DELL CONT@CT デルのPCおトク情報を毎週更新
今週のおすすめ
製品レビュー
製品ラインアップ
バックナンバー
■2010.02.25
ゲーマーは注目! デルのゲーマー向けハイスペックPC「Alienware Aurora」
■2010.01.27
ノートよりも大画面なオールインワンデスクトップ「INSPIRON(TM) One 19」
■2010.12.16
冬のボーナスで最新Windows 7搭載PCを買おう!ノートブックPCラインアップをチェック
■2010.12.08
冬のボーナスで最新Windows 7搭載PCを買おう!デスクトップPCラインアップをチェック
■2010.12.02
HDビデオ編集をはじめるならインテル(R) Core(TM) i7搭載Studio XPS 16
■2010.10.22
Windows 7がいよいよ登場!新しいOSはデルの新しいPCとともにスタートをきろう
■2009.09.29
オリジナリティあふれるデルのノートPC、Studioシリーズ
■2009.08.25
エイリアン来襲! 宇宙最強をうたう ゲーミングノート「Alienware(R) M17x」
■2009.07.21
世界最薄のノートブック「Adamo」が発売!
■2009.07.07
液晶モニタが安い今、大画面、高精細、マルチモニタの夢を叶えよう!
■2009.05.12
わがままニーズに応える1台「INSPIRON(TM) 15」
■2009.04.27
スタンダードノートがリフレッシュ「INSPIRON(TM) 15」
■2009.04.13
どこでも簡単に写真をプリント「Wasabi PZ310」
■2009.04.01
ミッドタウンに展示された「Adamo」をチェック









ハイブリッド冷却システムを搭載したデルのスーパーマシン「XPS(TM) 710 H2C」。後編の今回は、そのスペックと実際の使用感などを中心にチェックしてみよう。話題のハイブリッド冷却システムの性能はいかがだろうか? 


◆どうやってもスーパーなマシン

今回試用したマシンのデバイスマネージャ。CPUとGPUが四つずつ認識されているのが分かる。加えて、サウンドカードに「Creative(R) Sound Blaster(R) X-Fi Xtreme Music PCI サウンドカード」 も搭載したゲーマー向け構成だ
*クリックをすると画像が拡大します

 前回はデルのスーパーハイエンドマシン「XPS(TM) 710 H2C」のハードウェア的な構造について述べた。その超弩級の筐体構造や、メンテナンス性、拡張性などについてはそちらを参照してもらうとして、後編の今回はさらに内部的な性能をメインとしてチェックを入れている。ひとまずベンチマークテストなどを行っている兼ね合いから、前回も述べているそのスペックについておさらいしておこう。

 BTOによる構成変更が可能となっているが、CPUにはIntel(R)のクアッドコアCPUの最高峰「インテル(R) Core(TM) 2 Extreme プロセッサー QX6700」もしくはデュアルコアCPUの最高峰「インテル(R) Core(TM) 2 Extreme プロセッサー X6800」のどちらかを選択可能。これにチップセットとしてNVIDIA(R)の「nForce(TM) 590 SLIチップセット」を組み合わせ、ビデオカードにはNVIDIA(R) GeForce(TM) 8800 GTX 768MB DDR/NVIDIA(R) GeForce(TM) 7950 GX2 1GB DDR/NVIDIA(R) GeForce(TM) 7900 GS 256MB DDRの単体もしくはSLI構成による2枚挿しがそれぞれ選択可能となっている。メモリは512MB×2枚の1GBから、1GB×4枚の4GB、HDDは160GBから選ぶことができるが、最大では750GB×2台の1.5TB(RAID 0/1構成も選択可)を選択できる。

 はっきり言って、現状の一般向けパソコンとしては、この上ない最上位スペックとなっているので、どう選んでも快適に動かないアプリケーションは存在しないだろう(できればメモリは今なら2GB以上を狙いたい)。「勝つための快適環境」を求めるトップゲーマーにとっても、このマシンを使えば負けても言い逃れはできない(最大の敵はネットワークのラグや、サーバの負荷かもしれないが……)。そういった意味では、このマシンにおいてスペックを一般的なベンチマークという数値で表すのはあまり意味がないのかもしれない。

CPUはインテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサーシリーズのクアッドコアとデュアルコアの最高峰2種類から選択。どちらを選んでもハイエンドだが、クアッドコアのインテル(R) Core(TM) 2 Extreme プロセッサー QX6700を選ぶ場合は、真価を発揮できるアプリケーションがあるかどうかも確認しておきたい *クリックをすると画像が拡大します
 
H2Cによる強力なCPU冷却能力と、SLIのビデオカード環境で最高かつ安心のゲームパフォーマンスを演出。BTOメニューの中ではNVIDIA(R) GeForce(TM) 7900 GS 256MB DDRもお勧めだ
*クリックをすると画像が拡大します

◆もはやスペックは未知の領域

 それでは実際のそのスペックはどうなのか、定番のベンチマークソフトを使って計測を行ってみた。ここでは誌面の都合上もあってゲーマーにお馴染みの分かりやすい2種類を選択している。

 今回試用した構成は、インテル(R) Core(TM) 2 Extreme プロセッサー QX6700にNVIDIA(R) GeForce(TM) 7950 GX2 1GB DDR×2のいわゆる4×4構成。メモリは512MB×4枚で2GBという現在のBTOにはない構成であったが、1GB×2枚でもテスト結果に大きな差はないはず。比較対象をどうするかということで、NVIDIA(R) GeForce(TM) 8800 GTX 768MB DDRやNVIDIA(R) GeForce(TM) 7900 GS 256MB DDRのほか、ミドルクラスのNVIDIA(R) GeForce(TM) 7600 GSとNVIDIA(R) GeForce(TM) 7300 GTの値も計測している。いずれもデルのBTOで選択できる製品のものではないので、あくまで選択の指標として見ていただければ幸いだ。あとは、ご自分のマシンで同じベンチマークを走らせて、その数値と比較していただくのが一番分かりやすいだろう。

 ただ、本稿執筆時点(3月上旬)で、すでにNVIDIA(R) GeForce(TM) 7950 GX2 1GB DDRはBTOメニューから外されており、NVIDIA(R) GeForce(TM) 8800 GTX 768MB DDR/NVIDIA(R) GeForce(TM) 7900 GS 256MB DDRの2種類のみへと切り換わっている。できれば現在選択できる構成でテストをしたかったところだが、最新構成をお借りするのは間に合わないとのこと。残念なところだが、性能的にNVIDIA(R) GeForce(TM) 8800 GTX 768MB DDRはNVIDIA(R) GeForce(TM) 7950 GX2 1GB DDR 1枚に近いレベルと考えて、その辺りから類推してみてもらいたい。

 結果は下のとおりだが、Futuremarkの「3DMark06 build 102」は10,000オーバーのスーパースコア。このスコアは5,000近ければ十分ハイエンドクラスと呼べるものであることを考えれば、いかにモンスターマシンであるかがよく分かることだろう。スコアは半分近くになっているが、NVIDIA(R) GeForce(TM) 7900 GS 256MB DDRでも十分な性能なのだ。NVIDIA(R) GeForce(TM) 8800 GTX 768MB DDRは1枚でさらに上のスコアをマークしているが、これはNVIDIA(R) GeForce(TM) 8800シリーズ用の最新ドライバを用いていることもあるだろう。実際のゲーム画面を使ったスクウェアエニックスの「Vana'diel Bench 3」では比較的素直な値となっているが、メーカーが“計り知れないPC”とする7,000 SCOREをNVIDIA(R) GeForce(TM) 7300 GTでも余裕で上回る結果となっており、インテル(R) Core(TM) 2 Extreme プロセッサー QX6700の性能の高さも分かる結果になっているとも言えるだろう。NVIDIA(R) GeForce(TM) 7950 GX2 1GB DDRに代わるハイエンド構成として、NVIDIA(R) GeForce(TM) 8800 GTX 768MB DDRが満足のゆくものであることも分かるはずだ。XPS(TM) 710 H2CではさらにこのSLI構成も選べるわけだが、ここからはもう本当に自己満足の世界である。

3DMark06 Build 102 FFBench(Vana'diel Bench3)
3Dグラフィックス性能を計測するベンチマークソフトとしては定番中の定番である「3DMark06」。NVIDIA(R) GeForce(TM) 8800 GTX 768MB DDRは突出した値を示している
*クリックをすると画像が拡大します
こちらもゲーマーにはお馴染みのベンチマークソフト「Vana'diel Bench 3」。現実的なオンラインRPGの画面を使用しているので、これを使えばリアルな快適度が分かるだろう。それぞれの数値も素直な値と言える *クリックをすると画像が拡大します
3DMark06 Build 102 グラフ FFBench(Vana'diel Bench3) グラフ
3DMark06 Build 102 単位:3DMarks
*クリックをすると画像が拡大します
Vana'diel Bench3 単位:SCORE
*クリックをすると画像が拡大します
【XPS(TM) 710 H2C以外のベンチマーク環境】
ビデオカード:ASUSTeK EN8800GTX/HTDP/768M(NVIDIA(R) GeForce(TM) 8800 GTX 768MB DDR)、MSI NX7900GS-T2D256EZ(NVIDIA(R) GeForce(TM) 7900 GS 256MB DDR)、MSI NX7600GS-MTD256E(NVIDIA(R) GeForce(TM) 7600 GS)、GALAXY GF7300GT/128D3/DVI/PCIE(NVIDIA(R) GeForce(TM) 7300 GT)、マザーボード:ASUSTeK P5B Deluxe、CPU:インテル(R) Core(TM) 2 Extreme プロセッサー QX6700、メモリ:Cosair Memory TWIN2X2048-850C5D(PC2-6400 DDR2 SDRAM 1GB×2/CL=5)、HDD:Western Digital WD Raptor WD1500ADFD (Serial ATA2.5、10,000rpm、150GB)、OS:Windows(R) XP Professional SP2(DirectX 9c)、ビデオドライバ:ForceWare 97.92(NVIDIA(R) GeForce(TM) 8800 GTX 768MB DDR)、ForceWare 93.71(NVIDIA(R) GeForce(TM) 8800 GTX 768MB DDR以外)

 このXPS(TM) 710 H2Cでゲームをプレイするならば、XGA(1,024×768ドット)などではなく、UXGA(1,600×1,200ドット)クラスの高解像度でプレイするべきだろう。それでも快適に動作するだけのスペックであるので、本製品を使うのならば液晶ディスプレイなどもそれに準じた高解像度の大型ディスプレイを組み合わせたいところだ。17型や19型程度の液晶ディスプレイでは、本製品の性能を発揮することはできないと言ってもよさそうだ。

  ちなみに、XPS(TM) 710 H2CではWindows Vista(TM)環境へはアップグレードでの対応となっているが、NVIDIA(R) GeForce(TM) 7900 GS 256MB DDR以上のビデオカードであれば、Windows Vista(TM)の快適度の指標となるを表す「エクスペリエンスインデックス」のグラフィックスは、ほぼ間違いなく現時点の最高点である“5.9”となるはず。快適でないほうがどうにかしていると言ったところだ。

 最近のNVIDIA(R)などでは、こうしたハイエンド向け製品を「エンスージアスト向け」(enthusiast:熱狂者)と表現している。XPS(TM) 710 H2Cは、ある意味すでに一般ユーザには必要のない過剰なスペックを備えたモデルと考えてもよいだろう。


◆CPUクーラーは静音だが?

騒音計(デシベルメーター)をXPS(TM) 710 H2Cの正面約10cmのところに設置。開口部の大きいフロントパネルだけに不利ではある。騒音は高負荷時もほとんど変化はなく、54dB〜57dBといったところ
*クリックをすると画像が拡大します

 続いて、本製品ではマシンパワー以上に気になっている人も多いと思われる、静音性能をチェックしてみよう。なんと言ってもH2Cという新型ハイブリッド冷却システムを搭載したマシンであるので、これには期待が集まるところだ(H2Cなどの構造に関しては「前編:ハードウェア編」をご覧いただきたい)。  結論から言ってしまうと、一般的なマシンの観点からするとXPS(TM) 710 H2Cの静音性は「普通」だ。フロントマスクには大きなダクトが開いており、CPUクーラーがいかに静音でも、拡張スロット用の12cm角ファンやビデオカードのファンの音はそのまま聞こえてしまう。今回は空調を切ってほぼ無音状態にした地下室内で、筐体の正面約10cmの位置に騒音計を設置。電源を入れた直後はすべてのファンがフル回転するので爆音となるが、その後はファンコントロールが作動して55dB程度で安定する。数値で表してもピンと来ないかもしれないが、この数値は筐体前後にファンを備えた標準的なパソコンと大きな差はない。少なくとも本製品を「静音マシン」と称するのは無理があるだろう。

試用したマシンに搭載されていたNVIDIA(R) GeForce(TM) 7950 GX2 1GB DDR(2枚)。これはNVIDIA(R) GeForce(TM) 7900 GS 256MB DDRビデオカードを2枚合わせて1枚でSLI構成としたもので、それぞれのGPUにファンが装着されている。つまり、今回の場合それが2枚なので、ビデオカードだけで四つもファンが付いていたのだ *クリックをすると画像が拡大します

 ただし、これには大いに擁護するべき点がある。一つは今回試用したマシンのビデオカードがNVIDIA(R) GeForce(TM) 7950 GX2 1GB DDR×2枚ということで、ビデオカードだけでファンが四つも備えられていた点(現在の最上位となるNVIDIA(R) GeForce(TM) 8800 GTX 768MB DDRのビデオカードは、NVIDIA(R)のリファレンスカードに限って言えばかなりの静音ファンが取り付けられている)。二つ目はもっとも音がよく聞こえる筐体正面で計測していること。三つ目は高負荷時でも騒音がほとんど変化しないことだ。

 XPS(TM) 710 H2Cの筐体はサイドパネルが非常にしっかりしている上に奥行きもあるため、横に対する音漏ればほとんどない。正面から斜め前に移動するだけでも、聞こえる音はかなり変化する。本製品の筐体にはしっかりとした足も付いており、どちらかと言えば机の上ではなく、足元などに置いて使うマシンとも言えるので、そうした置き場所の配置によっては、ほとんど気にならないはずだ。また、高負荷時でも騒音が変化しないというのは、CPUクーラーの性能の現れ。そもそもこれだけのハイエンド構成で普通の動作音というのは、実際かなりスゴイのである。インテル(R) Core(TM) 2 Extreme プロセッサー QX6700のリテールCPUクーラー(自作ユーザ向けに販売されているCPUに付属している標準クーラー)は、通常時こそそれほど音は気にならないが、高負荷の高回転音時はそれなりの騒音を発する。H2Cにはハイブリッドとしてファンも備えられているわけだが、単体では、ファン動作時でもほとんど音は聞こえてこない。それを思えば、いかにH2Cの能力が優れているかも分かるというものだ。

XPS(TM) 710 H2Cの下部は、奥のファンがそのまま見えるほど大きく開いている。サイドパネルはがっしりしているが、フロントからの音はそのまま漏れてしまう。長期間使うにはホコリなども気になるところではある *クリックをすると画像が拡大します

 ただ、やはりせっかくこれだけの性能を備えているのだがら、もう少し静音性を上げることは難しくなかったはず。実際にフロントパネルの下部を軽く塞いでみるだけでも、漏れる音は激減するので、フロントパネルのデザインにもうひと工夫加えるだけでも、ワンランク上の高い静音性と冷却効率を両立できそうだ。これは本製品のデザインに関わることなので、難しいのかもしれないが、そんな改良モデルにも今後期待してみたいと思う(本製品のユーザにとっては、少々の騒音など取るに足りないことかもしれないが)。


◆まとめ

 XPS(TM) 700が登場した当初は、同じ筐体のまま10万円台の構成も楽に選べたことを考えると、ある意味幅の狭くなったXPS(TM) 710 H2CのBTO構成。Dimension(TM)シリーズのスペックを引き上げることによって、本製品はまさしくエンスージアスト向けのマシンに特化したと言ってよいだろう。万人にお勧めすることはできないが、他の追随を許さない強力スペックであり、それを求めるユーザにとっては代えがたい優越感を味あわせてくれる1台だ。

 同じデルのデスクトップマシンでも、Dimension(TM) 9200を「いつかはクラウン」のクラウンとすれば、本製品はフェラーリやポルシェのようなスーパーカークラスのマシンと考えてもよい(同じトヨタ車ならレクサスかもしれないが、そんな大人しいマシンではない)。スーパーカーに喩えると価格や動作音などの面からしても妙に納得できてしまうのがおもしろいところであるが、乗り手は選ぶが、手にするだけで自慢ができる、そんなマシンがこのXPS(TM) 710 H2Cなのである。


Profile
保坂 陽一

主にPC誌などで執筆活動しているライター。飛行機や新幹線でも自転車を持って旅に出るあたり、ある意味筋金入りのモバイラーなのかもしれない。最近はデジタル一眼レフの交換レンズが増えてしまったため、カメラボディ、レンズ、ノートPCなどなどをどうやってリュックに詰め込むかが悩みの種。
DELL CONT@CT TOPへ ▲TOPへ戻る
Copyright (c) 2003 impress corporation All rights reserved. このサイトについてのお問い合わせ | プライバシーについて