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 XPS(TM) M1330は、コンパクトなボディに最新のチップセットやCPUを詰め込んだDELLの新型モバイルノートだ。最新モデルということで性能はかなりのもので、コンパクトな大きさにもかかわらずデスクトップPCの代替として使えるほどの高い基本性能を持つ。また、薄型のボディなのでバッグなどに入れやすく、モバイルPCとしても使える携帯性も特徴だ。どんな用途にも対応できるオールマイティな1台である。実際に使ってみても、あらゆる部分がそつなくまとまられており、モバイルノートとしての完成度の高さを感じた。では、スペックやインタフェースなど細かい部分を見ていこう。

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◆スペックを自分で自由に決められるBTO販売

 DELLのPCは、基本的にはスペックをユーザ自身が決める。販売形態にBTO(受注生産方式)を採用しているので、CPUはこれ、メモリ容量はこれ、グラフィックス機能はこれといった具合にある程度自由にスペックを選択して注文を行えるのだ。通常はDELLのWebサイトで注文を行うが、「デル・リアル・サイト」と呼ばれる直営店舗もあり、そこで実機を見てからスペックを選択して注文することもできる。また、スペックを変更することはできないが、家電量販店でBTOを使わずに購入することも可能だ。

 BTOを採用しているため、スペックは購入する時期によって異なる。たとえば新しいCPUが発売されたら、それがすぐにBTOで選択できるようになるなど、世の中の状況に合わせて選択できるパーツも変わるからだ。そのため、ここで紹介するスペックは2007年8月現在のものであり、この記事の読者がDELLのWebサイトを確認するときには、もうスペックは変更されているかもしれない。その点だけ注意してほしい。


◆選択次第でローエンドにもハイエンドにもなる

メーカの保証対象外になるので通常はやってはいけないが、本体の底面を開けるとメモリや無線LANモジュール、CPUなどにアクセスできる。メモリ程度なら自己責任で自分で交換することも可能だ。

 XPS(TM) M1330は、CPUにインテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサー T7500(2.2GHz/4MB L2キャッシュ)、同T7300(2GHz/4MB L2キャッシュ)、同T7100(1.8GHz/2MB L2キャッシュ)、インテル(R) Celeron(R) M プロセッサー 540(1.86GHz/1MB L2キャッシュ)を選択できる。デュアルコアで高性能なT7500から、コスト重視のインテル(R) Celeron(R) M プロセッサー 540まで充実した選択肢だ。CPUの選択次第で本体の価格がかなり変わるので、どのCPUにするかは予算に合わせて選択することになるだろう。CPUを選択する際には、シングルコアとデュアルコアの違いに注意しよう。インテル(R) Celeron(R) M プロセッサー 540はシングルコアCPUで、インテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサーはデュアルコアCPUだ。

 また、インテル(R) Celeron(R) M プロセッサー 540はFSBクロックが533MHzだが、インテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサーは800MHzとなっている。インテル(R) Celeron(R) M プロセッサーとインテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサーは同じ土俵では比較できないほどの差があるので、インテル(R) Celeron(R) M プロセッサー 540を選択する際には注意してほしい。そのほか、インテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサーではT7100はL2キャッシュが2MBだが、それ以上のCPUでは4MBとなっている。これらのCPUは動作クロックの差だけではないということに注意が必要だ。ただし、L2キャッシュの容量差による性能差はそれほど大きなものではない。CPUはあとから簡単にアップグレードできるものではないので、よく考えて慎重に選ぼう。

 メモリは、PC2-5300 DDR2 SDRAM(DDR2-667)を使用する。規格はSO-DIMMだ。最大4GBを搭載でき、1GB(512MB×2)、2GB(1GB×2)、4GB(2GB×2)の選択肢がある。2枚単位になっているのはデュアルチャンネルに対応しているからだ。モバイルノートのスペックとしては申し分ない性能と言える。Windows Vista(R)では、メモリ搭載量が1GBでも少ないと言われることが多いようだが、実際に使ってみると1GBでも不満を感じることはない。さすがに、Windows(R) WordにWindows(R) Excel、Adobe(R) Photoshop(R)を同時に使うなんていう場合には容量不足を感じるが、電子メールソフトとWebブラウザ、インスタントメッセンジャーを使う程度なら十分である。筆者なら将来性を考えて2GBにするが、用途が限られているのなら単純に予算で選んでもいいだろう。


◆HDDの代わりにSSDを選択できる

 HDDは200GB(7200回転)、160GB(7200回転)、160GB(5400回転)、120GB(5400回転)から選択できる。さらに、XPS(TM) M1330ではHDDの代わりに32GBのSSD(Solid State Disk)も選択可能だ。HDDに関しては、7200回転のものと5400回転のものの2種類あることが特徴となっており、単純に容量だけで選ぶのではなく、回転数でも選択できるというのがうれしい。一方、SSDは1種類のみとなるが、SSDを選べるということ自体が素晴らしいので1種類でも十分だ。SSDは稼動部分のないストレージデバイスなので、高速なアクセス速度と優れた耐衝撃性能を得ることができる。しかも、動作音がまったくない。未来のノートを先取りしているような、今までにない独特の使い心地を得ることができる。32GBという容量に不安を感じる方がいるかもしれないが、Webブラウザや電子メールなどを使う分には十分な容量だ。サブノートとしてならまったく問題なく使える。


◆NVIDIA(R) GeForce(R) 8400M GS 128MB DDR3を選択可能

グラフィックス機能にはNVIDIA(R) GeForce(R) 8400M GS 128MB DDR3を選択することも可能だ。このチップはNVIDIA(R) PureVideo(TM)技術に対応しているので、ゲーム用途以外でも内蔵グラフィックス機能から交換するメリットはある。

 グラフィックス機能は、標準構成ではモバイル インテル(R) GM965 Express チップセットが内蔵するIntel(R) Graphics Media Accelerator X3100を搭載している。ゲームをプレイしないのならこれで十分だが、ゲームをプレイする人向けにNVIDIA(R) NVIDIA(R) GeForce(R) 8400M GS 128MB DDR3も選択できる。ゲームといっても、最新の3Dゲームをゲーム機でプレイするかのように快適に遊べるというわけにはいかないが、軽めのゲームなら十分プレイできる。このノートはモバイルノートなのだから、それでもかなり凄いことだ。NVIDIA(R) GeForce(R) 8400M GS 128MB DDR3を選択した場合、128MBのGDDR3ビデオメモリを物理的に搭載し、足りない分はシステムメモリを使用する。NVIDIA(R) GeForce(R) 8400M GS 128MB DDR3はDirectX 10にも対応しているし、ビデオ再生支援機能のNVIDIA(R) PureVideo(TM)技術にも対応しているので、ゲームをプレイしない人にも魅力的なグラフィックス機能と言える。


◆液晶は通常タイプとLEDタイプの2種類から選択できる

13.3インチのワイド画面は結構大きく感じる。解像度も1280×800ドットあり、このクラスのノートとしては十分だ。WLED液晶の輝度はかなり高く、部屋の中では設定を変更しないと明る過ぎるほどだ。

 ノートと言えば液晶のスペックも重要だ。XPS(TM) M1330は、13.3インチのワイド液晶を採用している。最大解像度は1280×800ドットだ。液晶パネルは表面に光沢があるタイプで、輝度が高く鮮やかな表示を行える。購入時には通常の液晶以外に、バックライトにLEDを採用した薄型のWLED液晶を選択できる。この液晶は300cd/m2の輝度を誇り、通常の液晶と比べて大幅に薄い。WLED液晶を選択すると本体の薄さがさらに薄くなるので、XPS(TM) M1330をさらにスタイリッシュに見せる効果もある。


◆HDMI出力まで備える豊富なインタフェース

 そのほか、光学ドライブはDVD+Rの2層記録に対応するDVD±R/RWドライブを搭載する。スロットインタイプなので大変薄いことが特徴で、外観上はまるで搭載していないかのように見える。インタフェースは、汎用端子としてはUSB 2.0ポートが2つ、IEEE1394aポートを1つ備える。ネットワーク関係では、100BASE-TXに対応するLANポートを1つに、端子ではないがIEEE802.11a/b/g/nに対応する無線LAN機能とBluetooth機能を搭載する。Bluetooth機能は、最近は対応する無線マウスが増えてきているのであると結構便利だ。オーディオ関係では、マイクが1つ、ヘッドホン端子は2つも備えている。ほかに、拡張スロットのExpressCard(54)スロットを1つに、8つのメディアに対応するメモリカードリーダを搭載する。特筆したいのは映像出力関連の端子で、なんとモバイルノートなのにDsub 15ピン以外にHDMI端子も備えている。HDMIを使えばハイビジョンテレビなどに高解像度で簡単に画面表示を行えるので大変便利だ。

本体の前面には、マイク端子を1つとヘッドホン端子を2つ備えている。8つのメディアに対応するカードリーダもあり、狭いスペースを有効に使っている。
背面にはバッテリを搭載する。バッテリは、購入時に4セル(標準)、6セル、9セルのものから選択できる。

右側面にはDVD+Rの2層記録に対応したDVD±R/RWドライブに、ExpressCardスロット、USB 2.0ポート、無線LAN機能の切り替えスイッチが付いている。ドライブはスロットインタイプなので凄く薄い。
左側面には、電源端子、Dsub 15ピン、100BASE-TXに対応するLANポート、USB 2.0ポート、HDMIポート、IEEE1394aポートを備える。とくにHDMIポートはテレビに画面を出したいときなどに大変便利だ。

 特別な機能としては、キーボードの右下に指紋認証センサを搭載している(オプション)。Windows(R)のログオンパスワードを指紋認証で置き換えられるなど、セキュリティを高めつつ利便性も上げることができる素晴らしい機能だ。パスワードを打ち込む必要がなくなるというのは、使ってみるとなかなか便利である。ほかには、液晶ディスプレイの上部にWebカメラを搭載することができる。Webカメラは、通常の液晶を選択した場合には200万画素のものを、WLED液晶を選択した場合には30万画素のものを搭載可能だ。人にもよるとは思うが、筆者の場合はWebカメラを使う頻度が多いので結構重宝する。たとえば、新しく購入したマウスの特徴を知人に見せたいときとか、離れたところに住んでいる友人とインスタントメッセンジャーでビデオチャットをしながらお酒を飲むなんてときに凄く便利なのだ。

キーボードの右下部分には指紋認証センサを搭載している。セキュリティ強化というよりも、パスワードの入力を簡略化することによる利便性向上のほうがうれしい。かなり便利な機能だ。
液晶ディスプレイの上部にはWebカメラを搭載することができる。ノートの場合、内蔵できる機能は最初から内蔵させておいたほうが便利なので、Webカメラもあとから追加するのなら最初から付けておこう。

◆持つ喜びを感じられるほどの上質なデザイン

 XPS(TM) M1330は従来のDELLのノートと比べて、一段とスタイリッシュになった。マグネシウム合金とアルミニウムを使用した本体は、金属特有の冷たくて高級感のある肌触りだ。剛性感もあり、モバイルノートであっても重量級ノートのような安心感がある。本体カラーは「ルビー・レッド」、「サファイア・ブラック」の2種類から選択できるようになっており、どれを選んでも本体のデザインによく合っている。ルビー・レッドはノートらしくない色のように感じる人もいるかもしれないが、実際は意外と落ち着いていて、色の名前から感じるほどハデな雰囲気はない。どれも、上質な大人の雰囲気を感じさせてくれる。

 本体サイズは幅318mm、奥行き238mm、重量は約1.8kg(※重量は購入時のパーツ構成によって異なる)であり、デスクトップPCの代替としても、モバイルPCとしても使えるバランスのとれたサイズである。厚みは、もっとも厚い部分で36.3mm、薄い部分で24.6mm。WLED液晶を選択した場合には、厚い部分が33.8mm、薄い部分が22.1mmになる。定規が近くにある人は確認してほしいのだが、22.1mmというのはかなり薄い。実際に手で持つと、折れてしまうのではないかと感じるほど薄い。前述したとおり本体の剛性が高いので不安はないのだが、それにしても薄い。さらに驚きなのは、実際に見るともっと薄く見えるという点だ。本体のデザインが手前から奥に対して徐々に厚みを増すデザインになっており、手前は机から少し浮くようなデザインになっている。このデザインの効果によって、実際には22.1mmもないのではないかと感じるほど薄く見えるようになっている。モバイルノートということで、薄さを強調するデザインになっているわけだ。ノートを使うときには必ず手前から使うわけで、このデザインは大変効果的である。よく考えられたデザインと言える。

これはルビー・レッド。このほかに、サファイア・ブラックがあり、本体カラーは計2色から選択できる。表面はつや消しの塗装を施してあり、高級感がある。
本体は大変薄いのだが、手前側がとくに薄い。液晶を閉じた状態でもかなり薄く、片手で持つと折れてしまうのではないかと思えるほど。ただし、剛性感があるので実際には片手で持っても不安は感じない。

 スロットインタイプのドライブといい、薄さを強調する形といい、XPS(TM) M1330はデザインにこだわったノートである。しかも、パームレスト部分の手触りの良さなど、使う人のことをよく考えて作られている。そのことは使い勝手にも表れており、しっかりとした作りのキーボードはこのクラスのノートとしてはトップクラスの出来だ。このキーボードなら長時間文章を書いていてもあまり疲れることはないだろう。キーストロークにさえ慣れてしまえば、デスクトップPCと変わらないほどの扱いやすさを持っている。タッチパッドもサラサラとしていてよく滑り、クリックボタンも深くて押しやすい。うーん、なかなか完成度が高いノートだ。

キーボードはこのサイズのノートにしては大きくて使いやすい。長時間使い続けても疲れにくいキーボードだ。上からの圧力に対して大変強くできており、キーを強く押してもたわまない。
パームレスト部分はサラサラとしていて触り心地が良い。タッチパッドもサラサラで操作しやすい。とくにタッチパッドのボタンはストロークが深くて、ノートとしてはトップクラスの押しやすさだ。

キーボードの上部には、音楽CDの操作や音量の操作を行えるタッチキーを備えている。手で触れるだけで動作するスタイリッシュなキーだ。触れると青色に淡く光る。
DVD±R/RWドライブはスロットインタイプを採用している。メディアを途中まで入れると、自動で引き込む仕組みになっている。デザインの良さと使いやすさの両方を備えている

◆誰にでもオススメできるオールマイティなノート

 チップセットは965世代で、CPUにインテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサーを選択でき、HDDにはSSDを選ぶこともできる。メモリは最大で4GBも搭載できるし、液晶はLEDタイプを選択することも可能だ。これだけハイスペックだが、スリムでデザインもいい。デスクトップPCの代替としてハイパワーPCのように使うこともできるし、モバイルPCとしてサブノートのように使うこともできる。スペックを抑えればコストパフォーマンスが高い入門モデルとしても使用可能だ。BTOでスペックを選べるため、どのようなPCにすることもできる。XPS(TM) M1330は、使う人に合わせて変化できるオールマイティなノートなのだ。基本部分の完成度が高いので対応できる幅も広く、誰にでも自信を持ってオススメできるほどのモデルに仕上がっている。Webサイトでパーツ構成を変更すれば、すぐにその構成での価格が出てくるので、自分が欲しい構成がどの程度の価格になるのか、まずはDELLのWebサイトで試してみるといいだろう。本体の質の高さのわりに、意外と購入しやすい価格というのも特徴の1つだ。

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Profile
小林 輪

バイク好き、車好き、パソコン好きのライター。パソコンのハードウェアを中心に、レビュー記事などを執筆中。
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