ボーダフォンで仕事がはかどる!第2回
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定額通話でケータイが内線電話のように。ボーダフォン・モバイル・オフィス(VMO)の可能性を探る
[05.08.10 掲載]
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数字以上の「384kbps」。細部へのこだわり…ボーダフォンコネクトカード(VCC)
[05.08.24 掲載予定]
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定額通話、やっぱりスゴイ! ボーダフォン・モバイル・オフィス(VMO)導入記
[05.09.07 掲載予定]
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VCC イン・ワールド。世界で使えるデータ通信カードをレビュー
[05.09.20 掲載予定]

 ボーダフォンが昨年発売したW-CDMA方式のCF型データ通信カード ボーダフォンコネクトカード(VCC)。下り最大384Kbps(※1)、上り最大64Kbps(ベストエフォート方式(※2))の通信速度を誇るデータカードだが、その実力を診断するとともに、そこに秘められたモノへのコダワリに迫ってみよう。

(※1)ご利用地域によっては、通信速度が最大で128Kbps(一部最大64Kbps)となる場合があります。
(※2)ベストエフォート方式のため、回線の混雑状況や通信環境などにより、通信速度が低下または通信できなくなる場合があります。


さりげないけど、タフなデザイン
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大人の雰囲気のデザイン
 まずさっそく、その外観から見ていこう。黒をベースに、アンテナとカードのボディ部分を赤にした、タイトな印象のカラーリングだ。決して派手な印象は与えないが、かといってパーツの一部となって埋もれてしまうことなく、アンテナの赤が強烈に自己主張する。さりげないけど、タフ。といった雰囲気の大人を感じさせるデザインだ。また、アンテナ部分にはボーダフォンの文字とロゴが彫り込まれている。ビジネスユーザーが好むブラックボディのノートパソコンと組み合わせて使ってみると、これが決まりすぎているくらい、よくマッチする。VC701SIは、決して奇をてらわずに、そして流行に流されず、古くならない造形を目指しているという点で、コダワリを感じさせるデザインだ。

 さらに細かいポイントだが、USIM挿入口にも開発陣のコダワリが見て取れる。それは、USIMカードのボーダフォンマークがカードの表面側に差し込むよう設計されていることだ。これにより、USIMカードの挿入する向きを間違えないようにするとともに、カード全体のデザインの中心として、ボーダフォンマークが機能するようになっている。パソコンに挿入すれば隠れてしまう部分だが、「まぁよくもここまで…」という徹底ぶりだ。「データカードはCFカード規格、PCカード規格に乗っ取ったパーツの一部」としか捉えてなかった自分が恥ずかしく思えてくる。

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アンテナの赤が映える   マークのとおりにUSIMカードを挿入


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PCカードスロットに深く差し込めるアダプタ
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ロゴが彫り込まれたアンテナ
 また、大きさも長さが59.9mmとコンパクトだ。最近のデータカードでは、パソコンに差しこんだとき、出っ張る部分が大きすぎて持ち運び用のインナーケースに収まらなかったりするものもあるが、VC701SIではそういった心配はない。PCカードアダプタも工夫がこらされている。普通のものより切れ込みが深くなっており、アダプタ装着時でも出っ張りを最小限に抑えているのだ。最近はCFカードスロットの代わりにSDカードスロットをPCカードスロットとともに搭載するノートパソコンも増えてきただけに、うれしい配慮だ。

 さらに、パッケージには外部アンテナも同梱される。外部アンテナにもカード同様、「Vodafone」のロゴがひっそりと彫り込まれている。実際筆者も使用してみたが、移動中など厳しい環境だと、外部アンテナの存在意義が際だつ。アンテナなしだと、パケットロスが生じこちらのリクエストに対しての反応が鈍くなることがあるが、そういった「もったり感」がかなり解消されるのだ。新幹線や成田エクスプレスに乗るときは大いに使う価値がありそうだ。



200Kbpsを軽く超えるスループットは快適そのもの
 データカードの命ともいえるスループットだが、開発陣曰く、「極限までチューニングを重ねている」という。たいてい、開発陣に話を聞けばみな一様に「コダワリ抜いている」というものだが、果たしてどのくらいのものだろうか。

 まず感想から言うと、「驚いた」という意外の言葉が見つからない。一般的に無線通信では、実測値が理論値の50〜60%程度になるのはよくあること。しかし、このボーダフォンではチューニングにチューニングを重ねた結果、理論値の80%近い、300Kbps弱までのスループットが確認できるという。実際、筆者も試してみたところ、東京港区の溜池交差点付近で295Kbpsが出た。これはすさまじい数字である。

 スループットだけで言えば、現在、PHSも256Kbpsサービスを開始している。しかし、PHSの256Kbpsは正確に言えば32Kbps×8というべきものだ。つまり、8つのリンクを確保した時のみ256Kbpsが得られるのであって、通信方式自体のポテンシャルが256Kbps、というわけではない。一方、VCCの理論値384Kbpsは、実質的な通信方式の理論値なので、電波が入ってさえいれば384Kbpsということになる。実際、この違いは大きい。32Kbps×8のPHSは場所によって通信速度の差が出るからだ。一方、VCCでは電波の強さによって多少の減衰は見られるものの、基本的なスペックとして384Kbpsの帯域を確保できるので安定して100Kbps以上は得られる。特に移動中の快適さは俄然有利。ケータイ陣営の逆襲、といったところだろうか。

接続から料金まで一括管理できるユーティリティ
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VCCユーティリティー
for VC701SI
 液晶画面やボタンのないデータカードの使い勝手で一番重要になるのは、言うまでもなく、パソコンのユーティリティのデキだ。そういった意味で、VCCのユーティリティ、「VCCユーティリティー for VC701SI」のユーティリティは非常に練られているなぁと感じる。まず、ダイヤラの機能があるのがうれしい。ほかのデータカードでは、パソコンにデータカードを認識させるドライバソフトと電波捕捉状況の表示アプリだけ、なんてこともあるが、このユーティリティでは電波捕捉状況表示から、アクセスポイントへのダイヤル、通信料金の管理まで一括して行える。いちいち、説明書に書かれたアクセスポイントの電話番号とにらめっこしながらWindows標準ダイヤラの設定をしなくて済むのはうれしい。さらに、通信履歴の表示や累積データ通信量があるので、業務利用でのコスト計算も楽になる。ちなみに、ビジネスユーザーには必須の機能となるVPN接続にも対応しているので、会社のネットワークへの接続にも問題ない。

 実際使っていてありがたいのは通信中の電界強度表示機能。ほとんどのデータカードでは通信中には表示できない。通信中の表示が出来ない場合、通信が切断された場合、ハンドオーバーに失敗したのか、そもそも電波の届かない場所に入ったかはもう一度接続してみなければわからない。しかし、このユーティリティでは通信中も常にタスクバーでおなじみの電波3本マークで電界強度を表示できるので、回線状況がひと目でわかるというわけだ。

 もうひとつ、重宝するのがリミット・アラート機能。定額制プランがないVCC。導入を考えていても、「パケ死」が怖くて躊躇している人も多いはず。しかし、このユーティリティでは通信切断時に、そのセッションでの接続料金と無料通信分の残高が表示される。つまり、無料通信分を意識しながら使える。請求書が来てびっくり、とならないのはうれしい限りだ。

Windows標準モデムでも動作
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動作中はロゴが点灯
 一般的に言って、データカードにドライバソフトが付属されている場合、それを利用しなければデータカードは動作しない。だが、実はVCCは、Windows標準モデムのドライバで動作する。会社のパソコンを持ち出した場合でありがちなのが、外出先で、「データカードをパソコンに差しているけど、ドライバソフト入れ忘れたから通信できない…」というシーン。通信カードもパソコンもあるのに、ドライバをダウンロードしようにもそもそもネットにつながらないからムリ、というまさに悪夢のような状況だ。しかし、VCCならばWindows標準モデムに対応しているので、そういったシーンはありえない。最低限、アクセスポイントの情報だけでもメモを残しておけばカードを差し込むだけですぐに通信を始められる。ただ、前述のようにユーティリティがかなりよいデキなので、こちらを使うほうが断然オススメ。緊急事態にも対応できるつくりになっていることに拍手を送りたい。またユーザーが個々に利用開始できるので企業での一括導入でも管理者に負担なく導入可能だ。

Mac、ザウルス、Windows Mobile系PDA
 さらに、Windows一極化が進む中、VCCはMac OS Xにも対応している。出版やデザイン、映像系などで根強い人気があるMacintosh。こうした職業に携わる人は、一般のビジネスマンが多用するWordやExcel、PDFよりも重いデータを扱う機会は多いはずだが、どういうわけか、高速データ通信カードはMacintoshに対応していない製品が多い。Macintoshのハードウェア的な制限により、Windowsで使ったときのような300Kbps近い数字は得られないらしいが、それでも200Kbpsは得られるのはありがたい。USB接続のPCカードアダプタ(IOデータUSB2-PCADPG)を利用すれば、PCカードスロットを装備しないPowerBookやiBookでも利用可能になる。

 さらにMac OSだけでなく、「SL-C3000」以降のLinux搭載ザウルス、Windows Mobile系のPDA用のドライバソフトも用意されているので、幅広い環境で3Gのスピードを体感できる。

USIMの入れ替え
 先日、会社員の友人に「日常的には使わないけど、月に何度か外出したときにメールチェックをしたい」と相談を受けた。改めて考えてみると、今の日本の携帯電話業界は月額いくら、という契約ベースのサービスばかりで、こうした「基本料はなしで、使った分だけ課金」というニーズに対してはほとんど選択肢がない。おそらく、同じような思いを抱いている方もおられるだろう。そこで、USIM1枚を音声端末とVCCで使い回す「USIM差し替えスタイル」というのを提案したい。ボーダフォン 3G携帯電話のユーザーならば、ボーダフォンショップで、VCCを買い増せばよい。VCCはパソコンに差しっぱなしで持ち歩き、たまに通信したくなったときは、携帯電話のUSIMをVCCに差し替えて使用する、というスタイルだ。たしかに差し替える作業は面倒だが、回線契約は1回線分になるので圧倒的にコスト面で有利だ。利用頻度が高い場合は携帯電話とは別個の契約をオススメするが、こうしたライトな使い道なら差し替えスタイルもアリだろう。逆にVCCデータバリューパック契約者はデータ通信のみが利用可能で、USIMを差し換えて携帯電話を使用する場合(音声やメール)、通常の料金プランに入りなおす必要がある。また、USBケーブルで携帯電話とパソコンを接続する方法もあるが、ケーブルを忘れたらアウト、というのは利用頻度が低い人にとってはちょっと厳しい。第一、利用時にパソコン+ケーブル+ケータイがつながっているのはちょっと煩わしい。やはりモバイルで通信するならデータカードだ。

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「USIM差し替えスタイル」を提案

 さて、ここまでVCCのモノ的な側面を中心にお伝えしたが、第4回では国際ローミングサービスや新料金プランなど、サービスの側面でもVCCの魅力をお伝えする予定なので、ご期待されたい。



※Windows(R)は、Microsoft(R) Windows(R) operating systemの略称として表記しています。
※Microsoft(R)は米国Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標です。
※ザウルス及びZAURUSはシャープ株式会社の商標です。
※その他、記載された会社名、システム名、サービス名、ソフト名及び製品名は各社の商標または登録商標です。



【関連URL】

 ■ボーダフォンコネクトカード
 http://www.vodafone.jp/biz/impW824/

 ■ボーダフォンコネクトカード 料金プラン
 http://www.vodafone.jp/biz/impW824a/

 ■ボーダフォンコネクトカード サービスエリア
 http://www.vodafone.jp/biz/impW824b/


PHOTO伊藤大地

1978年生まれ。学生時代はアメリカ現代詩を専攻し、バリバリ文学青年だったのに、気が付いてみるとなぜかITマスコミ業界に入っていた。現在は、携帯電話をはじめとするモバイル機器のレビュー記事や、イベント取材に明け暮れている。特技は高額デジタルグッズ発売日ゲットとノーベル文学賞受賞の夢を見ること。

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