて、映像出力の実力もチェックしよう。

 TH-P1SDは3板式透過型液晶プロジェクター、いわゆる3LCDプロジェクターになる。3板式であるため、1画素1画素が表現したい色そのものを描き出すことができ、時分割で瞬間には単色表示しか行えていない競合の単板式DLPよりも色表現が滑らかになる。実際、TH-P1SDにてカラーグラデーションなどを表示してみると、ビジネスプロジェクターでありながら柔らかい美しい色変化を確認できる。

 明るさは1500ルーメン。小中規模の会議室で活用するならば十分すぎる明るさだ。80インチ程度までであれば蛍光灯照明下でも映像が普通に鑑賞できる。ビジネスプロジェクターとして重要度の高い輝度スペックは文句なしといったところだ。

 ところで設置場所が蛍光灯の照明などで明るい場合は、一般的には、いくら明るさが十分でも、どうしても映像の彩度が甘くなってきてしまう(≒色味が淡くなる)。この特性を回避するために、TH-P1SDでは、設置場所が明るいと感知したときに彩度を強める「デイライトビュー」というユニークな機能を搭載している。TH-P1SDの本体上面には照度センサーが備え付けられており、自らの設置環境の明るさを検知、明るいと認識した場合に限り自動的に出力映像に対して彩度を強調するのだ。これにより、プレゼンテーションによく用いる黄色などの淡い色が、蛍光灯照明下でもくっきり見えるようになる。

 映像モードは「ナチュラル」「スタンダード」「ダイナミック」とSDメモリーカード時のみ「フォト」モードが利用できる。このモード切り替えもよくできていて投写する映像の種別に応じて切り換えることで、TH-P1SDの映像表現を最大限に発揮できるようになる。

 さて、最後に応答速度についても触れておこう。液晶プロジェクターの液晶パネルは画素厚が非常に薄いため、その素性からして高速である。よってTH-P1SDにおいても動きの早い映像を投写しても残像現象のようなものは見えない。筆者は念のためにTH-P1SDとビデオレコーダを接続して一般的なテレビ番組も試聴してみたが、レスポンスよく映像が動いているのを確認できた。ビジネスプロジェクターだから…という負い目は全くない。

   
TH-P1SDの本体上面には照度センサーが備え付けられており、こちらで周囲の明るさを検知する

映像モードは「ナチュラル」、「スタンダード」、「ダイナミック」と、SDカード時のみ「フォト」モードが利用できる。「フォト」モードでは、デジタルカメラの静止画像に最適なチューニングが行われている

みだし

 液晶プロジェクターとして世界最小・最軽量※ のコンパクト性による卓越したコンパクト性と画質の両立。そしてSDメモリーカードによるパソコンレスプレゼンの実現。TH-P1SDはビジネスプロジェクターに求められる要素を高いレベルでまとめた模範的な製品だといえる。また、ビジネス用プロジェクターの新しい活用スタイルの提案とも言うべき、SDメモリーカードから直にデジタルカメラ画像の投写を可能にする機能は、TH-P1SDならではの魅力として光る。

 競合機と比較した場合は、このあたりが決め手となるだろう。

 そして、画質面ではTH-P1SDは3LCDという映像コアの特徴が強く訴求される。DLP方式のプロジェクターには小型・軽量タイプが多いが、図・表だけでなく写真や映像の投写も視野に入れるのであれば、TH-P1SDは有力な選択肢となるはずだ。

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