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TITLE:使いやすくなって新登場!東芝gigabeat G21
ポータブルミュージックプレーヤーの世界は、今やパソコン抜きには語れない。パソコンが音楽サーバとなり、そこから音楽を連れ出すというスタイル、この便利さに慣れてしまったら、もう後戻りはできないのである。

さてその音楽を連れ出すデバイスだが、今もっとも注目を集めているのは、HDD搭載のミュージックプレーヤーだ。ギガバイトクラスの音楽を常に身につけておける充実感、そして「あっ、今あの曲聴きたい!」と思いついた瞬間すぐにアクセスできるイージーさは、MYお出かけBGM派に革命をもたらしたと言ってもいいだろう。

そんなHDDミュージックプレーヤーの中でも、20GB(※注1)の大容量、しかも同クラスでは世界最小、最薄、最軽量(※注2)で人気の東芝「gigabeat G20」がリニューアルして新登場する。ニューモデルの名前は「gigabeat G21」。一見マイナーアップグレードのようにも聞こえるが、完成度の高かったG20をベースにしながら、さらに使い勝手を向上させたという。

それでは注目のgigabeat新モデル、G21の魅力をチェックしてみよう。

高級感を増したボディ
まずボディデザインは、前モデルG20を継承。外形寸法や操作ボタン類、HDD容量、連続再生時間などもまったく同じだ。ただし今回ボディカラーは「ホワイティッシュシルバー」から「コスモブラック」に変更され、より精悍な印象となっている。G20ではWEB限定の「サファイヤブルー」モデルがあったが、今回もWEB限定モデルがリリースされる。「ミストグレーメタリック」と名付けられた新カラーモデルは、グレーでありながら若干グリーンを感じさせる微妙なトーンで、高級オーディオ機器を連想させる。今回は両カラーとも、シブくスマートにまとめたいユーザーに受けそうだ。

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店頭で販売される
「コスモブラック」モデル
  WEBのみの限定カラー
「ミストグレーメタリック」

さて、今回のG21、デザイン的な変更はカラーだけだが、内部ソフトウェアはいろいろと手が入っている。まず内蔵イコライザの種類が、FLATも含めた4種類から28種類へと大幅に増えた。内容は以下の通りだ。音楽ジャンルごとに2タイプ用意されているが、筆者が聴いた感じでは「1」が派手め、「2」が控えめといった感じになっている。だが特に名前にこだわらず、音楽や環境に合わせて自分の好みのものを選択すればいいだろう。

FLAT BASS+ BASS++ LOUDNESS
ACOUSTIC 1 ACOUSTIC 2 CLASSIC 1 CLASSIC 2
DANCE 1 DANCE 2 HARD 1 HARD 2
HIP HOP 1 HIP HOP 2 JAZZ 1 JAZZ 2
LATIN 1 LATIN 2 PIANO 1 PIANO 2
POPS 1 POPS 2 R&B 1 R&B 2
ROCK 1 ROCK 2 VOCAL 1 VOCAL 2

またイコライザは、いったん種類を確定してから効果がかかるのではなく、選んだだけで効果がすぐにわかるようになっている。沢山のプリセットを効率的に試せる、うれしい配慮だ。

以前からgigabeatの特徴であった、美しいブルーのバックライト表示だが、今回はさらに視認性がアップした。バックライトON/OFF時それぞれで、自由にネガポジどちらの表示かを選択できるようになったのだ。例えばバックライトONでは光量を抑えるネガ表示、バックライトOFFでは明るい場所でも見やすいポジ表示と、好みの組み合わせが選択できる。

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バックライトは4通りの組み合わせから選択

こんなの初めて! ストラップリモコン
さてさてこうしてG21を見ていただいたが、んーそんだけ? という気持ちだろう。実はここまでは従来からの改善ポイント、すなわち前フリなんである。これからがG21の本番なのだ。

今回筆者が個人的にイチオシなのが、新開発の「ストラップリモコン」である。一見するとただの携帯ストラップぐらいにしか見えないため、どこがリモコン?と思われるかもしれない。実はこのストラップのヒモの部分に圧力センサーが仕込まれており、音量調整、曲のスキップといったコントロールが、ヒモをつまむだけでできてしまうのだ!

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ストラップだけどリモコン?   ボタン部に厚みはまったくない

かあっちょいいー。触ってみると、目印となるマークの印刷部があるだけで、突起部などは全くない。ホントにただのヒモなんである。もちろん使い勝手は従来のリモコン同様、ちょんちょんとつまめば1ステップずつ、ずーっとつまめば徐々にボリュームが変わる。曲操作は、ちょんちょんとつまめば1曲ずつの送り戻し、ずーっとつまめば早送りと巻き戻しになる。

今までこの手のプレーヤーのリモコンを操作するには、手探りではなかなか難しく、いちいちどのボタンが目で見て確認しながら操作しなければならなかった。これが混んでる通勤快速の中などではリモコンを覗き込むなんて至難の業で、うっかり上げてしまったデカいボリュームを下げられずに「これは一体ナンの修行デスカ」と自問しながら苦行の相で我慢しなければならなかった人もいたハズである。

だがこのストラップリモコンなら、いちいち手元を見なくても、ヒモをちょいとつまむだけでいい。センサー範囲が1ボタンにつき5cmぐらいあるので、手探りで十分OK、まさに自分にしかわからない「超巨大リモコン」なのである。

付け根にはプレイとポーズの兼用ボタンがあり、リスニング中に誰かに話しかけられた時など、ミュートボタンのように使うこともできる。またこのボタンの長押しで電源の入切もできるようになっており、本体を取り出さずに一通りの操作が可能だ。

さらにこのストラップには、ヘッドホン端子も付けられている。ちょうど付け根と反対側、首の後ろになる部分だ。ということは当然、ただのヒモにしか見えないストラップがオーディオケーブルも兼用していることになる。見た目からはまったく解らないサイバー感だ。

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付け根部分にはプレイ/ポーズボタン   首の後ろ部分にヘッドホンジャック

なお端子は標準のステレオミニジャックなので、別途お気に入りのヘッドホンも接続できる。ケーブルがすべて後側に回るので、手元がごちゃごちゃせず、すっきりまとまるのがいい。さらに本体が薄いので、そのまま胸ポケットにも出っ張らずにすっきり収まる。スーツ族には上着の内ポケットに滑り込ませてもシルエットが変わらないという点が、ありがたいことだろう。

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胸ポケットにもすっきり収まる薄さ

ネットワークにフル対応
新しくなったのは、なにもリモコンだけではない。今回のG21はネットワーク対応になったのだ! いや「なったのだ!」とビックリマークまで付けて強調されても何のことやら今ひとつピンとこないかもしれないが、ここでよく考えてみて欲しい。従来のHDDミュージックプレーヤーは、USBやIEEE1394端子で接続する。これらの端子は、PCに直接繋ぐための規格だ。つまりミュージックプレーヤーを使うためには、どれか1台マシンを決めて音楽ストック専用PCとしなければならないという、1対1の関係でしかなかったわけである。

それがネットワーク対応になると、どうなるだろう。ユーザーは複数のPCに散らばっている音楽ファイルを、自由にミュージックプレーヤーに集めることができるようになる。もうマシンを決め打ちする必要はないのだ。

具体的にG21の仕組みを見てみよう。ハードウェアとしての仕掛けの一つは、クレードルである。これもデザイン的には前モデルと同じだが、両脇にUSB 1.1のAポートが付いた。

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USB端子が装備された新クレードル   USBネットワークアダプタが取り付け可能

普通クレードルはUSBのBポートだろうというツッコミもあろうかと思うが、Aポートが付いたということの意味はすなわち、ここにUSBのネットワークアダプタが付けられるということなのである。当然無線LANもアリだ。つまりG21は、ネットワークにぶら下がったストレージ、いわゆるNAS(Network Attached Storage)として機能するのである。

音楽ファイルの転送には、専用の転送ソフト「TOSHIBA Audio Applecation(以下TAA)」を使う。これも新たにVer3.0になり、ネットワーク対応となった。これを自分の持っているPCにすべてインストールしておけば、それぞれのPC内にある音楽ファイルを、エクスプローラライクの慣れ親しんだ操作感で、暗号化して転送することができるのだ。

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音楽転送ソフト「TOSHIBA Audio Applecation」   LANの設定もTAAで行なう

なおG21でサポートするLANアダプタは、現在のところ下記の4モデルのみ。これ以外のアダプタは使用できないので、そこだけ注意して欲しい。東芝ではこのあたりの便宜を考えて、WEBではバッファロー製無線LANアダプタとのセットも販売するという。

[発売時の対応無線LANアダプタ]
メーカー 型番
バッファロー Wli-USB-KB11(無線)
LUA2-TX(有線)
アイ・オー・データ機器 WN-B11/USBSL(無線)
USB-ET/TX-S(有線)

無線LANで音楽の更新ができると言うことは、クレードルはどこに置いてもOKということだ。例えば玄関に置いて、出かけるときはそこからG21をピックアップし、帰ってきたらそこに置いて充電、CDを買ったら適当なPCからファイルをアップロード、という使い方もできる。これなら充電を忘れたり、そもそも持っていくのを忘れるという心配がない。

ライフサイクルに馴染むG21
gigabeat G21は、派手な進化でこそないが、前モデルで実現した「ポケットサイズにCD500枚」(※注3)というコンセプトはそのままに、使い勝手を格段に向上させたモデルに仕上がっている。奇をてらったような「濃い」機能はなく、シンプルでありながら高い質感という国産ならではの品質も、きっと多くの目や耳の肥えたユーザーに支持されることだろう。

ポータブルミュージックプレーヤー選びのポイントは、それがいかに自分のライフサイクルの中に無理なく存在できるか、というところにある。そんな視点で見るならば、G21はもっともよく練られた製品であることは間違いないだろう。


※注1 1GBを10億バイトで計算した場合の数値。実際にフォーマットされた容量は20GB以下となります。
※注2 2004年3月18日現在、1.8型以上のHDDを搭載したオーディオプレーヤーとして。
※注3 WMAまたはMP3フォーマット/128Kbps/4分間のオーディオデータの場合。(CD1枚10曲と想定)


□東芝モバイルAVオンラインショッピング
http://www.toshiba.co.jp/mobileav/shopping/index_j.htm

□gigabeat G21 製品情報
http://www.gigabeat.net/mobileav/audio/

□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm

□バッファローのホームページ
http://www.melcoinc.co.jp/

□アイ・オー・データ機器のホームページ
http://www.iodata.jp/

= 小寺信良 =
テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクター/エディタとして10数年のキャリアを持つ。手がけた作品は2000本近くにのぼるという本物の映像のプロでありながら、ペンを取れば軽快な文章によるコンシューマ機器の解説で人気を博す。
小寺信良

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