スリム&コンパクトなボディと  ソリッドなカラーで生まれ変わったau AQUOSケータイ W61SH
2006年にau向け端末の供給を開始したSHシリーズ。2007年はワンセグ対応のW51SH、W52SHを相次いで発売し、市場でも高い人気を獲得した。なかでもサイクロイドスタイルを採用したAQUOSケータイは、他事業者向けモデルも含め、多くのモデルがラインアップされ、ワンセグケータイの定番的な存在となっている。そして、2007年の第一弾モデルとして、「AQUOSケータイ W61SH」が発売された。実機を見ながら、その内容をチェックしてみよう。

au向けAQUOSケータイ二代目モデル

 メール、コンテンツ閲覧、カラー液晶、カメラ、GPSナビゲーションなど、次々と新しい機能やサービスが搭載され、進化を続けているケータイだが、今、もっとも幅広いユーザー層に注目されているサービスといえば、やはり、「ワンセグ」をおいて、他にはないだろう。ケータイをはじめとするモバイル機器を対象にした地上デジタル放送のワンセグは、2006年4月から正式サービスが開始され、2006年12月からは全国にエリアを展開している。対応ケータイも各社から相次いで発売され、なかでもauは各携帯電話事業者の中でももっともワンセグケータイのラインアップが充実した激戦区となっている。

au向けのAQUOSケータイ2代目モデル「W61SH」

 そんなワンセグケータイにおいて、定番的な存在として、ユーザーの高い人気を得ているのがシャープの「AQUOSケータイ」だ。通常の折りたたみデザインをベースにしながら、液晶ディスプレイを回転させるサイクロイド機構を採用することにより、メールやコンテンツ閲覧では縦画面、ワンセグをはじめとする映像コンテンツは横画面で見られるという使い方を実現すると同時に、ディスプレイの回転とワンセグの起動を関連付けることで、まったくの初心者でも気軽にワンセグを利用できるようにしている。au向けとしては、2007年3月に「AQUOSケータイ W51SH」を発売し、市場でも高い人気を獲得した。

 今回発売された「AQUOSケータイ W61SH」は、その後継モデルに位置付けられるもので、au向けAQUOSケータイとしては2代目モデルということになる。しかし、単なる2代目モデルということではなく、今までのAQUOSケータイ W51SHとは少し違った方向性を目指して、開発されている。

AQUOSケータイをもっと気軽に、楽しく

 AQUOSケータイはそのネーミングからもわかるように、シャープの液晶テレビ「AQUOS」で培われた技術を活かし、ワンセグを快適に楽しむことを考えて、設計されている。液晶ディスプレイが回転するサイクロイド機構もワンセグの快適さを考えた工夫のひとつだが、auの充実したラインアップを見てもわかるように、もはやワンセグはケータイの標準機能となりつつある。そこで、AQUOSケータイ W61SHは、ワンセグの快適な環境を継承しながら、もっと気軽に楽しく使えるモデルを目指して、進化を遂げている。

(左)W61SH、(右)W51SH。ボディを閉じた状態の厚みを19.9mmに抑え、スリムで持ちやすいサイズになった

 まず、ボディは従来のW51SHと同じサイクロイド機構を採用しながら、幅や高さ、厚さを抑え、ひと回りコンパクトなボディにまとめている。なかでもボディを閉じた状態の厚みは19.9mmに抑えられ、スリムで持ちやすいサイズに仕上げられている。男性はもちろん、手のあまり大きくない女性にも使いやすい「手頃なサイズ」にまとまったという印象だ。

ヘアラインとポリッシュ(鏡面仕上げ)な質感が美しいステンレス素材を採用

LEDディスプレイは約90種類以上ものパターンが用意されており、音声通話・メール着信・アラームなど、さまざまなイベントや操作に合わせて表示される

操作性を考え、押しやすいようにわずかに立体感を持たせたキーを採用

 ボディデザインもサイクロイド機構のアーム部にヘアライン加工とポリッシュ加工を組み合わせたステンレスパネルを採用し、ボディカラーで彩られたトップパネルとの対比を美しく演出している。

 ボディカラーをさらに楽しく演出するため、トップパネル部の左半分のエリアには、赤色に発光する多セグメント形のLEDディスプレイが内蔵されている。音声通話やメールの着信、アラーム、本体を閉じる動作など、さまざまなイベントや操作に合わせて、約90種類以上ものパターンのアイコンやアニメーションを表示させられるのだが、実際に使ってみると、これがかなり楽しいのだ。たとえば、時刻表示や着信の有無などはスタンダードなのだが、アニメーションについては「ヒューマン」「アニマルパートナー」「レトロゲーム」のテーマが用意されているほか、EZニュースフラッシュで配信された天気予報の情報をもとに、天気のアイコンを表示させることも可能だ。液晶パネルや有機ELなどを採用したサブディスプレイとは違った楽しさと新鮮さが楽しめる機能のひとつと言えるだろう。

 また、スリムでコンパクトなボディにまとめながらも操作性は十分に考えられており、ボタン部はフレームレスでありながら、キートップをわずかに立体感を持たせたデザインを採用している。最近はボディのスリム化を実現するため、キーの形状が重視されない印象もあるが、W61SHはメールの文字入力なども非常にしやすい形状で、キートップやキー周りのガイドのプリントなども見やすく、ユーザーの使い勝手をよく考えた設計となっている。

AQUOSケータイならではの進化したワンセグ

2.8インチワイドQVGAサイズのNewモバイルASV液晶を採用

 auのラインアップにおいては、ほぼ標準機能となりつつある、ワンセグ。SHシリーズは2007年のAQUOSケータイ W51SHとベストセラーを記録したW52SHで、ワンセグを搭載してきたが、今回のW61SHはさらにワンセグを高品質に進化させている。

 まず、液晶ディスプレイは2.8インチのワイドQVGAサイズのNewモバイルASV液晶を採用する。新開発の高演色LEDバックライトにより、NTSC比は120%に向上し、色再現性を一段と向上させている。動画表示時の性能も最大2000:1の高コントラストにより、色彩と輪郭を強調し、クッキリと色鮮やかな映像を表現できるようにしている。さらに、従来のW52SHに比べ、約4倍の高速応答を実現し、動きの速い映像でも残像の少ないクリアな表示が可能だ。映像を美しく見せるSVエンジン+も彩度を向上させ、肌や表情を鮮明にクッキリと見せる映像を映し出せるようにしている。

500:1 動画(ワンセグ)表示。従来(W52SH)のモバイルASV液晶

2000:1 動画(ワンセグ)表示。NewモバイルASV液晶

従来パネル(W52SH)

リフレクトバリアパネル(W61SH)

 一段と美しく進化した液晶パネルの高画質を最大限に引き出すため、W61SHでは新たにリフレクトバリアパネルを採用している。従来の液晶ディスプレイでは、液晶パネルと表面保護パネルの間に空気層があり、光量をややロスしてしまう面があったが、リフレクトバリアパネルでは液晶パネルと表面保護パネルを密着させ、空気層を排除したAGL(AirGapLess)構造を採用することにより、光量のロスを抑え、美しい映像を再現できるようにしている。さらに、明るさセンサーによる液晶の明るさ調整に加え、微反射液晶と6色カラーフィルタにより、晴天時の屋外といった明るい環境下でもクリアな映像を見ることができる。ちなみに、従来のSHシリーズで好評を得てきた[Task]キーの長押しで視野を切り替えられる「プライベートフィルタ」も継承されており、周囲からののぞき見を防ぐことをできるようにしている。

明るいシーン:
バックライト輝度を上げて鮮やかに

暗いシーン:
映像輝度を上げ、バックライト輝度を落とす(省電力)

 ワンセグそのものの機能についても強化されている。まず、映像の内容や明るさなどによって、バックライトの輝度と映像輝度の設定を自動的に調整する「映像シーン別バックライト制御設定」が搭載される、これにより、明るいシーンは鮮やかに、暗いシーンでも見やすく表示し、なおかつバックライトの調整によって、消費電流を節約できるため、ワンセグを長時間、視聴できるようにしている。ちなみに、W61SHのワンセグの連続視聴時間は最長6時間30分と、国内の通常デザインのケータイではトップクラスの長時間視聴を達成している。前述の新画質エンジンのSVエンジン+により、ユーザーの好みに合わせた映像表現でワンセグを視聴することができる。「標準(明るさ自動)」「標準(明るさ固定)」「ダイナミック」「映画」「節電モード」に加え、「ビビッド」「スポーツ」の合計7種類の設定から画質を選べる。

 使い勝手の面については、従来に引き続き、視聴中や録画中の通話/メール受信をサポートする。録画についても本体メモリーと別売のmicroSDメモリーカードに保存することができる。本体メモリーは約100MBなので、最長約30分の録画が可能だ。microSDメモリーカードへの録画時間は、2GBのメモリーカードであれば、約10時間40分もの番組を録画して保存することが可能だ。

 録画については視聴中の番組を録画できるリアルタイム録画だけでなく、電子番組表からの録画予約、日時及びチャンネルを指定しての録画予約、連続ドラマなどの録画に役立つくり返し予約をサポートする。ちなみに、視聴予約についても同様に設定が可能だ。

 録画した番組は通常通りの再生に加え、自然な音声で聞こえる1.33倍早送りでの再生、4倍速/20倍速の早送り/早戻し、見たい場面を探すときに便利な1分単位でのジャンプ再生が可能だ。なかでも1.33倍早見再生やジャンプ再生は限られた視聴時間(再生時間)を活かすための機能として、非常に有用だ。

便利で楽しい機能も充実

 W61SHはワンセグだけでなく、ユーザーがケータイを楽しく使い続けるための機能も充実している。

 メニュー画面はユーザーがケータイを操作するときに必ず目にするものだが、W61SHではユーザーの好みに合わせ、7種類のメインメニューを選ぶことができる。たとえば、「Music Lover」というメニューでは画面に12のアイコンを並べているのだが、中心にLISMOやau Recordsといった音楽に関連する機能やサイトへのリンクを並べている。これに対し、「シンプルでか文字」というメニューではその名の通り、シンプルで文字サイズの大きなメニュー、「Happy Holidays」ではオフタイムや週末を楽しく過ごすことを考慮してか、ライフ&ニュースのアイコンからEZwebの最新ニュースや旅行のサイトに接続しやすくしたり、カメラやワンセグ、EZFeliCaなどの機能を呼び出しやすくしている。従来モデルで好評を得た動物たちのかわいいアニメーションが楽しめる「えすえいち村」もプリセットされており、新たにデコレーションメールのテンプレートやフォトフレーム、ワンセグの着せかえパネルなどのコンテンツも揃えられている。

スタンダード

Music Lover

シンプルでか文字

Happy Holidays

えすえいち村

Pretty

数字キーを長押しするだけで機能や設定を呼び出せる「ショートカットメニュー」(画面下部のアイコン)

オートフォーカス対応2メガピクセルカメラを搭載

 多くの機能をワンタッチで呼び出せるショートカットメニューも用意されている。待受画面でダイヤルボタンの[1]〜[9]までを長押しすることで、アラームやワンセグ視聴予約、カレンダーなどの機能がすぐに呼び出すことができる。もちろん、ユーザーの好みに応じて、カスタマイズすることも可能だ。

 ちょっと変わったところでは「フェイク着信」という機能が注目される。発信キー、もしくはサイドシャッターキーを長押しすることで、着信したように見せかけることができる機能だ。活用方法はいろいろ考えられるが、実は暗い夜道を歩くときに着信したように見せかけ、周囲から身を守るといった使い方もできそうだ。ちなみに、フェイク着信は着信音だけでなく、着信時の画面も本物の着信同様、通話時間(通話はしていないが)などが表示される。

 カメラはW52SHに引き続き、オートフォーカス対応の203万画素CMOSイメージセンサーを採用する。通常スタイルでの撮影に加え、サイクロイドポジションでのワイド撮影にも対応する。撮影サイズや画質、ホワイトバランス、シーンセレクト、特殊効果などの設定項目が用意されているが、これらの設定をあらかじめ5つまで登録しておくことができる「お好み設定」も従来モデルから継承されている。

 撮影した画像はメールへの添付、高速赤外線通信「IrSS」での送信などができるが、データフォルダでは写真やムービーをスライドショーのように再生することもできる。縦画面だけでなく、サイクロイドポジションの横画面でも再生できるので、取り集めた写真を友だちに見せるときなどに便利だ。

 カメラに関連する新機能では名刺リーダーが挙げられる。名刺リーダーはすでに他事業者向けのSHシリーズに搭載され、たいへん好評を得ているが、カメラで名刺を丸ごと撮影し、名刺に印刷された情報を文字認識するという機能だ。W61SHには日本語の名刺だけでなく、英文の名刺も読み取ることができる最新版が搭載されている。実際に試してみると、その予想以上の認識率の良さに驚くはずだ。

step1:名刺を撮影

step2:読み取り結果を表示

step3:アドレス帳に登録

 また、SHシリーズとしての機能として、シャープのメーカー公式サイト「SH@ez」で無料配信されるアプリケーションをダウンロードすることにより、W61SHを液晶テレビのAQUOSやAQUOSハイビジョンレコーダーのリモコンとして利用できる「ファミリンクリモコン for AQUOS」が新たに提供される。今回は試用することができなかったが、液晶テレビやハイビジョンレコーダーのユーザーには魅力的な機能のひとつだろう。

 エンターテインメント機能ではワンセグ視聴やLISMOによる音楽環境などが継承されているが、新たに「オープンアプリプレイヤー」にも対応し、一般サイトに公開されているJavaゲームなどを楽しめるようにしている。

 通常のBREWによるEZアプリも楽しむことができるが、サイクロイドポジションでの横画面でワイドに楽しめる「2008 ゲームロフト リアルサッカー(体験版)」がプリセットされている。サイクロイドポジションの横画面についてもワンセグ視聴やEZアプリだけでなく、パソコンのホームページが見られるPCサイトビューアー、データフォルダの再生、電子コミック、LISMOのビデオクリップなどが横画面で利用することができる。ワンセグは横画面での視聴が見やすいが、もっと幅広いシチュエーションで横画面を活かそうというわけだ。

複数の機能や設定を切り替えながら利用できる「Task bar」(画面下部のバー)。専用のTaskキーも用意されており、使いやすい

 そして、従来モデルから搭載され、SHシリーズならでは機能として、高い評価を得ている「Task bar」も継承されている。ワンセグの視聴中にメールの閲覧や返信を作成したり、EZwebにアクセス中にカレンダーでスケジュールを確認するなど、幅広い活用をできるようにしている。複数の機能や設定を切り替えながら利用する手法は、他機種でも少しずつサポートされ始めているが、SHシリーズのTask barは切り替えのための[Task]キーが装備されているうえ、画面最下段にタスクを視覚的に切り替えが理解できるメニューが用意されるなど、非常に使いやすい環境を提案している。SHシリーズを活用するなら、ぜひとも上手に使いたい機能のひとつだ。

 この他にもEZ FeliCaによるおサイフケータイへの対応、EZケータイアレンジによるカスタマイズ、EZチャンネルプラスやEZニュースフラッシュ、EZナビウォークなどのサービスへの対応など、内容的にはかなり充実した仕上りと言えそうだ。

気軽に楽しく便利に使いたいユーザーにおすすめ

 auの2008年春商戦へ向けたモデルとして、いち早く登場したAQUOSケータイ W61SH。従来モデルで培われてきたワンセグの機能をしっかりと継承しながら、女性にも持ちやすいコンパクトなボディや視覚的にも楽しく新鮮なLEDディスプレイ、美しいボディカラーとステンレスパネル、名刺リーダーやオープンアプリプレイヤーなどの新機能、PCサイトビューアーやEZナビウォークといったauの人気サービスへの対応など、スペック的にも機能的にもかなり充実した端末として仕上げられている。「見て良し、持って良し、使って良し」の三拍子が揃ったバランスのいい端末であり、AQUOSケータイを気軽に楽しく、便利に使いたいユーザーに、広くオススメしたい端末と言えそうだ。

カラーバリエーションは、ソリッドなカラーが3色用意されている。左からビビッドピンク、ピュアホワイト、クールブラック

法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」「できるポケット LISMOですぐに音楽が楽しめる本」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。asahi.comでも連載執筆中

■関連情報
□「W61SH」製品情報(au) http://www.au.kddi.com/seihin/kinobetsu/seihin/w61sh/index.html

□「W61SH」製品情報(シャープ) http://www.sharp.co.jp/products/w61sh/

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