急速に成長を遂げるインターネットの世界。利用者も増え続け、パソコンを使えることはもはや当たり前といっても過言ではない。仕事ではもちろんのこと、私生活においてもパソコンやインターネットの存在が不可欠である場面も多いだろう。そんな時代のニーズに応えるべくして生まれた資格、それが、NTTコミュニケーションズ インターネット検定「.com Master(ドットコムマスター)」だ。これは、NTTコミュニケーションズが実施する、インターネットやパソコン、サービス等に関する最新で実践的なスキルを総合的に証明する資格で、ここ数年に設立されたインターネットの資格の中でも、注目度の高い資格検定である。健全な日本におけるインターネットおよびそれを利用するユーザの拡大に貢献する検定制度として「財団法人インターネット協会」「社団法人日本インターネットプロバイダー協会」というインターネット業界の中核をなす協会から推奨も受けている。ベンダーにとらわれることなく、インターネットに関する最新の知識や技術を問う検定であるため、業種を問わずさまざまな企業での採用基準として非常に有効な判断材料となるだろう。また、スキルの判定基準のみならず、学習することによりスキルアップも望め、会社内での人材育成や社員教育にも効果的だ。

 インターネット検定は、ビジネス界で求められている人材像をもとに、必要とされている実践的なインターネットスキルを問う検定であるため、現在、さまざまな企業が取得奨励資格に採用するなど、多数の取得者がビジネスの現場で活躍しているという。スキルアップのみならず、企業での社員育成、キャリアアップ、また、学校での授業等にも幅広く活用されている資格検定といえる。

 「.com Master」には、スキルレベルによって3段階の認定グレードが用意されている。情報を受信して活用することができ、企業・組織が提供するインターネットサービス利用者への指導・サポートができる「.com Master ★(シングルスター)」、情報発信によって簡易なサービスを提供でき、SOHOなどのインターネットを活用したビジネスのサポートができる「.com Master ★★(ダブルスター)」、そして、2003年12月に新設された、インターネットをビジネスに活用するSMEのネットワーク運用管理や構築などのサポートができる「.com Master ★★★(トリプルスター)」の3グレードで、★の数が増えるほど難度は高くなる。

 また、日々進化するインターネットやパソコン技術に備え、常に最新の事柄が検定問題に反映されているのも特徴的だ。時代に即応した知識の効力を明らかにするため、認定資格名称には取得した年が記載される。ゆえに、年度ごとに独立した資格となるので、毎年受検する人も多いのだとか。

 そして、それら認定グレードと取得した年数を資格名の後に続けたかたちが、正式な認定資格名となる。たとえば、「.com Master ★」を2004年7月に取得したのならば、「.com Master ★ 2004」という資格を得たこととなるのだ。

 なお、「.com Master ★」を取得していなくとも「.com Master ★★」や「.com Master ★★★」を受けることが可能なので、サーバ管理者など一定以上のスキルを有する人ならば、「.com Master ★★」や「.com Master ★★★」を考慮してもよいだろう。

 検定は年2回、7月と12月の第一日曜日に行われ、次回の第7回検定は2004年7月4日(日)に実施される。申込受付は2004年4月1日(木)〜5月31日(月)、
検定料は「.com Master ★」が8,000円(税込:8,400円)、
「.com Master ★★」が10、000円(税込:10、500円)、
「.com Master ★★★」が20、000円(税込:21,000円)
となる。受検資格は一切不問、年齢、性別、学歴などを問わず、誰でも受検することがきる。自らのスキルを試してみるもよし、基礎的な知識を再確認するために受検するもよし、就職へのアピールポイントとして取得するもよし。とにかく気軽にチャレンジしてみよう。

 さて、気になる検定内容だが、マークシート方式で、第一部が60分(★、★★40問、★★★30問)、第二部が90分(★60問、★★50問、★★★30問)、計60〜100問の問題が出題される。「.com Master ★」「.com Master ★★」のサンプル問題を解答してみよう。

  [.com Master ★ サンプル問題1] 次の文章はWebブラウザについて記述したものである。文章が正しくなるように、 (1)〜(3)にあてはまるもっとも適切な語を、下の語群からそれぞれ選びなさい。

ブラウザとは、「browse(拾い読み)するもの」という意味だが、インターネット上で 利用するWebページを見るためのソフト=Webブラウザのことを、単にブラウザと 呼ぶことが多い。 Webブラウザの主な役割は、(1)と呼ばれるコンピュータに、(2)を送るようリク エストを送り、それに応じて送られてきたデータを解釈して(3)することである。


 
  [.com Master ★ サンプル問題2] 下図はURLの例を示している。上図の(1)〜(3)の各部分について、正しく解説しているものを 以下の文章から一つずつ選びなさい。
   

a.

リクエストの宛先となるサーバの名前を、ホスト名またはIPアドレスで指定している部分。

b.

ダイヤルアップ接続のダイヤル先であるアクセスポイントの名前を指定している部分。

c.

サーバとの間でデータをやり取りする際の通信規約の名前を指定している部分。

d.

サーバに対して要求するファイル名を、ファイルが格納されているディレクトリを含めて 指定している部分。

e.

ドメイン名とIPアドレスを相互に変換するためのサーバの名前をドメイン名で指定している部分

 
  [.com Master ★★ サンプル問題1] 次の表は、あるネットワークに関する情報を記述したものである。与えられている情報から、表中の空欄となっているところの情報を計算し、当てはまるものを下記の語群から選択しなさい。ただし、DNSサーバは下記のIPアドレスの範囲内で構築されているものとする。
   

IPアドレスの範囲 192.168.177.(1)から192.168.177.(2)まで

サブネットマスク 255.255.255.240

DNSサーバのIPアドレス 192.168.177.19(ns.example.co.jp)

ネットワークアドレス 192.168.177.(3)

ブロードキャストアドレス 192.168.177.(4)

 
  [.com Master ★★ サンプル問題2] HTTPヘッダに関する文章のうち、正しいものをすべて選びなさい。
 
   

a.

HTMLファイル中の<HEAD>〜</HEAD>間に記述されるものである。

b.

通常、Webブラウザ上では表示されない。

c.

Webサーバからクライアントに対して送られるものであり、クライアントからは送信されない。

d.

HTTPのバージョンによってヘッダの種類は異なる。

e.

コンテンツがHTMLファイルでない場合には送信されない。

 
  [.com Master ★★★ サンプル問題1] 現在上位ISP1社とスタティックルーティングで接続しているネットワークをマルチホーム接続に変更するにあたり、BGPルータを新規に2台購入しなければならなくなった。変更後のネットワーク条件は次の通りである。(下図を参照)
 
   

ネットワーク条件

ア.

マルチホーム接続はBGP4で行い、2つのISPからそれぞれフルルートを受信するものとする。

イ.

ISP2社との接続には別々のルータで接続する。つまり2台のBGPルータが必要で、サポートも考慮し同一機種2台を購入することとする。

ウ.

2台のBGPルータ間はiBGPで接続される。

エ.

上位ISP2社との接続には専用線を使い、BGPルータ間と既存のLANとの接続には1000BASE-SXを使う。

オ.

既存のLAN内ではOSPFv2を使用しており、2台のBGPルータもOSPFを使用する。

   

ルータの購入にあたり、検討すべき要件として誤っているものを次の選択肢からすべて選びなさい。

a.

1台のBGPルータで受信するフルルートはISP1社分なので、メモリもフルルート1社分受信できるだけの容量があれば間に合う。

b.

経路変更の際の再計算を行うため、CPUは処理能力が高いものを選ぶべきである。

c.

マルチホーム接続するためIPv6の対応が必須である。

d.

BGPでフルルート受信するため、レイヤ3スイッチの適用は不可能である。

e.

BGPのkeepaliveパケットは広域イーサネットを通過することが出来ないため、ISP接続用にATMやPOS(Packet Over SONET)のインターフェースを搭載出来なければならない。

 
  [.com Master ★★★ サンプル問題2] ネットワークの稼働状況把握に関する下記の説明文の空欄に適切な語句を選択しなさい。
 

 ネットワークの稼働状況を把握する方法にはさまざまなものがあり、複数のベンダーから専用のソフトウェアが市販されている。基本的な確認方法の1つが( 1 )コマンドの利用である。これは、対象となる機器にデータを送り、その応答が戻ってくる事によって、基本的な到達可能性を確信するというものである。正常な応答が得られると、その区間のネットワークの( 2 )と遅延時間を表示する。

 サーバマシンで行われる処理についてログを取り、必要に応じて分析する事も大切な稼働状況の把握である。( 3 )は、UNIX系システムに標準的に装備されているログを収集するための機能である。サーバが出力した処理などの情報を( 4 )という( 5 )が記録する。このようにして得られたログを確認することで、サーバやサービスの状態がわかるほか、不正アクセスの可能性についても監視を行うことが可能になる。( 3 )の機能を有効に使うには、( 6 )と( 7 )の設定が重要になる。( 6 )にはカーネルの状態を示す( 8 )や、( 9 )の状態を示すlprがある。

 
 

 なお、筆者も第7回検定を受検する予定で、さっそくテキストを購入し学習中である。あやふやであった事柄を明瞭にし、更に深い知識を得たり苦手分野を克服したりと、資格取得に向け学習することにより、スキルアップが図れていることを実感している。もしかすると、これが最大のメリットなのかもしれない。

  鶴見 彩子
自作PCをこよなく愛する電子機器大好き人間。テクニカルライターとしてはまだまだヒヨッ子。夢は、ものすごく軽いノートPCを持って世界中を旅することと、水冷PCを作ること。

「.com Master」とは別に、インターネットを楽しく、かつ安全に利用するための基礎知識を問う「.com Mate(ドットコムメイト)」という実力判定テストも設けられている。こちらはインターネット上でいつでも気軽に受検でき、4/18まではモニター版無料トライアルが実施され、4/19から新しくなってスタートする。初心者はもちろんのこと、自らの実力判定や「.com Master」取得への目安として、気軽にトライしてみよう。

■関連情報
□NTTコミュニケーションズ インターネット検定
 http://biz.ocn.ne.jp/master/