カラーは全三色。左から、落ち着きのある上質感を表現したピュアシルバー。気持ちの良い静けさと潤いを感じさせるヒーリングブルー。洗練された大人の遊び心のブリーズィゴールド
   
    モーションコントロールセンサー搭載を最も感じられる簡易方位計。3D、2Dと好みの表示方法が選べる

振って、動いて、使えるモーションコントロールセンサー

 ケータイにはカラー液晶やカメラ、メモリーカードなどのデバイスが追加されることで、いろいろな新しい機能やサービスが実現されてきた。Javaなどのソフトウェアもこれをサポートする形で、現在のケータイを大きく進化させている。

 そんなケータイの新しいデバイスとして注目されるのがV603SHに搭載された「モーションコントロールセンサー」だ。モーションコントロールセンサーはボーダフォンと愛知製鋼が共同で開発した1チップセンサーで、電子コンパスなどに採用される3軸の地磁気センサーと2軸の加速度センサーを組み合わせたものだ。V603SHはこのモーションコントロールセンサーを搭載することにより、端末を振ったり、動かしたりすることで、今までとは違ったケータイの使い方を実現している。

 モーションコントロールセンサーを利用した最もベーシックな機能としては、「シェイクカウンター」や「シェイクサウンダー」、「簡易方位計」などが挙げられる。シェイクカウンターは端末を振ることで、カウントアップとカウントダウンができる機能で、バードウォッチングで鳥の数をカウントするときや歩数計的な活用もできる。シェイクサウンダーは端末を振ることで効果音を鳴らす機能で、あらかじめ登録されている9種類の効果音の他に、ダウンロードした着信メロディなどを鳴らすこともできる。効果音には「マラカス」や「拍手」なども用意されており、友達がもう一台V603SHを持っていれば、ボーダフォンが提供している「V-kara」を楽しんでいるときに、シェイクサウンダーで盛り上げるといった使い方もできる。簡易方位計は地磁気センサーを利用した電子コンパスで、方位を知るときなどに役立つ。

     
「振るスイング!ゴルフ」ケータイをクラブに見立て、スイングするとボールが飛ぶ。傘を使った練習では味わえない、新感覚&本格3Dゴルフゲーム

※実際のプレイの様子が動画でご覧いただけます
   
   
「The House Of The Dead MOBILE」まったく新しい操作感の本格3Dアクションシューティングゲーム。ケータイゲームの新境地を開いた

※実際のプレイの様子が動画でご覧いただけます
   

 モーションコントロールセンサーをV603SHの操作に活かした機能も用意されている。「モーションコントロールショートカット」は、端末を振る動作に合わせて、V603SHの機能を呼び出すことができる。たとえば、メールの画面を呼び出したり、特定のデータフォルダを表示するといった設定もできる。端末の動きに合わせて、画面を操作できる「モーションコントロールカーソル」という機能も用意されている。本体を上下左右に傾けることにより、メニュー画面のカーソルを移動したり、データフォルダに保存された画像をスクロールさせるといった使い方ができる。V603SHは従来のV602SHに続き、二軸回転式ヒンジを利用した「スウィーベルスタイル」を採用しているが、液晶ディスプレイを反転した「ビューアスタイル」では通常のオープンスタイルと同じように操作することができない。そこで、モーションコントロールショートカットやモーションコントロールカーソルで、より簡単かつカッコ良く、操作しようというわけだ。ちなみに、この2つのモーションコントロールセンサーによる操作を利用するときは、側面にある[M]ボタンを押してから、端末を動かして、操作することになる。

 さらに、V603SHにはモーションコントロールセンサーに対応したVアプリも提供されており、今までとはひと味もふた味も違ったゲームを楽しむことができる。「振るスイング!ゴルフ」は端末をゴルフクラブのように持ち、端末を振ることでゴルフのスイングを実現するゴルフゲームだ。もうひとつの「The House Of The Dead MOBILE」は端末の画面を見ながら、前後左右を向くことで、周囲の敵を撃つガンシューティングゲームだ。従来のケータイ向けゲームの多くは画面を見ながら、方向キーなどで操作するのみだったが、V603SHに提供されるモーションコントロールセンサー対応Vアプリなら、『体感ケータイゲーム』とも言える楽しみ方ができるわけだ。

    すでに、902SHでも採用されているモバイルASV液晶を搭載している。300:1のハイコントラスト、上下左右160度の広視野角でテレビ視聴もより鮮やかになった
   
   
電子番組表Vアプリがプリインストールされているので、観たい番組を検索したり、番組の詳細を調べることが可能
   
   
テレビを観ていて、とっさに残したいシーンになったらキャプチャー機能が便利だ。枚数も設定でき、カメラの連写のような静止画を残すことができる
   
    このホイップアンテナは、TV/FMの受信専用アンテナだ。もちろん、同梱のTVアンテナ付きステレオイヤホンマイクを使ってもよい
   
スピーカーは、絶対にフロントがベスト。ビューアポジションでもリアルな音が聴けるなど、細かい気配りが嬉しい
   

キレイに、楽しく、使えるテレビチューナー搭載

 V603SHの第二の注目点は、地上アナログテレビチューナー内蔵だ。ボーダフォンのSHシリーズでは、昨年発売されたV402SHに地上アナログテレビチューナーが内蔵されていたが、今回のV603SHはこれを継承しながら、一段と使いやすい環境を実現している。

 まず、V603SHのテレビチューナーは前述のモーションコントロールセンサーを利用し、テレビ視聴時の方向を自動的に感知して、表示させることが可能だ。たとえば、ビューアポジションでテレビを視聴しているとき、縦向きに持つと、画面の上半分にテレビ画面が表示されるが、端末を90度、回転させ、横向きに持つと、ディスプレイに合わせ、テレビ画面は横長に表示される。つまり、端末の向きを意識することなく、テレビを視聴できるわけだ。ちなみに、V603SHにはAQUOSにも採用されたASV液晶技術を応用した 2.4インチのモバイルASV液晶が搭載されており、従来よりもハイコントラストで、しかも広視野角の画面でテレビや動画を楽しむことが可能だ。

 ケータイにテレビチューナーが搭載され、いつでも視聴できるとなれば、どんな番組が放送されているのかが知りたいところ。そこで、V603SHには「電子番組表Vアプリ」がプリインストールされており、いつでも最新の番組表を参照できる。テレビ視聴中なら、[ボーダフォンライブ!]ボタンを押すだけで、すぐに参照が可能だ。

 V603SHのテレビチューナー機能では、地上アナログ放送(VHF/UHF)やケーブルテレビ、FMラジオを受信することができるが、これらの放送を録画したり、録音する機能も備えている。録音機能は本体メモリに約200秒(約28秒×7件)、256MBのSDメモリカードなら、1回あたり最大60分の番組を録画することが可能で、録画した番組はQVGAサイズのムービーとして再生が可能だ。懸賞の応募先など、ちょっとメモしておきたいような画面については、カメラの連写のように取り込むことができる「キャプチャー」機能も用意されている。

 FM放送については付属のTVアンテナ付きステレオイヤホンマイクを接続することにより、クリアな放送を楽しむことができるが、FMラジオで流れている曲のタイトルやアーティスト名などを確認できる「NOW ON AIR」にも対応する。ちなみに、本体のヒンジ部には伸縮式のホイップアンテナが内蔵されているが、このアンテナはテレビ/FM放送を受信するためのもので、携帯電話用のアンテナではない。付属のTVアンテナ付きステレオイヤホンマイクを接続すれば、自動的にアンテナが切り替わる仕組みになっている。



    202万画素CCDカメラを搭載し光学2倍ズームとオートフォーカス機構を備える。前述のMボタンでワンタッチ光学2倍ズームになるなど、さらに操作もカンタンになった
   

基本機能もさらに充実

 ボーダフォンのSHシリーズは他を圧倒する高機能端末として、市場をリードしてきたが、シャープでは今回のV603SHの開発にあたり、「究極の『全部入り』端末を目指した」という。その言葉通り、従来モデルの機能を継承しながら、使いやすさや楽しさにさらに磨きがかけられている。

 たとえば、SHシリーズお得意のカメラ機能は、202万画素CCDカメラに光学2倍ズームとオートフォーカス機構を組み合わせているが、ヨコ撮りスタイルでのメニュー画面を横向きに表示するなどの改善が図られている。メニュー画面は3Dグラフィックスを活かしたものが用意されているが、V603SHではメニュー画面のカスタマイズにも対応している。メール周りではアドレス帳に登録されていないメールアドレスからのメールを着信表示しないように設定できる「迷惑メール拒否」、受け取った迷惑メールを通報する「迷惑メール事業者通報」、会議中や運転中など、メールの返信ができないときに自動的に応答メールを送信する「自動応答メール」、メールの画面を楽しく演出する「便箋画面装飾」など、実用性と楽しさを兼ね備えた機能向上が図られている。

 そして、前述したとおりサイドキーも使い勝手が良くなっている。新しく追加された[M]:マルチボタンがそれで、ビューアポジションでの操作性を更に向上させている。カメラ起動時はもちろんのこと、テレビ視聴時や待受時の機能呼び出しなど、さまざまな操作が行えるようになった。

サイドキーに[M]:マルチボタンを追加し、ビューアポジションでの操作性がさらに向上した
 
 
着信表示しない「迷惑メール拒否」、受信メールから簡単に通報できる「迷惑メール事業者通報」、会議中や運転中などに便利な「自動応答メール」など、メール機能もさらに充実している
   
   
高解像度の表示を活かした3Dインデックス
   
    もちろんSDメモリカードスロットを搭載し、録画した映像やデジカメ写真、電子ブックなどが楽しめる
   

 また、従来モデルから好評を得ている機能もきちんと継承されている。AQUOSなどで録画した番組をSDメモリーカードに保存して再生できる「動画ビューア機能」、XMDF形式の電子書籍を閲覧できる「電子ブック」、パソコンで取り込んだ音楽データをSDメモリーカードに保存して再生できる「ミュージックプレイヤー」、対応アプリやメニュー画面などを付属ケーブルでテレビに映し出すことができる「ビデオ出力」、端末をICレコーダーとして活用できる「ボイスレコーダー」など、およそケータイに搭載可能な機能はほとんど網羅されており、ユーザーの思いつく限りの活用を可能にしている。

基本機能もさらに充実

■関連情報
V603SH製品サイト(ボーダフォン)
http://www.vodafone.jp/japanese/products/kisyu/v603sh/
V603SH製品サイト(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/products/v603sh/

■関連記事
V603SH 開発者インタビュー 「機能満載のエンターテイメント端末」
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/interview/22677.html
ケータイを傾けて操作できるセンサー搭載の「V603SH」
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/22412.html
ケータイ用語の基礎知識「ASV液晶 とは」
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/keyword/21838.html

基本機能もさらに充実

■法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、PDAに至るまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP SP2対応 基本編 完全版」「できるブロードバンドインターネット Windows XP対応」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。