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NECアクセステクニカの無線LANルータ「AtermWR7800H」の IEEE 801.11a/b/g同時通信の実力を検証
ボタン1つで無線LANが安心して使える時代に より「やさしく」進化したAtermWR6600H
[2004/08/10]
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清水理史の「イニシャルB」増刊号802.11aと802.11b/gの積極的な使い分けがポイント!
同時通信対応の「Aterm WR7800H」だからこそできる快適無線LAN
NECアクセステクニカから、Atermシリーズの最新モデル「Aterm WR7800H」が発売された。これまでも高い信頼性や使いやすさで定評があった無線LANルータだが、今回の新製品では、802.11a/b/gの同時通信への対応、ボタンひとつで無線LANクライアントの接続設定が可能な「らくらく無線スタート」の搭載など、大幅な性能向上が図られている。このようなAterm WR7800Hを利用して、より速く、より快適な無線ネットワークの構築を目指してみよう。

もう製品選びで迷わない
背面にはアンテナ、SET/RESETボタン、ポートが配置されている。
 これまでは、無線LAN機器を選ぶ基準のひとつとして、準拠する無線LAN規格が重要視されてきた。無線LANには、802.11a/b/gという3つの規格があり、高速な54Mbpsの通信が可能な802.11aや802.11g、5.2GHzの周波数帯の電波を使う802.11a、2.4GHzの周波数帯の電波を使う802.11b、802.11gと、それぞれに違いがある。無線LANのネットワークを構築する際は、親機となるアクセスポイントやルータと子機となる無線LANアダプタを同じ規格でそろえる必要があるため(802.11gと802.11bは互換性がある)、製品を選ぶ際に、どの規格を使うかが、ひとつのポイントとなっていたからだ。

 しかし、もはや、このような規格で迷う必要はなくなりつつある。NECアクセステクニカのAtermシリーズに代表されるように、802.11a/b/gのすべての規格に準拠(トリプルワイヤレス)した製品が登場し始めてきたからだ。NECアクセステクニカのAtermシリーズには、すでに802.11a/b/gのすべての規格に準拠した「Aterm WR6600H」という製品が発売されているが、こちらが802.11aと802.11b/gの切替え式なのに対して、今回、新たに登場した「Aterm WR7800H」は、単に802.11a/b/gに準拠するだけでなく、すべての規格の同時通信に対応している。

 無線LANは、今やパソコンだけでなく、HDD&DVDビデオレコーダーやゲーム機などの家電など、多くの分野で利用されるものとなりつつある。このような機器にすべて同じ規格の無線LANが利用できればユーザーとしてはありがたいが、残念ながら、802.11aの機器もあれば、802.11gの機器もあるだろうし、古い802.11bの機器もつなぎたいという、さまざまな規格が混在するケースが考えられる。このような現状を考えれば、すべての規格に対応し、さまざまな機器を接続できるというメリットは、それだけでも非常に大きいと言えるだろう。

混在環境だけにとどまらない同時通信のメリット
 もちろん、802.11a/b/g同時通信のメリットは、これだけにとどまらない。つなぎたい機器に合わせて規格を選ぶというのは、どちらかというと受動的な使い方だ。しかし、Aterm WR7800Hのような同時通信に対応した機器であれば、接続する機器の特性や用途、電波状況などを考慮して、自ら利用する規格を選ぶという積極的な使い方までもが可能となる。

 もう少し、具体的に見てみよう。まずは、以下のグラフを見て欲しい。これは、2台のパソコンをネットワークに接続し、パソコン間でファイルをコピーしたときにかかった時間を計測したものだ。2台のパソコンを802.11a、802.11gのそれぞれの規格でAterm WR7800Hに接続し、各パターンでどれくらいコピー時間に差が出るかをテストした。

 ここで注目したいのは、「802.11a同士」や「802.11g同士」と記載された項目だ。これは、データ送信側のパソコンと受信側のパソコンの両方を同じ規格の無線LANで接続した場合の計測値だが、他の項目にくらべて倍近くコピーに長い時間がかかってしまっているのが分かるだろう。

 なぜかというと、2台のパソコンが同じ規格を利用しているからだ。無線LANでは、電波の混信を避けるために、通信のアクセス制御にCSMA/CAという方式が採用されている。これは、特定のクライアントが電波を占有している間(データを送受信している間)は、他のクライアントは順番待ちをして通信を行わず、電波の衝突を避けるという制御方法だ。これにより、片方のパソコンからアクセスポイントにデータを送信するというプロセスと、もう片方のパソコンがアクセスポイントからデータを受信するというプロセスが交互に行なわれ、それぞれの待ち時間分だけ、コピーに余計な時間がかかってしまったことになる。

 これに対して、2台のパソコンを別々の規格で接続した場合、ファイルのコピーは半分近くの時間で完了した。802.11a(5GHz帯)と802.11g(2.4GHz帯)では、利用する電波の周波数帯が異なるめ、各パソコンが電波を常に占有でき、電波の混信を考慮する必要がない。これにより、待ち時間が発生しないので、短時間でコピーが完了したわけだ。

 同様の傾向は、無線LANで接続した2台のパソコンを別々に利用した場合にも見られる。たとえば、1台のパソコンでインターネット上のストリーミング映像を再生中に、別のパソコンでインターネットからファイルをダウンロード(FTP)を実施した場合の結果が以下のグラフだ。

 この場合も、2台のパソコンで同じ規格を使った場合、ファイル転送の速度が低下するだけでなく、ストリーミング映像が途中で途切れるなどの不具合が発生してしまう。しかし、別々の規格で接続した場合はファイル転送も高速に行なえるうえ、ストリーミング映像もスムーズに再生できた。

 一般的な無線LANの使い方を見る限り、このように複数台のパソコンが同じ規格で接続されているケースは、ごく普通だ。しかし、無線LANの通信の仕組みを理解すれば、802.11a/b/g同時通信に対応したAterm WR7800Hのような製品を選び、「パソコンは802.11gで、ストリーミングなどの映像配信を利用するパソコンや家電は802.11aで」というように積極的に規格を使い分けたり、それぞれのパソコンを別々の規格で接続したりすることで、より快適で途切れの無い効率的な無線LAN環境を構築できることが分かるだろう。

 なお、このような速度の低下は、家庭内だけでなく、家庭内と外部の関係にも当てはめることができる。たとえば、近隣の家庭で同じ規格、同じチャンネルで無線LANが使われていると、やはり電波の混信によって速度が低下する。混信しないチャンネルに変更できればいいが、最近では無線LANの利用率が上がり、空いているチャンネルを探すことが難しくなりつつある。(特に11g/bの利用する2.4GHz帯では3チャンネル以上ずらさないと完全には混信を避けることはできない。)しかし、同時通信対応機であれば、802.11gのように混雑した規格を避け、802.11aのような別の規格で接続するというように、周辺の無線LAN環境にも柔軟に対応できるというメリットがある。

「らくらく無線スタート」で手軽に設定
 もちろん、いくら効率のいい無線LAN環境が構築できるとしても、その設定が難しければ意味がないだろう。その点、Atermシリーズであれば安心だ。先行して発売されているAterm WR6600H(802.11a/b/g切替え式)はもちろんのこと、今回、新たに発売されたAterm WR7800Hにも無線LANの設定を手軽に行なうことができる「らくらく無線スタート」という機能が搭載されている。

 この「らくらく無線スタート」というのは、ボタンを押すだけで無線LANの親機と子機の接続設定ができてしまう非常に手軽な機能だ。無線LANの接続設定には、ESS-IDの登録や暗号化の設定など、ある程度の知識がないと難しいが、「らくらく無線スタート」を使えば、これらを一切意識することなく、無線LANの接続設定ができる。

 具体的には、まずパソコン側でユーティリティ(サテライトマネージャ)を起動し、「らくらく無線スタート」を開始する。その後、Aterm WR7800H背面にあるボタンを2回押すと、親機側に設定されている接続のための情報が、自動的にパソコンに転送され、接続が完了するという具合だ。当然、単に接続されるだけではない。Atermシリーズは、出荷時にすでに暗号化の設定が登録済みとなっているため、この設定までも同時に行なわれる。手軽なだけでなく、安全に無線LANを利用できるのはうれしい限りだ。

 このほか、インターネット接続設定なども簡単にできるうえ、NTT東日本、西日本のフレッツ・シリーズで、フレッツ・スクウェアに接続するための設定なども手軽に行なえる工夫もなされている。

トップレベルのパフォーマンスを実現

 このように、誰にでも手軽に使えるAterm WR7800Hだが、必ずしも初心者だけを対象とした製品というわけではない。ハイエンドユーザーであれば、速度や機能が気になるところだろうが、その点の完成度も非常に高い。下のグラフは、Aterm WR7800Hの無線LAN⇔有線LAN間での転送速度(FTP)を実際に計測したものだ。一般的な無線LAN機器は20Mbps前後といったところだが、Aterm WR7800Hでは、最大で64.42Mbps(802.11a)という非常に高い転送速度を実現できている。

 これは、SuperAGと呼ばれる高速化技術の恩恵だ。Super AGでは、データを効率的に転送するフレームバーストやファストフレームといった技術に加えて、無線LANでやり取りするデータをリアルタイムで圧縮する技術が採用されている。これにより、テキストファイルのような圧縮の効果が出やすいファイルを転送した場合は、802.11a/gの理論上の最大速度である54Mbpsを上回る速度も実現できる。ZIPファイルのような圧縮済みのデータでも30Mbpsを超える転送速度を実現できているので、速度的な不満を覚えることはまずないと考えていいだろう。

実際に実験を行った筆者宅の間取り。けっこう遮蔽物があり厳しい環境である。
     

 さらに、親機からの距離があり、しかも遮蔽物がある環境でのパフォーマンスも計測してみたが、こちらも良好だった。木造3階建ての住宅の1FにAterm WR7800Hを設置し、1F、2F、3Fのそれぞれで速度を計測してみたところ、床を2枚、壁を1枚はさんだ3Fでも最大64.92Mbpsと非常に高い速度を計測できた。特に802.11aでは、2F、3Fでもほとんど速度の低下が見られない点は秀逸だ。

 一般的には、802.11aより802.11gの方が長距離伝送や遮蔽物がある環境に強いと言われているが、それはもはや昔話と考えたほうがよさそうだ。802.11gが利用する2.4GHz帯は利用する機器が多く、電波が混雑しがちであることを考えても、802.11aを積極的に利用するメリットは大きいだろう。

あらゆるユーザーにおすすめできる製品
 このように、Aterm WR7800Hは、802.11a/b/g同時通信による柔軟な無線LAN環境が構築できる点、「らくらく無線スタート」に代表される設定の手軽さ、近距離はもちろんのこと遮蔽物がある環境での高いパフォーマンスと、どの点を取っても非常に完成度の高い製品だと言える。

 現在、無線LAN製品は、豊富な機能を備えた製品と低価格な製品という二極化が進みつつあるが、個人的には豊富な機能を備えた製品をおすすめしたいところだ。もちろん、価格も重要ではあるが、無線LANの場合、購入時よりも、購入後にいかに快適な無線LAN環境を構築できるかが非常に重要となるからだ。そういった点を考えると、NECアクセステクニカのAterm WR7800Hは十分に合格点を与えられる製品だと言えそうだ。

清水理史の「イニシャルB」NECアクセステクニカの無線LANルータ「AtermWR7800H」のIEEE 801.11a/b/g同時通信の 実力を検証

■関連情報
・製品情報(AtermStation)
  http://121ware.com/product/atermstation/product/warpstar/delta/wr7800h.html
・ニュースリリース(NEC)
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0406/1501.html
・NEC、無線LANの自動設定システムを搭載したIEEE 802.11a/b/g対応ルータ
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/5578.html
・NEC、IEEE802.11a/b/g同時利用ルータ「WR7800H」の新ファームウェア
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/6206.html