Vライブ オープンタイプで  お手持ちのオリジナルムービーが配信できる!
ドコモの全契約数の50%、2600万人を超えるところまで普及してきたFOMA。安価なパケット通信料や高速データ通信、豊富なコンテンツ、多彩なサービスなど、FOMAにはさまざまな魅力があるが、テレビ電話やiモーションなど、手軽に動画を楽しめる環境が整っていることも見逃せないポイントだ。ドコモは従来から提供している映像配信サービス「Vライブ」において、今年7月3日からユーザーが自由に映像を配信できる「Vライブ オープンタイプ」の提供を開始した。ここでは「Vライブ」の内容を紹介しながら、「Vライブ オープンタイプ」の魅力について、解説しよう。

「残暑見舞い」を100名様にプレゼント

テレビ電話の64Kデジタル通信を利用するVライブ

テレビ電話のしくみを使用して、長時間のムービーを視聴できるサービス「Vライブ」。 プロ野球の生中継から、ラジオの放送ブースの中継、お笑い生ライブなど多彩なコンテンツが楽しめる
詳細はこちら

FOMAで楽しめる映像コンテンツを紹介する「DoCoMoメニュー」。情報料は無料(通信料は別途かかります) 詳細はこちら

 現在、ドコモでは動画を楽しめる2つのサービスを提供している。ひとつは「iモーション」、もうひとつは「Vライブ」だ。どちらも対応するFOMAを使い、同じように動画を楽しむことが可能だが、サービスのしくみなどが大きく異なる。

iモーションはショートムービー向け

 iモーションはiモードサイトでのコンテンツ配信、ケータイで撮影したムービーを添付するメールなどで利用されている。iモーションはパケット通信で動画などのデータが転送されるため、転送したデータ量によって、パケット通信料が課金される。パケ・ホーダイを契約していれば、通信料は定額でコンテンツを楽しめるが、1コンテンツあたりのファイルサイズが制限されており、通常は約30秒〜約1分程度、長くても約3分程度までとなっている。

Vライブなら長時間のムービーコンテンツを楽しめる

 これに対し、テレビ電話のしくみを利用して、映像を配信するサービスが「Vライブ」だ。Vライブはパケット通信ではなく、テレビ電話の64Kデジタル通信で発信し、テレビ電話でコンテンツを楽しむ。そのため、通信料は接続時間に応じて、課金される。パケ・ホーダイのような定額プランはないが、料金はテレビ電話通信料(64Kデジタル通信料)なので、「ゆうゆうコール」や「ボリュームディスカウント」の対象になる。パケ・ホーダイを契約していないライトなユーザーでも比較的、安価に映像を視聴できるわけだ。

 また、Vライブはiモーションに比べ、長い時間のコンテンツを楽しめたり、リアルタイムの生中継映像を楽しめるという特徴もある。iモーションなどの動画サービスはファイルサイズの制限により、コンテンツの再生時間が限られているが、Vライブはリアルタイムのライブ配信なら無制限、サーバーに保存されている映像のアーカイブ配信では約1時間もの長時間コンテンツを楽しむことができる。

 実際にVライブでコンテンツを楽しむには、2つの方法がある。ひとつは対応端末から直接、アクセス番号にダイヤルして、テレビ電話発信をする方法。もうひとつはiモードサイトなどのリンクからアクセスする方法だ。直接、テレビ電話発信をする方法は、[*8607*]から始まるアクセス番号をダイヤルするだけで、すぐにVライブを楽しむことができる。手軽に試してみたいときは、毎月支払う情報料が無料で楽しめる「DoCoMoメニュー」などを見てみるといいだろう。

オリジナルロングムービーを配信できる「Vライブ オープンタイプ」

 テレビ電話の64Kデジタル通信を使い、手軽に映像が楽しめるVライブでは、各コンテンツプロバイダーから数多くのコンテンツが配信されている。クオリティの高いコンテンツが楽しめることは、ユーザーとしても楽しいが、自らコンテンツを配信しようとすると、ドコモとの契約が必要になるうえ、ホスティング契約に基づく初期費用や月額費用を負担しなければならない。つまり、個人がVライブに映像を配信することは、事実上、難しかったわけだ。

状況を大きく変える「Vライブ オープンタイプ」

 そんな状況を大きく変えることになったのが7月3日からドコモが開始した「Vライブ オープンタイプ」だ。「Vライブ オープンタイプ」は、従来のホスティングタイプのVライブと違い、ドコモとホスティング契約をする必要がなく、自分が契約しているプロバイダーのホームページエリアや個人向けレンタルサーバーなどを利用して、Vライブによる映像配信を可能にする。つまり、iモード向けホームページを作成するときと同じように、基本的には無料でオリジナルムービーを公開できるわけだ。

「Vライブ オープンタイプ」アーカイブコンテンツを配信するためのネットワーク構成図。ドコモとホスティング契約をする必要がなく、自身のサーバーを利用し無料でムービーの配信ができる

「Vライブ オープンタイプ」のアーカイブコンテンツ配信に対応したエンコードソフト「excrea for Vライブ」。1カ月間は無償で試用できる
詳細はこちら

 「自分で映像を配信」と書いてしまうと、少し難しそうに見えてしまうが、実は意外なほど、簡単に「Vライブ オープンタイプ」で映像を配信する環境は整う。まず、コンテンツを保存しておくエリアについては、前述の通り、プロバイダーのホームページエリアで問題ない。コンテンツのファイルサイズは内容によって異なるが、筆者が作成した6分程度のムービーは約2.5MBほどだったので、ちょっとしたメッセージビデオであれば、10MB程度で十分だろう。

 次に、コンテンツを作成するための対応エンコードソフトだが、9月末までの期間限定で「excrea for Vライブ」(沖電気工業(株))が提供されており、Vectorのホームページから体験版を無償でダウンロードできる。「excrea for Vライブ」はインストール後、1カ月間、無償で試用でき、正式に利用したいときは8,000円(税込)でライセンスを購入することになる。読み込める動画データはAVI/WMV/ASF形式で、Vライブで利用する3GPP形式に変換することが可能だ。

「excrea for Vライブ」を使用してのエンコード手順

1:入力ファイルを選択(AVI/WMV/ASF形式)

2:出力先フォルダを指定

3:エンコード詳細設定で音声のビットレートと映像のフレームレートを設定

4著作権情報を入力

5:範囲を指定してエンコードする場合、開始フレームと終了フレームを指定

6:開始ボタンを押してエンコード開始

 ホームページエリア、コンテンツが用意できれば、あとはVライブで映像を再生できるケータイ向けページを作成するだけだ。冒頭でも触れたとおり、Vライブはテレビ電話の64Kデジタル通信で発信し、コンテンツを閲覧するが、テレビ電話で直接、ユーザーがコンテンツを公開しているホームページエリアなどに接続するわけではない。VライブではVライブセンターを経由して、インターネットやコンテンツプロバイダーのVライブサーバーと接続している。そこで、Vライブで映像を配信したいケータイ向けページに、Vライブサーバーを呼び出すためのHTML記述を書き加えるわけだ。このHTML記述によって、ケータイ向けページ内にVライブで再生するためのボタンが生成されるため、あとはケータイ向けページを見に来たユーザーがVライブ再生用ボタンをクリックすれば、Vライブセンターからアクセス番号が発行され、Vライブで映像が閲覧できるというしくみだ。ちなみに、HTMLの記述については、ドコモのホームページ内にある「作ろうiモードコンテンツ」で解説されている。ケータイ向けホームページを作成したことがあるユーザーなら、問題なく、作成できるはずだ。

「作ろうiモードコンテンツ」のVライブページ。Vライブの特徴から配信手順、技術資料ダウンロードなどを掲載
詳細はこちら

「技術資料ダウンロード」ページ。詳細に記載されたマニュアルがダウンロードできる
詳細はこちら

「Vライブ オープンタイプ アーカイブコンテンツ配信手順」ページ。コンテンツ配信までの流れを解説
詳細はこちら

Vライブのオリジナルムービーを活用しよう

 手軽にオリジナルムービーを配信できる「Vライブ オープンタイプ」だが、いろいろな用途に活用することができそうだ。

こんな使い方がオススメ

 たとえば、旅行やイベントなどで撮影したムービーが手元にあったとしよう。これをDVD-RやCD-Rに保存して、ムービーを見せたい友だちや家族、イベントに参加した人たちに配るのは、かなりの手間が掛かる。ホームページなどに掲載する手もあるが、パソコン向けの動画は基本的にパソコンがなければ、閲覧できないうえ、相手のインターネット接続環境によっては再生できないこともある。しかし、Vライブは相手が対応するFOMAを持っていれば、電波の届く範囲内なら、いつでもどこでも自由に映像を閲覧できる。暑中見舞いのビデオメッセージをVライブで配信するといった使い方もできそうだ。

 また、サークルやクラブ、バンドなどの活動をしている人なら、自分たちをアピールするためのオリジナルムービーを作成し、ケータイ向けページでVライブによる配信をするのも手だ。ケータイ向けページの告知はチラシや名刺などにURLを記載しておいてもいいが、URLを含んだQRコードを印刷しておけば、より手軽にアクセスしてもらえるはずだ。ビジネスなら、自社の製品やサービスのムービーを作成し、同じようにケータイ向けページでVライブによる公開をするといった使い方もできるだろう。

まとめ

 今年に入り、インターネットでは「YouTube」のように、個人が自由に動画を公開できる動画サイトが相次いで登場し、たいへん注目を集めている。「Vライブ オープンタイプ」も個人が自由に映像を配信できるが、閲覧するための環境がFOMAであるからこそ、ユーザーの工夫次第でもっといろいろな用途に活用できそうだ。「Vライブ オープンタイプ」の特徴を活かし、今までとは少し違った映像配信にチャレンジしてみてはどうだろうか。

■関連情報
・NTTドコモのサイト http://www.nttdocomo.co.jp/
・Vライブのページ  http://www.nttdocomo.co.jp/service/imode/make/content/v_live/

■関連記事
・ドコモ、自由に映像配信できる「Vライブ オープンタイプ」
 http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/29568.html

 

■法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP SP2対応 基本編 完全版」や、「できるブロードバンドインターネット Windows XP対応」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。
■篠崎ゆき
東京都出身。テレビやCF、雑誌などマルチに活動し、SUPER GTのステージMCまでこなす。現在、ゆきちゃんがプロデュースするWaku-Pプロジェクトも進行中。スーパーウイング所属