デルが7月27日に発表したデスクトップPCの新製品「Dimension 9200」。「Dimension 9150」の後継モデルとなる本製品は、CPUにインテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサーを選択できるようになったのが大きな特長だ。デルが誇るBTXシャーシの魅力も健在の本製品をチェックしてみよう。
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【写真1】 デルが7月27日に発表した「Dimension 9200」 *クリックをすると画像が拡大します |
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■Dimension 9000シリーズのBTXシャーシを踏襲
Dimension 9200は、昨年10月に発表されたDimension 9150の後継となる製品である。シャーシの基本的な外観は、Dimension 9150と同じだ(写真1)。
前面部は5.25インチベイ、3.5インチベイを各2スロット分と各種インターフェース
を装備(写真2)。背面はBTOで選択するパーツによっても異なるが、USB2.0×6とLAN、オーディオ入出力端子などを備えている(写真3)。
ちょっと気が付きにくい部分だが、この背面のUSB2.0ポートは、実はDimension 9150の5個から6個に増やされている。現在多くの周辺機器がUSB2.0になっているだけでなく、USBポートの電源だけを利用する機器も増えてきているので、USBポートの数は多いに越したことはない。このポート数の増加は素直に歓迎できる。
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【写真2】拡張ベイは5.25インチ×2、3.5インチ×2。写真の光学ドライブやカードリーダーはBTOで選択可能だ。フロントインタフェースにはUSB2.0×2、IEEE1394×1(オプション)、ヘッドホン出力、マイク入力を備える
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【写真3】 背面のポートは選択した構成によって異なるが、ギガビットイーサとUSB2.0×6は固定。背面にファンがないのも特長だ
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もちろん、この製品ラインの特長であるBTXフォームファクターも継承されている。BTXはケースの前面から背面へ流れる空気の流れを使って、すべてのパーツを冷却する思想で生まれた規格だ。本製品では、CPUクーラーのすぐ前に設置された120mm角ファンと、底面部の前面に設けられた92mm角ファンの二つによって、基本的にはすべてのパーツを冷却する(写真4、5)。
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【写真4】 ファンは前面部に120mm角と92mm角を1基ずつ備える。個別パーツに取り付けられたファンを除けば、この二つのファンで基本的にケース内のパーツすべてを冷却する
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【写真5】 前面の120mm角ファンの部分は、フロントマスクの横から空気を取り入れるユニークな仕組み。前面部の外観を損なわないだけでなく、ファンの音を遮蔽する効果もありそうだ
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この静音性はかなりのもので、個人宅で利用していても気になるレベルではない。ただし、選択したビデオカードによっては、そちらにファンが付いている場合もある。こちらのファンは口径が小さいこともあってピーク時の回転数が大きく、騒音も大きい。ケースファンよりも、むしろこの騒音のほうが気になるだろう。
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【写真6】 側面のカバーは、レバー一つで開けられる。もちろんドライバーも不要だ
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とはいえ、最近のビデオカードはドライバレベルでのファンコントロールが進化している。今回の試用機にはNVIDIA(R)のGeForce(TM) 7900 GTXを搭載したビデオカードが採用されていたが、起動直後と負荷の高い3Dゲーム中以外は、騒音はあまり気にならなかった。静音性を重視するユーザならばファンレスのビデオカードを選択すればよいわけで、PC全体をトータルで見ると、満足できる静音性を実現している印象を受ける。
このほかにも、このシャーシについては特長が多い。特筆できるのがメンテナンス性だ。まず、メンテナンス作業の最初の難関になる側面カバーはレバー1本で開閉が可能(写真6)。
余談だが、本製品を側面から見ると、非常にきれいにケーブルがまとめられ、好印象を残す(写真7)。とくに興味深いのが拡張ボード部にある水色のパーツで、これはケーブルを束ねる役割とスロットからの拡張ボードの脱落防止という二つの役割があるようだ(写真8)。ちょっとしたアイデアパーツといった向きだが、非常に便利である。
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【写真7】 側面カバーを開けたところ。配線が実にきっちりと整理されているのが分かる
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【写真8】 スロット部に取り付けられた水色のパーツは、拡張カードの脱落防止とケーブルタイの二つの役割をもった便利なもの
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さて、本製品はツール(ドライバー)レスでのメンテナンスはできない。ツールレスでメンテナンスが可能なのが拡張スロット部のみになっている(写真9)。
つまり、5.25インチ/3.5インチベイやシャドウベイへ、ドライブなどを取り付ける際に、ドライブなどを取り付ける際にドライバーが必要となるのだ(写真10〜12)。しかし、この際、最終的なシャーシへの固定はドライバーを使う必要はなく、事前準備としてガイド用ネジやガイドレールを取り付けるだけで、あとはベイに差し込めばガチャリと固定される仕組みになっている。ケース内の狭い箇所へドライバーを差し込む必要がない工夫がなされているので、ドライバーが必要ではあるものの煩雑さは感じないのである。
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【写真9】 拡張スロットはツールレスで作業が可能。拡張カードの増設は容易といえる
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【写真10】 5.25インチ/3.5インチベイは、ガイド用のネジをドライブに取り付けて挿入するだけ。
このネジをケースの外で取り付ける必要はあるが、ケースへの固定はドライバーレスでOK
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【写真11】5.25インチ/3.5インチベイで利用するガイド用ネジはケース前面パネル内に保管しておくことが可能
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【写真12】 シャドウベイもガイドレールパーツにHDDを取り付けるさいにドライバーが必要になるが、ケースへの固定自体はツールレスで行える
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■最新パーツのインテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサー+Intel(R) P965を選択可能
さて、Dimension 9200の最大の目玉が、BTOメニューでインテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサーを選択可能な点にある。インテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサーは、今年の7月27日に発表した、インテル(R) Pentium(R) プロセッサーに変わる新ブランドのCPUだ。モバイル向けCPUで利用されていたテクノロジーを盛り込みつつ、インテル(R) Pentium(R) プロセッサー以上のパフォーマンスと低消費電力が売りの製品である。発表日を見ても分かるとおり、インテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサーの発表とDimension 9200の発表は同日。つまり、本製品はこの最新CPUをいち早く採用してきたのである。
ちなみに、インテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサーのラインナップのうち、本製品では1.86GHz動作のE6300と、2.13GHz動作のE6400を選択可能だ。このほかにもCPUのBTOメニューは相変わらず豊富で、インテル(R) Pentium(R) 4 プロセッサーやインテル(R) Pentium(R) D プロセッサーも選択可能になっている。しかし、もっとも安い構成となるインテル(R) Pentium(R) D プロセッサー 805とインテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサー E6400の価格差は、原稿執筆時に確認すると2万円だった(*1) 。この価格差であれば、本製品の魅力を最大限に引き出すためにも、投資を惜しむのは得策とはいえないのではないだろうか。
また、チップセットにはIntel(R) P965を採用。このIntel(R) P965も今年の6月に発表されたばかりの製品。CPU、チップセットともに最新のパーツで固められているわけだ。この組み合わせはインテルも推奨しているもので、Intel(R) P965の発表ではインテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサーに最適なチップセットとしてアピールされている(写真13)。CPUメーカーが推奨する安心の組み合わせが基盤となっている魅力は大きい。
このIntel(R) P965の大きな特長は、インテル製チップセットとしては初めてDDR2-800を採用したことにある。従来のDDR2-667より、さらに高速なメモリとなる。今回試用したDimension 9200にもDDR2-800が利用されており、1GB×4枚の構成となっていた(写真14)。
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【写真13】 最新のインテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサー+Intel(R) P965の構成をいち早く採用しているのがDimension 9200最大の特長といえる
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【写真14】 試用機にはInfineonのDDR2-800が採用されていた。写真は1GBモジュール
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もちろん、ここもBTOによる構成の変更は可能で、1GB×4枚、1GB×2枚、512MB×4枚、512MB×2枚、256MB×2枚の構成を選ぶこともできる。予算やニーズに応じて選択すべき場所だが、現在のメモリ容量は1〜2GB程度がトレンド。来年の発売が予定されているWindows Vista(TM)では、メモリ容量への要求がより高くなるので、2GB以上を選択しておくと将来的な安心感は高い。
ちなみに2GB構成の場合、1GB×2枚と512MB×4枚を選択できる。後者のほうが安価に設定されていてお得だが、本製品のメモリスロット4本がすべて埋まってしまう。この価格と将来の拡張性にトレードオフの関係が存在していることを認識して、慎重に検討しよう。
また、Intel(R) P965はUSBポートも拡張されており、Dimension 9150で採用されていたIntel 945Pの8ポートに対して、10ポートを装備する仕様になっている。先に触れた背面のUSBポート増加も、こうしたチップセットの機能拡張によって実現されたものなのだ。
■BTOメニューにはさまざまなニーズを満たすパーツがずらり
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【画面1】 HDDは5種類の容量から選べ、最大2基を搭載可能。そして、あらかじめRAID構成として入手することができる。画面は試用機のものだが、500GBのHDD2台でRAID0を構築していることが分かる
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このほか、BTOによる搭載パーツの自由度というデルの魅力は、このDimension 9200でも健在だ。最後にいくつかの特長的なパーツをピックアップして、紹介しておきたい。
まずはHDDである。Dimension 9200では80/160/250/320/500GBのHDDがメニューに用意されているのだが、これをRAID構成で購入することが可能なのだ。例えば、今回試用した製品には500GBのHDDが2台搭載され、RAID0が構築されていた(画面1)。RAID0は2台のHDDを1台のドライブとして利用でき、しかも高速化が可能だ。パフォーマンスも容量も、という贅沢なニーズを満たしてくれる選択肢といえるだろう。
ドライブに関連したところでは、光学ドライブの選択肢もDVD-ROMドライブ、CD-RW/DVD-ROMコンボドライブ、DVD+/-RWドライブ(DVD+R片面2層書き込み対応)と用意されている。この光学ドライブはこの選択肢から2台同時に選択することもできるのも特長。さらに、いずれもシリアルATA接続である。(写真15)シリアルATA接続の光学ドライブは単体パーツとしても現時点ではレアな製品なのだが、細いケーブルで接続できることでケース内の空気をさえぎらないメリットは大きい。とくに本製品のように、ケース全体の空気の流れが重要になるBTXフォームファクターにおいては意義が大きい。もちろん、デル自身も、こうした点を考慮してシリアルATA接続の光学ドライブを選択しているのだろう。
本製品はOSも特長に挙げられるだろう。Windows(R) XP Professional 正規版 (日本語版)に加え、Windows(R) XP Media Center Edition 2005 正規版 (日本語版) を選択することができる(画面2)。これにより、インテルが提唱している家庭でデジタルコンテンツを楽しむための規格「インテル(R) Viiv(TM) テクノロジー」に準拠することになる。
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【写真15】 光学ドライブはいずれもシリアルATA接続となる。シリアルATAの細いケーブルで接続できるので、本製品のようにケース内の空気の流れが重要になるBTXフォームファクターでは特に意義が大きい
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【画面2】 Windows(R) XP Media Center Edition 2005 正規版 (日本語版) を選択可能。同時にTVチューナを搭載することで、Media Centerを利用したTV視聴・録画などを楽しめる *クリックをすると画像が拡大します |
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もちろん、Windows(R) XP Media Center Edition 2005 正規版 (日本語版) に必須のリモコンやTVチューナカードもBTOで選択可能になっている(写真16、17)。ちなみにTVチューナカードは、PCI接続のデュアルチューナカードと、PCI Express x1接続のシングルチューナカードが用意されている。今回の試用機ではPCI Express x1接続のTVチューナカードが搭載されていたが、とくにデュアルチューナにこだわらないならば、こちらを選んだほうが良いだろう。
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【写真16】 Windows(R) XP Media Center Edition 2005 正規版 (日本語版) では必須アイテムともいえるリモコンもBTOメニューに用意されている
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【写真17】 PCI Express x1接続のTVチューナカード。このパーツは単体製品としては入手が難しい貴重なアイテムなので、検討している人はぜひBTOで選択しておきたい
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というのも、本製品のマザーボードはPCI Express x16スロット×1、PCI Express x4×1、PCI Express x1×1、PCI×3という構成になっているからだ。問題になるのはPCIスロットで、サウンドカードを別途選択すると一つ埋まり、IEEE1394カードを選択するともう一つ埋まり、といった具合に、どんどん埋まっていく。いまだ主流の地位を占めるインタフェースであるため、購入後の拡張に余裕を残しておいたほうが良いのだ。一方のPCI Expressスロットは、BTOのメニューでもTVチューナカードしか用途がなく、そのほかのパーツも現時点では少ない。また、もしTVチューナカードをPCI Express x1スロットに装着したとしてもPCI Express x4は残る。BTOで求める環境を構築していたとしても、後々拡張のニーズが発生する可能性はある。そのときのためにも、PCI/PCI Express双方に拡張の余地がある構成は安心感が高いのである。
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【写真18】 音にこだわるユーザはオンボードサウンドではなく、必ず拡張カードを選びたい。選択可能なクリエイティブメディアの「Creative(R) Sound Blaster(R) X-Fi Xtreme Music」は音質に定評がある
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最後に、もうワンステップ上の豪華な環境を作るポイントして、サウンドカードの存在を挙げておきたい。本製品ではオンボードのサウンド機能に加えて、「Creative(R) Sound Blaster(R) X-Fi Xtreme Music」を選択することができる(写真18)。音質に定評のある製品であり、ゲーマーからTVユースまで、音にこだわりたい人は必ず選択しておきたいパーツといえる。
以上のとおり、本製品の特長を捉えてきた。性能面はインテル(R) Core(TM) 2 Duo プロセッサーとIntel(R) P965によって底上げされ、静音性はBTXにより実現されている。BTOメニューで必要なものだけを追加すれば、機能面と価格面は自分好みに仕上げられるわけで、PCとしてのバランスに優れた製品だと感じられる。
初めて購入するPCとしては、PC単体製品である点に不安を感じる向きもあるかも知れない。しかし、そこはデルのBTOの良さで、液晶ディスプレイやMicrosoft(R) Officeなどを必要に応じて同時購入することができる。逆に、2台目や買い替えユースであれば、こうした周辺機器などを必要としない人もいるだろう。こうした幅広いリテラシーのユーザ層に受け入れられるPCがDimension 9200なのではないだろうか。お供として長く愛用できるPCだと思う。
(*1) 価格、搭載可能な構成機能は毎週のキャンペーンにより変動いたします。 (文中の構成は2006年9月19日時点のもの) |