果たして猫とNUCは、相性がいいのか?
NUCで無理に実現させた、Neko-Friendly All-In-One(NFAIO)
(2013/9/13)
「大原さん、NUCで何かやって」いつでも連絡は唐突である。NUCは御存知、Intelが提唱している「NUC(Next Unit of Computing)」のこと。ベアボーンキットだけでなく、最近ではマザー単体とか専用ケースなど色々登場している。が、「何って何よ」「何か面白いことを」面白いといっても、実はNUCそのものに手を加えるのは案外に難しい。なにせあのサイズに丸ごとPCを押し込めているから、拡張性は限られているからだ。むしろ、NUCを使って「何か新しい使い方」を考えたほうがよい。ということで、PC Watch代表でなぜか筆者がNUCの新しい使い方を御紹介することになった。
AIO(All-In-One)的な使い方
実はNUCの場合、当初からAIO的な使い方が考慮されている。AIOというのは液晶と一体になったタイプのこと。ノートとは異なり、あくまでデスクトップの範疇に含まれるが、なにせ小さいから液晶の裏に簡単に収まることになる。「これで何かできないかしらん」ということで、まずはAIO的な使い方を少し模索してみることにした。
さて、今回使ってみたのはIntel NUC Kit DC3217IYEである(Photo01)。Intelからは他に、NUCボード単体での販売となるD33217CKなんかもあるのだが、こちらはEthernetがなく、代わりにThunderbolt端子が用意されている製品である。残念ながら筆者のところにはThunderboltの環境がないので、今回はDC3217IYEの方を使ってみることにした。ちなみに蓋を開けるとIntelのテーマ音が鳴り響く(Photo02)。これ、箱の端に光センサーと組み合わせたサウンドデバイス(Photo03)が入っており、これが鳴っているわけだ。
簡単に外観を紹介しておくと、背面(?)にはUSB×2とHDMI×2、Ethernet、それとACアダプタ端子がある。前面はUSB×1のみ(Photo05)。側面は何もない。上面は電源スイッチと、HDDアクセス用LEDのみが用意される(Photo06)。底面はアクセスパネルとVESAマウント用の穴がある(Photo07)。ちなみにこのVESAマウント用のネジ(Photo08)とマウントアダプタ(Photo09)も同梱されている。
ちなみに内部はこんな具合(Photo10)。左にDDR3のSO-DIMM×2が、右にはMini PCI Expressのスロットが用意されている。今回はIntelのSSD 525 Series SSDMCEAC180B301の180GB品、それに同じくIntelのCentrino Advanced-N 6235を組み合わせてみた(Photo11)。
さて、AIO的に使うと具体的はどんな感じになるのか?ということで、実際にモニターに取り付けてみた。今回利用したモニターは75mmのVESAマウント用の穴が用意されている(Photo12)。ここにNUCのVESAマウントアダプタをまず固定し(Photo13)、ここに先のPhoto09の容量で取り付けるだけである(Photo14)。この場合、本体は横方向にケーブルが出る形である(Photo15,16)。
さて、ここまでは割ときれいに収まっているのだが、では実際に配線までするとどんな感じか?というと、こんな具合である(Photo17)。とりあえず本体だけだとUSBポートが絶対的に少ないので、外付USB Hubは割と必需品である。また用途にもよるだろうが、光学ドライブはあったほうが便利だと思う。キーボード/マウスは有線にするか無線にするかは個人の好みではあるが、筆者の様に有線タイプが好みのユーザーにはその分配線が必要になる。またここには出ていないが、実際はスピーカも必要となる。
というわけで、コンセプトはともかく、実際にNUCを使ってAIOを作ろうとすると、背面の配線が割とひどいことになる。また使い勝手の面で言うと、本体の電源スイッチが完全に背面に廻ってしまうので、電源On/Offに慣れが必要になる。このあたりはNUCのケースを加工して配線を引っ張り出すとかになるが、これはこれでみっともない。
NF(Neko-Frendly)AIOを作る
もう少し、システマチックにAIOを自作できないだろうか?ということに加え、もう一つ気が付いたのは、先ほどPhoto06のキャプションにも書いたが、結構NUCのケースが暖かくなること。熱いまではいかないが、猫用のヒーターとかよりもちょっと暖かい。「これ、冬になると猫が喜んで乗りそうだなぁ」と気が付いた瞬間に、アイディアが固まった。ということで、以下製作過程を写真でご覧下さい(Photo18〜)。
思惑と誤算
ということで、4日ほど掛けてやっとNFAIOのコンセプトモデルが完成した。前から見ると、液晶モニターの上が少し張り出しており、ここに水平にNUCがマウントされる形になる(Photo58)。これで何がうれしいかというと
・NUCの操作(電源On)がやりやすいし、ちょっと背伸びすればLEDも見える。
・液晶モニターの上に、10cmほどの幅があるので、猫が乗りやすい(というか、乗ってくれる事を期待できる)
・NUCの温度がちょうど猫に好まれる程度なので、冬などには暖房器具として活躍する(というか、活躍して欲しい)
というあたりである。裏面から見るとこんな感じ。まだ多少ごちゃごちゃしている感はあるが、Photo17に比べるとずっとシステマチックになったと思う。右にはDVDドライブとUSBポートが集中しており、まとめて操作が可能となっている(Photo60)。電源アダプタは左に集中させたので、メンテも容易だ(Photo61)。
ということで、さて猫の評判は?というと、近寄ってはくれるのだが、乗ってはくれなかった。まぁこのくそ暑いさなかに暖房は要らんわな、という当然の理由ではあるのだが(Photo62〜64)、他にも問題があった。それはモニターのスタンドの強度不足である。もともとLGの22EN33T-Bは軽い(スタンド込みで2.4Kg)こともあり、スタンドの強度は低いし、前後もさることながら左右への踏ん張りはそれほどないのはスタンドの形状を見れば明白である。おまけに1×4材やらアルミ板やらNUCにACアダプタやらで、全体的にかなりトップヘビーな構造だから、安定するわけもない。試しにスタッフ2号を乗せてみたところ、左右に結構揺れてしまい、安定しないということで速攻で降りられてしまった。
もっともこれ、解決は難しくない。手っ取り早いのは、もう少し強度のあるモニタースタンドをVESAマウントで取り付けることである。Photo59を見ていただくとわかるとおり、VESAマウントはそのまま残っているので、ここにVESAマウントのスタンド(例えばこれを取り付けることで大分改善されるだろう。もっと積極的には、1×4材に直接スタンドを付ける(あるいは、今2本の縦方向に1×4材を2本入れているが、これを更に伸ばしてそのままスタンドにする)といった対応で、十分な強度と安定性が確保できるだろう。
まとめ
というわけで、NUCと組み合わせるための「液晶モニター改造」講座になった感はあるが、手前味噌ながらこういうのもアリではないかと思う。この先は、例えばフロント側のUSBを使えるようにするとか、ケーブルを自作してもっとすっきりさせるのもありだし、内部からUSBポートやフロントパネル配線をフラットケーブルで引っ張りだすのも良いかもしれない。何もケースに収めるだけが自作ではなく、こんな具合の加工も結構面白いと思う。何より、NUCがこの大きさで収まることの自由度は大きいわけで、筆者の記事を参考に、もっと激しくカスタマイズした独自AIOにチャレンジしてほしいと思う。
※製品の改造を行った場合はメーカーの保証は受けられなくなりますので、ご注意ください。
URL
- インテル® ネクスト・ユニット・オブ・コンピューティング
- http://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/motherboards/desktop-motherboards/nuc.html
バックナンバー
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