シネマDSP25周年 ネットワーク機能搭載! iPhone/iPadコントロールもできるAVアンプ本命モデル

ヤマハ RX-V771
ヤマハからネットワーク機能と3Dモードを備えたシネマDSP搭載のAVアンプ、「RX-V771」が発表された。NASなどに構築してある音楽ライブラリーを、手軽に、そして高音質に再生することができ、24bit/96kHzの高品位データにも対応しているのが特徴。発売は7月末だが、一足早くそのサウンドを試すことができたのでレポートしてみよう。

10万円を切る価格帯でネットワークプレイヤー機能搭載

ヤマハのAVアンプ RX-V771

 ヤマハAVアンプの中枢を担ってきたシネマDSPが今年25周年を迎えた。より臨場感あるサウンドに仕立て上げる技術として、まさに業界のけん引役を担ってきたシネマDSPは現在も進化を続けているが、この25周年のタイミングで最新のシネマDSP<3Dモード>を搭載した新たなAVアンプ、「RX-V771」が発表された。このRX-V771は2010年8月に発売された「RX-V767」の後継モデル。RX-V767の定価が84,000円だったのに対し、RX-V771は89,250円と約5,000円アップしているが、ネットワークプレイヤー機能を備えたというのが最大の特徴だ。これまでもヤマハのAVアンプとしてはフラッグシップの「DSP-Z11」や「DSP-Z7」、また「RX-V1067/2067/3067」といった機種にネットワークプレイヤー機能が搭載されていたが、10万円を切る価格帯の製品に搭載されたのはRX-V771が初めてだ。

 最近はNASに音楽データを数多く入れているというユーザーも増えているようだが、RX-V771はWindows 7&DLNA(1.5準拠)に対応したため、NASはもちろん、PCサーバーなどへアクセスして音楽再生ができるというわけだ。もちろん、ネットワーク上でアクセスできるのは、MP3やAAC、WMAといった圧縮オーディオに限らない。WAV、WMA Lossless、WMA Pro、FLACといったフォーマットにも対応しており、最高で24bit/96kHzのHDオーディオの再生も可能になっているのだ。最近は国内でもHDオーディオの配信が増えてきているほか、海外サイトを探すとかなりのコンテンツを見つけられるので、こうしたデータをダウンロードして、サーバーに置いておくことで、これまでCDでは得られなかった高品位なサウンドを、より手軽に楽しむことができるというわけだ。

RX-V771を中心としたネットワークの概念図。Windows 7&DLNA(1.5準拠)に対応した

本体前面にUSB端子を備えており、USBメモリ内の楽曲再生も可能

 ただ、ここでちょっと気になるのがネットワークプレイヤーとして見たときのRX-V771の音質性能だ。非圧縮のWAVファイルが再生できるとはいえ、実際に試したときに本当にその音質が出てくるのか、チェックしてみた。その結果は、非常に良好。まずCDプレイヤーを接続して、再生したときの音と、それをリッピングしたものをNASから再生したときの音を比較してみたが、聴いた限りではその違いはまったく分からなかった。さらにNAS上にある16bit/44.1kHzのサウンドと、24bit/96kHzのサウンドを聴き比べてみた。すると、格段に違うサウンドをハッキリと認識することができる。さらにUSB端子も備え、USBメモリ内の楽曲再生も可能となっているが、フォーマットが同じであれば音もまったく同じに聴こえた。

CDとHDサウンドの差を確実に認識できる楽しさを味わえる

 フォーマットが同じなら同じに聴こえるというのは、ユーザーからすると当たり前のことではあるが、そうするために設計ではかなりの試行錯誤がなされているようだ。プロトタイプにおいてはネットワーク経由だと音が悪いという問題がおこっていたらしい。そこで行ったのがネットワーク系の電源回路の見直し。これをアナログ系と完全に切り分け、お互いの影響が出ないようにした結果、同じ音が再現できるようになったのだ。また、再生するファイルに対応したクロックを、新搭載の専用クロックジェネレーターから独立供給できるデュアルオーディオクロック(44.1/88.2kHz用と48/96kHz用の個別クロック)にすることで、高音質化がされているのだ。

 さらに、RX-V771では、このHDオーディオのハイレゾな雰囲気を存分に味わえるようなチューニングが図られている。つまり音のワイドレンジ化がなされ、低域のボトムの量感を出すとともに、高域の解像度を上げているため、16bit/44.1kHzと24bit/96kHzを聴いた際の違いが際立つようになっているのだ。この違いが確実に認識できるというのは、なかなか楽しく、HDオーディオデータを入手したときの満足感も高くなる。もっとも、S/Nなどにおいて数値上で変わるわけではないが、プリアンプのオペアンプに高品位な部品を採用したことで、中高域の見通しがよくなっているのだそうだ。具体的にはナショナルセミコンダクターのオペアンプが使われているとのことだ。

 もちろんオペアンプのほかにも、カスタムオーダーによるポリプロピレンコンデンサ、抵抗、さらには電源ケーブルやヒューズなどもリスニングテストを繰り返しながら部品を選定したことで、この高音質が実現できているのだ。

iPhone/iPadでリモコン操作ができる

 ところで、このRX-V771を操作する上で、非常にうれしいのが、付属のリモコンのほかに、iPhone/iPadで操作が可能となっていることだ。具体的にはiOS 4.0以上をインストールしたiPod touch(第3世代以降)、iPhone 3GS以降、iPadにコントロールアプリ「AV CONTROLLER」をインストールすることで利用できる。このアプリ自体はApp Storeで無償公開されているものだから、iPhoneなどを持っていればぜひ使ってみることをお勧めしたい。このアプリを使うことで電源のオン/オフや、ボリューム調整、ミュートなどの基本操作はもちろんのこと、DSPモードの切り換え、SCENEモードの切り換えもできるほか、入力ソース切り換え、再生中の曲のタイトル名/アルバム名/アーティスト名表示もできる。つまりモニターディスプレイを使わなくても選曲操作などができるのはなかなか快適だ。また、使っていてとにかく快適なのは、赤外線リモコンでないため、わざわざアンプに先端を向けてリモコン操作をしなくてもいい、という点だ。WiFi接続となっているので、方向を気にせず使えるわけである。

Phone/iPad用のコントロールアプリ「AV CONTROLLER」。電源のオン/オフやボリューム調整から、入力ソースの切り替え、DSPモードの切り換えなどさまざまな操作がアプリから行える

PC上でAVアンプを操作できる「ウェブコントロールセンター」

 なお、このiPhoneアプリとは別にネットワーク接続されたPCから操作ができる「ウェブコントロールセンター」というソフトも用意されている。残念ながらこちらは英語のみの表記となっているが、使う上でそう気になることもなさそうだ。

プレゼンススピーカーを活用するシネマDSP<3Dモード>

 ここで前述のシネマDSPについても見てみよう。RX-V771では音場に高さ方向のデータを加え、プレゼンススピーカーを使って立体的なサラウンド空間を再現するシネマDSP<3Dモード>が搭載されている。実際フロントスピーカーの上にフロントプレゼンススピーカーを配置した上で映画作品を再生させると、画面に引き込まれるような立体感を味わうことができる。また音楽作品では、天井や床の反射音まで感じられる臨場感あふれるライブハウスやコンサート会場の雰囲気を味わうことができる。プレゼンススピーカーを使うというと、どうしても高さ方向の広がりばかりに印象が残るが、RX-V771ではプレゼンススピーカーを使っても映画でのセリフの聴こえてくる位置が変化していないのが面白いところ。つまりプレゼンススピーカーは音の位置の高さ調整というよりも、よりリアルな音を再現するために利用されているのだ。

 なお、プレゼンススピーカーを持っていない人には、VPS(バーチャル・プレゼンス・スピーカー)という機能も付け加わった。この機能を使うことで、通常の5.1chや7.1chスピーカーのユーザーでもプレゼンス・スピーカーが加わった際の音を存分に楽しむことが可能となっている。

シネマDSP<3Dモード>の音場概念図。オレンジの球体は直線音、他の球体は反射音の分布を表している

VPSの概念図。センタースピーカーと左右のサラウンドスピーカーを利用し、仮想的に左右のフロントプレゼンススピーカーを創り出している

 以上、RX-V771について見てきたが、いかがだっただろうか? 実際の音をいろいろと聴いてみたが、何十万円も使わなくてもこれで十分といえる音質に感じられた。また、ネットワークプレイヤー機能やiPhoneを使ったリモコン機能など、これまでになかった強力な機能が多数追加され、かなり便利で使いやすいAVアンプに仕上がっている。

RX-V771 の本体カラーは、ブラックとゴールドが用意されている

 

藤本健
 リクルートに15年勤務した後、2004年に有限会社フラクタル・デザインを設立。リクルート在籍時代からMIDI、オーディオ、レコーディング関連の記事を中心に執筆している。以前にはシーケンスソフトの開発やMIDIインターフェイス、パソコン用音源の開発に携わったこともあるため、現在でも、システム周りの知識は深い。
 著書に「コンプリートDTMガイドブック」(リットーミュージック)、「できる初音ミク&鏡音リン・レン 」(インプレスジャパン)、「MASTER OF SONAR」(BNN新社)などがある。またブログ型ニュースサイトDTMステーションを運営するほか、All AboutではDTM・デジタルレコーディング担当ガイドも務めている。Twitterは@kenfujimoto

 

■関連情報
□シネマDSP 25周年スペシャルサイト http://jp.yamaha.com/products/audio-visual/special/25th_special/
□AVレシーバー RX-V771 http://jp.yamaha.com/products/audio-visual/av-amplifiers/rx-v771__j/?mode=model
□YAMAHA AVアンプ http://jp.yamaha.com/products/audio-visual/av-amplifiers/
□Yダイレクト http://ydirect.yamaha-elm.co.jp/

■関連記事
□ヤマハ、DLNA対応で89,250円のAVアンプ「RX-V771」−iPodデジタル再生やアプリからの操作も可能
 http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20110615_453011.html

 
 

[PR]企画・製作 株式会社 Impress Watch 営業統括部
問い合わせ先:watch-adtieup-yamaha1107@ad.impress.co.jp
Copyright (c) 2011 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.