NUCは俺のゲームBOX
お手軽環境で遊び倒す!

小さなNUCをデコレーションしてみる本当に小さい……これは良いゲームマシンになりそう?

実際小さい。据え置きゲーム機が巨大に見えるほど。

 自作界隈で最近話題のNUC。実物を手にするとこれは小さい、本当に小さい!

 ヘビーゲーマー御用達デスクトップ型PCとは比べ物にならず、各種の据え置きゲーム機よりも遥かに小さいこのサイズ。最近話題のインディーズゲームマシンOUYAにも似ているような。ん?あっ!

 「これはゲーム機に違いない!」

 デスクにもリビングにも邪魔にならずサクッと置けるこのNUC、一般的なビジネス用途に使うだけなんてもったいない。ここは“超ポータブルゲーミングPC”としての活用を是非模索してみよう。

早速ゲーム環境を作ってみた。ゲーマーなのでマウスとキーボードはもちろんゲーミンググレード。そこまでこだわらない方はBluetoothマウス/キーボードで無線化してもOK!NUC本体はモニターの下にこっそり。前面USB端子へのアクセスを確保するため背面には付けない

人気のオンラインゲームはそれなりに遊べるようだ

DC53427HYE
ブラウザゲーム程度なら完璧にサックサクだ

 まずはパフォーマンスのチェック。今回用意したマシンはインテル謹製のNUCキット最上位モデル、「DC53427HYE」だ。CPUはCore i5-3427Uで、GPUは統合型のIntel HD Graphics 4000。メインメモリはDDR3 1333を8GBほど実装し、240GBのSSDにWindows 8をインストール。そこらのノートPCとくらべてもなかなかのスペックではないだろうか!

 このスペックなら、最近話題の「艦隊これくしょん」などのブラウザベースのゲームはメチャメチャ快適に遊べる。問題はGPU負荷の高い、ネイティブアプリ系のゲームである。

 というわけで早速、メジャー系のゲームでパフォーマンスをチェック。お題は「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア(FFXVI)」、「ファンタシースターオンライン 2(PSO2)」、「World of Tanks(WoT)」の3本だ。

 ちょっとヘビー級な感じのするMMORPG「FF XIV」は、「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」でチェック。高品質設定では紙芝居状態でちょっと無理だったが、プリセットの“ノートPC 標準品質”なら快適に遊べるという評価を得られた。平均フレームレートは30前後、ゴチャゴチャするシーンでは重たさを感じるものの、なんとかプレイアブルなパフォーマンスだ。

ちょっとヘビー気味の「FF XVI」だがグラフィックス品質を妥協することでなんとか遊べるレベルに

 お次に「PSO2」。より軽めのグラフィックスを持つ本作でも、フルHD(1,920×1,080)設定ではちょっと厳しいパフォーマンス。そこで解像度をHD(1,280×720)に設定すると平均フレームレートが45程度までアップし、そこそこ快適に遊べる状態になった。全体的に、本機ではこの解像度でプレイアブルになるゲームが多い感じだ。

フルHD解像度は望めないが、解像度を下げることで充分にプレイアブルなフレームレートを確保できた

 そして最近になって日本版サービスも展開を開始した戦車ゲー「World of Tanks」全世界6,000万人のユーザー数を誇るモンスタータイトルだけあって、クライアントのデキも上々。画質設定は“最低”にせざるを得ないものの、1,280×720解像度なら平均フレームレート60以上を達成、ヌルヌルである。さらに解像度上げて、1,920×1,080でも充分にプレイアブルという快適さ。これならトップレベルのプレイもできるぜ!

描画品質を多少下げればそれなりの高解像度でもヌルヌル動いてしまう「WoT」。NUCで快適に遊べる1本だ

 というわけで、全体的に画質面で妥協は必要なものの、NUCでゲーミングというのは無茶な選択肢ではないようだ。幅広い設定が可能なメジャー系のオンラインゲームなら、ひととおり問題なく遊べそうである。

小粋なアプリで据え置きゲーム機スタイルにチェンジ!

 NUCがゲームを遊ぶために必要最低限のパフォーマンスを備えていることが判明した以上、これはちょっと本格的にゲーム環境を整えなければなるまい。

 そこで取り出しましたるは……ゲームパッド!!

 「DC53427HYE」には背面に2個のUSB 2.0ポート、全面に1個のUSB 3.0ポートを装備している。背面にマウスとキーボードを接続するとすれば、全面のUSBポートはゲームパッドを挿すのにピッタリ。

筆者愛用のXbox 360コントローラー。設定要らずでPCゲーマー御用達
有線デバイスで揃えるなら背面の2ポートはマウスとキーボードで専有。しかし前面にもう1ポートあるのでゲームパッドも同時に使える!

 というわけで筆者は本機に有線タイプのXbox 360コントローラーを接続。好みに応じて、ロジクールの「F710 ワイヤレスゲームパッド」などでも問題なく幅広いゲームが遊べると思うが、長時間ゲームを遊ぶ筆者は充電によるプレイ中断を避けたい派なので有線タイプを好む。

 ゲームパッドを刺したとなれば、ゲーム外の操作もなるべくマウスやキーボードを使わずに済ませたい。そこでオススメなのが「Steam Big Picture」。PCゲームのオンライン配信システムとしてデファクトと化したSteamの、新インターフェイスだ。

 「Steam Big Picture」を有効にすると、ゲームのブラウズから購入、プレイ、フレンドとのチャットまであらゆる操作がゲームパッドひとつで可能になる。リビングルームにNUCを置いて使えば、まさに据え置きゲーム機の使い心地が実現しちゃうのだ。

ゲーム機ライクなインターフェイスで操作できる「Steam Big Picture」。ゲームの購入・インストールからプレイまでゲームパッドで完結でき、NUCのポータビリティにピッタリ。

流行りの2.5Dゲームがモリモリ遊べるぜ

NUCでも充分遊べる秀逸なインディーズゲームが大漁だ

 Steamのいいところは古今東西のPCゲームがあらかた遊べてしまうところだが、ここ数年はインディーズゲームの勢いが特に凄い。大メーカーの大作ゲームを差し置いてメタスコア80以上を獲得する作品も珍しくない、というか最近はむしろインディーズのほうにこそ傑作が多く、筆者も改めてプレイ時間を計算してみると、1年の大半をインディーズゲームを遊んで過ごしている塩梅だ。

 インディーズゲームはシンプルなグラフィックスの作品が多いものの、それだけにNUCで遊ぶのにもピッタリだ。

 特に、近年流行りの“2.5D”と呼ばれる、ゲームは2Dなんだけど3D描画機能を活用して表現力を高めたジャンルなら、本機でサックサクに楽しむことができる。フルHDではやや動作が重い作品もあるので、気になる場合は1,280×720程度に設定すると快適になる。

 というわけで、「Steam Big Picutre」インターフェイスにピッタリな、ゲームパッドで遊べる傑作インディーズゲームをいくつかご紹介しよう。どの作品もお腹いっぱい楽しめて、夢中になることうけあいだ!

Limbo

2.5Dゲームの新境地を切り開いた傑作。不気味で即死系の罠が溢れる世界を、知恵と工夫で踏破していこう。

Marks of the Ninja

忍者ステルスアクションの傑作。ステージが進む毎に充実する特殊能力や忍術ガジェットを駆使しつつ、敵中奥深くへの侵入を試みる。

Rogue Legacy

世代を越えてダンジョンを攻略。冒険で得たお金や経験値が次世代の子らに引き継がれるシステムで、ローグライクの一期一会感を再定義。

Dead Pixels

協力プレイも可能な2.5D版「Left 4 Dead」。大量のゾンビを向こうに回す爽快感、お金とアイテム収集の楽しさ、武器と弾薬管理の戦略性と、良作の条件はバッチリ。

FEZ

“回転できる2Dグラフィックス”を使った空間パズル。世界に散らばるキューブのかけらを集める旅は、プレーヤーの空間把握力や観察力を高いレベルで引き出してくれる。

Spelunky

名前から想像されるとおり、わりとすぐ死ぬキャラでの地底探検。遊ぶ度に形を変えるダンジョン、攻略のカギはアイテムの収集戦略。4人協力プレイも可能だ。

クラウドゲーム端末としても良さそう

中には映像が正常にレンダリングされないタイトルも

 動作の軽いインディーズ系のゲームは良いとして、高速GPUを要求する大作系のゲームでパワー不足を感じてしまうのがNUCの弱点。中には描画品質をめいっぱい下げても正常にプレイできないゲームが存在するのも事実で、さてどうしたものか。

 そこで可能性を感じるのが、クラウドゲームサービス端末としてのNUC利用だ。クラウドゲームはHD動画のストリーミング表示ができる程度のマシンがあれば利用可能というスグレモノで、設置が簡単で場所を選ばないNUCにはまさにうってつけだ。

 というわけで早速、現時点でとりあえず利用できるクラウドゲームサービスのひとつ、「OnLive」で動作をチェック。国内向けのサービスではないため遅延は感じるものの、高い映像品質でヘビー級のゲームをプレイすることができた。将来的にはこれが、NUCを使ったPCゲームの標準的なスタイルになるかも?と思わせてしまうほどだ。

「OnLive」。北米向けのクラウドゲームサービスだ
多彩なゲームが遊べるクラウドゲームサービス。ヘビー級のゲームもクリアな映像で60fpsの快適さ!サーバーが遠いのでラグはあるけれど……。

 こうなると低遅延で楽しめる国内向けのクラウドゲームサービスが欲しいところ。しかし現時点で国内サービスを行なっている「G-cluster」では専用端末もしくはスマートフォンでの利用が前提で、PC向けサービスはまだ始まっていない模様。はやく来てくれ〜〜〜!

ゲーマーのセカンドPCにも!

セカンドPC的設置法。この場合はBluetoothデバイスの利用がオススメ

 現時点でも意外と幅広いゲームが遊べてしまうNUC。PCゲームとのつきあいかたを広げてくれそうな手応えがビンビン伝わってきて、将来的にも楽しみだ。

 PCゲーマーならすでにハイスペックのPCを持っている人も多いと思うけれども、NUCはセカンドPCとしての導入もオススメだ。なにしろNUCは、デスクトップPCなら筐体の上にちょこんと乗っちゃうサイズ。それでいて中身はちゃんとしたPCなのだ。

 例えばゲームPCはゲーム専用!ということにして、NUC側でブラウジングや、チャット・ボイスチャットなどコミュニケーション絡みの機能を完結させてしまうのもいい。ゲームを中断せずにちょっとした調べ物や連絡ができてしまうので快適さは抜群に向上するし、なにより消費電力も少ないから、ランニングコスト的にもオトク!

 リモートデスクトップアプリを使ってゲームPC側の画面をNUC上に表示すれば、ヘビー級のゲームを寝室やリビングなどに持ち込んで遊べるというワザもある。映像をNUC側でリアルタイムエンコードして、2PCの配信環境を作るのも面白そうだ。

 などなど、ゲームでの楽しい活用法がバンバン妄想できてしまうNUC。手のひらサイズならではの小回りを活かして、遊びの幅をグンと広げていこう!