新・ハイビジョン プリウス 「Prius Air AR75P」
地上デジタル・地上アナログ両対応
26型ワイド液晶ディスプレイも選べる日立ダイレクトではカスタマイズも可能
自社開発の映像エンジン「BroadGear」を採用した地デジチューナーを搭載
 日立は今年1月6日にPrius Airの春モデルとなる「Prius Air AR75P」を発表した。これまでのPrius Airは17インチワイド液晶を採用していたが、本製品では26インチワイド液晶と組み合わせられる(写真1)。この大型液晶に加え、PC本体のサイズは94(W)×377(D)×369(H)mmと極めてスリムで、リビング空間で利用するさいでも適度に目立たず置いておけ、従来モデル以上に家庭向け機器としての魅力を増した。

 この大型液晶の魅力をさらに引き出すのが、本製品に搭載された地上デジタルチューナーだ。ハードウェアデコード機能を持たせた同社独自開発のLSI「BroadGear」を採用したチューナーカードを搭載しており、CPU負荷を最小限に抑えて地デジの視聴が行える。実際に地デジ視聴中にCPU使用率を見ても、10〜15%と低い数値で推移する。さらに、本製品のCPUはPentium4 630を採用しているが、このCPUはHyper-Threading技術により同時に複数の処理をこなすことができる。CPU負荷の低いチューナーにこのCPUの機能もプラスされて、テレビ視聴中にPC上でほかの作業をするのもストレスが小さいわけだ。

 肝心の画質も良好である。このBroadGearの映像処理に加え、液晶ディスプレイにはピクチャーエンハンスと呼ばれるカラー調整機能を持っており、映像にあった鮮やかな色合いを見せる。さらに、この液晶ディスプレイはS-IPS方式なので、低価格液晶などで多用されているTN方式に比べて視野角が圧倒的に広い。つまり、斜め方向から見ても色がくすんだりすることなく、正面から見たときと同様に映るのである。とくに、26インチ液晶を家族で囲んで視聴するなどのシチュエーションで良さを感じられることだろう。

 また、本製品の地デジチューナーには地デジの高解像度映像を出力するためのD端子を備えている。もちろん液晶側も同様だ(写真2、3)。これの面白い点は、通常のPC画面はD-Sub15ピンからアナログ信号で入出力し、地デジを全画面表示したときのみ自動的にD端子出力に切り替わるよう、USB経由で制御しているのだ。

 このほか、家庭用PCとして利用するうえで入力デバイスの使いやすさも重要なポイントといえるが、この点もいずれもワイヤレス方式のキーボード、マウスに加え、多機能なリモコンも付属(写真4)。動画にマークをつけてチャプターのようにスキップできる機能などを備えている。

写真3 液晶背面部。D-Sub15ピンのほかD端子×2系統を装備。PCと連動して地デジ放送の全画面出力時に自動的にD端子入出力に切り替わる仕組みを持つ
 
写真4 付属のワイヤレスキーボード&マウスと、液晶用リモコン、PC用リモコン
 
写真1 1月6日に発表されたPrius Air AR75P。26インチワイド液晶とスリムPCのセットモデルだ

独自開発のLSI「BroadGear」

写真2 写真左端のスロットに見えるのが地デジチューナー。光出力とD端子を備えており、デジタル放送特有のサラウンドサウンドや高解像度映像を出力できる


「Prius Navistation 4」などソフト面も充実
 本製品では地デジチューナーに加え、地アナチューナーも備えているのだが、これらを利用したTV視聴は「Prius Navistation 4」と呼ばれるソフトウェア一つで行える。このソフトの良さは、そのユーザーインタフェースに感じられる。

 初期設定では左上に映像の表示画面、右上にリスト表示画面、下全面に番組表や録画済み番組などの情報を表示する3ペイン構造となっており、実際に触ってみると違和感もなく、しかも映像を視聴したまま何らかの作業を行うさいにもストレスのないインタフェースなのだ(画面1)。

 もちろん地デジ、地アナの切り替えのボタン一つで行えるし、例えば地デジ番組を録画しながら地アナ番組を視聴する、地デジと地アナそれぞれで録画を行うといったことも可能で、両方のチューナーを同時に、かつ独立して操作することができる(画面2)。こうした複雑な操作をマウスという機動性に優れたデバイスで操作できるのは、PCならではの魅力といえるだろう。

 録画したデータを活用する方法も、さまざまなものが用意されている(画面3)。DLNA準拠のネットワークサーバーとして配信したり、携帯電話で視聴できるフォーマットに変換して本体前面に搭載されたSDカードスロットへ転送できる(写真5)。また、本製品のスーパーマルチDVDドライブ(写真6)を利用して、地アナならDVDプレイヤーなどとの親和性が高いDVD-Videoへ、地デジならSD画質へ変換してDVD-RAMにムーブするといった使い方が可能だ。

画面1 「Prius Navistation 4」のメイン画面。上部にテレビや静止画などのビュー画面と、そのビュー画面に連動したリスト表示ペイン。下部には各種情報ペインと、それぞれ独立して表示内容を変更できる使いやすいデザインだ

画面2 リスト表示ペインを利用しての二画面表示も可能。地デジ・地アナのチューナーを独立して操作ができるので、二番組同時録画/再生なども可能

写真5 前面部にはUSBや音声入出力、IEEE1394といった一般的なインタフェースのほか、SD/MS対応のカードリーダー、PCカードスロットを備える 写真6 光学ドライブには、DVD-RAM、DVD±R/RW(DL対応)への書き込みが可能な、DVDスーパーマルチドライブを搭載 画面3 録画番組のライブラリ表示画面。ここから携帯電話用動画への変換を行う「SD書き込み」や、DVDを作成する「ディスク作成」などを行える

 また、録画したデータを再生するさいには「いいとこ観」というユニークな機能も利用できる。これは、映像と音声を元にシーン解析を行い、重要な部分だけを抜き出して再生することができるものだ(画面4)。ニュースであれば冒頭部や重要資料が表示されたシーン、スポーツなら得点シーンやゴールシーンなどが抜き出されることが多い。新聞や本には斜め読みと呼ばれる行為があるが、いいとこ観はまさに映像の斜め読みといった雰囲気で、しかも自動的に実現できる機能となっている。いいとこ観では映像データを何分に短縮するかを指定することもできるので、夜寝る前に今日のニュースやサッカーの試合だけ軽くチェックしておく、といった使い方がいいだろう。

 さて、このほかの同社オリジナルのソフトウェアも充実している。用途別にジャンル分けされたアプリケーションのランチャー「わくわくナビ」(画面5)や、目的別に必要なアプリケーションや操作方法を説明してくれる「Priusで楽しもう!」(画面6)など、目的実現のためのソフトが分かりやすいようにするという配慮が感じられる。

画面4 「いいとこ観」を実行した画面。再生バーの下に表示された黄色の部分が「いいとこ」として抽出された部分で、再生時はこれ以外の部分がスキップされる
 
画面5 アプリケーションランチャーの「わくわくナビ」。何をしたいか、からアプリケーションを逆引きできる使いやすいランチャーだ
 
画面6 こちらはヘルプ機能の「Priusで楽しもう!」。アプリケーションや操作方法の解説が読める


 さらに、「Priusかんたんランチャー」(画面7)では、ファイルサーチや画面拡大などの同社独自ツールの起動が行える。このなかでとくに便利そうなのが「読みワザ」だ。このソフトは一言で表してしまえばテキスト読み上げソフトであるが、Internet ExplorerやAdobe Reader、Microsoft Word/Excel上の文章を読み上げることができる(画面8)。以前からこの手のソフトは存在したが、読みワザ!は発音、イントネーションともに人間の声にかなり近く、人工音声の不自然さがとても少ない。片手間に文章をチェックしたいときなどに再生しても問題は生じなかった。
画面7 Priusの独自ユーティリティに特化したランチャーである「Prius かんたんランチャー」

画面8 独自ユーティリティの「読みワザ」では、Internet Explorerなどに表示されている文章を音声で読み上げてくれる


日立ダイレクトならカスタマイズ購入も可能
 同社の直販サイトである日立ダイレクトでは、本製品の仕様をカスタマイズして購入することも可能だ。選択できるのはOS、CPU、メモリ、HDD、TVチューナー、ディスプレイ、Microsoft Officeの有無。たとえばOSはWindows XP Professional/Home Editionから選べるし、CPUではPentium 4 630、Celeron D351、Celeron D346の3種類から選択できるので、テレビを楽しみながらPCで作業したいならPentium 4 630を選ぶといいだろう。メモリ容量は多いほうがいいが、予算に応じて256MB(256×1)・512MB(256×2)・1GB(512×2)・2GB(1GB×2)から選ぼう。HDDは40/80/160/320GBの4種類で、番組をたくさん録画するなら320GBがおすすめだ。TVチューナーについては地デジ・地アナ/地アナのみ/チューナーなしを選択可能。ディスプレイは15/17/19/20ワイド/26ワイド/32ワイドから選べる。

 また日立ダイレクトでは、今回紹介した「Prius Air AR75」のほか、ディスプレイ一体型の「Prius One AW37」もラインナップにあげられており、OSはWindows XP Professional/Home Edition、メモリは256MB(256×1)・512MB(256×2)・1GB(512×2)、HDDは40/160/320GB、TVチューナーは地デジ・地アナ/地アナのみ/チューナーなし、Microsoft Officeの有無で、こちらも用途や予算に応じてカスタマイズできるのがうれしい。

 店頭モデルには「これを買えばとりあえず安心」というわかりやすさがあるが、日立ダイレクトではパソコンについて一通りわかっている人や明確な使用目的がある人が、あたかも“バイキング式”のようにお好みのパーツを組み合わせられる。リビングユースのパソコンでもハイスペックを追求したり、妥協できない項目があるなら日立ダイレクトを利用すれば実現できることになる。

 ということで、以上のとおり本製品を見てきたが、AVパソコンとして家電感覚で利用することも現実的な製品となっている。その家電に例えるならば、液晶テレビと地デジ&地アナ対応のHDDレコーダーに加えて、PCの機能を持っているといった感じだろうか。

 そのPCの機能は目的の作業を行えるソフトを見つけやすい配慮など、初心者に優しい作りが印象的だ。もちろん、テレビやHDDレコーダー機能でマウスが利用できる点や、同一画面上にPCとテレビの映像を映して同時作業を行うといった利便性の高さはPC製品ならではである。リビングに置くテレビなどの家電を新調しようとしている人も、本製品を購入検討の対象としてみてはいかがだろうか。



関連情報
・日立ダイレクト
http://hitachi-direct.com
・製品情報(Prius Desktop P Series)
http://prius.hitachi.co.jp/go/prius/pc/2006jan/desktop_series/index.html
・日立製作所
http://www.hitachi.co.jp/

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