キヤノン　パワープロジェクター『SX60』

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【 2006年4月26日】

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キヤノン、Adobe RGB対応のビジネス向け液晶プロジェクター

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キヤノン、オフィスでの使い勝手を向上させた液晶プロジェクター

【 2006年3月24日】

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【PIE2006】キヤノン、IXYとPowerShot春モデルを一挙展示～大判プリンタやフォトプロジェクターを参考展示

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キヤノンパワープロジェクターホームページ

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キヤノン株式会社ホームページ

　液晶プロジェクターと言えば、設置のわずらわしさ、設定の難しさ、表示クオリティの面で、あまり良い印象を持っていない人が多いのではないだろうか。また、液晶プロジェクターの画面をキレイに投写するためにはスクリーンを用意しなければならず、最低でもホワイトボードのような白い大きなスペースが壁面に必要になる。いざ場所を確保できたとしても、プロジェクター本体の調整がめんどうで、画面のゆがみやピントなど、わずらわしい設定が山ほどある。とくに、プレゼンテーションのときは緊張することが多いのに、みんなが見ている前で設定がうまくいかなかったら、余計に緊張してしまう。

　キヤノンの新型液晶プロジェクター「SX60」は、そんな液晶プロジェクターの使いづらい部分をすべて解消した革命的な製品だ。まず、投写する画面の調整を、SX60では手動で行う必要がない。ボタン一発、すべて自動で行ってくれる。もう、事前のテスト投写などは必要ないのだ。本番でボタン一発、すぐに設定が完了する。これは実際にさわってみると、本当に驚く。液晶プロジェクターの欠点とも言える設定のわずらわしさが完全に解消されている。この機能は「オートセットアップ」機能というものだが、まるでオートフォーカスのカメラのように、ジジジジーと音がして画面のピントをピタリと合わせてくれる。さすがカメラで実績があるキヤノンである。しかも、画面の台形ゆがみなども自動で設定し、ホワイトバランスまで合わせてくれるから驚きだ。もう画面の設定であせることはない。電源を入れて、ボタンを押すだけですべては完了するのだ。液晶プロジェクターもついにここまで来たか。日頃液晶プロジェクターを使っている人は、こういう製品を望んでいたはずだ。

▲正面の下にあるスイッチのようなものは、本体の高さを変更するボタンだ。従来のプロジェクターのように2箇所ではなく1箇所で調整可能なので、片手でもラクラク調整できる。		▲本体の左側面には2つの冷却ファンを内蔵している。いかにも音が大きそうだが、静音モードでは27dBもの静音動作を可能としており、近付かない限り、ほとんど音は聞こえない。
▲本体の右側面には、DVI-I入力、Dsub 15ピン入力、Dsub 15ピン出力、音声入力、コンポジット入力、S-VIDEO入力、専用端子、USBポートを搭載する。インターフェースとしては十分な種類だ。		▲本体、またはリモコンのオートセットアップボタンを押すと、オートセットアップ機能が実行される。映像の傾きやゆがみ、ピントなどをすべて自動で設定してくれる。もう手動での設定作業は必要ない。

　さらに、通常の使用であればスクリーンだって必要ない。「オートスクリーン色補正」機能により、SX60は壁面や黒板などに投写した場合でも、その投写面に合わせた見やすい調整を自動で行ってくれる。たとえば社員旅行に行くときや、友人と旅行に行くときなどにSX60を持っていけば、その日に撮影した写真を宴会場や部屋の壁などですぐに見ることができる。この機能は、プレゼンテーションでの使用時に、より大きな効果を発揮する。SX60なら、スクリーンやホワイトボードがない会議室でも、何の問題もなく画面を表示できるのである。これは従来では考えられないことだ。

▲スクリーンをしまい、壁に直接投写してみた。クリーム色の壁にもかかわらず、見事なまでに色も出て、細部もキレイに表示される。なお、格子上の線は、壁にもともと入っている線だ。

▲付属のリモコンで、細かい設定変更も行える。このリモコンもコダワリの逸品で、スクリーンでも天井でも、どこに向けてもかなり広い範囲で操作に反応してくれる。一般的なプロジェクターのリモコンとは感度が違う。

▲スポットライト機能では、画面上に小さなスポットライトを当てることができる。リモコンで位置を動かすことができるので、プレゼンテーションのときに便利に使える。

　また、SX60は本体の動作音を落とす静音モードを搭載している。液晶プロジェクターでは、どうしても冷却ファンなどの動作音が気になることが多い。その点、SX60の静音モードでは27dBの静音動作を実現し、ほとんど気にならないレベルにまで動作音を抑えることに成功している。プレゼンテーション中に、液晶プロジェクターの音が気になるということはSX60ならなくなるわけだ。

▲本体の設定でランプモードを静音に切り換えると、27dbの静音モードになる。会議中など、誰かが話しているような環境では、本体の音はまず聞こえない。

▲静音動作を実現するために、本体内部のエアフローも研究されている。これはSX60の空気の流れを描いたCG。

　SX60は片付けを簡単に行えるという点でも工夫されている。液晶プロジェクターは、通常は使用後にしばらく電源を入れたままにして本体を冷やさなければならない。お客さんのところでプレゼンテーションをやるときには、この片付けの時間が気まずいものだ。ところがSX60は、使用後にすぐに電源コードを抜いても大丈夫。電源が切れたあとも、内蔵コンデンサによって冷却ファンが回り続ける設計なのだ。冷却は約2分で終わるので、電源コードの片付けや、資料の整理などをしている間に本体は冷却完了する。まさにお手軽プロジェクター。SX60を使ったら、もう通常のプロジェクターを使う気にはなれないだろう。

　SX60にはカメラメーカーならではのコダワリの技術がふんだんに使われている。とくに画質に関しては一切妥協がない。SX60の表示解像度はSXGA+（1,400×1,050ドット）を実現しており、高解像度のパソコン画面を問題なく表示できる。パソコンでハイビジョン画質（HDTV）の映像を再生したいときなどでも、劣化なしでそのまま表示可能だ。一般にはあまり知られていないことだが、キヤノンは高解像度の液晶プロジェクター市場で約78%のシェアを誇っており、プロの間でもその評判は高い。高解像度の液晶プロジェクターならキヤノンと言ってよい状況になっており、実績も信頼性も十分だ。また、「LCOSパネル」の採用にもカメラメーカーとしてのコダワリが見える。通常は、映像を表示する光学部分にTFT方式を採用することが多いが、キヤノンではLCOS（Liquid Crystal On Silicon）方式にこだわった。これにより、階調性に優れて、かつグリッド感（格子感）のない美しい表示を可能にしているのだ。とくにグリッド感については、「写真をキレイに見ることができないプロジェクターを出すわけにはいかない」というカメラメーカーとしてのコダワリがあったという。目指したのはフィルム画質というわけだ。さらに、映像ソースの色表現を忠実に再現するsRGBに対応している点も大きな特徴である。

▲解像度は1,400×1,050ドットまで対応する。この解像度で表示すると、まるで液晶プロジェクターではないようにさえ見える。それほどに、精細な表示が可能だ。

▲SX60は、明るい会議室で使った場合でも十分な画質を提供する。高解像度なので細かい文字も判別可能であり、美しい表示画質によりプレゼンテーションの表現力が増すことは間違いない。見る側も、その表現力の高さには驚きを隠せない。

　高解像度表示が可能ということで、パソコンとの相性は抜群に良い。電気回路などの細かい図面の表示や、デジタルカメラで撮影した画像の表示、動画を使用したプレゼンテーションはもちろん、イベントなどでの特殊効果など、パソコンと接続することで今までの液晶プロジェクターにはない表現が可能になる。

　また、映画の視聴用に特化したホームシアターモードの搭載も新しい。ホームシアターモードでは、専用のシネマフィルターがレンズの後ろに機械的に挿入され、投写される映像が映画向きの画質になる。ホームシアターモードではランプの明るさも自動で絞られ、暗闇でも目が疲れない自然な映像を実現している。SX60は、ビジネス用途だけではないオールマイティに使用できる新世代の液晶プロジェクターなのだ。

▲ホームシアターモードで映画や写真を見ると、このプロジェクターの違った一面を見ることができる。注目は空の雲の表現だ。こういった明るいグラデーション部分は通常のプロジェクターでは真っ白になってしまう。暗部もよく出ているし、これだけの表現力ができるということに驚きだ。

▲イメージモード設定で、画面の見え方を変更できる。プレゼンテーションは少し明るくメリハリのある表示に、ホームシアターでは専用のシネマフィルターにより映画に適した画質になる。

　プレゼンテーションでは、細かいデータが書き込まれた表を表示したいことがよくある。通常のプロジェクターでは潰れて見えなくなってしまうそのような表でも、SX60の解像度なら難なく表示可能だ。もう、プロジェクターの性能に合わせて、自分の表現力を殺す必要はない。表示したいもの、見せたいものをダイレクトに表示できる。それが高解像度プロジェクターの魅力だ。

　さらに、SX60には業界の常識を打ち破る驚きの新機能が搭載されている。それは、真上や真下方向への投写だ。従来のプロジェクターでは、真上や真下に投写を行うと、ランプが割れてしまい、使うことができなかった。そこで、キヤノンでは設計をいちから行い、真上と真下への投写に成功した。真上と真下への投写については、実はかなりのニーズがある。たとえば真下への投写では、建築業などで図面を机に投写してみんなで見ることができ、真上への投写ではイベント会場などの演出効果として使うことができる。そのような用途では、従来はユーザー側が使いたくても使うことができなかったのだ。こういったキヤノンの製品への情熱は、SX60を実際に触ってみると、実によく感じることができる。

▲表示中の画面から本体でキャプチャを行い、任意の絵を起動画面などに設定できる。

▲設定後本体の電源を入れなおすと、起動画面にこのように表示された。たとえば自社の会社ロゴなどをキャプチャしておけば効果的だろう。

▲SX60の洗練された内部構造。パッと見単純にも見えるが、これを作り上げるためには数々の試行錯誤や実験の繰り返しが必要になる。

　キヤノンは、SX60のほかにも、映像のプロをターゲットにした「SX6」と、導入しやすく機能のバランスがとれた「X600」を発売した。どちらも、SX60と同様にキヤノンの情熱が注ぎ込まれた最新モデルだ。SX6は、「Adobe RGBモード」を搭載し忠実な色再現性を高め、ランプの明るさをSX60の2,500mlから3,500lmに上げている。これにより、より明るい場所での表示が可能になり、同じ明るさならより大きな表示を行うことができる。展覧会やイベントでの映像表示など、より広範囲での使用が可能だ。

　一方、X600はSX60とSX6の基本機能は継承しつつ、解像度をXGA（1,024×768ドット）に落としたエントリーモデルとなっている。簡単な操作性や、LCOSパネル、静音設計などの機能は欲しいが、高解像度でなくてもいいというユーザーをターゲットにしている。

　いずれにしても、SX60、SX6、X600はどれもキヤノンの液晶プロジェクター技術をふんだんに取り入れた、液晶プロジェクターの常識を覆す驚きの液晶プロジェクターである。どれを選んでも、期待以上の表現力を見せてくれるはずだ。

■URL
・キヤノンパワープロジェクターホームページ　 http://cweb.canon.jp/projector/index.html
・キヤノン株式会社ホームページ　 http://canon.jp/

小林輪
バイク好き、車好き、パソコン好きのフリーライター。パソコンのハードウェアを中心に、レビュー記事などを執筆中。