ナチュラルでフィルムライクな味わい深い画調

LX300シリーズでは動画ボケを抑え、スッキリした映像を実現


ハイビジョン映像を格調高く再現

 圧倒的な解像感で、生の視界の再現に肉迫した映像リアリティが楽しめる「ハイビジョン映像」。

 昨年から開始された地上波デジタル放送を利用すれば、これらのハイビジョン放送が無料で楽しめる。これからのテレビの買い換えには「ハイビジョン対応」が欠かせない要素になる。

 「ハイビジョンが素晴らしいのはわかるが一体これで何を見るか、何が見られるのか」

 今年2004年はアテネオリンピックが開催されるオリンピックイヤーであり、格好の素材がすぐそこまでやってきているのだ。

 そんな中で発表された新液晶VIERA LX300モデルがハイビジョンに対応していないわけがない。しかも、ただ「映せる」だけの簡易表示ではなく、「高品位なハイビジョン表示」に対応しているのがLX300モデルの特長なのだ。

 26インチ以上のLX300モデルは同クラスのスペックの競合機と比較しても720p以上の解像感を感じることだろう。これは、プラズマVIERAの時にも紹介したが、VIERAシリーズに搭載される高画質システム「新PEAKS」の誇る「サブピクセルコントローラー」による効果だ。

 ハイビジョン映像はインタレースの1920x1080解像度で構成されており、LX300に採用されている1280x768といったパネル解像度で表示するためには解像度変換が必要になる。LX300のサブピクセルコントローラーは、この解像度変換を各画素を構成するRGB(赤緑青)の三原色画素(サブピクセル)単位で行うために、液晶パネルのスペック解像度を上まわる解像感が得られてしまうのだ。

 これはハイビジョン表示だけでなく、DVDビデオ映像、地上波アナログ放送の映像、ゲーム機からの映像の表示にも威力を発揮する。例えばDVD映像は720x480ドットで構成されるが、LX300で表示する際には、今度は逆に映像の拡大処理が必要になる。これが一般的な液晶テレビでは走査線が太くなったような鈍い映像になりがちだ。
 ところが、LX300ではひと味違う。角度の浅い斜め線のエッジにはジャギーが出ず、きめ細かいレリーフ情報を持つ面表現もぼやけずにそのハイディテールが正確に表示されるのだ。デジタルな固定画素系への表示とは思えないほどの、いうなれば、アナログ的な味わいを持った映像となるのである。

 アナログ的といえば、LX300の発色についても同様の味わいがある。時間積分的な明滅効果で階調を作り出すプラズマとは異なり、液晶は光の透過をアナログ的に制御することで明暗を、ひいて色の階調を作り出している。このためにプラズマと比べて柔らかな色合いとなる。液晶VIERAにもこの特性があり、サブピクセルコントローラーによるナチュラルなディテール感と、柔らかな色特性が、非常にフィルムライクな画調を作り出してくれるのだ。この特性はDVD鑑賞に非常に向いていると思う。

「サブピクセルコントローラー」でギザギザのないなめらかな描画

 色合いこそアナログ的で味わい深いのだが、これまでの液晶テレビには暗部の階調性とコントラスト性能が物足りないという弱点もあった。

 液晶テレビは、先ほど少し触れたように、映像表示面のバックライトの光の透過させ具合で明暗を表現している。完全な黒表示においても、バックライトの光が漏れてきてしまい、黒が明るいという…いわゆる「黒浮き」現象を引き起こす。これがその弱点の原因だ。

 この弱点を克服するために、パナソニックは、映像の明るさ情報をリアルタイムに監視し、そのシーンに適した明るさでバックライトを駆動する「シーン適応型バックライト制御」機構を開発、液晶VIERA全モデルに搭載した。暗いシーンではバックライトの光量を制限し、黒浮きを抑えるわけだ。

映像シーンに合わせてバックライトの明るさをリアルタイムに制御、コントラスト豊かな画像を再現

 さらに、そのシーンの明るさに応じて、明部領域と暗部領域とで階調解像度を切り換えるという「シーン適応型コントラスト/ガンマ補正」も全ての液晶VIERAシリーズに搭載されており、この2つの機構の相乗効果により、映像信号に含まれる階調情報を超えたハイダイナミックレンジな階調表現、コントラスト表現が可能となっている。筆者も、液晶VIERAを最初に見たときには、バックライトを透過させている液晶パネルではなく、画素が自発光しているのでは…? と思ってしまったくらいだ。

 暗い洞窟シーンではその岩壁の凹凸がはっきりと浮かび上がり、逆に晴れ晴れとした晴天下の草原のシーンではまばゆいばかりの青空が輝いて見える…現実世界では当たり前のこうした感覚が、液晶テレビで自然に再現できていることには感動すら覚える。

応答速度、広視野角、長寿命。液晶VIERAに隙なし!

これだけ横から見ても非常に高いコントラストを維持しており、広視野角にあらためて感動した。ちなみにホームシアターらしい雰囲気を演出するために部屋のライトを消している

 未成熟だった初期の液晶テレビ製品の影響からだろうか。液晶テレビは「視野角が狭い」「応答速度が遅い」「寿命が短い」という認識を持つ人が多いようだ。結論から言えば液晶VIERAでは、こうした弱点は先代から克服済みであり、さらに一層の性能向上が図られている。

 LX300は、高精細ハイビジョン液晶パネルを搭載したことにより、上下左右全方向176°の広視野角を実現している。リビングにおけばテレビを取り囲んだソファに家族全員が腰掛けて楽しめ、ダイニングにおけば食事や調理をしながらの視聴も難なく行えるのだ。

 「応答速度」についてもLX300では問題にならない。液晶を駆動するパルスをオーバードライブすることで、液晶素子の応答が最も遅くなる中間階調応答速度で14msを達成している。毎秒60コマの映像表示には理論上16msあれば十分なので、これよりも速い応答速度を持っているLX300では、一般的な映像表示で残像が知覚されることはほとんどないのだ。ゲーム機を接続して3Dゲームをプレイしても「液晶だから遊びにくい」ということもない。液晶VIERAはテレビ装置としてだけでなく、汎用のビデオモニタとしても高い機能を持っているのだ。

 寿命についても、バックライトの寿命は公称6万時間となり、もはやブラウン管とほとんど変わらない長寿命性を実現している。液晶VIERAは、すべての点で妥協はないのだ。

薄型軽量で省エネ。

 薄型軽量、省電力性能に優れ、省スペース設置性までを兼ね備えた液晶テレビは、今、非常に熱い視線を持って注目されている。

品 名 地上・BS・110度CS
デジタルハイビジョン液晶テレビ
品 番 TH-32LX300、TH-26LX300
発売月 2004年6月予定
価 格 未定

32インチと26インチの2モデルが用意されたLX300
商品特長  
   
高画質システム 新「PEAKS」搭載
  1. LCD PEAKSドライバー搭載
  • 液晶テレビで業界最高 「23億6000万色相当」の色表現力(アドバンスト液晶AI)
    ※2004年5月10日現在、液晶テレビとして
  • 鮮やかな色表現「ビビットカラークリエーション」
  • 滑らかでシャープな再現「サブピクセルコントローラー」
2. LCD PEAKSパネル(バックライト寿命 約60,000時間)
  高精細・高輝度・高コントラスト・広視野角を実現
  • 斜め視野角(176度)のコントラスト向上
  • 高速応答:業界最高水準14msecを実現
3. PEAKSプロセッサー
   
SD動画(MPEG4)録画/再生対応
 
  • SD&PCカードスロット搭載(PCカードは静止画のみ対応)
   
NEWテレビ番組ガイド(EPG)搭載
 
  • 地上・BS・110度CSデジタル/地上アナログ放送対応
   
「Tナビ」サービス対応
  (ホームプリンター対応)
   
新チューナー一体型デザイン
 
  • 地上・BS・110度CS/地上アナログ放送チューナー内蔵
  • プラズマテレビと合わせた、流れるラインが美しい一体型デザイン
  • スマートサウンドスピーカーシステム搭載

 液晶VIERAの本体サイズは、最大画面サイズの32インチモデルのスタンド付きで幅897x高さ676x奥行301mm。アスペクト比4:3の21インチのブラウン管テレビを部屋のコーナー置きにしていた場所に液晶VIERAの32インチモデルを設置しても、画面位置は約18cmほど奥に設置できる。つまり、21インチテレビが置けていたスペースに、より場所を取らずに32インチのLX300が置けてしまうのだ。

32インチモデルは21ブラウン管テレビよりも省スペースだ

 重量は約23kg。同サイズブラウン管テレビの半分以下の重量で、ちょっとした移動ならば1人でも行えることだろう。

 消費電力は最大画面サイズの32インチモデルのLX300で、約195W。これはブラウン管テレビとそれほど変わらない。

 設置スタイルは、純正専用台の他に、純正の壁取り付け金具が設定されているので壁掛け設置も可能。ただし、本体と金具の総重量が26インチモデルでも20kgを超えるので、壁設置の場合は壁の補強が必要になる。

ハイビジョン時代のベストパートナー、それが液晶VIERA「LX300」だ

LX300だけでSDメモリーカードに録画できる!

 LX300は、パナソニック製品らしく、フロントパネルにSDメモリーカードスロットが実装されている。これもまたLX300の活用の幅を広げてくれる心憎い機能の一つとなっている。

 LUMIXなどのデジカメでSDカードへ記録した写真データはこのSDメモリーカードスロット経由で、パソコン不要で直接LX300で鑑賞することができるのだ。もちろん、LX300の液晶パネルの高解像度性能を活かした形で表示されるので、場合によってはパソコンで見るよりも高画質に鑑賞ができるかもしれない。

 そして、もう一つ、最新液晶テレビならではのSDメモリーカードの使い方といえるのが、地上アナログ放送のSDカードへの録画機能だ。

 一切のオプション機器を使わずとも、LX300本体だけで、SDメモリーカードスロットに差し込んだSDメモリーカードに録画ができるのだ。

 なお、録画形式はMPEG4になり、これは、パナソニックのSDマルチカメラの最新「D-snap」等で再生することができる。そう、LX300は、映像を見て楽しむだけでなく、ユーザーにテレビ番組(地上アナログ放送)を録って持ち出す楽しさまでも提供してくれるのだ。

 番組表連携等による洗練された使い勝手、映像メディアを持ち出すことを可能にした活用性、テレビメーカーとしての威信を賭けて高められた高画質性。

 こうしてみてきて分かるように、LX300は、初期の液晶テレビが持っていたマイナスイメージを微塵も感じさせない…どころか、フラットテレビの標準的存在としても申し分ないポテンシャルを獲得するに至っている。

 時代がテレビに求めている全ての要素に対し、一通りの「答え(応え)」を持っているフラットテレビ、それが液晶VIERA LX300なのだ。

■関連情報
□ビエラホームページ http://viera.jp/
□ビエラ開発ストーリー http://viera.jp/story/
□パナソニックサイト http://panasonic.jp/

■関連記事
□松下、2004年夏商戦「VIERA」の新モデル13機種を発表
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20040510/pana4.htm
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