コストパフォーマンスにすぐれた大画面液晶テレビで、世の中をあっといわせたユニデン。おかげでドイツでの熱い戦いを大画面で楽しめる恩恵にあづかった人も多いのではないだろうか。ユニデンといえば液晶……だけではないのだ。今回発売されたのは、なんとプラズマ。実はユニデンとパイオニアの共同企画製品であり、製品を構成する基本パーツは、プラズマテレビとDVDレコーダーの有力メーカーであるパイオニアから提供されているのだ。これはすぐにチェックするしかないと思い、さっそく実機を借りてみた。
本製品はプラズマモニター「UPD-42J-PD」とDVD+HDD内蔵ハイブリッドビデオレコーダー「UDR-250J」のセット商品だ。

 まず、第一に認識しておきたいのは、この製品はプラズマモニター「UPD-42J-PD」とDVD+HDD内蔵ハイブリッドビデオレコーダー「UDR-250J」のセット商品(便宜上、本稿では42V型PDPセットと呼称する)であるということだ。

  ハイブリッドビデオレコーダーUDR-250Jはパイオニア「DVR-DT70」をベースにしたモデルで、アナログ地上波に加え、地上波デジタルチューナー、BSデジタルチューナー、110°CSチューナーを内蔵、ハイビジョン録画にも対応している。プラズマモニターUPD-42J-PDと接続時は、UDR-250Jはチューナー的役割も果たすので、アナログ地上波、地上波デジタル、BSデジタル、110°CSの全ての放送が楽しめる。録画中の放送の視聴もできるし、録画に使用していない放送についてはチャンネル切り替えも自由にできるので使い勝手はほとんど普通のテレビと変わらない。最近の薄型テレビ製品には録画機能を持ったものも出てきているが、このユニデン42V型PDPセットはこのタイプの製品として見なすことができると思う。

 HDD容量は250GBで、17Mbps換算で約29時間のハイビジョン録画が可能となっている。片面二層DVD-R DL(デュアルドライブ)対応のDVDドライブも内蔵しており、HDD内に録画したハイビジョン番組を高品位にDVD-R(4.7GB)、あるいはDVD-R DL(8.5GB)にムーブ(移動)させることにも対応している。安いセット商品だからといって妥協点はない。

このユニデン42V型PDPセットにおいてデジタルチューナ的な役割を果たすUDR-250J。   ユニデンUDR-250JはパイオニアDVR-DT70ベース

 モニターとレコーダーという構成になるため必然的に設置はセパレート(分離)方式になる。よってテレビ台の天板にUPD-42J-PDを、テレビ台のラック部にUDR-250Jを収納するという設置スタイルになるだろう。

 UPD-42J-PDの「42V型」という画面サイズは、一般的な日本の家屋のリビングに設置した場合にはかなりの存在感でその「大画面ぶり」をアピールしてくれる。表示画面サイズにして横約92cm×縦約52cmは1m離れた位置から見ても「大きい」という実感がある。予算的に見れば、競合メーカー32V型程度の価格でハイビジョン対応型42V型プラズマがハイブリッドビデオレコーダーとセットで購入できるというのはインパクトがある。

 UPD-42J-PDの本体重量は34kgあるが、成人男性が二人いれば運びながら階段を上がれる。ただし、梱包箱は大きいので箱から出して運ぶのをお勧めする。一人暮らしのユーザーも心配する事なかれ。ユニデンは通販ながら「らくらく設置サービス」というサービスを提供しており、開梱、設置、動作確認、梱包箱回収までを15,000円(税込み)で行ってくれるメニューが用意されている。一人暮らしで階上の2階に設置したい場合などは利用するといいだろう。また、コールセンターでのセット注文限定ではあるが、それまで使っていた古いブラウン管テレビ(故障していてもOK)などを持ち帰ってもらう「ブラウン管リサイクル回収代行サービス」も3,500円(税込み)で用意されているのもありがたい。

 スタンドは34kgのモニター本体を支えられるだけのがっちりとした専用リジッドタイプが付属する。リジッドタイプであるため首振り機能はないので、画面を左右に動かしたい場合は、チルト機構のテレビ台を用意したほうがいい。

 
スタンドは二脚式で、足と足の間が69cm、奥行きは40cm程度。スタンド部を安定して設置させるには面積的には29インチのブラウン管テレビ用のテレビ台がギリギリ適合できるか…といったところ。購入前にはテレビ台の天板の幅が69cm以上あるかを確認したい。

 セットにはディスプレイ部に合体設置できる専用のステレオスピーカーユニットが付属する。こちらもパイオニアと共同企画のもので、2ウェイ3スピーカーシステム。出力は16W(8W+8W)とテレビに組み合わされるものとしてはかなり本格的なものとなっている。スピーカーは画面の左右に固定するタイプで、設置時はディスプレイ部の横幅は118cmとなる。設置専有面積はそうでもないが、画面も42V型と大きくスピーカも横に付くと横幅は意外にとる。ちゃんと設置予定場所に収まるかは事前によくシミュレーションしておきたい。

 プラズマといえば気になるのは消費電力だが、UPD-42J-PD自体の消費電力は285W。45V型クラスの液晶が300W前後であることを考えれば、「プラズマだから電気喰い」というほどではない。


接続パネルは背面のやや下側に位置している。

UPD-42J-PDの接続端子パネル。
UPD-42J-PDはもともとプラズマモニターというだけあり、接続性も優秀だ。

 まず、特筆すべきは、UPD-42J-PDには時代が求める新世代デジタルインターフェースであるHDMI端子を2系統装備している点だ。UPD-42J-PDをプラズマモニターからプラズマテレビに変身させる役割をも受け持つUDR-250Jとの接続は、このHDMI端子を利用する。接続は非常にシンプルでUDR-250J側のHDMI端子とUPD-42J-PD側のHDMI端子を1本のHDMIケーブルで接続するだけ。なお、商品セットには2mのHDMIケーブルが付属している。

 UPD-42J-PDに2系統のHDMI端子があるということは、そう、UDR-250Jと接続しても1個のHDMI端子はフリーとして余るのだ。これにはBDやHD DVDなどの次世代DVD機器や11月発売のPlaystation3などを接続することができる。次世代DVDでは将来的にHDMI以外のアナログ接続をサポートしない可能性もあるため、この自由活用できるHDMI端子の存在はありがたい。

 レガシー・アナログビデオ系はコンポジットビデオ入力、Sビデオ入力が1系統ずつ。

 コンポーネントビデオ入力(RCAピンプラグタイプ)は2系統持っておりなかなか贅沢。ゲーム機やDVDプレイヤーなどをセレクターなどを利用せずに直接接続できるのはうれしい限り。

 PC入力はアナログRGBに対応したDsub15ピン端子を1系統実装。市販のHDMI-DVI変換アダプタ等を利用してUPD-42J-PD側のHDMI端子に接続すればデジタルRGB接続もできるがオーバースキャンされてしまうのでお勧めはしない。素直にこのDSub15ピン端子を利用した方がいい。

 音声入力はRCAピンプラグタイプのアナログ音声入力を3系統持つ。この音声入力は映像入力とは独立した系統で管理され、UPD-42J-PD側の設定メニューの「音声の設定」にて、どの音声入力をどの映像表示時に組み合わせるかを自在に設定できる。たとえばPCの音声出力を音声入力3に入れて、「音声の設定」で音声入力3の関連づけを「PC」とすれば、PC画面表示時に、PCからの音声出力をUPD-42J-PD側のスピーカーから出力できる。

 なお、UDR-250Jからの音声は映像と共にHDMI経由で伝送されるのでこの音声入力系統を利用しない。特に調整も必要なく、UDR-250Jの音声はスピーカーから鳴るので面倒がない。

 実際にこの機能を活用してみると、このUPD-42J-PDのスピーカーはなかなか優秀であることに驚く。低音から高音までがかなりフラットな特性で再生され、なおかつディスプレイの両端にスピーカーが設置されている関係でステレオ感も実に心地がよいのだ。カジュアルに音楽を楽しむにももってこいなので、PCをMP3ミュージックサーバー的に活用している人はぜひともUPD-42J-PDの音声入力機能とスピーカーを活用してほしい。

 簡単にだが、UDR-250Jの接続端子群にも触れておこう。UPD-42J-PDとの接続は前述したようにHDMIケーブル一本でOKなのだが、UDR-250Jと外部ビデオ機器とを接続してダビングを行ったりするための入力端子や、UPD-42J-PD以外のテレビと接続するための出力端子も設けられている。

 ビデオ入力系統は全部で3系統、うち1系統は前面にある。各系統はコンポジットビデオとSビデオ、ステレオ音声が1セットとなっている。

 コンポーネントビデオ系はD4端子が1系統。HDMI非搭載のハイビジョン対応テレビと接続するときにお世話になるかもしれない。

 光デジタル音声出力もある。この端子を光デジタルケーブルでマルチスピーカー・ホームシアターシステムのAVアンプなどと接続すれば、デジタル放送やDVDビデオの5.1CHサラウンドサウンドを楽しむことができる。最近は安価なホームシアターシステムも多く、手軽にサラウンドサウンドが楽しめるようになってきている。サウンドシステムのアップグレード時にはこの端子を是非とも活用したい。

 この他、ユニーク棚端子としてはDV入力(iLINK)端子もある。この端子を利用すればデジタルビデオカメラの映像をUDR-250JのHDDあるいはDVD-R/RWにダビングすることが可能だ。デジタルビデオカメラの映像から直接DVDビデオディスクを作り出すことができるので一般家庭では意外に有用な端子となるかもしれない。

前面の前蓋を開けるとビデオ入力2が現れる。ここにはデジタルビデオカメラ接続用のiLINK端子もある。   UDR-250Jの背面接続端子パネル。D4端子も装備している。

UDR-250Jのリモコン。実質的にはこのシステムのメインリモコン。テレビ的な活用はこれ一個だけで事足りる。

HDDに録画されたビデオコンテンツのDVD-R/RWへの移動(ムーブ)やコピー(ダビング)ももちろん可能。デジタル放送のコピーワンス(一回だけ録画)放送は移動のみに対応し、なおかつハイビジョン放送は標準画質に変換されて移動される。

UPD-42J-PDのリモコン。マルチユースモニター的に活用する際には逆にこっちのリモコンが役に立つ。

 この42V型PDPセットはプラズマモニターとハイブリッドレコーダーを組み合わせた製品であるため、それぞれのリモコンが1個ずつ付属する。では、いちいち2個のリモコンをとっかえひっかえ使わなければならないか、というとそういうことはない。レコーダーのUDR-250Jには、プラズマモニターUPD-42J-PDに対する基本機能制御ボタンが実装されており、普段のテレビ的活用にはUPD-42J-PD側のリモコンはほとんど使わなくて済むのだ。UPD-42J-PDのリモコンが必要になるのは後述するような、UPD-42J-PDの画調調整や設定変更を行うときだけ…といってもいいかもしれない。

 まずはメインに活用することになるUDR-250Jのリモコンに着目しつつこの42V型PDPセットの機能性について見ていくことにしよう。

 UPD-42J-PDの電源はUDR-250Jのリモコンの左下の「テレビコントロール」のところにある小さめな電源ボタンで入れられる。ここには他に「入力切り替え」、チャンネルの[+][-]、音量の[+][-]があり、前述したようにUPD-42J-PDをテレビ的に活用するための基本的な操作はここで足りるようになっている。電源投入から実際に表示映像が出るまでは約6.0秒(実測)となかなか高速。[入力切り替え]は順送り式に行われ所要時間はわずか1.8秒(実測)とこちらも速い。

 最上端のやや大きめな電源ボタンはUDR-250Jの方の電源ボタンになる。

 その下にある[アナログ][デジタル][BS][CS1/2]は、UDR-250Jで受信する放送種別を切り替えるもの。その下の数字キーはチャンネル番号に対応するものだ。UDR-250Jでは、録画中の放送種別のチャンネルは切り替えられないが、これをUPD-42J-PDで視聴することはできる。また、録画対象となっていない放送種別においては録画中であっても自由にチャンネルを切り替えて好きな番組を見ることはできる。たとえば地上波デジタルのチャンネルAをハイビジョン録画しつつ、アナログ地上波の好きなチャンネルを見ることはできるのだ。

 録画は電子番組表から予約を入れて行うこともできるし、視聴中にリモコンの赤い[録画]ボタンを押すことでも開始できる。録画先はリモコンの最上端の[HDD]と[DVD]のボタンを押すことで任意に選択が可能だ。DVD-R/RWが挿入してあってVRモードで初期化されていれば直接DVD-R/RWに録画していくことも可能。ただし、ハイビジョン放送をハイビジョン画質のまま録画できるのはHDDに対してのみ。ハイビジョン放送のDVD-R/RWへの録画は標準画質に変換されて行われる。

 もちろんUDR-250JはDVDプレイヤーとしても活用でき、使い方は簡単。[DVD]ボタンを押してDVDビデオディスクをトレイに入れて[再生]ボタン押すだけだ。

 リモコンの真ん中よりやや下にある[早戻し]、[早送り]、[一時停止]、[停止]といった再生制御はビデオレコーダーの録画ファイルの再生制御、DVDビデオディスクの再生制御を兼用で利用でき、統一感のある使用感が実現されている。

 今度はUPD-42J-PDのリモコンに着目してみよう。

 最上段左にある[ワイド]ボタンはアスペクト比の切り替えボタン。UPD-42J-PDはモニターとしての素性があるためにアスペクトモードが豊富だ。UPD-42J-PDをマルチユースモニターとして活用したい人にとっては気になる部分だろう。以下に各モードを簡単に紹介しておく。


●ノーマル…アスペクト比4:3を維持する   ●フル…表示パネル全域に映像を表示する
 
●スタジアム…画面中央付近はアスペクト比4:3を維持し、外周は引き延ばして表示する。   ●ズーム…アスペクト比4:3映像の中央16:9領域を切り出してパネル全域に表示する。レターボックス記録された映像の表示に適したモード
 
●2.35:1…映画などのシネスコサイズ(アスペクト比2.35:1)の映像の中央16:9領域を切り出してパネル全域に表示する。2.35:1映像の左右両端付近はクリップアウトされる。   ●14:9…アスペクト比4:3映像の中央14:9領域を切り出して表示する。4:3映像の上下の若干がクリップアウトされるが「ノーマル」時よりもパネル使用領域が増えて表示画面が大きくなる。
 

 「2.35:1」や「14:9」といったモードはかなりマニアックで上級ユーザー向きでユニークだといえよう。

 その下にあるの入力切り替え用のボタン群。UDR-250Jのリモコンでは順送り式の切り替えだったが、UPD-42J-PDでは[PC]、[HDMI1/2]、[DVD1]、[DVD2]、[ビデオ1/2]という具合に独立式のボタンがレイアウトされており、希望の入力ソースに一発で切り替えられるようになっている(DVD1,DVD2はコンポーネントビデオ1,2に対応)。なお、[HDMI1/2]と[ビデオ1/2]は同系入力に対して順送り式になっており、たとえば[ビデオ1/2]は押すたびにコンポジットビデオ入力とSビデオ入力が交互に切り替わる方式だ。様々な機器をUPD-42J-PDに接続して活用する場合には入力切り替えの使用頻度は非常に多くなるので、このこだわりのボタンレイアウトはそうした活用シーンにはもってこいだといえる。

ズーム機能。いろいろと遊べそうな機能だ。
 UPD-42J-PDにはユニークな特殊機能が3つある。  1つは「ズーム」機能。これは表示映像中の任意の箇所を任意の倍率で拡大表示するというもの。リモコンの中央左の[+][-]ボタンがそのままズーム倍率の操作、そして同じくリモコンの十字キーで拡大箇所を移動するという操作系は直感的で分かりやすい。映像の細部を確認したり、小さい文字を読むのに活用したり…と実用からお遊びまでいろいろと楽しめそうな機能だ。

 二つ目は異なる二系統の入力映像を二つ同時に画面に表示する「2画面」機能だ。UPD-42J-PDでは親画面の隅に子画面を表示するピクチャー・イン・ピクチャー(PIP)、同サイズで並べて表示するサイド・バイ・サイド(SBS)の二つのモードがあり、リモコン下部の[2画面]ボタンを押すたびに切り替えることができる。2画面機能が行える組み合わせは表1の通りで異なる映像系統であればほとんど制限なく組み合わせられるのが強力だ。


 
右画面/メイン画面(セレクト1)
ビデオ1 ビデオ2 DVD1 DVD2 HDMI1 HDMI2 PC
左画面/
サブ画面
(セレクト2)
 ビデオ1 × ×
 ビデオ2 × ×
 DVD1 ×
 DVD2 ×
 HDMI1 × ×
 HDMI2 × ×
 PC ×
表1 ダブルピクチャー表示できる組み合わせ

 
PIPモード時には十字キーの[←][→]で子画面の表示位置が変えられ、[↑]で親子入替え、[↓]で子画面サイズの変更ができる。
 
SBSモードでは[←][→]でアスペクト比維持で画面サイズ変更、[↓]でアスペクト比無視で画面サイズ変更、[↑]で左右入替えができる。

 2画面機能自体は最近のテレビ製品の機能としてはごくありふれたものではあるが、メニュー操作が面倒で結局あまり使われないことが多い。これに対しUPD-42J-PDの2画面機能はメニュー操作なしでリモコンのボタンだけでリアルタイムかつアクティブに自在に活用でき、使っていて軽快で楽しい。実用性はかなり高いと言っていいだろう。

 3つ目は「画面メモ」機能。これは表示画面を止めて応募宛先や料理番組のレシピなどのメモを取る際に活用する機能だが、UPD-42J-PDでは静止画面と動き続けるリアルタイム映像をSBSモードまたはPIPモードにて2画面表示してくれるのが特長だ。メモを取りつつも、番組の進行は追えるというのは利便性が高い。

 UPD-42J-PDは素性がディスプレイモニターというだけあって画質調整機能も充実している。

 「コントラスト」「明るさ」「画質(シャープネス)」「色の濃さ」「色あい」といった基本画調パラメータの他、「色温度」「ガンマ」「セットアップレベル」といったパラメータの調整もできる。色温度はホワイトバランスを設定するもので[中]を標準に「低-中低-中-高」の4段階から設定が可能。ガンマは階調特性を決めるもので[2.2]を標準に「2.1-2.2-2.3-2.4」の4段階から設定が可能。セットアップレベルは世界地域によって変わってくる映像の黒レベルの調整をするもので日本での標準[0%]の他3.75%、7.5%といった設定が選べる。海外のビデオ機器を接続する際には活躍の機会があるかもしれない。

 さらに「色の濃さ」「色あい」とは異なる次元の、他の色には影響を与えない特定色の調整を行うデジタル色補正機能も搭載。これは「レッド」「グリーン」「ブルー」「イエロー」「マゼンタ」「シアン」という純色をキーにして行うことになる。青空をよりすがすがしく、草木をより鮮烈に、バラやワインの赤を鋭く…といった記憶色に近い発色を作り出したいときには有用となる。

 こうした画調パラメータは「ピクチャーメモリー」として1〜6のユーザーメモリに記録が可能となっている。ユーザーメモリは入力系統によらず全体で6個で、それぞれに名前(メモ)をつけることもできる。映画用、ゲームプレイ用…と用途別に好みの画調モードを作り込んでメモリ記録させておき、その用途ごとにメモリから呼び出す…という、かなり上級志向な使い方ができるのが心憎い。実際、一般的なテレビ製品でここまで画調調整に凝ったものは少数派だ。

 
 
 
UPD-42J-PDの設定メニュー

 パイオニアとの共同企画で生まれたUPD-42J-PDのプラズマパネルはやはりパイオニア製。気になるのはそのパネル技術の世代なのだが、これはうれしいことに最新技術が盛り込まれた新世代のものだという。

 クリスタルエミッシブレイヤー技術が適用された世代のパネルで、これは画素セル内の発光に必要な放電速度を通常の3倍に高める効果をもたらす。この効果は22%の発光効率向上と暗部輝度の低減も実現。これにより1,400cd/m2という絶対輝度性能と、この高輝度と暗部との対比から実効3,000:1というハイコントラスト性能をプラズマパネルにもたらした。この通常の3倍高速な高速駆動により、従来はパネル上下に2つ必要だったデータ駆動ブロックが下側1つで済む「片側駆動」をも実現。これが部品点数削減に繋がりコスト削減と消費電力低下にも結びつくこととなったのだ。

 プラズマパネルはフルカラー表示を各RGB画素の高速に明滅するその頻度で実現している(時間積分型表現)。この明滅速度が高められたことでより精度の高い階調を作り出すことができるようになり、結果、パイオニア製プラズマパネルは、それまで「プラズマのタブー」とも言われていた暗部階調表現の弱点をも克服してしまった。

 実際に、その画質を競合メーカーのプラズマと見比べると感心させられる。

 まずそのコントラスト性能のすごさに圧倒させられるだろう。液晶テレビの1,000:1程度に対し、UPD-42J-PDのコントラスト性能3,000:1を達成しているのだ。この明暗表現のダイナミックレンジの広さが強い映像の立体感を与えており、映像中の日向の表現などは本当に太陽が当たっているように見えるほど目映い。

 そして階調表現。長らく「プラズマのタブー」であった頼りない暗部階調表現は、ちらつきやノイジーな"ざらつき"として見えてしまうものであった。これが嫌であるために筆者は長らくプラズマ画質は好きにはなれなかったのだが、2005年後期から登場し始めた最新技術を採用したパネルではこれが徹底改善されており、筆者はプラズマに対する考えを改めることにもなったのであった。黒いグランドピアノに映った情景や濃い色の服のシワの陰影など、暗部表現力のリアリティは液晶なみであることが確認できた。もう「プラズマはコントラストだけ」とは言わせない…といわんばかりだ。

 色深度も深く、2色の混合グラデーションにも疑似輪郭はほとんど見あたらない。発色の傾向は、どぎつさは抑えつつも記憶色の再現に振った感じで艶やか。特に青や緑の純色系が非常に鮮烈だ。植物からみずみずしさが感じられ、空などには深みや奥行きが感じられるるほど。人肌表現も良好で、女性の肌には皮膚の透き通った透明感がよく出ているし、その肉感も実に立体的な陰影として見える。

 画質関連機能についてのインプレッションについても述べておこう。

 「映像モード」機能は用途別に用意されたプリセット画調モードで、「ノーマル」「シアター1」「シアター2」「ブライト」の4つが用意されている。これは純粋に画面輝度を制御するもので、一般的なテレビやプロジェクタに搭載されているガンマ、色温度、発色の傾向に変化を与えるものではなかった。UPD-42J-PDはモニターとして設計されているので色補正や色温度、ガンマなどが自在にユーザー調整できるので、回りくどいお膳立てされた画調モードをあえて搭載しないのだ。単純に画面の明るさがシアター1<シアター2<ノーマル<ブライトと変わるのでシンプルで分かりやすい。筆者的にはノーマル常用で問題はないと思う。

 「NR(ノイズリダクション)は、フレーム相関適応型の3Dフィルタ系で、オフ-NR1-NR2-NR3の四段階設定ができる。ハイビジョン放送でNR1以上にするとディテールがぼかされて解像感が劣化するので古めのアナログビデオを視聴する時以外オフ設定をお勧めする。

 「シネマモード」はインタレース映像をプログレッシブ化するIP変換や毎秒24コマを毎秒60コマに変換する3-2プルダウン処理のオン/オフを設定するもの。自動認識が優秀なので通常は「オン」で問題ない。

ハイビジョン放送
 パネル解像度は1,024×768ドットでいわゆる720pプログレッシブ対応パネルになる。PCでいうところのXGA解像度だが、表示領域のアスペクト比は16:9なのでワイドアスペクトのデジタル放送を変にクリップアウトすることなく表示できている。ハイビジョンの高解像感は十分に体感できる映像表示になっており、ブラウン管テレビで見てきた標準画質の映像との格差は存分に実感できるはずだ。MPEG特有のモスキートノイズも上手く低減されており、フレーム単位で美しい。
 通常はそのままで問題ないがUDR-250Jの「本体設定」-「HDMI出力」「カラー」の設定を「RGB」とすると出色のダイナミックレンジが広くなりUPD-42J-PDの表現色域をフルに使った映像が楽しめる。なお、「RGBフルレンジ」設定も選べるがこちらでは暗部が沈み込みすぎる感があるので「RGB」としたほうがいい。

DVDビデオ
 UDR-250JにはDVDプレイヤーとしての機能もあるが、この映像出力の品質がいい。UDR-250JのDVDプレイヤーとしてのポテンシャルもパイオニア直系の遺伝子を受け継いでおり、IP変換やスケーリングの品質か高く、DVD画質としては中堅クラス以上の専用プレイヤーなみのクオリティがある。UDR-250JはDVD再生映像もHDMI出力されるので色ディテールやエッジの表現はD端子接続やコンポーネントビデオ接続よりも良好になる。これまでアナログ接続でブラウン管テレビでDVDを見てきた人は、おそらくこのシステムで見たときにDVDの画質を見なおすことになるかもしれない。
 なお、DVD視聴の際にも、UDR-250JのHDMIカラー設定を「RGB」とした方が色乗りが良くなるようであった。

PC
 PC接続はDSub15ピン端子を利用してアナログRGB接続を行った。デスクトップ解像度とパネル解像度が一致する1,024×768ドットで接続すると画面が横に太った感じになるので常用は1,360×768ドットが無難だ。

ゲーム
 現時点では唯一のハイビジョン・ゲーム機であるマイクロソフトの「Xbox360」を接続してプレイしてみたところ非常に相性がいいことを確認。Xbox360の720p映像を過不足なく出力できており、細かいディテールも埋もれることなくしっかり見て取れる。プラズマは液晶よりも応答速度が速いとはいわれるが、実際には階調表現が時間積分型であるため視線を縦横無尽に動かすことになるゲームプレイでは色ブレや疑似輪郭を発生しがちであり、液晶の方がマシという意見もあるくらいだった。ところが、UPD-42J-PDでは高純度クリスタル層の超高速応答の恩恵だろうか、全くそういったことがない。動きが速い画面でも色が割れることはなくしっかりと見えており、まったく違和感なくゲームプレイができてしまっていた。

 今回発売された42V型PDPセットは、Unidenとパイオニアのコラボ企画製品ということで「Unidenの商品コンセプト」と「PDP専用メーカーパイオニアの確かな技術力」がうまく融合した商品だと思う。

 Unidenのテレビ製品はユーザーにとって必要な性能を実装する替わりに、必要度の低いものをばっさりと切り捨ててトータルなコストパフォーマンスを実現することをコンセプトとしているわけだが今回の製品はこのコンセプトが分かりやすい形で結実している。大画面テレビに最重要視される画質については高品位なパネルを採用することで対応し、時代が求めるデジタルチューナーについてはデジタルチューナ内蔵ハイブリッドレコーダを組み合わせることで対応した。このあたりは、「なるほど、その手があったか」と感心させられる。ハイブリッドレコーダを組み合わせたことで「録画も出来る」「DVDプレイヤーとしての活用も出来る」というのは嬉しい誤算であり、副次的に大きなユーザーメリットを発生させている。

 それでいて価格は驚きの30万円を切った299,800円(税込み)が期間限定で設定されている。冗談抜きで、早めに買い求めたほうがいい。

(トライゼット西川善司)

関連リンク
ユニデンダイレクト
http://www.uniden-direct.jp/

ユニデン・スペシャルサイト
http://www.uniden.jp/

関連情報
ユニデン、液晶/PDPとHDレコーダセットを期間限定販売−27/32/37/42型。最大5万円低価格化
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20060517/uniden.htm

ユニデン、液晶TVなど5月以降発売の新製品を公開−「無駄な機能を省き、直販でユニデンなりの勝利を」
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20060331/uniden.htm

西川善司
大画面映像機器評論家兼テクニカルライター。大画面マニアで映画マニア。本誌ではInternational CES他をレポート。僚誌「GAME Watch」でもPCゲーム、3Dグラフィックス、海外イベントを中心にレポートしている。渡米のたびに米国盤DVDを大量に買い込むことが習慣化しており、映画DVDのタイトル所持数は1000を超える。