今やケータイは誰もが利用する便利なアイテム。そういう道具だからこそ、使いやすさに考えた大人のケータイが欲しい。そんなニーズに応えてくれる端末「GENT 812SH s」が登場した。実機を見ながら、その使いやすさへのこだわりをチェックしてみよう。
法林岳之執筆  使いやすさを追求した  大人のためのシックなケータイ  GENT SoftBank812SH s

大人が持てるシックで美しいケータイ

812SHと共通の筐体だが、落ち着いたカラーリングにより高級感が漂う
手にフィットして持ちやすいラウンドフォルム
厚さはコンパクトたが薄すぎないので持ちやすい

 初のカメラ付きケータイやカラー液晶搭載端末、メガピクセルカメラ搭載端末、昨年からはワンセグ対応端末の定番「AQUOSケータイ」を展開するなど、日本のケータイ市場をリードしてきたSHシリーズ。SHシリーズと言えば、液晶ディスプレイやカメラモジュール、ワンセグなど、ハードウェア面でのアドバンテージが目につくが、その一方で端末の使いやすさにおいてもユーザーからの高い支持を得ており、それが国内トップシェアを支える原動力になっていると言われている。

 今回発売されたソフトバンク向け端末「GENT 812SH s」は、従来のSHシリーズで培われてきたノウハウを活かし、使いやすさを追求した大人のケータイだ。GENTはその型番からもわかるように、今年1月に発表され、20色展開で話題となった「812SH」をベースにしており、これをターゲットとなるユーザー層に合わせ、きっちりと作り込んだ端末となっている。

 現在、国内のケータイ市場は契約数が約1億近くに達するほど、広く普及しつつある。なかでもここ数年、中高年層の利用に注目が集まっている。ただ、ひと口に中高年層と言っても実際のユーザー像はかなり幅広く、シンプルなケータイを求めるユーザーもいれば、ラインアップの主力モデル並みの機能を必要と考えるユーザーもいる。中高年層は人生経験が豊富なうえ、モノを見る眼も肥えているため、こうしたユーザー層へ向けた商品開発は、ケータイに限らず、難しいとされている。

 そこで、GENT 812SH sはアクティブな中高年層のユーザーに受け入れられるように、812SHに搭載された機能を継承しながら、「見やすさ」「持ちやすさ」「使いやすさ」というケータイの基本をしっかりと押さえたケータイとして、まとめられている。他に販売されているようなシニア・シルバー層向け端末と一線を画し、大人が持っていても恥ずかしくない端末として、仕上げられているのが特徴だ。実際に、こうした年齢層のユーザーからは「いかにもシニア向け、シルバー向けといったデザインの端末はあまり持ちたくない」という声が聞かれるが、GENT 812SH sはそうしたニーズにもきちんと答え、通常デザインの端末と比べても遜色のない美しい仕上りの端末となっている。

使いやすさを考えたアークリッジキー

キーの文字を大きくし、かつ日本語表記にしたことで迷うことがない
押しやすさに配慮したアークリッジキーを採用
立ち上げ時に選べるようになった、でか文字メニュー
本文だけでなく、宛先、件名、タブ表示も大きく見やすくなった
(左が812SHの画面で、右が812SHs)
日付と曜日のフォントも大きくなったカレンダー
(左が812SHの画面で、右が812SHs)
電話帳も見やすく宛先も探しやすくなった
(左が812SHの画面で、右が812SHs)
アクセス後の画面表示が大きくなったY!ケータイ
(左が812SHの画面で、右が812SHs)

 では、GENT 812SH sは具体的にどのような点が使いやすく、見やすく、持ちやすくなっているのだろうか。

 まず、キーの形状については、812SHで高い評価を得たアークリッジキーが継承されている。812SHで初めて採用されたアークリッジキーは、ネイルなどを施している女性ユーザーでもタイプしやすいキーを目指して開発されたものだが、キーを押すときの指の傾きやふくらみを考えた形状になっており、一般的なサイズのキーでありながら、筆者のように、手が大きく、指先の太いユーザーでも操作しやすい形状を実現している。812SHで得られた評価を受け、アークリッジキーは今回のGENT 812SH sだけでなく、814SHや815SHにも採用され、SHシリーズのキーに対するこだわりが各機種に拡がりつつある状況だ。  GENT 812SH sではこうしたキー形状での使いやすさに加え、キートップに印刷される文字のサイズを大きくし、各機能を呼び出すためのキーも日本語で[戻る]や[メール]のように表記することで、ケータイの機能にあまりなじみのないユーザーでも操作を理解しやすくしている。

 次に、見やすさについてだが、液晶ディスプレイはシャープ製端末でおなじみのモバイルASV液晶が採用されている。ボディサイズに合わせた2.4インチの画面は、液晶ディスプレイ表示のために開発されたLCフォントを組み合わせることにより、グラフィックだけでなく、文字も読みやすくしている。

 これに加え、GENT 812SH sは、あらかじめ「でか文字メニュー」が設定されて いるが、[文字]キーを長押しすることで、「シンプルメニュー」「標準メニュー」 「でか文字メニュー」をワンタッチでいつでも切り替えることができる。 でか文字メニューを選択すると、でか文字モードに設定されるので、たとえば メールの作成画面では本文表示だけでなく、宛先や件名、変換候補の文字 サイズも大きく表示されるため、非常に見やすい。

 メニューを標準モードに設定したときも812SHに比べ、全般的に文字サイズを大きくするなど、視認性を考慮した画面構成となっている。たとえば、電話番号入力時やYahoo!ケータイの閲覧、カレンダー、電話帳、着信時の名前、カメラ設定など、頻繁に利用する画面の表示文字サイズは、いずれも812SHのときよりも大きくなっている。

 シンプルメニューについては、メールや電話機能、カメラ、便利機能、データフォルダに絞り込んだメニュー構成となっているが、各項目を文字で表現するだけでなく、左側にアイコンを表示し、画面下にはわかりやすい説明文を見やすく表示するなど、本当の使いやすさを考えたメニューとなっている。しかもこうした表現が1階層目だけでなく、2階層目についても同じようにアイコンと説明文が付加されている。

 ちなみに、メニュー周りについては、SHシリーズではおなじみの「カスタムスクリーン」に対応しており、メニュー画面やアイコンなどを一括でカスタマイズすることができる。カスタムスクリーンのコンテンツについては、シャープが運営する「カスタモ」から直接、GENT 812SH sに対応したものをダウンロードすることが可能だ。

 また、GENT 812SH sは、視覚的な部分以外についても使いやすさが考えられている。現在のケータイには当然のことながら、着信音がいくつもプリセットされているが、今までのケータイにプリセットされてきた着信音はどちらかと言えば、流行りや話題性を重視したものが中心だった。GENT 812SH sには、音響技術の専門であるヤマハの協力により、聞こえやすい音域や音色を重視し、ハッキリとクリアな着信音を6曲も採用している。もちろん、ダウンロードした着うた®や着信メロディを利用することもできるが、ユーザー層のことを考慮した使いやすい(聞き取りやすい)着信音があらかじめ用意されているのは、評価できるポイントのひとつと言えるだろう。

 使いやすさに配慮したGENT 812SH sだが、ボディデザインも持ちやすさが考慮されている。昨今、薄さを強調する端末が増えているが、日常的に持ち歩き、操作をすることを考えれば、持ちやすさや手になじむボディサイズというのは、ケータイ選びで重要な点のひとつだ。GENT 812SH sはボディ幅を日本人の手にもっともフィットしやすいと言われる約49mm、厚みも持ちやすさを考えた約17.6mmに収めており、トップパネルやボディ周囲はうまく角を落とし、手になじみやすいフォルムで仕上げられている。デザイン的にも大人の持ち物らしく、落ち着きと質感を兼ね備えた上質なものとなっている。

実用からエンターテインメントまで、活用できる機能が充実

有効画素数200万画素CMOSカメラを搭載。最大1200×1600ドットの静止画を撮影可能
microSD™メモリーカードに対応している
2.4インチのモバイルASV液晶で撮影した写真も美しく確認できる
サブカメラは有効画素数11万画素CMOSカメラを搭載しセルフショットに対応している
おサイフケータイ® に対応しスムーズなショッピングができる。もちろんモバイルSuicaにも対応している

 使いやすさや持ちやすさに配慮したGENT 812SH sだが、今どきのケータイとしての機能はどうだろうか。アクティブなシニア層などをターゲットにしたケータイはいくつか登場しているが、「使いやすさ=シンプル」と考えるあまり、機能がかなり制限されているものが多い。しかし、実際にケータイを使いはじめてみると、機能制限のために、十分にケータイを楽しめない、活用できないということが起きてしまう。

 GENT 812SH sは前述のような使いやすさを考えたユーザーインターフェイスを採用しつつ、きちんと必要とされる機能をサポートしており、通常のケータイと比べても何ら遜色のないどころか、高機能モデルにも迫るほど、充実した機能が搭載されている。ユーザーのスキルや好みに応じて、自分が必要とする機能を選びながら、ステップアップしながら、ケータイを活用していくことができるわけだ。

 まず、カメラは2Mピクセルのカメラをボタン部背面に搭載しており、最大1200×1600ドットの静止画、240×320ドットの動画撮影に対応し、背面の接写切り替えスイッチを操作すれば、至近距離での撮影も可能だ。撮影した画像は本体メモリーか、別売のmicroSD™メモリーカードに保存することができる。

 microSD™メモリーカードを利用した機能としては、ミュージックプレイヤーも利用可能だ。SD-Audioに対応したセキュアAAC形式の音楽データに加え、ノンセキュアのAAC形式のデータも再生可能だ。オプションで販売されているマイク付き液晶オーディオリモコン&イヤホンを接続すれば、デジタル音楽プレーヤーとしても活用できるわけだ。

 音楽以外のエンターテインメント機能としては、ソフトバンクのサービスとして提供されている「電子コミック」や「電子書籍」に対応する。もちろん、S!アプリによるゲームなども利用可能で、GENT 812SH sには体験版のゲームなどもプリセットされている。アプリには遊ぶためのものだけでなく、実用的なアプリも提供されており、別の機器で測定した体重や歩数を記録して グラフで推移を確認したりできる「ヘルスノート」がプリセットされている。

 ビジネスに活かせる機能も充実している。パソコンのホームページを閲覧できるPCサイトブラウザを利用すれば、外出中にノートパソコンを使わなくてもちょっとしたホームページなら、すぐに確認でき、ブログなどの更新もできる。また、ドキュメントビューアも搭載されており、microSD™メモリーカード(別売)を利用するなどしてMicrosoft® WordやMicrosoft Excel®などのオフィス文書、PDFファイルなどをいつでも閲覧(ファイルサイズなどの制限事項あり)することができる。ちなみに、他の機器とデータをやり取りするリンク機能として、赤外線通信、Bluetooth®に対応しており、パソコンや他のケータイなどとも連携しやすい環境を整えている。詳しくは、ソフトバンクやシャープのホームページを参照してほしい。

 また、ビジネスに限ったことではないが、3G/GSMの国際ローミングにも対応しており、申し込みさえすれば、海外出張や旅行などに持っていってもそのまま、GENT 812SH sを利用することができる。ソフトバンクの国際ローミングは2007年6月現在、世界174の国と地域で利用可能で、SMSやS!メール(MMS)、TVコールなどが利用できる地域も徐々に拡大している。海外利用時のために、相手国を選んでカンタンに発信できる国際発信機能や通貨計算などに便利な簡易電卓、現地とのデュアルタイム表示も可能な世界時計など、海外で利用することが多いユーザーにも適した機能が数多く用意されている。

 そして、ケータイを生活からビジネスまで、幅広いシーンで活用するときに欠かせない「おサイフケータイ® 」にも対応し、ソフトバンクが提供する S! FeliCa のサービスを利用することが可能だ。ICカードロックや電話リモートロックに加え、ソフトバンクならではのメールリモートロックにも対応しているため、万が一、紛失したときもメールが利用できる環境にさえあれば、すぐに利用停止をすることができる。ちなみに、JR東日本が提供するモバイルSuicaにはすでに対応しており、アプリをダウンロードして、登録をすれば、利用を開始できる。

 この他にもソフトバンクのサービスとして提供されているものとして、「アレンジメール」や「マイ絵文字」、「フィーリングメール」、「デルモジ表示」といったメール関連、天気予報などの欲しい情報が配信される「S!キャスト」、友だちの状態がお互いに確認できる「ホットステータス」、トランシーバー感覚で会話ができる「サークルトーク」、アドレス帳をサーバ側でバックアップしてくれる「S!アドレスブック」、お気に入りのニュースなどを待受画面に表示できる「ライブモニター」などに対応する。

こだわりを持った大人のためのケータイ

 今やケータイは特定の人だけが持つアイテムではなく、誰もが当たり前のように使う時代。つまり、それだけユーザー層も拡大し、幅広いユーザーのニーズに対応したものが求められている。GENT 812SH sはそういった幅広いユーザーの中でもアクティブなライフスタイルを求めるシニアユーザーをターゲットにした端末だ。しかし、従来のシニア・シルバー層を対象にしたケータイと違い、こだわりを持った大人が使うためのケータイとして、仕上げられている。4色のカラーバリエーションを持つボディカラーもそれぞれに落ち着きのあるカラーで、大人に相応しい質感の高い端末となっている。「シンプルで使いやすいものが欲しい」「『いかにも』という端末はちょっと……」「もっとアクティブに活用したい」というユーザーのニーズを高い次元でバランスさせた端末だ。もっと楽しく便利にケータイを活用したい、使いやすく、持ちやすい端末が欲しいというユーザーにこそ、ぜひ体験して欲しいモデルと言えるだろう。

高級感漂うシックで落ち着いた4色展開となる。左からディープグリーン、ウォームピンク、ナチュラルブラウン、マットシルバー

■関連情報
□「812SH s」製品情報(ソフトバンク)  http://mb.softbank.jp/mb/product/3G/812shs/
□「812SH s」製品情報(シャープ)  http://www.sharp.co.jp/products/sb812shs/

■関連記事



□ソフトバンク、シャープ製「GENT 812SH s」を21日発売
 http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/35539.html
□表示文字が大きいシャープ製「GENT 812SH s」
 http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/34605.html

■「SH Blog」 話題の夏モデルを一挙に使いまくり■
 http://ad.impress.co.jp/special/sh_blog/

法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」、「できるポケット LISMOですぐに音楽が楽しめる本」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「。

*PCサイトブラウザ、カスタムスクリーン、TVコール、ライブモニター、アレンジメール、フィーリングメール、サークルトーク、ホットステータス、S!アプリ、S!キャスト、S!アドレスブック、S!メール、デルモジはソフトバンクモバイル株式会社の登録商標または商標です。
*SOFTBANKおよびソフトバンクの名称、ロゴは日本国およびその他の国におけるソフトバンク株式会社の登録商標または商標です。
*microSD™はSD Card Associationの商標です。
*Bluetooth®は米国Bluetooth SIG,Inc.の登録商標です。
*FeliCa はソニー株式会社が開発した非接触ICカードの技術方式です。
*FeliCa はソニー株式会社の登録商標です。
は、フェリカネットワークス株式会社の登録商標です。
*「おサイフケータイ」は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
*モバイルSuicaは、東日本旅客鉄道株式会社の登録商標です。
*Microsoft、Excelは、米国Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標です。
*「Yahoo!」および「Yahoo!」「Y!」のロゴマークは、米国Yahoo! Inc.の登録商標または商標です。
*着うた®、着うたフル®は株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントの登録商標です。
*「アクオス」および「AQUOS」、「AQUOSケータイ」はシャープ株式会社の登録商標です。