デジカメ Watch

ナナオ関連
ニュースIndex
【 2004年11月1日 】
■ナナオ、動画再生に特化した19/17型液晶ディスプレイ 〜SRS WOW対応スピーカー内蔵

【 2004年10月14日 】
■ナナオ、Adobe RGB対応の22型ワイド液晶ディスプレイ

【 2004年9月30日 】
■ナナオ、液晶テレビ「FORIS.TV」にデジタルチューナ搭載の新モデル −23V型はOCBパネルを初採用。“ボケ”を楽しめる画作りを目指す

【 2004年9月9日 】
■ナナオ、19型液晶ディスプレイ2機種 〜グラフィックスとオフィスに特化

【 2004年9月3日 】
■ナナオ、アームとセットの直販専用液晶2機種

【 2004年6月3日 】
■ナナオ、コントラスト比1,000対1の17/19型液晶

【 2004年2月5日 】
■ナナオ、DVDプレーヤー一体型23V型液晶テレビ〜今夏には地デジチューナ内蔵の大画面製品も

■ナナオ、欧州市場の回復で業績予想を上方修正

【 2004年1月7日 】
■ナナオ、問い合わせ専用窓口「EIZOコンタクトセンター」開設

 

さすがの色再現性「FlexScan M170」

 フォトレタッチやイラストレーション、DTP作業に携わる機会も多いボクにとって、いいかげんな色しか出ないディスプレイでは話にならない。その意味で、ボクの仕事にとってディスプレイは、眼鏡やコンタクトレンズのように“視覚”を補う大切なパートナーなのだ。そのため、ディスプレイ選びはとても重要な作業になる。

IMG
写真やデザイン、DTPに携わると色再現性や表示品質へのこだわりは一層増してくる。EIZOはそんなユーザーの要望にも真剣に取り組んできたブランドとして、まわりのカメラマンやデザイナー仲間たちの信頼も厚い
 そのボクが、EIZO製品と出会ったのは、“EIZO”ブランドが海外専用ブランドであった15年ほど前のこと。以来、ボクは同社のハイエンドディスプレイを買い換え続けてきた。確かに、EIZOブランドの製品はどれも競合他社のものよりも高価だ。しかし、弱視者の多くが眼鏡やコンタクトレンズのクオリティにこだわるように、ディスプレイにもそれなりの投資をすべきであると、常々思っている。

 しかしながら、現状の液晶はパネル製造メーカーが違えば色味も異なってくるなどの課題も多いのも確か。事実、北米とアジアを取材で行き来することが多ため、常日頃から複数台のノートPCを使うことが多くなった最近は、出張先でPDFファイルによる校正を行ったり、イラストレーション作業を行う上で、淡い色が出なかったり、暗部が潰れてしまったりといった「色再現性」に対するストレスが溜まる一方だった。そこで、オフィスにいる間には、ノートPCのビデオ出力をディスプレイに出して使える17型クラスの液晶を探していたところ、渡りに船のEIZOの新製品のレビュー依頼。新登場の「FlexScan M190」「FlexScan M170」のうち、さっそく手持ちのノートPCを「FlexScan M170」と繋いでみた。

EIZOブランドにふさわしい色再現性

 デザイナーやイラストレータ、フォトグラファーからの熱い支持を受けるEIZOは、もとより色再現にはこだわってきた。ボクの手元にあるFlexScan L565も、出張から戻ってくると、Webパブリッシング担当スタッフの席に移動されていたりすることもあり、日頃から「ちゃんとした液晶がほしい」とクレームを受けるほど。その点で、EIZOの液晶は、色再現性についてもこだわりを持って開発してくれており、安心して購入できるブランドだ。

 そして、FlexScan M170の第一印象は、「これは使える!」というものだ。実はすでに2台の液晶を友人から譲り受けてオフィスで使っているボクは、安物液晶との差を改めて知ることとなった。17型の液晶はDTP作業の効率を上げてくれる上、ノートPCの液晶では確認できなかったシアン5%+イエロー5%といった淡い色も、確実に視認することができる。「そんな当たり前のこと」と思う人も多いだろうが、低価格化が急速に進んだ液晶ディスプレイでは、淡色やシャドー部の階調が再現できない製品は少なからず存在するのだ。しかも、最近はDVDコンテンツやTV視聴の“見た目”を向上させるべく、ムリにコントラストを高めて、淡色やシャドー部の再現性をさらに悪化させたケースは少なくないのだ。

IMG
ノートPCや低価格液晶では確認できない淡い色も、FlexScan M170ならバッチリ再現される
IMG
EIZO製ディスプレイならではのAuto FineContrast機能によって、ボタン一つでsRGBモードに切り換えられるため、Web掲載時のイメージを確認しながらMacintoshでレタッチするなど、作業効率も格段に向上する

 解像度は、1,280×1,024ドットのSXGAで、ビデオ入力はDVI-IとDsub 15ピンの2系統、MultiEdgeシリーズとしては初めて2ポートのUSBハブを本体に内蔵し、その出力をサイドに設けることで、アクセス性も高めている。ディスプレイを支えるスタンド部も大きく進化した。ArcSwing 2と名付けられた弓形をしたディスプレイの昇降部は、弧を描くようにパネルの上下を変えられるため、眼にやさしいとされるディスプレイを上から見下ろすポジショニングにもすることができる。むろん、ディスプレイの角度も変えることができるため、設置する机を選ばない上、ディスプレイを反対側に回転させることもできるため、机を囲んでの小ミーティングなどにも重宝する。

IMG
ArcSwing 2と名付けられた新しい昇降システムは、ディスプレイの角度や高さを自在に変化させることができる
IMG
スムーズにほぼ360度回転できる台座

優れた動画再生機能

 そのEIZOが今回ターゲットにしたのが、動画再生と音のクオリティ。つまり、最近のユーザーニーズに応える液晶作りだ。そこで、まずEIZOがこだわったのはコントラストと応答速度の向上だ。まず、FlexScan M170には、液晶TVなどに搭載されているオーバードライブ回路が実装された。オーバードライブ回路は、液晶画素への電荷を高めることで応答速度を向上させるもの。一般的に液晶パネルで示される応答速度は黒→白→黒の応答時間を示すものだが、これを階調ごとの応答時間で分析すると中間調域の反応速度がどうしても遅くなる傾向にある。そこで、FlexScan M170ではオーバードライブ回路を搭載することで、中間階調間(※1)において12msという驚異的な応答速度を可能にしている。現在、応答速度が速いと言われる液晶が16msであるから、FlexScan M170の12msという応答速度は驚異的な値だ。これまで、応答速度が速いと言われてきた液晶でも、PC上でスポーツ中継などを見ていると、プレイヤーの激しい動きに液晶がついていけず、尾を引くような残像が画面に残ることがあった。しかし、FlexScan M170では、中間調の応答速度を高めたと言うだけあって、こうしたストレスからも解放された。むしろ、動画再生性能が高くなった分、PC側のビデオ再生機能を高めるべく、最新のビデオカードに差し替えてしまったほどだ。しかも、FlexScan M170のコントラスト比は1000:1。しまりのある黒とシャドー部のなめらかな階調表現を両立し、映画コンテンツなどで暗部が見えづらくなるといった、PCでのDVD再生独特の問題も発生しにくくしている。

※1 31,63,95,127,159,191,223階調レベル間の各応答速度の平均値

IMG
PCで写真のような映画や音楽DVDを再生すると、暗部がつぶれる傾向が目立つが、FlexScan M170ではC-Booster機能の助けもあって、シャドー部もなめらかな階調で再現された
IMG
動画再生のクオリティが上がると、逆にPC側の再生環境の貧弱さが目立つようにもなってしまった。そこで、急遽、インターレース補間などのビデオ再生支援機能が充実したビデオカードに取り替えることに

IMG
動画像の輪郭のボヤケを応答時間として評価したグラフ(ナナオ測定値)。この測定方法では、より人間の感覚に近い評価が可能。オーバードライブ回路ありのグラフでは、すべての階調において高速な応答時間であることがわかる

 さらに、FlexScan M170には、表示されている画像の中でもっとも使われている階調領域に合わせ、階調を最適化する「C-Booster機能」、ディスプレイ周囲の明るさに応じて画面の明るさを自動調整する「BrightRegulator機能」を搭載。最近のビデオカードには、DVDコンテンツなどをPCで再生してもメリハリのある映像になるように、輝度とコントラストを一定レベルに引き上げる機能を持つものも多い。しかし、FlexScan M170に搭載された「C-Booster機能」は、こうした機能をさらにインテリジェントにしたものと言ってよいようだ。たとえば、ホラー映画やコンサートライブなどの暗いシーンが目立つコンテンツでも、最暗部の階調表現をやや明るくさせながらも全体のコントラストを自動的に上げて映像を引き締めてくれるため、輝度だけを手動で調整するなどして“白っ茶けた”映像になってしまうこともなく、快適な映像表現を実現してくれる。また、「BrightRegulater機能」も、室内の明るさに応じて画面の明るさを一定レベルに保ってくれるため、深夜ライトスタンドの明かりだけで作業をするときも、画面が明るすぎて目が疲れやすくなることも少なかった。

IMG
色温度や輝度/コントラストの調整も、ボタン一つでできるFineContrast機能やBrightRegulator機能用のボタンが並ぶ操作パネル部
IMG
ディスプレイ上部には輝度センサーが内蔵されており、周辺の明るさに応じて画面の明るさを自動調整するBrightRegulator機能を制御する。さらに温度や経年変化に対しても輝度の自動調整を行う

臨場感のあるサウンド環境の構築

 もう一つ、EIZOがFlexScan M170でこだわった音のクオリティは、外見上の特徴となって現れている。狭額縁液晶フレームを囲むように設けられた外側のフレームには、楕円形のシェープを持つ大振りなスピーカーが搭載されている。このように、画面横に大型スピーカーを配置することで、真正面から音に包まれる形となり、SRS WOWサラウンド機能も相まって、音楽DVDなどの再生時には臨場感のあるサウンド環境を構築することができる。むろん、液晶パネルにスピーカーを内蔵するとあって、出力は2W+2Wと、大音量でアクション映画やロックコンサートなどのコンテンツを楽しむといった用途にこそ適さないが、ボクのように仕事の邪魔にならない程度の音量で、常に音楽を流していたいといったユーザーにとってはこの上ないサウンド環境だ。

IMG
左右に取り付けられたアーチ状の大型スピーカーはFlexScan M170の外観上の特徴にもなっている
IMG
ビデオ入力に連動した2つのスピーカー入力が設けられており、画面切り換えと同時に音声も切り替わる
IMG
AirMac Expressと組み合わせ、複数のノートPCで使うディスプレイ入力に連動するスピーカー入力は、ストリーミング再生専用にしてしまった

 しかも、FlexScan M170のスピーカー入力はディスプレイ入力切り換えに連動する2系統が用意されている。つまり、画面を切り換えると同時に音声出力も連動するため2系統入力ディスプレイのメリットを最大限活かすことができる。ボクは通常、ディスプレイ入力の一方をデスクトップマシンに、もう1系統は複数台のノートPCで共用することが多い。しかし、ノートPCからの出力でDVDコンテンツや音楽を楽しむのでは、せっかくの大型スピーカーのメリットが半減してしまう。また、せっかく、動画性能を向上させたFlexScan M170を使うのなら、インターレース補間や櫛形ノイズフィルタといったビデオ再生支援機能を実現した最新グラフィックスカードと組み合わせたいところ。そこで、ボクはデスクトップPCは音声出力をFlexScan M170と繋ぎ、TVやDVD再生を楽しむ傍ら、もう1系統の音声入力にはApple ComputerのAirMac Expressを繋ぎ、複数のノートPCでストリーミング放送やデジタルオーディオ再生を楽しむことに決め込んだ。しかも、こうした使い方なら、ノートPCの貧弱なCPUでストリーミング再生をしなくても、空いたPCをストリーミングサーバーとして使うこともできるから、作業効率が上がったような気にもするくらい快適な環境を構築できて、われながら満足している。

 EIZOの最新17型液晶の「FlexScan M170」は、カジュアルでいて基本性能もしっかりした液晶として、仕事とプライベート両面で長く付き合える製品になりそうだ。

IMG IMG IMG
ブラックと新色のオフホワイト、さらにEIZOダイレクト限定販売のシルバーの3色展開


□ナナオのホームページ
http://www.eizo.co.jp/
□ニュースリリース(PDF)
http://www.eizo.co.jp/news/2004/M190_M170.pdf
□製品情報
http://www.eizo.co.jp/products/lcd/m190_m170/
□M190製品情報
http://www.eizo.co.jp/products/lcd/m190/
□M170製品情報
http://www.eizo.co.jp/products/lcd/m170/
□関連記事
【2004年11月1日】ナナオ、動画再生に特化した19/17型液晶ディスプレイ〜SRS WOW対応スピーカー内蔵
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1101/nanao.htm
□シルバーモデルを販売するEIZOダイレクト
http://direct.eizo.co.jp/

本間 文
フリーのテクニカルライター兼編集者。現在、物価の安い台湾の知人宅を基点に、東南アジア・北米を渡り歩く。プリンタ、ディスプレイなどのイメージングデバイスから、チップセットやビデオカード、各種PCパーツまで幅広くカバーする。

[PR]企画・製作 インプレスウォッチカンパニー 営業グループ
問い合わせ先:watch-adtieup-nanao0411@ad.impress.co.jp
Copyright (C) 2004 Impress corporation all rights reserved.