ひとつの機能がテレビライフを豊かに  「使いこなしで化ける」VARDIAの姿 どんな機械でも、知っていると便利な「Tips」「テクニック」が存在する。ちょっとしたことだが、そのテクニックがあるとないとでは大きく違う。その人のライフスタイル・ニーズによっては、「そのテクニックがあるからこそその商品を選ぶ」というほど、重大なものとなることもある。
VARDIAは、そんな「知ってると便利なテクニック」が非常に多いレコーダーとして知られている。カタログを読むだけではそのあたりがわかりにくいことから「マニアックなレコーダー」との評価もあるが、それぞれの機能そのものは、決して複雑なものではなく、誰にでも使えるものが多い。   今回は、VARDIAの隠れたテクニックを知ることで、「誰かのためのオンリーワン性」を検証してみたい。

パソコンでも携帯でも自由自在  テクニック次第で化ける「メール予約」

【動画:(株)東芝 デジタルAV事業部 片岡秀夫氏が語る「メール予約」】

 ビデオレコーダーの機能を重視する人には、「チェック魔」が多い。好きなスポーツやアーティストに関する番組はできる限り見ておきたい、という人々だ。

 そういった趣向を持つ人々の中には、同じ趣味を持つ人々との「横の連携」を大切にする人が少なくない。テレビ番組表や情報誌に、すべての情報が掲載されているわけではない。ファン同士の「横のつながり」で、細かな出演情報や裏話を聞きつけ、日々「チェック」を欠かさない。

 そんな場合に重要になるのが、「臨機応変に録画予約ができること」だ。例えば外出中に友人から、「今晩の音楽番組に、あなたの好きなアーティストがちょっとだけ出るよ」と教えられたとしよう。できれば急いで自宅に帰って録画予約を、と考えるところだが、なかなかそうはいかないのが常。となると、外出先から録画予約を、と考えるのが人情だ。

 意外なことに「外出先からの録画予約」は、メーカーによって自由度が大きく異なっている。実は多くの機種では、宅外で録画予約を行う場合、特定の携帯電話向けサービスを使わねばならない。番組表を見ながら操作できる、という利点はあるものの、すべての携帯電話で利用できるわけではなく、パソコンからの予約は不可能、という機種も多い。

 VARDIAの場合、その部分が非常に柔軟な作りになっている。特別なサービスは使わず、一般的な電子メールを使って「リモート予約」を行うからだ。パソコンで利用している電子メール・アドレスをVARDIAに登録しておくと、VARDIAは定期的にメールをチェックし、「自分宛の録画予約指令」を検索する。

などを、以下の「録画コマンド」とともに記述して送信するだけである。携帯電話でもパソコンでも、ただメールを送りさえすればいい。

例: open rdstyle prog add 20080630 2000 2054 D081

 例えば上記のコマンドは、「6月30日、20時から20時54分まで、地デジの8チャンネル」を録画予約する、というもの。これだけではなんのことやらわかりづらく、正直不親切にも思える。だがよく見ると、書き換えなければいけないのは「日付」「時間」「チャンネル」くらいのもののはず。メールのテンプレートとして保存しておき、必要な部分だけを書き換える、という形にするのがいいだろう。これらは、スカパー! 連動や、CATV連動にも利用できる。

ネットでわかる「録画予約ランキング」  「あなたのおすすめ」も一目でわかる

【動画:(株)東芝 デジタルAV事業部 片岡秀夫氏が語る「予約ランキング」】

【動画:(株)東芝 デジタルAV事業部 片岡秀夫氏が語る「クリップ映像ダウンロード」】

 実はランキング番組が好きだ、という人は結構多いのではないだろうか。他人がどんなものに注目しているのか、という情報は、それだけで一つのエンタテインメントといえる。

 VARDIAには、そういった観点でちょっとおもしろい機能が備わっている。それが「おすすめサービス」だ。このサービスは、ネットを介して集計したVARDIAユーザーの「録画予約状態」を、ランキングなどの形で見られるというものだ。VARDIAをインターネットにつないだ場合、録画予約には、インターネットを介して公開される番組表である「WEPGのiNET」を参照することになる。この情報を使い、「どんな番組が録画予約されているか」を確認することができる。

 この機能のおもしろいところは、一般的な「視聴率調査」と違い、番組を「見る前」の人気度がわかる、ということである。別の言い方をすれば、「その番組に対する期待度」や「ドラマなど連続ものの人気」がより明確にわかっておもしろい。

 重要なのは、「ドラマ」や「映画」といった一般的なジャンル分けだけでなく、よりディープなランキングも見られる、というところだ。「アニメ」はもちろん、「ドキュメンタリー」や「BSデジタルランキング」といったランキングまである。筆者のおすすめは「再放送番組ランキング」。再放送の録画予約で人気があるということは、それだけ「こんどこそ見逃したくない」と考えている人がいる、ということ。それだけ、おもしろさに定評がある、と考えることもできるだろう。

 また、「あなたからのおすすめ」「みんなからのおすすめ」というコーナーもおもしろい。これは、録画予約情報から「あなたが好みそうな番組」を解析、おすすめ番組を提示してくれる、という機能である。知らない番組と出会う窓口として、なかなか有用だ。

 VARDIAをネットにつなぐということは、単に「自分のため」になるだけでなく、「録画予約」という行為を通じ、日本中のテレビ好きとゆるやかに「つながる」ことでもあるようだ。

番組表は「リモコン」で切り換えろ  「絞り込み」であなただけの番組表に

ロモコンを使用することで番組表はもっと便利になる。

 VARDIAを使いこなす上で重要なのは、いかに「番組表を使うか」という点だ。前回解説したように、VARDIAの番組表の特徴は、地上デジタル放送からe2 by スカパー!、BSデジタルまで、すべてのチャンネルを「同列」で扱うことにある。そのため、すべてのチャンネルが1つの番組表にまとまって表示される。設計思想を体現したものだが、「そのままでは情報が多すぎる」という人も少なくない。

 そこでおすすめなのが、表示の方法を切り替えながら使うことだ。

 リモコンの数字ボタンを押していくと、チャンネル表示は「全チャンネル一覧」から「地上デジタル」だけ、「BSデジタル」だけ、「ライン入力3のスカパー! 連動」だけなどと切り換えていくことができる。絞り込みとしてはシンプルなものだが、さらに設定を行っておくことで、さらに使いやすくなる。それが「絞り込み表示」だ。

 番組表の上で「クイックメニュー」を呼び出し、「表示順/絞り込み設定」を選ぶ。すると、チャンネルの一覧と、3種類の絞り込み表示を行うリストが現れる。A・B・Cのそれぞれに、自分なりのルールを作って、オリジナルの「チャンネル分類」を行っておこう。例えば、Aはドラマ関連、Bはスポーツ関連、Cは音楽関連、といった感じで分けてもいいし、家族毎に分類してもいい。

 カスタマイズ性の高さは、VARDIAの魅力の一つであり、この機能はその代表的なものである。

「場所の壁」もネットで超えろ  DLNAで寝室からリビングのレコーダーを操作

【動画:(株)東芝 デジタルAV事業部 片岡秀夫氏が語る「ネットdeサーバー」】

 すでに述べたように、VARDIAはネットを活用することで真価を発揮するレコーダーだ。ビデオレコーダーは、録画することで「時間」の使い方を自由にするものだが、ネットを使うことで、家庭内に限定されるが、ある程度「場所」の制約も緩和することができる。

 もともとVARDIAには、ネット連携機能の一環として、パソコンからVARDIA内の映像を見る「ネットdeモニター」という機能があった。だがこの機能の場合には、パソコンでしか見られないこと、著作権保護が行われたデジタル放送の映像は見られないことなどから、現在は使いづらい面もあった。

 そこで現在は、新たな「業界標準」に基づく機能が追加されている。そこで活躍するのが「DLNA」だ。

 DLNAは、家電メーカーとPC関連メーカーが共同で定めた、家庭内LANで映像や音楽を共有するための仕組みである。VARDIAでは、DLNAを「ネットdeサーバーHD」と名付けている。VARDIAが映像を蓄積した「サーバー」の役割を果たすためだ。

 例えば、リビングにVARDIAがあり、寝室にDLNA対応のテレビ、例えばREGZAがあるとする。両者が家庭内LANでつながっていれば、DLNAを使い、寝室のREGZAからVARDIAを遠隔操作し、中の映像を楽しむことが可能だ。

 現在は、DLNA対応機器がまだ少なく、この機能は普及しているとは言い難い。だが将来的にDLNA対応機器が増え、様々な機器から参照可能になれば、より重要な機能となるはずだ。

「ダビングの柔軟さ」がVARDIAの持ち味  プレイリストで「ライブラリ化」の幅が広がる

 VARDIAシリーズの真骨頂ともいえるのが、やはり「ダビング」である。ディスクメディアへのハイビジョンダビング時の画質や記録時間では、VARDIAに勝る機種もある。しかし「ダビング手段の多彩さ」という点では、いまだVARDIAに軍配が上がる。

 最も自由度の高いアナログ放送の場合、ダビング先は主に4種類に分かれる。一般的には、光メディアか内蔵ハードディスクの2種類だからその差は大きい。  デジタル放送の録画が中心になりつつあるが、アナログ放送の自由さには代え難い魅力がある。とくにユニークなのは、家庭内LANを使った「ネットdeダビング」。LANで接続された別のVARDIA/RDシリーズに、アナログ放送や外部入力から録画された番組をダビングすることができる。別途ネットで公開されているフリーウエアを活用すれば、パソコンに対して映像をダビングすることも可能だ。

 デジタル放送の場合には、残念ながら著作権保護の問題から、ネットdeダビングは利用できない。光ディスクを使わず、機器間で映像をダビングする場合には、主にi.LINKを使うことになる。もっとも、この場合は「複製」でなく「ムーブ」になるが。

 ユニークなのは、「プレイリスト」を使ったダビング機能が強力であることだ。ダビングというと、録画した番組をそのままディスクへコピーする、というイメージが強い。だが実際には、番組の一部だけをダビングしたい、というニーズもあるはず。番組のあるコーナーだけをディスクにまとめたり、お気に入りのアーティストの演奏だけをまとめたり、といった場合がそれにあたる。VARDIAでは、プレイリスト機能を活用することで、そういった柔軟なダビングが可能だ。

「つぎにしたいこと」を自動提示  初心者にうれしい「つぎこれ」機能

視聴後にユーザーがしたいことを提示してくれる「つぎこれ」機能(※画像はサンプルです)

 カスタマイズ性やネット連携機能は、どうもやはりマニアックな印象を受ける人もいるだろう。だがVARDIAはマニアックなばかりではない。他にない「ちょっといい配慮」をもった機能もある。その代表格が「つぎこれ」機能だ。

 録画が終わったあと、あなたはどんな作業をするだろうか? なにもしない場合もあるだろうが、やることが決まっている場合も案外多い。一番多いのは、見終わった番組を消すために「ごみ箱」へ移動することではないだろうか。場合によっては、続きを録画予約したいと思うこともあるだろうし、すでに録画済みの「次の回」を見たいと思うこともあるだろう。

 そういった、「次にやりたいと思うんじゃないか」と思われる機能を、再生終了後にリストアップしてくれるのが「つぎこれ」だ。いちいちメニューをたどることなく、すぐに次の作業ができるというのは、特に「手軽にレコーダーを使いたい層」には魅力的な機能であるはずだ。

 簡単にみえて、この機能は技術的にけっこう面倒なことをやっている。単にゴミ箱へ入れるだけなら楽だが、「続きの番組を見せる/録画予約させる」には、番組表情報の解析が必要となるからだ。そういった部分を見せることなく提示している点は高く評価できる。

一つの機能で広がる「テレビライフ」  あなたのための「キラー機能」はどれだ?!


最新型のVARDIAなら、数々の便利な機能を駆使できる(上:RD-X7 ⁄ 下:RD-S502)。

 ビデオレコーダーは、家電の中でも複雑なものだ。だがそれは、技術的な要因から来るものというよりも、「ユーザーニーズの多様さ」から来るものと考えるべきだろう。

 複雑さの解決方法はいろいろある。機能をシンプルにしてしまうのも一つの方法ではあるが、あえて多様なニーズをうけとめ、「どのような使い方もできる」体制であってもいいだろう。

 VARDIAは様々な機能をもっている。そのすべてを使いこなそうとすれば、確かに大変かも知れない。だが、別に全部を使う必要などないのだ。自分のニーズ、生活スタイルに必要な機能を見極め、それだけをシンプルに使う、という形もあるはずだ。

 レコーダーを選ぶ前に、「自分はどんなテレビ生活を送りたいか」を、今一度考えてみてほしい。たった一つの機能の有無で、あなたの余暇が豊かなものになるのだから。 「なにをもってレコーダーを選ぶか」に、定まったルールなどないのだ。

西田宗千佳
 1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、月刊宝島、週刊朝日、週刊東洋経済、PCfan(毎日コミュニケーションズ)、家電情報サイト「教えて!家電」(ALBELT社)などに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。

■関連情報
□東芝 http://www.toshiba.co.jp/
□VARDIAサイト http://www3.toshiba.co.jp/hdd-dvd/
□東芝直販サイト「Shop1048」 http://shop1048.jp/

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