法林岳之執筆

光学2倍ズーム・AF対応カメラを搭載した最強のカメラ付きケータイ「V602SH」

 初のカメラ付きケータイ「J-SH04」以降、常にカメラ付きケータイの市場をリードしてきたボーダフォンのシャープ製端末。この夏、いよいよカメラ付きケータイの最高峰を狙う究極モデル「V602SH」が発売された。カメラ付きケータイとしては世界初となる「光学2倍ズーム」を搭載し、ボディデザインもシーンに合わせてベストポジションで使える「スウィーベルスタイル」を採用するなど、今までのカメラ付きケータイを大きく超える製品として仕上げられている。ここでは魅力満載のV602SHを4つのポイントに分けて、じっくりと解説しよう。

撮る

 
ヒンジ部にカメラを配しているため厚みを感じない
 
  まさにデジカメ感覚のフォーカスロック機能
 
  撮影環境に応じてモバイルライトが自動点灯する「オートフラッシュ機能」

 世界のカメラ付きケータイの市場を切り開いたシャープとボーダフォン。新しいモデルが登場するたび、より高品質な撮影を可能にしながら、使いやすさもしっかりと追求し、市場でも常に高い支持を受け続けている。7月から販売が開始された最新モデル「V602SH」も注目されるところだが、実はV602SHには従来のカメラ付きケータイの進化から、大きくジャンプアップする機能が搭載されている。それが『光学2倍ズーム』だ。

 カメラ付きケータイは11万画素に始まり、30万画素クラス、メガピクセル(100万画素クラス)、2メガピクセル(200万画素クラス)といった具合いに、画素数を向上させることで高品質な撮影を可能にしてきた。デジタルカメラなどを見てもわかるように、画素数を向上させれば、基本的に高品質な撮影は可能になるが、あらかじめ決められた倍率で、ファインダーに見える範囲しか撮影できなかった。より被写体に近づいた写真を撮ろうとすると、実際に歩み寄って写真を撮るか、デジタルズームを使うしかなかったわけだ。

 これに対し、今回のV602SHはレンズを動かすことで撮影範囲をコントロールできる光学2倍ズームを搭載している。デジタルズームが画像の一部を引き伸ばし、切り抜くように撮影しているのに対し、光学ズームはレンズで拡大した画像を撮影するため、画素数のスペックを活かしながら、迫力のある画像を撮影することができるわけだ。もちろん、画質的にも光学ズームの方が優れていることは言うまでもない。

 また、V602SHは従来のV601SHに引き続き、オートフォーカス機構を採用している。通常のデジタルカメラと同じように、シャッターを半押しすることでピントを合わせ、シャッターを押し切ると、ピントの合った撮影が可能になる。被写体にピントを合わせ、構図を変更できるフォーカスロックも利用することができる。ちなみに、カメラ起動時のファインダー内には撮影モードなどがアイコンで表示されるが、V602SHでは透過ピクトを採用することで、2.4インチのシステム液晶をフルに活かせるようにしている。

 もうひとつ大きく変わったのが撮影スタイルを意識したボディデザインだ。従来は折りたたみデザインの端末を開き、メインディスプレイの背面に装備されたカメラを被写体に向け、撮影をしていた。これに対し、V602SHは利用シーンに合わせてボディを変化させられる「スウィーベルスタイル」を採用している。端末を閉じた「CLOSE Position」、通常の折りたたみ端末と同じようにボディを開いた「OPEN Position」、OPEN Positionから液晶画面を180度ターンさせ、自分撮りが簡単にできる「Self Shot Position」、そして、カメラと同じように撮ったり、映像を楽しめる「Viewer Position」という4つのポジションを選ぶことができ、V602SHを使う目的に合わせて、変化させることが可能だ。

 さらに、V601SHで好評を得た多彩な連写モードなども継承されている。明るさやモバイルライトの色を変更しながら連続9枚の撮影をする「ブラケット連写」、5枚の連写画像を1枚の静止画に合成し、スポーツのフォームチェックなどに使える「オーバーラップ連写」にも対応する。この他にも約10センチまで被写体に近づける「接写」、7色の点灯カラーで多彩なカラーリング撮影が楽しめる「オートフラッシュ」、カメラの起動や設定がひとつのキーでできる「簡単カメラ操作」など、使い勝手の面もしっかり作り込まれている。また、画像サイズが大きくなると撮影後のデータ保存に時間がかかるのが悩みどころだったが、V602SHではこの時間が大幅に短縮されているのが嬉しい。







メールや通話スタイルの「OPEN Position」   自分撮りスタイルの「Self Shot Position」   写真や映像を撮る、見るスタイルの「Viewer Position」

見る

 
液晶のシャープだからこそこの大画面と高精細な美しさを実現   本体左側に用意されたビデオ出力端子。出力できる画像データの種類が増えた。
 
  システム液晶だからこそ実現できる3Dグラフィック表示。※クリックするとFlashムービーで確認できます。(イメージ映像)
 
  SDに動画や音楽を入れて、いつでもどこでも楽しむことができる。

 液晶ディスプレイのトップベンダーということもあり、シャープは代々、高品質な液晶ディスプレイをケータイに搭載してきたことで知られる。いち早くカラー化を実現するだけでなく、液晶ディスプレイに最適化したLCフォントの採用、最近ではCGシリコン技術を利用したシステム液晶を搭載するなど、常に市場をリードし続けている。

 その液晶ディスプレイを活かした『見る』機能が充実しているのもV602SHの特長だ。たとえば、V602SHにはQVGAサイズの表示が可能な2.4インチシステム液晶が搭載されているが、この液晶ディスプレイの高精細さを活かし、インデックスメニューやおすすめメニューを3Dグラフィックスで表示し、独特の動きで楽しく操作できるようにしている。カレンダーも1カ月、2カ月、4カ月、6カ月から選んで表示でき、内蔵壁紙と重ね合わせて表示させることも可能だ。メールやメニューなどの文字表示については、従来同様、LCフォントを採用しており、文字サイズは最大6段階、太さも4段階に設定できる。

 また、V602SHはスウィーベルスタイルを採用したことにより、Viewer Positionでのビューア機能が使いやすくなっている点も注目される。たとえば、液晶テレビ「AQUOS」やSD-Video規格(ASF)形式に準拠した機器で録画した番組をSDメモリカード(別売)に保存し、端末で再生するモバイルビデオ機能が注目を集めているが、V602SHではスウィーベルスタイルのViewer Positionにして、横長の画面で動画を楽しむことができる。パソコンで作成したExcelやPDFなどのドキュメントを「ぎゃらも!ビュー」で変換し、V602SHで閲覧するためのSVG-Tコンテンツ表示機能、XMDF形式に対応した電子ブック機能などもViewer Positionで利用することが可能だ。

 V602SHの『見る』機能で、もうひとつ進化したのがビデオ出力機能だ。V602SHは付属のL型ビデオ出力ケーブルをテレビなどの入力端子に接続すれば、カメラで撮影した静止画や動画、メール、SVG-Tファイル、スケジュールなどをテレビの大きな画面上で再生することができる。もちろん、静止画や動画はタテ撮りとヨコ撮りのどちらで撮影したものも正しい向きに表示することができる。さらに、テレビ出力に対応したVアプリなら、テレビの画面でVアプリを楽しむことも可能だ。

作る

 
  光と影が高いコントラストを作っている状態でも美しく撮影することができる。
  画面を左右に分割し、元画像と加工した画像を見比べながら様々な編集効果を加えることができる。
 
  ポストカードメーカー機能によって画像にカレンダーを挿入した画面

 シャープ製端末はカメラ付きケータイで常に高い支持を得ているが、その背景には撮った画像や動画を活かすための機能が充実していることも関係している。つまり、ただ単に「撮る」だけでなく、撮った後にメールに添付したり、端末上で加工、編集するための機能が充実しているわけだ。

 たとえば、多くの端末では画像編集をする際、サブメニューなどから効果を選んで編集するスタイルを採用しているが、シャープ製端末では高精細なQVGAサイズの画面を活かし、画面を左右に分割して、元画像と加工した画像を見比べながら、編集できるようにしている。もちろん、V602SHにもこの環境が継承されているが、今回はさまざまな効果や加工をする際、項目を選んだだけで、画面の右側にプレビュー画面が表示されるようになっている。つまり、実際に効果を加える前に、画像がどのように変化するのかを確認できるわけだ。

 撮影した画像を活用するという点については、新たに「ポストカードメーカー機能」が搭載されている。V602SHではデジタルカメラモードで撮影した画像をSDメモリカードにDCF形式で保存できるが、この静止画にテキストやカレンダースタンプを貼り付けることで、SDメモリカードをプリンタやDPEショップでプリントすることにより、オリジナルのポストカードを作成することができる。静止画に貼り付けられるテキストは最大100文字までで、画像に合わせて文字の色や大きさを選ぶことも可能だ。また、着信時に表示される「マイ着信ムービー」も面白い機能だ。マイ着信ムービーは撮影した画像や送られてきた写メールの画像をプロモーションビデオのように表示する機能で、ダウンロードした着信メロディや着うたと組み合わせて利用することもできる。特別な人からの着信を楽しく演出できる機能だ。

 静止画だけでなく、ムービーでも新しい機能が搭載されている。静止画ではフレームを貼り付けた演出がおなじみだが、V602SHではこれを動画で実現してしまう「ムービー変装」という機能が用意されている。ムービー変装はムービー写メールの人物をアイテムで飾り付ける機能で、撮影時に顔のパーツを認識し、顔の動きに合わせてアイテムを動かすことができる。アイテムはプリインストールされているものもあるが、ボーダフォンライブ!からダウンロードして利用することも可能だ。

多彩な連写モード。今回はデジタルカメラモード(480×640ドット)で4枚連写してみた。

遊ぶ

 
ボーダフォンライブ!からダウンロードした楽曲と歌詞をテレビに出力できる、カラオケ新スタイル「ケータイカラオケV-kara」
  256KアプリVer.2を実感できる、「イースIV〜ナピシュテムの匣(はこ)〜」の体験版がプリインストールされている。
 
  付属の専用L型ビデオ出力ケーブルをテレビとつなげて、大画面で楽しめるのもうれしい。

 ケータイは元々、通話やメールのための道具だが、最近ではアプリなどの登場で、『遊ぶ』ための機能も充実してきている。もちろん、V602SHにも『遊び』の機能が数多く搭載されている。

 たとえば、ボーダフォンではゲームなどが楽しめる「Vアプリ」を提供しているが、V602SHは新たに提供が開始される「256KアプリVer.2」にいち早く対応している。Vアプリはスプライト機能や3Dポリゴンに対応することで、高度なアプリケーションが利用できたが、V602SHにはケータイ初となるグラフィックチップ「T4G」、3Dエンジン「Mascot Capsule Ver.4」が搭載されており、一段と美しいグラフィックの高品質なゲームを楽しむことが可能だ。ちなみに、V602SHには「イースIV〜ナピシュテムの匣(はこ)〜」の体験版がプリインストールされている。

 もうひとつ新たに追加された『遊び』は、「ケータイカラオケV-kara」への対応だ。V-kara対応サイトからダウンロードした楽曲データを利用し、V602SHをL型ビデオ出力ケーブルでテレビに接続することで、歌詞のリードに合わせながら、V602SHをマイクとして歌うことができる。エコーやキーコントロールも搭載されているため、カラオケボックスなどと同じように、手軽にカラオケが楽しめるわけだ。

 また、同じ音楽で言えば、V602SHは「着うた」や「64和音着信メロディ」にも対応しており、従来から好評を得ているミュージックプレイヤー機能も搭載されている。ミュージックプレイヤー機能はボーダフォンライブ!のウェブからミュージックキー(有料)をダウンロードすることで利用可能で、音楽CDプレイヤーとV602SHを接続することで、SDメモリカードに音楽データを録音することが可能だ。

 この他にもV602SHには、さまざまな新機能が搭載されており、ビジネスからプライベートまで、幅広いシチュエーションで活用できる端末として仕上げられている。定評のある使いやすさもさらに磨きが掛けられており、使い込めば、使い込むほどに、その便利さや使いやすさが実感できるはずだ。スウィーベルスタイルで新しいカメラ付きケータイへと進化したV602SHは、ユーザーのさまざまなニーズに応えられる注目のケータイと言えるだろう。ぜひ店頭のデモ機でその仕上りを実感して欲しい。

■関連情報
・V602SH製品情報(ボーダフォン)
  http://www.vodafone.jp/japanese/products/kisyu/v602sh/
・V602SH製品情報(シャープ)
  http://www.sharp.co.jp/products/v602sh/

 

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・初の光学ズーム搭載機「V602SH」
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・ボーダフォン、光学ズーム搭載の「V602SH」など5機種
  http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/18766.html

 
 

法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindowsXP基本編完全版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。

 
 

■Photo:若林直樹/STUDIO海童 ■モデル:手塚香織/所属:スーパーウィング

 

 

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