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みんなが待っていた後継機  

ちょうど昨年の今頃だったろうか、Panasonicのフラッグシップモデル、NV-GS100Kがリリースされたのは。大型になりがちな3CCDをコンパクトにまとめ、さらにプロライクな「プロシネマモード」を採用した同モデルは、画質にこだわる趣味人のハートをガッチリ捕らえた。

そして今年3月に、さらにコンパクトになった3CCD愛情サイズ、GS200Kが出てくると、いつのまにかカタログからGS100Kの名前が消え、アレレと思ったものである。型番から察すると、GS100Kの後継がGS200Kってことなのかな? と。

だが、やっぱり僕らのPanasonicはやってくれちゃうのである。NV-GS100Kの正式後継モデル、NV-GS400Kの登場だ。

高機能・高画質派には必須のポイントを全部残しながら、さらに1ランク上を狙った新フラッグシップモデルNV-GS400K(以下GS400K)の魅力を、じっくりチェックしてみよう。

 
充実の新機能  

まず簡単に、前モデルGS100Kとの差を睨みながら、GS400Kのスペックをざっくり押さえておこう。光学系から見ていくと、光学ズームが10倍から12倍にアップ、CCDサイズも1/6型から1/4.7型に大型化している。

静止画記録画素数は、3.1メガから4.0メガピクセルとなった。GS400Kは、ビデオカメラの静止画機能で4.0メガに到達した世界最高モデルだ(2004年6月15日現在。デジタルビデオカメラとして)。そして静止画と言えば、動画と同時撮影できる静止画に、ビデオカメラとして革命的一大事な機能を搭載した。なんと動画と同時撮影の静止画でも、1.2メガピクセルで撮影できる機能を搭載したのである。

動画撮影中に静止画が撮れるなんてのは今や当たり前の機能だが、普通のカメラで撮影できるのは、ビデオと同じVGA解像度の640×480ピクセルでしかない。そんな小さい絵だったら印刷にも使えないし、筆者的には全然使う意味のない機能だったのだ。

だがそれを1280×960ピクセル、ちょうどVGAの縦横2倍、面積比で4倍のサイズで撮ってしまうのである。今までVGAサイズを超える同時撮影静止画は、メモリー記録型のデジタルカメラでは存在した。だがテープ記録のビデオカメラではCCDのタイプも違うし、そんなことは原理的に無理だろうと、筆者はずっと思いこんでいたのである。それをやってのけるとは、恐るべしPanasonic。

これを実現しているのが、GS400Kから搭載された画像処理プロセッサ、「新クリスタルエンジン」だ。静止画と動画を別パラメータで並列処理できるのは、このエンジンのおかげなのである。さらにその前段には、強力な新開発3次元NR(ノイズリダクション)が搭載されている。新3次元NRは、映像の照度に合わせて3段階に変化するNRで、特に低照度時のS/Nが大幅にアップする。また新3次元NRは、従来のフィールド処理からフレーム処理になったことで、より正確なNR効果が期待できる。

もちろんPanasonicのことだ、違いがこれだけってわけはない。使い勝手の面でもかなり進化しているので、その辺は実際にボディを見ながら解説していこう。

 
マニアにうれしいマニュアル撮影機能強化  

GS400Kは光学系のスペックが上がったことで、レンズ部は1.8倍ぐらい大きくなっているそうだが、ボディサイズは前モデルGS100Kとほぼ変わらない。フィルタ径も同じ43mmだ。

全体的なデザインテイストが少し変わり、若干角を落として丸みを持たせた。これにより、ゴツゴツした厳つい感じが消えて、スマートになった印象がある。筆者はGS400Kのデザインのほうが好みだ。


光学系のスペックが大幅にアップしたが、サイズは変わらない

前作よりも角が落ち、スマートなイメージになった

鏡筒部にはリングが一つあるが、今回はこの部分が重要になる。鏡筒部右側にマニュアル操作系のボタンが配置されており、マニュアルモードにしたときに、このリングをいろいろな機能の調整のために使えるのである。

まず上から、フォーカス/ズームの切り替え。ズームにしておけば、マニュアルでもオートフォーカスが使える。シャッター/絞りボタンは、シャッタースピードを決めたのち、絞りまで自分で決めるという、シャッタースピード優先のマニュアル撮影が楽しめる。白バランスは、ホワイトバランスの選択となっている。もちろんそれぞれの設定は、個別にオートに戻すことができる。

液晶モニターは、大型3.5インチを採用。裏側にあるPOWER LCDボタンは、日中の屋外など明るいところで押すと、モニターの輝度が2倍になる。絵柄だけでなく、発色などをしっかり確認したい時に便利だ。


マルチマニュアルリングとマニュアル操作ボタンで、フレキシブルな撮影が可能

POWER LCDボタンで、明るい現場での撮影もOK

液晶内部のボタン類は、VTR操作系を十字キーにまとめたことで、非常にすっきりした。メニュー操作も、この十字キーで行なう。最近はケータイなどで十字キーの操作に慣れている人も多いことだろう。また液晶画面が最大120度まで開くことで、操作キーがより使いやすくなった。このあたりにパナソニックの「ユニバーサルデザイン」志向がうかがえる。もちろん頻繁に使う機能ボタンも厳選されており、撮影中にメニューに入ってどうこうするという必要はまずないだろう。


十字キーの採用で、ボタン類もすっきり整理された


液晶画面が120度開くので、画面を見ながらのメニュー操作が楽

電源ボタンとモード切り替えを分けて操作がわかりやすくなった

背面のボタン類も大きく変化した。従来のビデオカメラでは、録画ボタン周りにあるモードボタンで、撮影モードと再生モードを切り替える。それに加えて、さらに別のところにある動画と静止画の切り替えスイッチを組み合わせることで、合計4通りのモードを切り替えていた。これは言わば、まだ静止画を撮る機能が「オマケ」レベルだった時代の名残りでもある。

だがGS400Kでは、電源は電源ボタン、モード切替は全部ダイヤルで、といった具合に整理された。これは今年春以降のモデルから採用されたスタイルだが、確かに最近はデジカメの普及により、ダイヤルでモードを把握するほうが一般的になってきている。さらにこれなら、どんなモードがあるのかもすぐにわかる。

 
解像感が増したワイドモードがイイ  

では実際に撮影してみよう。光学式手ブレ補正機能搭載のライカディコマーレンズは、ノーマル画角でWide端44.5mm。だがワイドモードではCCDの有効範囲が広がるので、画角も広がってWide端41mmとなり、イイ感じだ。さらに静止画ではWide端37.6mmになる。(いずれも35mm換算)

画角 Wide端 Tele端
ノーマル 44.5mm
534mm
ワイド 41mm
492mm
静止画 37.6mm
451mm

ボケ味も自然な感じだ
 
ノーマル
ワイド
プロ
シネマ
 
プロシネマモードでのサンプル。写真と見紛うばかりの解像感と、品のいいトーンが楽しめる
 
マニアの意気に応える「プロフェッショナル機能」の「画質調整」

またGS400Kでは、今回16:9ワイドモードにも手を入れてきた。GS100KではCCD画素数の関係で、ワイドモード時には1.04倍拡大していたのだが、今回から拡大なしとなり、画質的にもアップしている。できるなら常時ワイドモードで撮りたいカメラだ。

また光学部が大きくなったことで、ボケ味も良くなっている。絞り解放でレンズの性能をめいっぱい引き出せば、より自然なボケを楽しめる。

またこういう難しいショットの時に便利なのが、テレマクロボタンだ。テレ側にすると、なかなか近くのピントが合わないものだが、このボタン一発で難しいフォーカス合わせを行なってくれるのは、助かる。

さらにGS400Kを特長付けているもう一つの機能、「プロシネマモード」も試してみよう。モニター内部のボタンで、ノーマル、ワイド、プロシネマの切り替えができる。プロシネマでは自動的に画角もワイドになり、フィルムライクなガンマカーブに加えて、30フレーム撮影となる。

PCモニターでは、プロシネマはなんだかコントラストが低く見えるかもしれないが、元々コントラストの高いテレビで見れば、なかなかしっとりとして味わい深いトーンになっている。特にあじさいの中心あたりを見て頂ければおわかりかと思うが、紫から白にかけての滑らかな色の変化がきちんと表現できている。

さらにこれだけではもの足りないという人のために、GS400Kでは「プロフェッショナル機能」という設定がある。ここの「画質調整」では、ディテール、色レベル、露出補正、コントラストがそれぞれ調整できるので、まったく好みのトーンを作ることができる。

撮影して感じたのが、マニュアル操作のやりやすさだ。マルチマニュアルリングの採用でレンズ脇のボタンを押してリングを回すだけで、フォーカスや絞り、シャッタースピードが自在にコントロールできる。これらのボタンの組み合わせにより、全部マニュアルでも撮れるし、一部だけマニュアルで使うということもできる。

これは手動で全部をいちいち調整していくという意味ではなく、オートで勝手に動かないよう固定する、といった考え方で使えるわけだ。マニュアル撮影はよくわからないからと今まで敬遠してきた人にも、これなら安心だろう。ゲインオーバーの部分を教えてくれる「ゼブラパターン」を併用すれば、露出も決めやすい。


画像上で右クリックして動画ファイルを保存するとWindows Media Playerで再生できます
 
充実の静止画撮影  

ここまで強い中間色でも、破綻なく撮れる

細かいディテールまで十分に表現できる

コントラストの高い絵作りは得意とするところ

ノーマルモードでビデオ撮影中の画像

同時に撮影した静止画。ちゃんと静止画なりのトーンになっている

GS400Kのもう一つの顔が、静止画カメラとしての機能だ。Panasonic独自の画素ズラシ技術により、CCDで捉えた1144×864ピクセルの画素を、縦横2倍の2288×1728ピクセルで記録する。もちろんビデオとは別の画像処理を行なうので、写真ならではの解像感と発色が楽しめるわけだ。

また前出のゼブラパターンは、静止画撮影時にも有効だ。じっくり写真を撮るときにもレベル確認ができるのは、マニュアルで露出を決める際に便利だ。

では今回の目玉とも言える、動画・静止画同時撮影機能を使ってみよう。ノーマルモードでビデオを撮影中にフォトショットボタンを押すと、そのまま静止画はSDカードに記録される。記録中は画面にちょこっと表示が出るだけなのでビデオ撮影の邪魔にならず、使い勝手は良好だ。

ビデオも写真も同時に押さえておきたい、というのは、子供を持つ親でなければ、なかなかわからないものだ。全国のパパ待望の機能なわけだが、なんとこの機能を立案したのは、同社のセールスやマーケティング部門ではなく、開発チームのほうからだったというから面白い。

そうなのだ。いくら技術の人間でも、使っていて困っちゃうところは同じなのである。ようしようしそんならワシらが一発やったるで!という心意気がうれしいじゃないか。

 
充実の静止画撮影  

USB2.0 ハイスピードモード ビデオクラス対応で、PCへの取り込みが容易に

GS400Kは、光学部は別としてそれ以降の部分は、もうほとんど同社のAG-DVX100のようなプロ機と同レベルといってもいいだろう。それに加えて、コンシューマ文化である強力な静止画機能が載っているという感じだ。

十字キーやモードダイヤルなど、操作性を高めたユニバーサルデザインも大きい。マニュアル系ボタンの充実と操作のわかりやすさもバツグンだ。いくら多機能でも、なにがどうなってるのかわからなければ使いこなせないし、使わなければ機能がないのと同じことである。そのあたりの考え方が、よく練られているカメラに仕上がっている。

さらに本機では、WindowsXP SP2で本採用になる、「USB2.0 ビデオクラス」にもいち早く対応している。これはUSB2.0のハイスピードモードを使って、従来のIEEE1394と同じようにDVカメラの映像をPCに転送できる規格だ。今までパソコンにDV端子がないからというだけで編集を諦めていた人には、朗報となるだろう。なおGS400Kには既にドライバーや動画編集ソフトが同梱されているので、SP2のリリースを待つまでもなく、今すぐ編集ができるのはうれしい配慮だ。


改良されたエアーソフトグリップでさらにホールド感がアップ

プリンタに繋いでダイレクトにプリントできるPictBridgeにも対応し、写真のプリントも簡単になった。もちろん従来モデルで好評だった「エアーソフトグリップ」や「クイックスタート」も健在だ。

GS400Kは、ある意味コンシューマフラッグシップとはこうあるべき、という方向性を示唆している。ただ撮れる絵がいいってだけじゃなく、マニュアルの操作性や撮ったあとのアフターフォローまで、すべて1パッケージになっているところがポイントなのである。

Vシネマ並みの絵を目指す人はもちろん、今この瞬間しかない子供の笑顔を長く残そうと思っている方にも、お勧めできるカメラだ。


□パナソニックのホームページ
http://panasonic.jp/

□NV-GS400K製品情報
http://panasonic.jp/dvc/gs400k/index.html

 
 
小寺信良
テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクター/エディタとして10数年のキャリアを持つ。手がけた作品は2000本近くにのぼるという本物の映像のプロでありながら、ペンを取れば軽快な文章によるコンシューマ機器の解説で人気を博す。
 
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