インテル(R)が満を持して発売したインテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサーは、今までのCPUとは一線を画する新世代のCPUだ。デルのパソコンでは、多くのモデルでインテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサーを搭載できる。デルは、WebサイトからBTO(Built To Order:受注生産方式)で注文を受け付けているので、パソコンのCPUを自分で選択可能だ。せっかくCPUを選択できるので、これからパソコンを購入するのなら、悩むことなく最新のインテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサーを選択しよう。ここでは、最新CPUであるインテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサーの魅力と、インテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサーを搭載可能なデルの対応モデルについて解説する。
■Core 2 Duoのラインアップ
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Core(TM) 2 Duo対応パソコンには、このCore(TM) 2ロゴシールが貼られる |
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インテル(R)の「インテル(R) Core(TM) 2 Duo」(以下、Core 2 Duo)は、7月27日に発表された新しいCPUだ。従来のCPUとは基本構造(アーキテクチャー)が異なっており、大変処理効率が良いCPUとして注目を集めている。一口にCore 2 Duoと言っても、大きく分けて3種類のCPUがある。まず、一般的なデスクトップパソコン向けのCore 2 Duo Eシリーズ、そしてノートパソコン向けのCore 2 Duo Tシリーズ、最後がハイエンドパソコン向けの「Core 2 Extreme プロセッサー」(以下、Core 2 Extreme)だ。本記事を含め、これらのCPUをまとめてCore 2 Duoと言う場合が多いが、Core 2 Extremeがあるので、正確にはCore 2シリーズである。ノートパソコン向けに消費電力が少なかったり、ハイエンド向けに動作クロックが高かったりという違いはあるが、基本的にはすべて同じ構造のCPUとなっている。
インテルCore 2 CPUシリーズラインアップ
対象
製品 |
CPU名称 |
プロセッサー・ナンバー |
コア数 |
動作
クロック |
FSB
クロック |
L2キャッシュ |
TDP |
EIST |
ED Bit |
VT |
Intel 64 |
デスク
トップPC |
Core 2 Extreme プロセッサー |
X6800 |
2 |
2.93GHz |
1,066MHz |
4MB |
75W |
○ |
○ |
○ |
○ |
Core 2 Duo プロセッサー |
E6700 |
2 |
2.66GHz |
1,066MHz |
4MB |
65W |
○ |
○ |
○ |
○ |
E6600 |
2 |
2.40GHz |
1,066MHz |
4MB |
65W |
○ |
○ |
○ |
○ |
E6400 |
2 |
2.13GHz |
1,066MHz |
2MB |
65W |
○ |
○ |
○ |
○ |
E6300 |
2 |
1.86GHz |
1,066MHz |
2MB |
65W |
○ |
○ |
○ |
○ |
ノートPC |
Core 2 Duo プロセッサー |
T7600 |
2 |
2.33GHz |
667MHz |
4MB |
34W |
○ |
○ |
○ |
○ |
T7400 |
2 |
2.16GHz |
667MHz |
4MB |
34W |
○ |
○ |
○ |
○ |
T7200 |
2 |
2.00GHz |
667MHz |
4MB |
34W |
○ |
○ |
○ |
○ |
T5600 |
2 |
1.83GHz |
667MHz |
2MB |
34W |
○ |
○ |
○ |
○ |
T5500 |
2 |
1.66GHz |
667MHz |
2MB |
34W |
○ |
○ |
− |
○ |
※EIST:Enhanced Intel SpeedStep Technology(省電力機能)、ED Bit:Execute Disable Bit(ウイルス対策機能)、VT:Intel Virtualization Technology(仮想化機能)、Intel 64:Intel Extended Memory 64 Technology(64bit機能)
■効率を追求した新世代のCPU
従来のインテルのCPUは「インテル NetBurstマイクロアーキテクチャー」という基本構造を元に作られており、動作クロックを上げることで高速化を図っていた。CPU名称で言うと、インテル(R) Pentium(R) 4 プロセッサー(以下、Pentium 4)やインテル(R) Pentium(R) D プロセッサー (以下、Pentium D)がこの世代のCPUである。しかし、Core 2 Duoではこのアーキテクチャーを捨て、新しく「インテル Coreマイクロアーキテクチャー」という基本構造を採用している。その背景には、CPUの消費電力と発熱量の増加という問題がある。
CPUの動作クロックを上げると、消費電力が上昇し、その分発熱量が増える。パソコンの世界では、CPUの消費電力はTDP(Thermal Design Power:熱設計上の最大消費電力)という仕様で表す。たとえば、3.8GHzで動作するPentium 4 670のTDPは、インテルの資料を見ると115Wとなっている。115Wという数字を分かりやすく説明すると、500mlの水を約30分で沸騰させることができる電力量である。これだけの消費電力のCPUを、狭いパソコンケースの中で動作させるのは大変難しい。CPUは実は高温に弱く、Pentium Dなら、だいたい70℃〜80℃程度で止まってしまう。また、パソコンの中には、そのほかにも高温に弱い部品が多数入っている。従来のPentium 4やPentium Dは、技術的にはさらに動作クロックを上げることができたが、周辺の環境がそれを許さなかったのだ。そこで開発されたのが、処理効率を重視し、低い動作クロックでも高いパフォーマンスを得ることができるCore 2 Duoなのである。Core 2 Duoでは、TDPは65Wまで下げられており、熱の問題がほぼ解決された。
■Core 2 Duoは生まれたときからデュアルコア
CPUの性能を上げるためには、動作クロックを上げるか、1クロック(1Hz)当たりの処理量を増やすか、どちらかを選択するしかない。1クロックで1つの命令を処理するCPUを1GHzで動作させると、1秒間に10億回の命令を処理できる。もし、このCPUで動作クロックを2GHzにすれば、1秒間に20億回の処理を行えるように性能を向上できる。一方、1クロックで2つの命令を処理するCPUなら、2GHzよりも低い1GHzでも1秒間に20億回の命令を処理できる。厳密にはこんなに単純ではないが、処理効率を上げれば、動作クロックを上げなくても性能を上げられるということが、このことから分かる。
インテルはPentium 4の発熱量が限界に達したとき、さらに処理能力を上げるために、デュアルコアという仕組みを採用した。それがPentium Dである。デュアルコアは、1つのCPUの中に2つのCPUを入れる技術だ。Pentium Dには、Pentium 4相当のCPUが2つ入っている。しかし、1つで動作することを前提に作られたPentium 4を2つ入れただけでは、大きな性能向上は実現できない。
ところが、Core 2 Duoは違う。Core 2 Duoは、最初からデュアルコアCPUとして開発されたCPUだ。同じデュアルコアでも、Pentium Dとは大きく性能が異なる。また、Core 2 DuoはPentium DやPentium 4と比較して、CPU1つ当たりの処理効率を大幅に高めている。Core 2 Duoは、動作クロック重視のCPUではなく、処理効率重視のCPUなのだ。1クロック当たりの処理効率を上げ、さらにデュアルコアCPUとしても最適化したことにより、Core 2 DuoはPentium Dとは比較にならない性能を得ることに成功した。
さらに、まだ登場したばかりのCPUなので性能の向上も容易で、将来性の面でも優れている。今後は、CPUの数を2つから4つに増やしてマルチコアCPUにするか、従来のように動作クロックを上げていくことになるだろう。処理効率が高いCPUなので、動作クロックを少し上げるだけで大きな性能向上を見込むことができる。
■Core 2 Duoに採用された5大機能
Core 2 Duoが採用するインテル Coreマイクロアーキテクチャーは、5つの優れた機能を特徴としている。Core 2 Duoの高い処理効率と消費電力の低さは、これらの機能によって実現されたものだ。Core 2 Duoを理解するためには、この5つの機能を押さえておく必要がある。
- インテル(R) ワイド・ダイナミック・エグゼキューション
1クロックで処理できる命令の数を増やす機能。Pentium Dでは、1クロックで3つの命令を同時実行可能だったが、Core 2 Duoでは4つの命令を同時実行可能になっている。また、2つの命令を合体させ、1つの命令として処理する「フュージョン」という機能も搭載している。これにより、処理効率を大幅に向上することが可能になった。
- インテル(R) アドバンスト・スマート・キャッシュ
CPU内部の2次キャッシュメモリを2つのCPUで共有する機能。Pentium Dでは、2つのCPUがそれぞれ2次キャッシュを持っており、それぞれのキャッシュに保存したデータを外部バスを使用して相互確認していた。これが、Core 2 Duoでは1つの巨大な2次キャッシュを2つのCPUで共有する仕組みに変更されている。これにより、効率のよいキャッシュの使用が可能になった。また、1次キャッシュと2次キャッシュの間のバス幅も倍に高速化されている。
- インテル(R) アドバンスト・デジタル・メディア・ブースト
SSE(Streaming SIMD Extensions:マルチメディア拡張命令)の処理性能を向上する機能。Core 2 Duoでは、SSE演算器を従来の64bit仕様から128bit仕様に拡張している。Pentium DのSSE処理では、128bitの命令を2クロックで処理していたが、この機能の搭載により、Core 2 Duoでは1クロックで処理可能となっている。
- インテル(R) スマート・メモリー・アクセス
メモリアクセスを高速化する機能。メモリの読み込み命令と書き込み命令の順番を、効率のよい順番に入れ替えてメモリアクセス時の無駄な待ち時間をなくす。
- インテル(R) インテリジェント・パワー機能
省電力機能。2つのCPUのうち、使っていないCPUの電力をカットできるほか、CPU内部のさまざまな演算器を状況に応じてON/OFFすることができる。
■Core 2 Duoを搭載できるデルの製品ラインアップ
<デスクトップパソコン>
<ノートパソコン>
■まとめ
Core 2 Duoは、新世代のCPUということもあり、従来のCPUとは性能が大きく異なる。Pentium Dと比較した場合に、同じ動作クロックなら圧倒的に性能が良く、また多少クロックに差がある場合でもまだCore 2 Duoのほうが高速だ。いくら世代が異なるとはいえ、その性能差には驚くべきものがある。消費電力も圧倒的に低く、同じ動作クロックなら発熱が少ない分、Core 2 Duoのほうが冷却ファンのノイズが少なくなる。問題は、従来のCPUよりも少し高価であるという点だが、後悔したくないのならCore 2 Duoを選択するべきだ。その性能差と将来性は、確実に価格差以上のものがある。Core 2 Duoは、新しいもの好きでない人でも、飛び付いてしまって問題ない完成度の高いCPUだ。 |