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[写真1] グレアパネルを採用し、深みのある黒と鮮やかな色彩を再現した「MDT191S」。高速応答8msで動画もくっきりと鮮明に表示 |
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[写真2] 3次元Y/C分離/IP変換/ノイズリダクションにより、TV映像を高画質化。3次元Y/C分離やノイズリダクションは適用する強さを選択できる。IP変換はオン/オフを選択でき、アクション映画などではIP変換を適用しないほうが高画質になる場合もあり得る |
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NEC三菱電機ビジュアルシステムズが発売した「MDT191S」は、同社のTVチューナー内蔵ディスプレイ「VISEO」シリーズの最新製品となる。すでに昨年10月27日に発表されており、店頭でご覧になった人も多いのではないだろうか。カラーリングはシルバー(バックはホワイティッシュグレー)に加え、ブラックモデルがラインナップされる。
パネルは1280×1024ドット表示が可能な19型液晶で、グレアタイプの液晶を採用している。このタイプは、表面のツヤを嫌う人が少なくないが発色の良さには定評がある。TVチューナーを内蔵する「MDT191S」の性格を考えれば、この選択は妥当だろう。
実際、TV映像を視聴したときの発色は非常に良い。輝度、コントラストともに申し分なく、色のメリハリは、ブラウン管はもちろん、筆者がこれまでに視聴したことがある液晶ディスプレイのなかでも最もインパクトのあるものだ。特に印象に残るのが黒の階調性である。最近でこそ全体的に改善されてはいるが、液晶ディスプレイはどのメーカーのものもまだまだ黒の階調に粘りがない印象を持っていた。しかしながら、「MDT191S」の黒のグラデーションはいかにも自然で、良い意味で液晶らしさを感じさせない美しさがある。
ただ、このTV映像の画質の高さはパネルの性能だけによるものではないだろう。「MDT191S」には、3次元Y/C分離回路や3次元IP変換回路、3次元ノイズリダクション回路といった高画質化機能が搭載されているのだ(写真2)。これらの機能はTV映像の色にじみやノイズを低減させ、見ていてストレスを感じないクリアな映像を作り出している。この高画質な映像は、高品質な液晶パネルと高画質化回路のタッグにより生み出されたものなのである。
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[写真3] 画質設定がプリセットされた「DV MODE」を装備。TVチューナーやビデオの映像は、「スタンダード」「ブライト」「シネマ」「ユーザー」から選択できる |
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[写真4] 前面のDV MODEボタンを押すことで、OSD操作を必要とせずにモードを切り替えられる。なおPCからの映像を入力している場合はTVチューナー利用時とは異なり、「MODE1」「MODE2」「MODE3」「OFF」の四つのモードから選択することになる |
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「MDT191S」の液晶パネルについてスペックを紹介しておくと、輝度が400cd/u、コントラスト比が700:1、視野角が上85度/下70度/左右170度(コントラスト比5)となっている。この高い輝度とコントラスト比の数字を見ると、TV映像の美しさも納得できる。
また、「MDT191S」には様々な映像ソースに適した画質を簡単に設定できる「DV MODE(Dynamic Visual
MODE)」を搭載している。DV MODEは一言でいえば画質設定のプリセットであり、PCの画面を表示しているときは「OFF/MODE1/2/3」、TV映像やビデオ入力映像を表示しているときは「スタンダード/ブライト/シネマ/ユーザー」から選択することで、ガンマ値や色合いなどが瞬時に切り替わるのである(写真3、4)。この機能を使えば、派手な発色が欲しいとき、落ち着いた輝度で表示したいときなどは、表示内容に応じてその度ごとに簡単に切り替えられるのだ。
もう一つ「MDT191S」の液晶パネルの驚くべき点は、8msの応答速度を持つ点だ。最近の液晶パネルは応答速度が高速化しているとはいえ、高速と呼ばれるものでも12msが最速レベルにあり、それを上回る8msを実現している製品はごくわずかである。
たった4msの違いと思われるかも知れないが、この違いが実際に視聴したときに感じる残像感に大きく影響してくる。筆者がこうした液晶ディスプレイのテストを行うときに視聴するアクション映画があるが、手持ちの16msの液晶ディスプレイでは残像に違和感を残す。これを以前12msの液晶ディスプレイで見たときはかなり満足できていたのだが、今回の8msの応答速度を持つ「MDT191S」はさらにスムーズな表示をするのには驚いた。動きの激しいシーンを応答速度の遅い液晶ディスプレイで視聴すると、例えば手足の動き、背景のパンなどのときに、写真でいうブレのような残像を感じるのだが、「MDT191S」はそうした残像をまったくといっていいほど感じなかった。言葉だけでは伝わらない部分も多いとは思うので、ぜひ一度、量販店などの展示機を見てほしいところだ。現在、8msよりも遅い液晶ディスプレイを使っている人なら、一目で違いを感じられるはずだ。
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[写真5] ピクチャ・イン・ピクチャ機能により、親画面にPC+子画面にTVやDVDを表示して、ながら作業を行うことも容易。TVチューナーをディスプレイ側で持つことにより、CPUパワーはPC上で行う作業に専念させられるのもメリット |
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[写真6] 子画面のサイズは3段階に切り替えられるほか、表示位置も後述のE-STICKを使って思い通りの場所へと移動できる |
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さて、ここまでは液晶パネルの発色などの所感について述べてきたが、続いては機能面にも着目してみたい。「MDT191S」はTVチューナーを内蔵している点は先述のとおりだが、さらにピクチャ・イン・ピクチャ機能が搭載されている点が非常に便利だ(写真5)。
最近ではTVチューナー内蔵PCも当たり前になり、TV映像を表示したウィンドウを隅に置いて作業をする人も多いと思う。ただ、その場合は、PC側でTV表示の処理を行っているために、ほかの作業の処理速度が落ちる。液晶ディスプレイにTVチューナーが搭載されている場合は、TV映像の表示にかかわるPC側の処理が一切ないわけで、PCの性能を本来行うべき作業に集約できることが大きなメリットだ。
ちなみにTVチューナー内蔵液晶でピクチャ・イン・ピクチャ機能を搭載している製品はそれほど珍しいものではないのだが、「MDT191S」では子画面の大きさを3段階に調節できるほか、場所はWindowsのウィンドウ並みに自由に移動できる。Windows画面の邪魔にならずに見やすい大きさ・位置へ配置できるのは非常に便利(写真6)。PC上でTV画面を表示しておくときはウィンドウを自由な位置へ配置できるのが一つのメリットだが、「MDT191S」は同等の利便性を享受できる。
このほか、現在表示している映像を静止画として表示することができる。つまり、一時的な画面のスクリーンショットをとることができるわけで、現在表示している内容をメモにとったりなど活用の幅は広い。こうした利用方法の柔軟性も、「MDT191S」の大きな魅力となっている。
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[写真7] シンプルな前面のボタン類。このうちOSDメニューの操作に用いるのは二つのボタンで済むシンプルな操作体系が魅力 |
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三菱製のディスプレイを使ったことがある人ならご存知のことと思うが、これまで同社のOSDの操作は、横一列に並んだ[+][−][<][>」などのボタンによって行ってきた。この操作はお世辞にも直感的とは言いづらく、正直なところ長年に渡って三菱製のCRTを使っている筆者も、いまだに慣れない。
だが、「MDT191S」および「MDT191S」と同時発表されたモデルから前面の操作ボタンが一新された(写真7)。電源のほかは、メニュー呼び出し/終了ボタン、入力切替ボタン、DV
MODE選択/リセットボタン、そして「E-STICK」という新しい操作ボタンが並ぶシンプルなレイアウトに変更されたのだ。
注目はこのE-STICKである。4方向のカーソル機能に加え、押下することで「Enter」の役割を果たすスティック状のユーザーインタフェースが用意されたのだ。OSDの画面を見ながら、上下左右にカーソルを動かせばメニューの選択が行え、横一列にボタンを並べるスタイルとは比較にならないぐらいに直感的に操作できる(写真8)。
さらに「MDT191S」にはリモコンも付属している(写真9)。このリモコンはTVチューナーの操作はもちろんのこと、OSDのメニュー操作も行える。E-STICKで操作する感覚に似た上下左右のボタンも用意されており、このリモコンも「MDT191S」の操作性の良さを際立たせている存在といえるだろう。
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[写真8] OSDメニューで表示されるカーソルを上下左右に直感的に操作できるE-STICKを装備。OSDメニューの呼び出しと終了以外は、このスティック1本で設定が施せる |
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[写真9] リモコンも付属。TVチューナーのチャンネル操作などはもちろん、ピクチャ・イン・ピクチャに関する操作、OSDメニュー操作など、「MDT191S」のあらゆる操作を行える |
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最後になるが、「MDT191S」の外観について紹介しておきたい。正面から見ると円形の台座に19インチの液晶パネルがあるだけのシンプルな外観ではあるが、上30度、下5度のチルト角や、340度のスイーベル角調節は思い通りの場所でピタリと止まる優れものだ。さらに嬉しいのは、高さ方向への9cmほど稼動する点で、利用環境に合わせて思い通りの位置へ液晶パネルを設置できる(写真10、11)。
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[写真10] スタンドは9cmの範囲で高さの調節が可能。写真は最も持ち上げた状態
(⇒マウスオーバーで最も下げた状態を確認できます) |
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[写真11] 上30度、下5℃のチルト角の調節も可能。写真は最も立てた状態
(⇒マウスオーバーで最も下げた状態を確認できます) |
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入出力インタフェースの類は、背面にD-Sub15ピンのアナログRGB入力、DVI-D入力を備えるほか、側面にTVチューナーのアンテナ入力やS/コンポジットビデオ入力、ステレオ音声入力。さらにはD4入力端子も備える(写真12、13)。また、こうしたケーブル類は背面のアーム内に収納できるようになっている(写真14、15)。「MDT191S」のように豊富なインタフェースを持つ製品を有効活用すると、どうしてもケーブルの本数が多くなってしまう。そういう状況でもケーブルの束をスッキリと配線できるわけだ。
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[写真12] 背面下部にPCからの入力インタフェースを装備。D-Sub15ピンとDVI-D端子を備える |
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[写真13] 本体側面にはTVチューナー周りの入力インタフェース。D4端子を備えているのが大きなポイントだ |
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[写真14] 背面にはケーブルを束ねる工夫が施されている |
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[写真15] カバーで覆えば見た目もスッキリする。ケーブルが多くなりがちな性格の製品だけに、こうした配慮は嬉しいところ) |
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以上のとおり、新しくなったVISEOを試用してきたわけだが、各機能が高いレベルでバランスを取っている印象を強く感じた。とくに、8msの応答速度の威力は絶大で、液晶ディスプレイにおいてTV映像などの動画を見るには、現状「MDT191S」以上の選択肢はないのではないかと思うほどだ。また、画面の発色やシャシー/OSDの操作性など、どこを見ても・触っても不満を残さない。このバランスの良さも「MDT191S」の魅力だ。また、量販店では9万9800円前後が相場と、10万円を切る価格で販売されておりコストパフォーマンスも高い。
本来であれば「TVチューナー付き液晶ディスプレイ」というカテゴリの製品ではあるが、ちょっと「PC用ディスプレイとしても使えるテレビ」という見方をしてみてほしい。もちろん、今回の試用でそう表現しても無理がない万能さを持っている印象だからだ。これから就学や就職などによる一人暮らしを開始する人も多いと思うが、15インチクラスよりも大きなテレビが欲しいという人にも「MDT191S」はベストマッチなアイテムではないかと思われる。先述のとおり、どこをとっても不満を残さない製品であり、きっと長く愛用できる製品になることだろう。
(Text by 多和田新也)
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