TITLE:SUPER PHOTO BOX Canon PIXUS iP8600

まったく新しいプリンタ、SUPER PHOTO BOX

 従来シリーズから完全に一新され、ガラリと変わったキヤノンPIXUSシリーズことSUPER PHOTO BOX。その変貌はド凄ぇんだという。インパクトありまくりなのダという。見ればきっと驚くハズだとも言う。

 なぁ〜にが。プリンタラインナップが一新されたくらいで驚く俺じゃねえのである。こちとらパソコン野郎歴20年以上!! プリンタだって多数見てきた。最近じゃあ恒例行事的になっているプリンタラインナップチェンジなんかで驚……ええっ!! マジすか!! ホントすか!!

 前言全部撤回。完全撤回。

 今度のPIXUSシリーズには、いろいろな面で驚いた俺であり、すげー久々にプリンタというハードウェアを買いたくなった。ぜひ買い換えて行きたい!! この新型PIXUSに!!

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これがプリンタっすか!? マジすか!?
 今回、俺が使用したのはSUPER PHOTO BOXの最上位機種、iP8600だ。コイツのドコに驚いたのかと言えば、まずそのデザイン。ヒジョォォ〜に美しいのである。従来のプリンタのイメージとはかけ離れた華麗さを見たのである。と同時に、その形状には従来のプリンタにない機能美があるのであるのであるのである。

 具体的には……てな話の前に、俺が従来のプリンタに対して持ち続けてきた文句っていうか苦情っていうかグチを少々書かせて欲しい。ほとんどのプリンタに感じられた“イヤンなトコロ”について。

 何はともあれ、これまでの多くのプリンタの、そのデザインを好めなかった。ナゼか流線型だったり未来っぽかったり、あるいは思いっきり事務的だったり。要は、狙い不明のミョーなデザインか、デザイン性なんか無視、というプリンタばかりだった。

 またその形状も比較的に最悪度が高く、結局一昔前のFAXやコピー機みたいにトレイ丸出しだったり場所や空間を不作法に占有するようなカタチ。デザイン・形状において、購入意欲を減退させるプリンタが多すぎ!! と感じでいた。

 しかし、このSUPER PHOTO BOXには、これまでのプリンタにありまくりだった“イヤなトコロ”がほぼ皆無であった。俺なんざぁ見た瞬間「イイ!!」と思っちまった。電源入れる前から欲しくなったハードウェアは久々だ。
リビングに堂々と置けるデザイン

 まずそのデザインだ。

 iP8600の形状は、見てのとおりキューブであり、ブラックとシルバーのツートンカラー。一見しただけではまさかプリンタだとは思えないカタチと色、そして質感をしている。

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正面 側面 背面

 ていうかiP8600を試用するため、編集部から拙宅へと実機が送られてきたのだが、箱開けた瞬間思いましたよ「あちゃ〜何か違う製品送ってきたよ編集者さん勘弁してくださいよ〜試用時間なくなっちゃうよ速攻で送り返さないと〜」って。……でも、コレ、何? と箱から出してみたら、あらま!! 実はプリンタだった!! オーディオ機器か新機軸のキューブPCかなんかだと思ってましたよ、あたしゃ!! そのくらい、iP8600は、従来のプリンタからは想像できない新鮮なデザインと形状だったのだ。

 実際ですね、いやいやプリンタを置いてた人って少なくないと思うんスよ。部屋やオフィスを小ぎれいにしているんだけど、プリンタのデザインや形状がその雰囲気をぶち壊してるよな〜、みたいな。ホレ、よくありがちな色とカタチのプリンタとか置いちゃうと、いきなりその空間に“労働”や“作業”みたいな疲れる雰囲気が醸し出されたりするじゃないスか。プリンタによっては“マニア”な雰囲気まで発生しちゃったりして。でも、常に使うハードウェアだから置かないわけにはいかない。しょうがないから隠すように隅っこに置いてみたり。

 しかしiP8600の場合は、積極的に設置したくなる美しいデザインなのだ。ぜひコレを置いていきたい!! 眺めてもいきたい!! さらに誰かに見てもいただきたい!! そんなふうに、ユーザーとして喜んじゃえる美しさを持つ。

 だが、その美しさ・カッコ良さが、出しゃばっていたりハデだったりは、しない。珍しいとか変わってるとか目立つとかってコトじゃない。つまり、オレがオレがと前に出てくるような押しつけがましい意匠ではなく、部屋やオフィスをクールに演出するオトナっぽい静かな美しさだと感じる。

 正直なところ、iP8600ほど“見栄え”にこだわったプリンタって、これまで……ほんの少しあったかもしれないが、ほぼ皆無だったと思う。“見てくれ”をテコ入れした的な浅はかなデザインのプリンタは多々あったが、そーゆーのって結局、プリンタ自体のアクや個性が強すぎて、やはり結局、部屋やオフィスの雰囲気をヘンなものにしてくれた。

 iP8600の場合、そういう余計なお世話をしない。こっそりと美しさを漂わせる、なんだろう、エレガントなオブジェのようだ。プリンタすら感じさせないデザインで、しゃしゃり出ない美しさが静かに光る。こういう機材だったら、部屋とかに置いて、まず、気分がイイわけですよ。カッコ良くキメた部屋なら、そのカッコ良さと協調してさらにカッコイイ感じになるわけですよ。カッコ悪めの部屋でも、ちょっと高感度UPな感じにしてくれるわけですよ。
その形状からくる大きな実用性

 んぬふふふ〜美しいのぉiP8600は、てな気分になれるゆえ、非常にiP8600を買いたくなった俺だが、実際にiP8600を使い始めたら実用性の高いプリンタとしてiP8600をマジ本気で買いたくなった。

 俺が「これマジ欲しい!!」と感じたのは、iP8600の形状。そして形状からくるかな〜り高い実用性である。四角くてシンプルでエレガント、というオブジェ指向の魅力とは別に、「このカタチでこの機構だからすげぇ便利」という良さを痛感したのだ。

 iP8600には、本体上部からも本体前面からも用紙を送り込める2Way給紙が採用されている。また、どちらから用紙を送り込んでも、排紙は本体前面からなされる。

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上部からも前面からも給紙できて、前面から排紙。これがイイんである。

 2Way給紙の利便は後述するが、この機構に加え、本体左右面および背面には、スイッチやレバー類、あるいは本体面から飛び出すようなコネクタ類が一切ない。

 つまりiP8600を設置・使用する時には、本体の前面と上面にアクセスできればいいのだ。他の面は壁や他機材で塞がってしまってもよい。ので、例えば本体背面を壁にピッタリ付けて設置できるし、左右も後方もどん詰まりの窮屈な場所にも問題なく置ける。さらに、2Way給紙のうち本体上部の給紙トレイを使わなければ(本体前面の給紙カセットのみ使うなら)、iP8600を本棚に突っ込んじゃっても大丈夫。

 iP8600の前面にのみアクセスできれば、どこに置いてもちゃ〜んと使えまくりってわけで、すなわち、その形状や2Way給紙・前面排紙という機構から、大きな利便が生まれたのだ。

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2Way給紙、こりゃ便利!
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前面給紙だと上部がフラット。
 実際、多くのプリンタって設置場所選ぶじゃないスか。上にトレイがあるからプリンタの上は常に空けておかなきゃイケナイとか、右にレバーがあるから右側塞いじゃダメとか。大半のプリンタにありがちだったそのよーな設置場所的面倒・悩みを、サクッと解消してくれるのがSUPER PHOTO BOXなのである。しかも、解消しつつ美しいんだから、かなりタマラン度が高いですな。

 ちなみに、後述の2Way給紙機構をたっぷり活用する場合=本体上面給紙トレイも常用する時は、壁と本体の間に8センチ程度、本体上部に20センチ程度の空間が必要になる。けど、それでも上方に若干の空間がある本棚やラックなんかに余裕でスコッと収められる。

 あとですね、これは個人的にヒジョーに嬉しい形状的利便なんスけど、iP8600は使わない時に本体上面へモノを乗っけることができるのがナイス。これまでの多くのプリンタは、例えば本体上部の給紙トレイを閉じた状態でも、な〜んかミョーに流線型だったりして、上にモノを置くのは不可能だったり無理があったりした。

 が、iP8600の場合、本体上部の給紙トレイを閉じると、その面は水平になる。ので、用紙とかインクとか他小間物を置いちゃえる。また、本体上面のエッジにすこーしだけカーブがついていて、つまり上面がお盆状態で若干凹んでいるスよ。なんで、転がりがちな小間物を置くのにもナイス。ってまあ細かい話だが、プリンタの上面をまったく活用できない多数プリンタと比べると、これはiP8600ならではのけっこーイケてる利点だと思うのだ。
高画質で高速で静音で、さらなるメリットも!!

 決して周囲のイメージを壊さない美しいデザイン。設置の自由度の高さは、そのまま省スペース性に直結。これだけで常用するハードウェアとしてかな〜りポイント高いSUPER PHOTO BOXなわけだが、iP8600はSUPER PHOTO BOXの中でも最上位機種。フォトプリンタとしてもハイエンドってコトで、その印刷品位もメチャクチャ高かった。

 印刷品位についての詳細は、カメラマンの若林氏が詳しくレポートしているのでそちらを見て欲しいが、俺的印象をザッと言うとすれば「使うのが非常に簡単なのに驚くほど美しく緻密なプリントが得られる」ということだ。

 つーかですね、キヤノン製プリンタって前から“お手軽簡単プリント”が大得意なんですな。例えばデジカメ画像をパソコンに取り込んで、その画像に若干の修正等をかけ、さらに用紙やCD-R等へ印刷する時でも、Easy-PrintToolBox(キヤノン製プリンタを活用するための統合ソフト的存在)だけ使ってりゃぁ完了。あるいはプリンタドライバの詳細設定を行いたいときも、このソフトを使えばススッと完了。基本的にわかりやすくて、ラク。イージーユースなのだ。

 しかし、そのよーにラクして印刷したのに、出てくるプリントがド凄くキレイ。写真印刷専用の用紙を使ったりすると、誰に見せても「写真屋さんで引き伸ばしたんでしょ」と信じて疑わないレベル。容易なのに驚きの結果を出してくれる超実力派プリンタと感じる。

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PictBridgeポートで
カメラダイレクトプリント
 写真の色調や彩度はほとんどのケースで非常に好ましい結果が得られ、コントラストも非常に良好。プロフェッショナルフォトペーパーなどの用紙を使えば、画面上ではまったく見えてこなかったような微妙なグラデーションも豊かかつしなやかに現れる。デジカメとiP8600を直接接続してカメラダイレクトプリントを行っても、もちろん、同様の美しさでプリントが得られる。

 しかも、速い!! 結論から言っちゃうと、例えば二〜三年前のプリンタと比べたら爆速級。今年前半に発売されたよーなプリンタと比べても明らかに高速で印刷が終了する。とりわけ、四面縁無し印刷を行った時が高速で、その速さに「なんか設定間違ったか? ていうかこのプリンタ何かズルしてない!?」みたいな疑問が発生するほどだ。

 あと、静か。もちろん、ヘッドが移動したり給紙・排紙を行う音はするのだが、それは決してやかましくなく、隣の席の人との会話を邪魔しないものであり、夜中に多量のドキュメント印刷したりしても家族に文句を言われない程度のもの。高品位で高速で静かってことで、かなり快適に活用できるプリンタだ。

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レッドとグリーンの特色採用!
 それから、インクシステムが新しくなったのもSUPER PHOTO BOXの大きなメリットだ。例えば新開発のインクにより、プリントの耐久性が非常に高くなった。具体的には、新しい染料インクとプロフェッショナルペーパーを組み合わせると、10年以上も色アセ・色ヤケを防げる。

 これは、プリントを外気に触れさせてそのまんま置いといても10年以上ノープロブレムっつーコトだ。要は耐ガス性が非常に強いプリントが得られるのだが、どういうガスに強いかというと、特にオゾンや窒素酸化物や硫黄酸化物に強い。要するに、我々が生活している環境の中、とりわけ都会では漂いまくりの有害系ガスはプリントの色あせの原因になるわけだが、こいつに対してもメチャ強い、現実味のある耐ガス性を示すプリントが得られるのだ。

 インクシステムが一新されたのと同時に、新たな機能と用紙を使えるようになった。例えばiP8600では、普通紙等への自動両面印刷は当然デキるのだが、これに加えて写真画質印刷時も自動両面印刷が可能になった。また、そのための用紙も新たに発売された。
 で、写真画質で両面印刷ができると何がイイのか? イイんですよこれが!! 何しろ!! オリジナルの写真集やアルバムを作れちゃうのダ!! 専用のキットを使えば、非常に簡単に、業者が製本したみたいなビシッとキマったフォトアルバムを作れる。モチ、前述のとおりの非常に高品位な写真画質で、である。

 まあ、最近では画像データを持っていけば本格的なフォトアルバムを製本段階までを含めて、比較的に安価にヤッてくれるサービスも増えている。が、やっぱり写真とかってけっこー大切な個人情報なわけですよ。業者っつっても善人ばっかりとは限らないわけですよ。ていうかパーソナルな写真を他人様に見せるのチョイ恥ずかしいかも〜ってのもあるわけですよ。そんな場合、SUPER PHOTO BOXでアルバムや写真集をキレイかつ本格的に自作!! 新しくて大きな楽しみがひとつ増えたって感じ。
すげー便利な2Way給紙機構

 iP8600を試用し始めてから、何でもかんでもiP8600で印刷しまくり中の俺なんですけど、もうすぐiP8600返却日なんで悲しくなりつつある俺でもあるんですけど、ていうかイイんでマジ買おうかな〜と本気悩み中の俺の、その背中をドンと強く押すのが、2Way給紙機構なのであった。てか、句読点少なくてスマンス。

 2Way給紙機構は、本体上面の給紙トレイからでも、本体前面の給紙カセットからでも給紙できるというシクミだ。それぞれの給紙部に別の種類の用紙をセットしておけば、必要に応じて用紙を使い分けられる。あるいは、両給紙部に普通紙をたっぷりセットしておくと、多量のドキュメント印刷を行っても用紙の追加をせずに一気に片づけられる。もちろん、どちらの給紙部からでも自動両面印刷が可能。使い方次第でイロイロと便利な応用を利かせられる給紙システムってわけだ。

 んで、俺の場合、2パターンの2Way給紙機構超便利活用法を知った。

 ひとつは、iP8600で写真画質印刷を楽しむケースだ。具体的には片方の給紙部に本印刷用の用紙をセットし、もう片方にテスト印刷用の用紙をセットしておく。で、デジカメ画像をレタッチしつつ、最も好ましい状態で写真画質プリントをするのだ。

 要はですね、納得のいったレタッチ結果のみ、プロフェッショナルフォトペーパーみたいな高品位な用紙に出したいわけですよ。試行錯誤中は安価なフォトペーパー等でテスト印刷。給紙部がひとつしかないプリンタの場合、わりと頻繁に用紙の交換を行う必要が出てきて、ぶっちゃけ、面倒でウザったいのだ。

 が、2Way給紙機構を持つSUPER PHOTO BOXなら、二種類の用紙を同時にセットしておける。どちらの用紙に印刷するかは、本体前面のスイッチかドライバソフトウェア上で指定するだけなので、用紙の手間要らずで効率よく凝った写真印刷作業に取り組める。

 もうひとつ、iP8600を写真印刷にもビジネスドキュメント印刷にも使う場合。それぞれの給紙部に、普通紙と写真印刷用紙をセットしておいて、必要に応じて用紙を使い分けるわけですな。ただ、現実的には、写真印刷向けの用紙を常にセットしておくってのは違和感がある。ので、通常は本体前面の給紙カセットに普通紙をセットしておいて使い、写真印刷したいゼって時にだけ本体上面の給紙トレイに写真用紙をセットするという使い方になりがちな俺だ。

 iP8600のように、写真印刷をさせたらピカイチで、ドキュメント印刷も十分高速に行えるオールマイティなプリンタにとって、2Way給紙機構はもーホントに実用性がバリバリ高いギミックだと感じる。

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タマラン度が高いプリンタなのダ!
 てなわけで、非常に美しい箱ことSUPER PHOTO BOXから、非常に美しい印刷結果がサクッと出てくる。美しい箱から美しい写真が出てくるっつーコトでとりあえず魅力的なSUPER PHOTO BOXではあるが、それに加えて、この2Way給紙機構とか、あるいはプリンタドライバや付属ソフトウェアの使いやすさだとか、形状から来る大きな利便だとか、様々な要素が一致団結して従来機種の追従を許さない孤高のプリンタに仕上げていると思う。その完成度・成熟度の高さは、俺の物欲を思いっきり増幅させてくれやがった。

■URL
Canon PIXUS ホームページ
http://canon.jp/pixus/

STAPAスタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。フォトエッセイのスタパデイズをAlt-R(http://www.alt-r.com/)にて連載中。

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