どうせ買うならこれ! YAMAHA「YSP-LC900」 「TVラック価格」で手に入るリアルフロントサラウンド ワンボディながらリアル5.1サラウンドが楽しめると好評な、ヤマハのデジタル・サウンド・プロジェクター。新登場のYSP-900には、TVラックと一体化した「YSP-LC900」というモデルが同時に登場している。組み合わされているTVラックは、収納棚2段タイプでAV機器の収納スペースも豊富。30〜40型クラスの大画面テレビに最適なサイズとなっている。   今回は、このYSP-LC900のTVラックに注目し、ラックの質感はどうなのか、そして組み立ての手間はどのくらいなのかを実際に確かめてみた。

薄型TV時代に最適なラックシステムとは

昨年12月のエリア拡張をもって、地上デジタル放送は全都道府県庁所在地をカバーした。今後エリア拡張のため、IP伝送や衛星活用など課題は多いが、デジタル放送の波は確実に広がっていくことだろう。

エリア拡充につれて順調に売り上げを伸ばす薄型テレビだが、意外に買ってしまった後で気付くのが、「TVラック」の必要性だ。これまで使っていたテレビ台に乗るだろうと思っていたら、テレビ画面が大きくはみ出してしまって見た目が悪かったり、不安定だったりするのである。

かく言う筆者もまさに同じような問題を抱えており、量販店のテレビ売り場に相場を見に行ったのだが、いやこれがまたエラいことになっているのがわかった。低価格のものは1〜2万円台からあるが、なんだか鉄パイプで組まれたような安っぽいデザインに失望感を覚える。

一方上を見れば、テレビメーカー純正のものは8〜12万円ぐらいする。確かにテレビのデザインと合わせた質感や曲線は一体感があるが、言ってみればタダの台である。サードパーティ製のものも、質感に納得いくものは10万円から上といった感じだ。後で買おうと思っていると意外と高くてびっくりするのが、TVラックなのである。

ただのラックに10万はどうよー、とその場で考え込んでしまったわけだが、先日AV Watchのニュースを見ていて「これは!」と思うものを発見した。YAMAHAのYSPラックシステム、「YSP-LC900」である。

YAMAHAのYSPシリーズは、テレビ用サウンドシステムとして以前から目を付けていた製品で、YSP-900は小型の最新モデルだ。筆者が注目したYSP-LC900は、TVラックにYSP-900を組み込んだ製品である。

YSP-LC900はオープン価格だが、店頭予想価格は12万円前後。セットでほぼ普通のTVラックの価格だ。YSP-900単体では9万5千円前後なので、実質2万5千円程度でTVラックが手に入ることになる。市販レベルで2万5千円というとあまり期待できないのだが、写真で見る限り結構良さそうだ。実際どのぐらいの質感なのか、組み立ての手間はどれぐらいなのか知りたくて、実際にお借りしてみることにした。

一人でできる組み立て


到着したYSP-LC900。ラック部とスピーカーは別梱包になっている
 

全体が綺麗な箱形のYSP-900。これならそのまま置いても良さそうだ
 

というわけで、インプレス編集部に届いたラック部とYSP-900である。YSP-900は、最上位モデルYSP-1100の機能をそのままに小型化したモデルで、37インチ以下のテレビに合わせやすいサイズだ。かつてはYSP-1100しか搭載していなかった「マイビーム」も搭載しており、機能的には最上位モデルと遜色ない。

デザイン的には側面まできちんとグリルに覆われており、メカメカしい部分がほとんど露出していない。主張が少ないので、そのまま設置しても部屋の雰囲気を壊すことはないだろう。だが今回はさらに存在感をなくすべく、これをラックに組み込んでいくわけである。

まずはラックの組み立てだが、箱を開けるときにはカッターナイフは厳禁だ。というのも、上部のフタのすぐ下にサイドパネルが梱包されているので、うっかりするとカッターの歯で傷つけてしまう恐れがあるからだ。筆者は知らずにカッターを使ったものだから、ラックの組み立て説明書が真っ二つになってしまった。この紙一枚のおかげで、パネルには傷が付かなかったのが幸いだった。

組み立て自体は、自分で組み立て家具などを作ったことがある人には簡単だろう。ただネジ止め部分が多いので、できれば電動ドライバがあったほうが、力仕事は減る。今回は一人だけで完全に組み立てできるよう、小寺流の手順を開発した。したがって説明書の手順とは若干違っている点に注意して貰いたい。


箱を開けるときはカッターナイフは厳禁

説明書を真っ二つにして途方に暮れる筆者
 

全体のパーツはこんな感じ

まずは補強板の組み立て。ここにYSPを固定することになる
 

まずは補強板の組み立てだが、これは説明書通りだ。天板、側板などは合板だが、表面の仕上げは丁寧だ。全部組み立てればわかるが、実はあまりこの合板の表面が表に出ることはない。

違うのはここからで、説明書は底板から先に組み立てるようになっているが、小寺流は天板をベースに、上下ひっくり返った状態で組み立てていく。しばらくは天板が下になるので、フローリングなど床が堅いところで組み立てるときは、梱包に使われていた段ボールや緩衝材のポリエチレンシートを下にひいておくと、天板にも床にも傷が付かなくていいだろう。


天板をベースに組み立てるのが、小寺流

ここまでできたら、先にYSPを組み込む
 

上から作ったので、YSPはひっくり返して置くだけで済む

裏側からYSPをしっかり固定
 

配線類は先に済ませて、ケーブルは貼り付けておく

底面にキャスターが埋め込まれている底板
 

底板をしっかりネジ止めする

ここまでできたら、上下をひっくり返す
 

なぜ上下逆に作るのか。その理由は簡単で、YSP-900を天板側に固定するようになっているからである。もし底板から組み立てていくと、YSPを固定する際に、誰かに持ち上げといて貰わなくてはならなくなるのだ。しかし上下逆に作っていけば、YSPは重力に任せてそこに「置く」だけで済むのである。

YSPを上下逆さまにして設置し、背面からネジ止めする。ケーブル類はあとで挿すのが大変なので、付属ケーブルはこの際全部接続しておく。作業のジャマにならないよう、粘着力の弱いテープで背面にまとめておくといいだろう。ただしこのとき、光ケーブルはキツく曲げないよう注意していただきたい。中身は光ファイバーなので、折れてしまうと使えなくなるのだ。ゆるーく輪にしたまま、貼り付けておこう。

前面の化粧板をはめ込み、底板を固定する。底板には半分埋め込まれるような形でキャスターが付いているのがわかる。従って設置後にちょっと引っ張り出したりするのも、楽にできるだろう。これからいろいろ機材を買い足していく上で、これは意外に重要なポイントである。ここまでできたら、おもむろにラックを上下にひっくり返す。もうほとんどこれで完成だ。


振動防止のマットも付属

天板にも滑り止め用マットが
 

重厚なガラス板3枚を使用

これで完成。作業時間は丁寧にやっても30分程度
 

このラックに高級感があるのは、棚板としてかなり厚みのある高級ガラス板を使用しているからである。もちろんただ置くだけでなく、振動防止用の粘着マットなどもきちんと付属している。なんと天板までも板ガラスで、さらにテレビの脚部がガタつかないよう、大型の防振マットまで付属している。

2万5千円のTVラックで、ここまで念の入ったものというのはまず存在しない。トータルで見ると、かなりお買い得感のあるシステムだ。

壁置き、角置き両対応

実際にテレビを置いて、視聴できる状態に設置してみた。置いてみたのは42インチで、想定よりも少し大型だが、横幅はなんとか大丈夫だ。スピーカーが下に付いているタイプなら、同じ42インチでももう少し幅に余裕ができるだろう。


壁置きしても、主張の少ないすっきりした印象
 

背面は大きく空いているので、配線は楽だ
 
   

角置きでも、こんなに奥に詰めて置ける
 

全体でみても、上質なガラス板と前面のピアノフィニッシュのような化粧板がアクセントになって、組み立て家具のようなチープさは感じない。今回はラックに合わせて黒のYSPを合わせてみたが、反射らしい反射がないので、ぱっと見るとYSPの存在が見えない。女性はリビングにデカいスピーカーがあるのを好まないが、これならテレビの他にスピーカーがあると意識することはないだろう。

フラットテレビの場合、角置きではなく壁置きするケースも多いが、このラックは奥が絞り込まれているので、正面から見ると旨い具合に、奥行き方向のだだっ広い無駄な感じがない。側板には角度がついているため、正面からは全く見えないところも、奥行き感がなく感じる要因だろう。

また従来の置き方にならって、角置きしてみた。これもラックの奥が絞り込まれているおかげで、テレビの幅ギリギリまで下げられる。これまで薄型テレビは角置きに向かないとされてきたが、この形状のラックならばデッドスペースが少なくて済む。部屋のレイアウトの関係で、従来どおり角置きしかできないこともあると思われるが、無理なく置けるデザインに助けられるケースも多いことだろう。

実際の音質は、小型モデルとは思えないほど余裕のある出力が得られる。フロントサラウンドではあるが、バーチャルではなく部屋の反射を旨く使って音を回していくので、ディスクリート5.1chのシステムよりも自然な定位移動と、隙間のない音場空間が生まれるのが、YSPシリーズの特徴だ。 小型モデルゆえに低音の伸びが心配されたが、サブウーファを使用せず単体だけでも十分なバランスだ。低域の補強プロセッシングとしてはSRSのTruBassも使えるが、いくつか試聴してみた感じでは、特に使用する必要性は感じなかった。逆に低音はイコライザで-1.5dBぐらい下げた方が、綺麗にまとまるようだ。

これはしっかりしたラックにマウントして底部が空いていること、またラック自体が手前に広がったホーン型という形状で、これまでは下や後ろに逃げていた低音が前に回ってくるものと思われる。従ってYSP-900単体では、また違って聞こえるだろう。

総論

サラウンドシステムというと、これまではDVDで頻繁に映画を見る人向け、いわゆるホームシアターといったイメージが強かった。テレビ番組を見るだけなら、そこまでは要らないと思っている人も多いだろう。

だがデジタル放送では、すでにスポーツ中継や映画などでサラウンド放送が始まっている。ほとんどの視聴者は、テレビ番組がサラウンドであることをご存じないというのが現実だ。テレビの音というのは、実はちゃんとサラウンドで聴くと、映像のリアリティをさらに補強してくれるインパクトを持っているのに、勿体ない話である。

YSP-LC900は、どうせ買わなきゃいけないTVラックの値段で、そのTVラックとサラウンドシステムが付いて来るのである。あ、逆か。いやでもそれぐらい質のいいTVラックが付いてくる。さらに今なら応募者全員に、WOWOWの受信費用が翌月末まで無料になるキャンペーンを実施している。翌月末までだから、月あたまに買えば実質2ヶ月間まるっと無料である。

もうすでに大型テレビを買ってしまった人、そしていつ買おうか検討中の人も、ちょっとYSP-LC900を検討して欲しい。画面の大きさは1週間で慣れるが、サラウンドはいつでも新鮮な驚きをもたらせてくれる。デジタルテレビを末永く楽しむなら、サラウンド+TVラックは必需品なのである。

■関連情報
□YAMAHA  http://www.yamaha.co.jp/audio/
□ヤマハ デジタル・サウンド・プロジェクター YSP-LC900 http://www.yamaha.co.jp/product/av/prd/ysp/
□Yダイレクト  http://ydirect.yamaha-elm.co.jp/
□WOWOW×Yamana 春の新製品わくわくキャンペーン実施中  http://www.yamaha.co.jp/product/av/topics/wowow_campaign/index.php

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 「マイビーム」や「インテリビーム」搭載。ラック一体型モデルも(AV Watch)  http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20070215/yamaha.htm