画質チェック〜高画質システム 新「PEAKS」で、簡易表示ではないハイビジョンの本当の"旨味"を再現

今回のレビューでは42v型のPX300を使用した。読者のみなさんに画面の美しさを直接見ていただけないのが実に残念だ。

 今、テレビに求められるもう一つの重要キーワード「ハイビジョン」。今までは「見たい人だけのもの」だったハイビジョンは、地上波デジタル放送の開始で状況が変わってきた。これからはハイビジョンは「みんなのもの」になる。

 プラズマVIERAは全て、ハイビジョン表示に対応する。それもただ「映せる」という簡易対応ではなく、パネルの解像度そのものが全モデル縦720ドット以上あるため、「リアル720p対応」という形での対応になる。

 ちなみにハイビジョンは本来、インターレースながらも1080ドットの縦解像度があり、通常のリアル720p表示では若干ながら解像感の欠落が起こる。にもかかわらず、プラズマVIERAでは、なぜかリアル720p対応の他社競合機よりも解像感が高く見える。これはなぜか。

 その秘密は新搭載の「サブピクセルコントローラー」にある。

 プラズマテレビでは1つに見える画素も、それぞれが実は隣り合うRGB(赤青緑)の三原色画素(サブピクセル)の色が混ざってフルカラーを形成している。プラズマVIERAではこのサブピクセル単位で表示映像を再構成するので、いわゆる記載されたスペック上の解像度以上の解像感が得られてしまうのだ。同一スペックの他者競合機と比べてみると、ジャギーの少なさ、ディテール表現におけるぼやけの少なさで、その差は見た目に分かるはずだ。

RGB各色を1ドットずつ処理する「サブピクセルコントローラー」でなめらか映像を実現

 その甲斐あって、ハイビジョン映像が持つ高解像感は高い次元で再現される。今までのハイビジョン映像の大画面表示では、大画面表示にすればするほど"眠たさ"が増し、文字通り「大きく映っている映像」止まりの感覚だったが、プラズマVIERAではこの高解像感と大画面性が掛け合わさることで、まさに「視界の再現」が具現化した印象だ。

 プラズマVIERAは解像感だけでなく、画質の善し悪しの根本を左右する「階調性」と「色再現性」にも新技術が盛り込まれている。

 階調性の再現に関しては、新生プラズマVIERAでは、暗部階調を従来の1536階調から2048階調、明部階調を従来の1024階調から1536階調へと進化させた。筆者が特に注目したいのは暗部の階調性の方だ。

 プラズマは、開口率の変化で光をアナログ的に制御するのではなく、光の明滅を高速に行って、時間積分的な、いうなればデジタル的な光量制御により明暗表現を行っている。これはデジタル映像ソースと相性がいいことは自明なのだが、それゆえにアナログ的な暗部階調表現が正しく知覚されにくいという弱点があった。

 新生プラズマVIERAでは、暗部階調精度を劇的に改善させたことにより、柔らかで自然な暗部階調を獲得し、驚異的とも言える36億2000万色の色表現力を実現したのだ。

 また、黒でも若干発光してしまう「黒浮き」の問題についても、新生プラズマVIERAでは、画素セルの駆動制御において予備放電量を約1/10に低減する技術を開発することで対策を講じている。これにより、暗所コントラストがプラズマテレビの常識を打ち破る3000:1を達成している。

ディープブラックフィルターとリアルブラック駆動方式による「リアルブラック クリエーション」で、深みのある“黒”を再現

 美しい夕闇のシーンにおける繊細なグラデーション、SFスペースオペラ映画やホラー映画における暗闇下でのディテール再現なども良好で「もうプラズマが暗いシーンに弱いとは言わせない」というようなパナソニックの意気込みを感じることだろう。

 色再現については、全体的に色温度が低い、黄味が強めに出る傾向のプラズマの映像をデジタル次元で補正する新技術を投入することでレベルアップを図っている。

 「ビビッドカラークリエーション機能」と命名されたこの機能は、色補正を、輝度の増減に配慮した3次元マップで行うことで、人間の脳裏に思い描かれる「記憶に残るイメージのような美しさ」を追求する。緑がかった青空が「澄んだ青」に、黄色がかった草原が「みずみずしい緑」に補正されるのだ。特にスポーツ中継やバラエティ番組などには絶大な効果を発揮し、臨場感向上に貢献してくれる。なお、この補正機能のON/OFFは選択可能なので、ナチュラルな映像のみを楽しみたいという原信号至上主義者にももちろん対応可能だ。

輝度信号を加えた3次元空間での補正により、よりきめ細かな制御を行う「ビビッドカラークリエーション」で、圧巻の鮮明さを実現

 さらに、動画表示性能に優れたプラズマテレビに残された課題の1つであった「動画擬似輪郭ノイズ」についても、パナソニック独自技術の「モーションパターンNR」の導入により、大幅低減に成功している。今回導入された「モーションパターンNR」では動画のパターンノイズ(動画疑似輪郭)の出やすい映像を自動検出して最適表示を行っている。この技術により、動きの大きなシーンでも高い階調表現力を活かしたクリアな動画映像を再現でき、さらなる動画品質の向上を獲得したのだ。

デザイン・設置性チェック〜29インチブラウン管テレビのスペースに42インチプラズマVIERAが置ける!

 究極の映像のリアリティとは、目の前の視界そのものを再現することにある。この再現への根本的なアプローチとなるのが「映像を目の前一杯に広げること」…すなわち「大画面性」だ。

 VIERAシリーズの全ラインナップ中、37インチ以上のモデルがプラズマモデルであり、プラズマVIERAは「大画面性」を第一に訴求する製品となる。

 ラインナップされるのは37インチ、42インチ、50インチの3モデル。50インチモデルの画面サイズは実に幅約110cm、高さ約65cmになる。

品 名 地上・BS・110度CS
デジタルハイビジョンプラズマテレビ
品 番 TH-50PX300, TH-42PX300,
TH-37PX300
発売月 2004年6月予定
価 格 未定

VIERAでは37v型以上がプログレッシブハイビジョンのプラズマディスプレイ搭載モデルだ
商品特長  
   
高画質システム 新「PEAKS」搭載
  1. PDP PEAKSドライバー
  • 世界最高※36億2000万色の表現力
    ※2004年5月10日現在、うす型テレビとして
    「NEWアドバンスト リアルガンマ(最大2,048階調)」
  • 鮮やかな色表現「ビビッドカラークリエーション」
  • 滑らかでシャープな再現「サブピクセルコントローラー」
  • 動画疑似輪郭ノイズを低減する「モーションパターンNR」
2. PDP PEAKSパネル(長寿命60,000時間)
3. PEAKSプロセッサー(処理速度向上)
   
SD動画(MPEG4)録画/再生対応
 
  • SD&PCカードスロット搭載(PCカードは静止画のみ対応)。
   
NEWテレビ番組ガイド(EPG)搭載
 
  • 地上・BS・110度CSデジタル/地上アナログ放送対応。
   
HDMI端子搭載
   
「Tナビ」サービス対応
  (ホームプリンター対応)
   
新チューナー一体型デザイン
 
  • 地上・BS・110CSデジタル/地上アナログ放送チューナー内蔵
  • スマートサウンドスピーカーシステム搭載

 見慣れた20インチ台のテレビでは、「映像が箱詰めになっていた」という感覚だったと思うが、これに対して大画面プラズマでは、目の前が映像に支配される…といっていいほどの迫力がある。

 しかし、大画面のテレビはほしいが、リビングルームに置いて異彩を放っているようでは困る。大画面のテレビが部屋に溶け込むようになっていてほしい。テレビは家族のだれもが使うだけに、ある特定のユーザー層が好むようなデザインであってほしくない。このようなユーザーの願いは今年のプラズマVIERAでかなえられている。

 コンセプトは「フラットサーフェスデザイン」で、幅広いインテリアにもマッチするよう素材や質感にこだわっている。家具などで使われているガラスやヘアーラインアルミといった素材を使用し、グラデーションも施して周囲のインテリアが映り込みつつ違和感なく溶け込み、映像の浮遊感も演出するデザインとなっている。うす型テレビの普及によって、従来のAVマニア的な“スタイリッシュでシンプル”から幅広いユーザーの好みにあったエレガントなデザインに進化したのだ。

 画質やデザインには満足したとして、大画面となると気になるのが「自分の部屋に置けるのか」という設置性の問題だろう。

 これについては、さすがはフラットテレビの代表格、プラズマテレビだけあり、奥行きがない分、設置性の自由度は高い。

 たとえば、多くの一般家庭の据え置きテレビの設置スタイルである部屋のコーナー置きを例にして考えると、アスペクト比4:3の伝統的な29インチのサイズのブラウン管テレビが設置できていた場所には、42インチのプラズマVIERAが設置できる。

自分の部屋に置けないとあきらめていないだろうか。42インチVIERAは29インチブラウン管テレビのスペースに置けるのだ!

 画面は大きいが、重さは同画面サイズで見るとブラウン管よりも圧倒的に軽い。例えば29インチブラウン管テレビと42インチプラズマではだいたいプラズマの方が10kgは軽い。よって今のテレビで使っている設置台などは問題なく活用できる。

 そして、フラットテレビといえば、憧れの壁掛け設置を思い描く人も多いだろう。プラズマVIERAはその専用取り付け金具も純正オプションとして設定されている。ただし、総重量は37インチモデルでも30kgは超すので、壁の補強が必要になる点には注意したい。

使いやすさチェック〜EPGからSDメモリーカードに直接録画。パソコン入力対応、HDMI端子の採用。AVモニターとしてのポテンシャルは高い

 使いやすさの点で重要なのが、NEWテレビ番組ガイド(EPG)だ。新聞のテレビ欄不要で録画予約設定も簡単そのもの。地上アナログ放送をEPGで予約設定してSDメモリーカードに直接録画し、それを最新の「D-snap」などで外出先で見るという楽しみ方も可能だ。VIERAを中心に、デジタルライフはどんどん広がっていくのだ。

 また多くの平面テレビが、チューナー/インターフェースユニットとディスプレイ本体とを分けたデザインを採用する中、プラズマVIERAはチューナー/インターフェース部をディスプレイ部に統合させた、従来のテレビ機器スタイルのデザインを採用する。

 これは今あるテレビを置き換える際に透過的に行えるメリットがある。ディスプレイ部を省スペースに置けても、チューナー/インターフェースユニットが別にあると、この設置スペースをラック等に確保しなければならない。DVDプレイヤーやビデオレコーダーが既にラック内に設置済みの場合は何かの対策が必要になる。一体型のプラズマVIERAならばそのような問題は起こらないのだ。

 接続端子パネルに目を向ければ、その豊富な接続端子群に気が付くことだろう。D4入力端子が背面に二系統、Sビデオ入力は前後合わせて3系統、パソコンを接続するためのアナログRGB端子までが取りそろえられている。

 また、次世代の主流接続端子といわれているHDMI端子を先駆けて採用している点も特筆に値すると思う。HDMIは音声と映像の両方を1本のケーブルだけでデジタル伝送できる仕組みで、対応機器と組み合わせればD4接続したときよりも高品位な映像表示が行える。

 プラズマVIERAは「テレビ」としてだけでなく、AVモニターとしても優秀なポテンシャルを持っていることになるわけだ。

まとめ〜「大画面」の「ハイビジョン」を全ての人に

「そうそう、こういう色だよ」。VIERAの高画質は記憶の中に残る美しいイメージを呼び起こす

 プラズマテレビは各画素自身が発光する、自発光特性なので、部屋を暗くする必要はないし、明るい日中でもブラウン管以上の見やすさで楽しめる。視野角も広く応答速度も高速であるため、ゲーム機用のモニタとしての使い勝手も良好だ。

 消費電力の問題も、最新のプラズマVIERAでは、同型液晶テレビよりやや高い程度に抑えられており、以前から言われたような「プラズマは電気食い」のイメージは実は払拭されている。

 パネル寿命についてもプラズマは改善を見ている。VIERAの寿命は公称6万時間。これはもはやブラウン管の寿命と同等だ。

 プラズマは存在自体が新しいだけに、運用面での不安を持つ人も多いかもしれないが、登場当初とは違い、今やあらゆる不安要素が消え去っているのである。

 「大画面性」と「ハイビジョン」を「高品位に」…そして「誰もが」楽しめることを可能にした新世代フラットテレビ。今度の新生プラズマVIERAはそんな形容がぴったりとはまる。

■関連情報
□ビエラホームページ http://viera.jp/
□ビエラ開発ストーリー http://viera.jp/story/
□パナソニックサイト http://panasonic.jp/

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