3Dもギガクリア!! IPSパネル採用、超解像技術搭載 明るく、クッキリ、手軽に3D立体視! Diamondcrysta WIDE RDT233WX-3D(BK)
3Dもギガクリア!! IPSパネル採用、超解像技術搭載 明るく、クッキリ、手軽に3D立体視! Diamondcrysta WIDE RDT233WX-3D(BK)
3Dもギガクリア!! IPSパネル採用、超解像技術搭載 明るく、クッキリ、手軽に3D立体視! Diamondcrysta WIDE RDT233WX-3D(BK)

電源内蔵で奥行き38mmの薄型ボディを実現。ユーザー目線でリファインされた接続性と操作性も要チェック!

RDT233WX-3D(BK)

いきなり目玉となっている3D表示機能の解説と評価に行きたいところだが、こうした製品の購入を検討している読者のみなさんは、「マルチメディアディスプレイ製品としての基本性能はどうなのか?」という点を気にかけているはずだ。まずは、このあたりから見ていくことにしたい。

まず、外観だが、デザインが一新されており、ディスプレイ製品としての質感が向上している。特に、電源を内蔵しながら奥行き38mmの薄型ボディと、アルミダイキャスト製になったスタンド部からは高級感が感じられる。RDT232WXシリーズなどに採用されていた合体ブロック式のネック構造はRDT233WX-3D(BK)では採用されていないが、スタンドネック部とディスプレイ部の接続位置を3段階に変更することができるため、高さ調整は依然と可能だ。積み木ブロック的な接合部がない分、接地感に安定感と堅牢なイメージが演出されている。

一新されたスタンド部

チルトはココまで可能。スタンドの安定性が増したので、チルト操作はしやすくなった

薄型デザインになってはいるが、接続性に関しては妥協している部分はなし。PC系接続端子としてはアナログRGB接続用のDsub15ピン端子、DVI-D端子の両方を装備。AV系接続端子としてはHDMI端子が2系統、アナログビデオ入力としてD5入力端子までをも取り揃える。HDMI端子はHDMI1.4aの3D規格に対応。D5入力端子はHDMI非搭載のクラシックAV機器はもちろんだが、PSPやWiiのようなデジタル接続手段を持たないゲーム機の高画質接続手段として重宝するので実はなにげにありがたい。

RDT233WX-3D(BK)はディスプレイ製品だが、マルチメディアディスプレイ製品というコンセプトを持つため、スピーカーを内蔵しており、本機だけでのサウンド再生に対応している。スピーカーは出力2W+2Wのステレオ2CH再生が可能。HDMI経由で伝送されたオーディオ信号も当然再生できるので、例えばゲーム機やAV機器ならばHDMIケーブル一本の接続でRDT233WX-3D(BK)で映像も音声も再生が可能ということだ。

シリーズおなじみの豊富な入力系は変わらず

2W+2Wのステレオスピーカーを内蔵

背面にはミニステレオジャックのアナログ音声入力端子があり、これは基本的にはPC音声入力端子としての利用が想定されている。そして側面には赤白RCAピンプラグのアナログ音声入力端子があり、こちらはD5入力端子の音声入力端子としてあてがわれている。

実際に使ってみて便利だったのはリモコン上の[音声入力]ボタンを押すことで、表示映像とは無関係に再生音声を自在に変更できる機能だ。例えばHDMI1接続の映像を表示しつつ、ミニステレオジャックや赤白RCAピンプラグ経由で入力された音声を再生することができるのである。これはHDMI経由での音声出力に対応していない古めのAV機器や、そもそもHDMI経由で音声出力ができないPCをRDT233WX-3D(BK)と接続する際に便利に活用できる。表示映像とは異なる、別入力系統の音声だけをあえて聞く…という使い方ももちろん可能だ。

ちなみに、音声出力はスピーカーだけでなく、左下側面に配されたヘッドフォン端子経由で聴くこともできる。ヘッドフォン利用時はスピーカーは無音となるので深夜での映像鑑賞やゲームプレイ時には重宝するはずだ。

使いやすさで定評のあるリモコン。今回は3D立体視対応ということで、それ専用のボタンも付いた

上でちょっとだけリモコンの話題を出したのでリモコンについても触れておこう。リモコンはカード型の簡易的なものではなく、AV機器っぽい、ちゃんと手で握れるような縦長バー型のものが付属してくる。見た目はテレビのリモコンのようだが、実は、良い意味でまったくテレビのリモコンとは違う。とてもディスプレイモニタ向けらしいボタンレイアウトになっていて使い勝手がいいのだ。

まず、入力切替ボタンは端子名を記載した個別ボタンを設けている点がなにより好印象。入力切替はディスプレイ製品ならば使用頻度が高くなるので、一般的な順送り切替ではストレスが溜まる。RDT233WX-3D(BK)ならば、ダイレクトに目的の入力系統に切り替えられるので快適だ。そして、ウリとなっている機能に、直接アクセスするためのボタンが設けられているのもいい。テレビなどでは、様々な高画質機能がカタログでアピールされているのに、そのほとんどがメニュー階層の遙か奥底にあって気軽に触ることができなかったりするのとは対照的だ。

RDT233WX-3D(BK)では、ウリとなっている3D表示のモード切替ボタン、奥行き調整の上げ下げボタン、逆視解消ボタンまでを設けているし、2D表示時にはついいじって遊びたくなる超解像機能のレベル上げ下げボタンもちゃんと実装されている。D5入力経由のアナログビデオソース利用時には切り替える機会が多いアスペクト比切替用に[アスペクト]ボタンがあるし、これとは別にスケーリング回路の振る舞いを制御する[画面サイズ]ボタンまでを用意しているのも実にRDT233WX-3D(BK)らしいポイントだといえる(後述)。ゲームプレイ時には活用必須となる低遅延モードの発動ボタンとして[スルーモード]ボタンも用意しているし、接続端子が充実しているからこそ、積極的に活用したい2画面機能に関しても、そのコントロール用のボタンを6個も用意している。

AV Watchでの連載「大画面☆マニア」ではしばしば「操作系やリモコンにうるさすぎる」と言われるくらいチェックが厳しい筆者をもってしても、RDT233WX-3D(BK)のリモコンはよくできていると感心する。

やりすぎ!?二画面機能〜「大」サイズ時は10インチのワイドSVGAクラスの表示能!?

D-SUB DVI-D HDMI-1 HDMI-2 D端子
D-SUB   ×
DVI-D  
HDMI-1   ×
HDMI-2 ×  
D端子 ×  

さて、RDT233WX-3D(BK)のような、入力系統を多数持つディスプレイ製品では何かとたくさんの機器を繋ぎがちで、2画面機能を利用するシーンも多くなる。ほとんどの競合製品が「おまけ」的に付けているだけの2画面機能だが、RDT233WX-3D(BK)では、これまたユーザー目線に立った本気度の高い機能として提供してくれている。

まず、HDMI入力同士とDsub15ピン入力とD5入力の組み合わせ以外の全ての組み合わせで2画面表示が可能となっているところが"本気"だ。

なお、2画面機能の実現様式は、主画面を全画面表示にしてその中にウィンドウ表示の形でもう一画面を子画面として表示するピクチャー・イン・ピクチャーを採用している。RDT233WX-3D(BK)ではその子画面サイズをリモコン上の子画面[サイズ]ボタンにてリアルタイムに小(426×240ドット)、中(640×360ドット)、大(906×510ドット)から選択できるようになっていて、さらには表示位置もリモコンの子画面[位置]ボタンで随時変更が行える。

実際に使ってみて便利なのが、子画面「大」サイズモード。大きさを定規で計測してみたところなんと10インチもあった。解像度はワイドSVGA近くあるので、そう、ちょうどネットブックの液晶画面くらいの表示能力があるということだ。720×480ドット解像度のDVD映像ならばほぼ同じサイズで見られてしまうわけで、"子画面"というよりは、追加ディスプレイ的な活用ができてしまうのだ。

画面右上にPiPでPC入力(1024x768)を表示させてみた例。サイズは大・中・小の3段階で選べるほか、表示位置も右上、右下、左上、左下から選択可能

RDT233WX-3D(BK)はIPS方式液晶パネルを採用

続いて、普段の使用で最もお世話になるはずの2D画質関連機能について見ていくことにしよう。

まず、画質の本質を決定づけることになる液晶パネルだが、これはフルHD解像度(1920×1080ドット)のIPS方式液晶パネルを採用している。画面サイズは型式番から連想されるように23インチ(対角584mm)だ。IPS方式液晶パネルは実用化されている液晶パネルでは高い広視野角特性を持つ液晶パネルだ。液晶分子を画素セル単位に平面的に配置した電極で横電界駆動して光を制御するIn-Plane Switching(IPS)方式液晶パネルは、視線角度に依存しない理想的な階調特性を持っている。このため、広視野角はもちろんだが、視線を移動したときの色調変位が少ない特徴も併せ持つ。

23インチクラスのディスプレイ機器ならばほぼ製品正面と相対する位置で見ることになるので、TN型液晶でも映像が見えなくなるということは今やもうないのだが、首を動かしたり椅子が動いて着座位置がずれたりして表示面に対する視線角度がずれるとTN型液晶では微妙に色調や階調が変化することがある。IPS方式液晶パネルでは原理特性上、これがない。すなわち、正確な色情報と階調情報をユーザーの目に伝えることを目的としたディスプレイ機器において、IPS方式液晶パネルの表示映像は基本画質からして堅固なのだ。

RDT233WX-3D(BK)では、このIPS方式液晶パネルに、三菱電機独自の映像エンジン「ギガクリア・エンジンU」を組み合わせることで、多様な映像コンテンツを的確に高画質化する幅広い適応能力を身に付けている。ギガクリア・エンジンUでは、RDT232WXシリーズの従来機に搭載されていた2つの機能を進化させつつ、3つの新機能を追加している。

ギガクリア・エンジンU:進化した機能(1)新・超解像機能

RDT231WM/RDT232WXシリーズは、マルチメディアディスプレイ製品に超解像技術を搭載した先駆け的な製品だが、ギガクリア・エンジンUを搭載したRDT233WX-3D(BK)では、この超解像技術が進化している。

超解像技術とは、入力された映像が解像度情報が失われた状態と仮定して、その解像度情報を予測して復元しようとする高画質化技術だ。RDT233WX-3D(BK)では、さまざまな入力映像に対して、より適正な超解像処理を行うように進化している。

"新"超解像技術と銘打たれたRDT233WX-3D(BK)の超解像技術では、まず、根本的な画質改善が行われた。従来機では処理対象の映像がRGB信号の映像であっても色情報を削って色差信号のYUV=4:2:2へ変換して処理していた。これは、もともとの超解像ロジックがビデオプロセッサとして開発されていたためだ。一方、RDT233WX-3D(BK)の超解像技術では、色差信号に変換して超解像ロジックで処理する部分は同じだが、その際に、色情報欠落のないYUV=4:4:4に変換して処理するようになったのだ。超解像処理前と後とで色情報に過不足がないため、従来機の超解像と比較して根本的に画質が改善されたというわけだ。

超解像無効

超解像20%

超解像40%

超解像60%

超解像80%

超解像100%

(画面写真はゲーム「Portal 2」より)
(C) 2011 Valve Corporation, all rights reserved. Valve, the Valve logo, Portal, the Portal logo, Source, and the Source logo, are trademarks and/or registered trademarks of Valve Corporation. All other trademarks are the property of their respective owners.

Windows Vista/7用ソフトウェアをインストールすることで使用可能になる「ギガクリア・ウィンドウ」では、画面上の任意の矩形エリアに超解像をはじめとする高画質化機能を適用できる。上の画像では、赤丸内部の4角形のエリアに超解像が適用されていることがわかるだろう

そして、その超解像処理の適用先とその適用強度に関しても、RDT233WX-3D(BK)では新しい工夫を導入することで使い勝手を向上させている。その工夫とは「既に十分な解像感がある箇所に対しては超解像化を意図的に弱め、ぼやけ成分か多い箇所に対して強めに適用する」というものだ。

例えばPC上のWeb画面やRPG系のゲーム画面のような文字情報が散在している映像に対しては、文字情報への超解像処理は意図的に避けて元の状態を維持し、映像箇所や画像箇所に対して超解像効果の反映を強くするのだ。従来機では超解像を強めに掛けると文字がぎらつくことがあり、その場合には超解像レベルを下げる必要があったが、RDT233WX-3D(BK)ではそうした調整をほとんどすることなく、超解像効果を楽しむことができる。

例えば、Webブラウザで低ビットレートの眠いネット動画を楽しむ際、超解像を強めにかけたとしても、解像度情報が失われたWebブラウザの動画表示領域内にだけ効果的に掛かり、その他の文字への影響は少なくて済む。超解像のコンセプトである"失われた情報だけ"を復元し、情報量が十分なところは触られず、そのままのクオリティが維持されるのだ。

左が超解像無効、右は超解像有効(100%)。文字部分などは超解像のかかり方を低めにしているのがわかる

もう一つ、RDT233WX-3D(BK)の超解像機能周りで、「そこまでやるか」というような特殊機能が搭載されている。それは子画面超解像機能だ。RDT233WX-3D(BK)では、前述した2画面機能を活用したときに現れる子画面に対してのみ超解像をかけることができるのだ。なお、子画面超解像のレベルはリモコンでの調整はできないので、あらかじめメニュー画面内で設定しておく必要がある。

子画面「大」サイズでは906×510ドットの映像になりフルHD映像ならば約1/4に解像度が落ちた映像となる。ここに超解像を掛けると、PC画面の文字情報も結構読めるようになるので、例えば、PC上で開いた攻略サイトを読みながら親画面でゲームをプレイ…なんていうことも十分にできてしまうのだ。

ギガクリア・エンジンU:進化した機能(2)解像度判別機能

この「高画質化機能を、その映像に適したレベルで適用する」というコンセプトは、超解像だけでなく、その他の機能にも及んでいる。それがギガクリア・エンジンUで進化した「解像度判別」機能だ。

一般的に、高画質化ロジックでは、その各機能の効果レベルを調整できるが、低解像度映像では1画素が大きく、つまりは画面の面積に対する1画素の割合が大きくなるために、高画質化の効果が認知されやすく分かりやすい。その分、効果レベルをちょっと変えただけでも「やりすぎ」感が出てしまう。一方、高解像度映像では逆で、画素が小さい分、画面の面積に対する1画素の割合が小さいため、高画質化の効果が分かりづらい。つまり、効果レベルを大きく変えてやらないと、高画質化ロジックの効果が見た目に分かりづらかったりする。このように解像度に応じて、高画質化の設定パラメータを最適化する必要がある。

「表示された映像」の解像度を自動判別する「オート」のほか、「HD」「SD」「LD」(ネット動画等)を手動で選択することができる。映像の解像度に合わせて各種高画質化処理のパラメーターを変える仕組みだ

RDT233WX-3D(BK)のギガクリア・エンジンUでは、この問題に適応型の考え方を導入して対処する。RDT233WX-3D(BK)では、映像の"実効"解像度を把握して、それに適した高画質化調整ができるように配慮するようになったのだ。

映像の実効解像度に応じて、その調整レベルが自動的に変化する画質パラメータは、「超解像レベル」「ブロックノイズリダクション」「エリアコントラスト」「肌色検出」の4つだ。

実際に使ってみて、賢いと思ったのは、その「解像度判別」を、入力された映像の480p,720p,1080pといった解像度情報だけで行っているのではないという点。例えば筆者の環境では、480pのDVD映像を1080pにアップコンバートしてRDT233WX-3D(BK)に入れても、「解像度判別」機能はちゃんとこれをSD(480p)映像と認識して、上記4パラメータをSD映像適性レベルの調整範囲で適用してくれていた。つまり、ある解像度の映像に対し、自分の好みで上記の4パラメータを合わせたとしたら、以降は全ての解像度の映像において、その調整バランスの高画質化ロジックが適用されるようになるということだ。

もちろん、この「解像度判別」機能をあえて活用しないこともでき、例えばHD(1080p,720p)映像に対してSD映像や垂直解像度400本以下のLD映像向けの適性レベルで上記4パラメータを適用させることも可能だ。そうしたい場合には、「解像度判別」機能の設定自体を「オート」から「HD」「SD」「LD」へと変更すればいい。

確かに、PC画面でウィンドウ内に低解像度映像を開いている場合には、この「解像度判別」機能のマニュアル化は有効だ。ただし、PCでも、映像を全画面表示にして見るような場合ならば、「オート」設定で全く問題がない。

ギガクリア・エンジンU:新高画質化機能

ブロックノイズリダクション

実際に使ってみて、非常に面白かったのが、「ブロックノイズリダクション」機能だ。YouTubeやニコニコ動画などの動画サイト上の動画は(もちろん高画質なものもあるにはあるが)、低ビットレートのタイルモザイクのようなブロックノイズが目立つ動画が多い。しかし、内容的には面白い動画が非常に多く、夢中になっている人も多いだろう。最近では地デジ放送よりもネット動画を見ていることの方が多い…なんていう人が急増しているとも聞く。

そんなネット動画ジャンキーでなくても、低ビットレートのMPEG映像のブロッキー画質を改善して楽しみたい思う人は多いはずで、ブロックノイズリダクション機能は、まさにそのための機能になる。

実際に使ってみた筆者の感想としては、プリセット画調モード(DVモード)の「ネット」モードがオススメだ。低ビットレートのネット動画における、人の顔の頬の丸みなどに出がちな正方形状の等高線もなだらかにして見せてくれる。Webブラウザ上でネット動画を見ている際も、前出の「解像度判別」機能の効果によって動画ウィンドウにだけ強くノイズ低減が効き、ブラウザ上の文字部分はほとんど影響がない。あまり、画調モードをいじらない初心者でも、ネット動画を楽しむときにだけ、リモコンの[DV MODE]ボタンを押して「ネット」モードに変更することをオススメする。

YouTubeの映像をブロックノイズリダクション無効/有効で比較してみた。左が無効、右が有効(100%)。効き具合は0%〜100%まで10%刻みで調整できる

肌色検出

ネット動画に限らず、動画(映像)には人間が登場することが多いわけで、そうなると頻繁に目にするのは、肌の色だ。この人間にとって特別な色「肌色」にまつわる特殊機能が、ギガクリア・エンジンU、二つ目の新機能「肌色検出」機能だ。

肌色検出機能とは、映像中の肌色に対し、超解像処理やブロックノイズリダクション機能の効き方を制御する機能になる。設定はオンかオフが選べ、オン時は肌色およびそれに近い色に対し超解像処理の効果が抑えられ、オフ時は全ての色(すなわち画面全体)に対して超解像処理の効果が適用されるようになる。ところで、筆者の実験では、ブロックノイズリダクション機能の方は、肌色検出オフ時の方が強く効き、肌色検出オン時には弱く効く傾向にあることを確認した。

この2つの特性をよく理解したうえで、超解像レベルとブロックノイズレベルを設定すれば、映像中の人肌表現に対して適度ななめらか感と適度なディテール感を与えることができるようになる。いじるとその効果も分かれやすいのでなかなか遊べる機能だといえる。

エリアコントラスト機能

ギガクリア・エンジンU、3つ目の機能は「エリアコントラスト」機能だ。RDT233WX-3D(BK)では、映画に多い暗がりのシーンなどでコントラストを自動調節し、暗部の階調再現性を向上させるダイナミックコントラスト機能を実装している。この機能を使用すると、たしかに黒がつぶれず、細部のディテールを鮮やかに表現できるが、この機能だけでは画像の状態によっては暗部階調が死んだり、明部階調が飛んで飽和してしまったりする場合もある。

ギガクリア・エンジンUでは、映像の各所で階調特性とコントラスト感を最適化するアルゴリズムを実装することで、このアーティファクトを低減させている。実際に表示映像を見てみると、暗い映像ではその暗部階調を漆黒からリニアに立ち上げつつも明部では適度な眩しさを両立していたし、明るい映像では明部にまばゆい輝きを描きつつ、暗部では黒浮きの少ない暗部階調を実現させていた。RDT233WX-3D(BK)のダイナミックコントラスト機能は画面全体単位で行っているのに、あたかも、コントラストを局所的に調節しているかのような、安定したコントラスト感が実現できているのは、このエリアコントラスト機能の恩恵によるものだ。

RDT233WX-3D(BK)は、ちつらきのない、明るい3D映像が楽しめる偏光方式を採用!

お待ちかね。目玉となっている3D機能について見ていくことにしよう。

3D立体視には円偏光方式を採用

3D立体視の方式には、いくつかが存在するが、RDT233WX-3D(BK)が採用するのは偏光方式だ。FPR(Film Patterned Retarder)方式とも言われるこの方式では、液晶パネルを構成する画素のうち、偶数ラインと奇数ラインをそれぞれ左右の目の片側にしか見せないことで立体像をユーザーへ知覚させる。例えば1920×1080ドットのRDT233WX-3D(BK)でいけば、偶数ラインの1920×540ドット分を左目、奇数ラインの1920×540ドット分を右目だけに見せるような仕組みとなる(偶数ラインと奇数ラインの左右の目の割り当ては逆転させることはワンタッチで可能)。

この方式の第一の利点は3D映像がとにかく明るいということだ。現在、多くの3Dテレビで採用されているフレームシーケンシャル方式では、3D映像を構成する左右の目用の映像を高速に(120分の1秒周期に)交互に表示して、その表示タイミングに合わせて3Dメガネ側のレンズに実装された液晶シャッターを開閉して左右の目に入れるということをやっている。

この方式は、いわば時分割方式であるため、1/120秒の単位時間あたりの光量に着目すると片目にしか映像が届かない。さらにクロストーク(重なり感)を低減するために実際に液晶シャッターを開くことができる時間は1/120秒のうち数分の1になり、片目に到達する光量は様々の理由で減少する。

偏光方式では左右の目の映像は常時同時に表示されているため、フレームシーケンシャル方式に対して圧倒的に明るいという特長がある。さらにいえば、フレームシーケンシャル方式の3Dメガネでは高速にシャッターを開閉するという構造から、蛍光灯やLED照明などとの干渉でチラツキが知覚されることも多い(常時点灯しているように見える蛍光灯やLED照明は実は高速明滅している)。偏光方式の3Dメガネには1/120秒のシャッター開閉という概念がないのでそうしたチラツキは原理的に知覚されない。

「3D映像が暗い」「3D映像がチラつく」…この2つの問題に対処するため、3Dテレビの場合は、3D映像を見る際には室内照明を落とすことが奨励されるのだ。

確かに3Dテレビの場合ならば、「さあ3Dテレビを見るぞ」といって部屋の照明を消すことも流れとしては自然かも知れないが、様々な機器に接続して多様に、しかもそれでいてパーソナルに活用するマルチメディアディスプレイでは、3D映像を見るたびに部屋の照明を付けたり消したり…というのは面倒臭すぎる。

軽量な偏光方式3Dグラス。重量は約20グラム

その意味では部屋の照明を消さずとも明るい3D映像が楽しめる偏光方式は、マルチメディアディスプレイには丁度いい3D映像実現方式なのである。

3Dメガネに関して言えば、偏光方式の3Dメガネはレンズ部分に偏光フィルムを貼り付けているだけのシンプル構造であるため、安価であり、軽量だ。フレームシーケンシャル方式用の3Dメガネでは液晶シャッター駆動用に電池や充電が必要になるだけでなく、構造としても複雑であるため非常に高価なものになる。手軽に3D映像を楽しみたいというマルチメディアディスプレイのユーザーには3Dメガネはシンプルで安価な方がいいに決まっている。

【裏技伝授】映画館の3Dメガネが使えるかも!?

メーカーの人間じゃない第三者的な立場の筆者だからこそ言える裏技にも触れておきたい。

実は偏光方式の3Dメガネは現在、ほとんどが円偏光方式と呼ばれるものが採用されており、実は、非常に互換性が高いのだ。ちなみに、RDT233WX-3D(BK)の3Dメガネも円偏光方式だ。

映画館の3D映画用に配布されている3Dメガネもその多くが円偏光方式であるため、RDT233WX-3D(BK)にて利用できる可能性は高い。3Dメガネを100円前後で買い取りさせられる映画館も増えているが、ああした3Dメガネは取っておいてRDT233WX-3D(BK)で試してみるといいかもしれない。

もちろん、RDT233WX-3D(BK)には1個の偏光眼鏡が付いてくるので、自分用はそれを使えばいいのだが、家族や友人と一緒に3D映像を楽しむ…なんて時には、追加のメガネが欲しくなる。そんなときには、そうして取っておいた3Dメガネが使えるのはありがたい。もちろん、メーカー保証はないが、試してみる価値はある。

ちなみに、他社製品用や映画館の偏光方式の3Dメガネは、RDT233WX-3D(BK)用のものと、左右の目のレンズが逆になっている場合もあるので注意。その場合は、レンズが着脱式であれば、レンズを左右入れ替えればOKだ。

偏光方式の3Dって本当に解像度が半分なの?

偏光方式の3Dは映像パネル解像度の半分ずつを左右の目用の映像に振り分けている関係で、「偏光方式は解像度が半分になる」という指摘がなされることが多い。

ただ、これには反論が出てきている。例えば、「フレームシーケンシャル方式はフル解像度の3D映像が得られる」とされるが、1/120秒単位では左右の目の映像の片側しか表示されない。いわば1/120秒単位では両目が見るべき3D映像の半分の解像度情報しかとどいていない。

一方、偏光方式では、左右両目用の映像の解像度情報が半分ずつ常時表示されているので、総計してみれば1/120秒単位で比較すれば知覚解像度情報量はフレームシーケンシャル方式と同一と見なすことができる…というわけだ。

まぁ、これはあくまで、理屈での話。実際に、どう感じるかは個人差はある。

ただ、頭ごなしに「偏光方式は解像感に乏しい」と決めつけるのは避けるべきだということは言っておきたい。

明るく距離感が把握しやすいRDT233WX-3D(BK)の3D画質〜3D映画や3Dゲームに最適か!?

3Dテレビの主流方式のフレームシーケンシャル方式ではない偏光方式だからといって、使い勝手が異なるわけではない。RDT233WX-3D(BK)のHDMI入力端子は全て3D対応であり、いわゆる3D対応のブルーレイプレイヤーと接続すれば3Dブルーレイの映画ソフトもちゃんと楽しめる。偏光方式だからといって、別に特別な準備はいらない。

「フレームパッキング」「サイド バイサイド」「トップアンドボトム」「ラインバイライン(水平インターリーブ)」の4つのタイプの3D立体視を楽しめる。写真は、サイドバイサイド形式の3D動画(左)をラインバイライン方式(右)に変換してみたところ

CRYTEK社によるFPS「クライシス2」はPS3版がフレームパッキング、Xbox 360版が「サイドバイサイド」、PC版が「インターレース(ラインバイライン)/サイドバイサイド」の各3D立体視に対応している

ソニーのプレイステーション3(PS3)はブルーレイ3Dの再生にも対応しているし、「つみきBLOQ」のようなカジュアルゲームから「グランツーリスモ」や「KILLZONE3」などの大作ゲームに至るまでが3Dに対応しているので、多様な3Dコンテンツを色々楽しみたい場合は、PS3をRDT233WX-3D(BK)に接続することをオススメする。

実際に、3D映画や3Dゲームを楽しんでみたが、やはり3D映像が明るいのがいい。そして、筆者自身も興味深かったのは、実際の視聴感として、動きが激しい3D映像においては、距離感が把握しやすいと感じたことだった。

これは、偏光方式の3Dが、運動視差を把握しやすいためではないか、と筆者は考えている。人間の脳(視覚システム)は、立体を知覚する際に、「運動視差」(移動視差)で得られる情報を利用していると言われる。運動視差とは、自分が動いて物体を見たり、あるいは逆に動いている物体を見たときに知覚される「見え方の違い」のことだ。ちなみに、人間の脳は距離感などを、この運動視差の情報で推し量っていると言われる。

フレームシーケンシャル方式では、1/120秒単位では片目でしか映像を見ることができないため、本来ならば同一時刻で知覚されるべき運動視差を片目でしか見ることができない。一方、偏光方式では常時左右の目の映像が表示されるため、運動視差情報を連続時間で把握することができる。

もしかすると、RDT233WX-3D(BK)で感じた、偏光方式の立体視が遠近感に優れる感覚はこのためかもしれない。

それと、RDT233WX-3D(BK)のユーザーにはぜひ試してもらいたいのが、YouTubeの3D動画コンテンツ。Webブラウザ内に表示されるYouTube動画フレームを全画面にすることなく、そのまま立体視が楽しめてしまうのだ。やり方は簡単で、立体視に対応したYouTube動画の場合[3D]オプションが出てくるので、ここで「水平インターリーブ」を選択すれば、その瞬間からYouTube動画フレームが3Dで見えるようになる。その他の領域は2D表示のまま。もちろん全画面に切り替えれば、全画面での3D映像としても楽しめる。

ちなみに、YouTubeの3D動画に対しても、前述した超解像処理やブロックノイズリダクション機能は効く。YouTubeの3D動画はビットレートが低いものも多いが、そういう場合はプリセット画調モード(DV MODE)を「ネット」に切り替えればOK。カジュアルにネット上の3D動画を楽しめる、この感覚こそが新体験だ。

YouTubeには3D専用のチャンネルが用意されているほか、「3D」で検索すると3D映画の予告編など、数多くの動画がひっかかる。視聴する際にはYouTube上の3D設定で「水平インターリーブ」を選択

それと、実際に使ってみて気がついたことなのだが、RDT233WX-3D(BK)はディスプレイ製品なので、比較的視聴距離を短く想定して3D画質をチューニングしているようだ。偏光方式の立体視では、左右の目用の映像の両方が見えてしまう二重像映り(クロストーク現象)が原理的に少ない方式なのだが、もしクロストーク現象が感じられるようならば、もう少し近づいて見るようにしよう。筆者の実測では60cm以内で見ると、鮮明な3D映像が見られると感じる。なお、左右の視野角については、IPS方式液晶なので特に制限はなし。また、円偏光方式を採用しているため、首をかしげて見てもクロストーク現象や色調変調現象は起きなかった。

ゲームモニターとしての機能も充実〜表示遅延は2Dも3Dも最速レベル!

RDT231WM/RDT232WXシリーズは、歴代、ゲームモニターとしても人気が高い製品だった。高画質2Dや3D対応が華やかに訴求されているが、もちろん、RDT233WX-3D(BK)にもゲームモニターとしての機能はちゃんと搭載されている。

アクションゲームや音楽ゲームでは、そのまま遊びやすさに直結する表示遅延問題は、最近では熱く議論される傾向にあるが、RDT233WX-3D(BK)では、スルーモード時で公称値1フレーム時間未満(ギガクリア・エンジンUがバッファリングする数十ライン分の走査線伝送時間)に抑え込んでいる。

ゲームをプレイする際の「表示遅延」がゲーマーにとって死活問題なのは、周知の通り

実際、筆者も独自に測定を行ってみたが、これを確認した。事実上、RDT233WX-3D(BK)では、遅延問題はほぼなしということができる。それでは3Dの場合はどうか。これは公称値はないが、筆者が独自に計測してみたところ、サイドバイサイドの3D映像において表示遅延は約1フレームだった。3Dの場合は左右の目の映像の入力が終わってから表示されることになるため、この表示遅延約1フレームという値は事実上、最速ということになる。

RDT233WX-3D(BK)には2D映像を3Dに変換する疑似3Dモード(2D→3D変換機能)も搭載されているが、この時の表示遅延も計測してみたところ、1フレーム未満となった。RDT233WX-3D(BK)は3Dにおいても表示遅延がほぼ最速ということができる。

この表示遅延低減モードは、リモコンの「スルーモード」ボタンを押すことでワンタッチに移行できる。特筆すべきなのはスルーモード(低表示遅延モード)においても、超解像機能やブロックノイズリダクション機能などのギガクリア・エンジンUが提供する高画質化機能は利用できるという点。つまり、あえていうならば、例えば超解像をフルに掛けても表示遅延は1フレーム未満が維持されるということだ。

PSPの外部出力を画面一杯に拡大する「ポータブルモード」

それと、もう一つ、ゲーム関連で特記しておきたいのは、多彩なアスペクトモードを搭載しているという点。特にゲーマーが嬉しいのはソニーのプレイステーションポータブル(PSP)のゲーム画面をRDT233WX-3D(BK)の表示面一杯に拡大表示できるスペシャルなアスペクトモードを搭載しているところだ。

PSPは、内蔵ビデオプロセッサの制約からメニュー画面は画面全体に拡大表示されるが、ゲーム画面は若干小さく表示されてしまう特性がある。RDT233WX-3D(BK)では、アスペクトモードの「ポータブル」を選択することで、PSP側の制約を乗り越え、ゲーム画面も全画面表示することが可能なのだ。PSPフリークには堪らない機能だ。

これを上回るさらにマニアックなゲーマー向け機能がRDT233WX-3D(BK)には搭載されている。それは「画面サイズ」機能だ。

説明書の機能説明を読んだだけでは一見、なんのための機能か分かりにくいが、実は、これ、クラシックなゲーム機でレトロゲームを楽しむユーザーにとって嬉しい機能なのだ。レトロゲームはドット画の味わいを重要視するファンが多く、彼らは不用意にディスプレイ全面に拡大表示されてぼけた映像になることを嫌う。

ディスプレイ機器において拡大表示を司る機能ブロックは「スケーリング回路」と呼ばれるが、「画面サイズ」機能はこのスケーリング回路の動作を設定するものになる。レトロゲームファンが喜ぶのは一切の拡大表示をしない等倍表示モードの「画面サイズ=REAL」モードと、1ドットを2×2の4ドットで描き、ドット感を崩さず、ボカしなしで拡大表示する「画面サイズ=2xZOOM」モードの2つ。この2つのモードでは、1ドットが直行する四辺でしっかりと描かれるのでドット画の味わいをそのまま楽しむことができるのだ(画面上では小さく表示される)。最近は、ファミコン、マスターシステム、MSX、PCエンジン、メガドライブ、ネオジオなど、多様なレトロゲーム機のゲームソフトを最新型のゲーム機で再現したものをオンライン配信するサービスが行われている。ああしたドット画時代の2Dゲームを当時の雰囲気でプレイしたいユーザーは、是非ともこの機能を活用してみよう。

ああいったレトロゲームをRDT233WX-3D(BK)の2D-3D変換機能で3Dで楽しんじゃう…なんていう楽しみ方もありかも?

まとめ〜クラス唯一の3D対応IPS液晶採用機。現状、ライバルなし。

RDT233WX-3D(BK)の5月下旬現在の価格は5万円前後。最安値では既に4万円台の値札を掲げているところもあるようだ。23インチクラスのマルチメディアディスプレイ製品としてこの価格は激安製品と呼ぶのは難しいが、ブルーレイ3Dや3Dゲームにも対応した立体視(3D)機能を有しながらも、IPS方式液晶パネル採用機であることを考えると、コストパフォーマンスは非常に高い。

ちなみに、RDT233WX-3D(BK)は、20インチ台前半の3D対応液晶モニタ製品としては、クラス唯一のIPS方式液晶パネル採用機となる。5月下旬現在ではライバルは不在といってもいい。

そして、RDT233WX-3D(BK)は、「3D対応」ばかりに重きを置きがちな3D対応ディスプレイ製品が多い中で、しっかりと2D画質やゲームモニターとしての基本性能をも高水準でまとめ上げている部分が、強力な訴求力を放っていると感じる。

「三菱電機が出した新3D対応ディスプレイ」というよりは「高品位マルチメディアディスプレイシリーズの進化モデルが、3D対応機能も身に付けて登場した」

RDT233WX-3D(BK)は、そう捉えるべき製品だ。

(トライゼット西川善司)

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RDT233WX-3D(BK) 製品情報

 

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