トルネオの全体写真(カタログ抜粋)東芝のフィルターレス サイクロン掃除機「トルネオV」(VC-SG512)。

 まず筆者が1カ月間使い込んだ結論から言おう。買い替えなどで掃除機選びに困っている読者には、東芝のサイクロン掃除機「トルネオV」をオススメしたい。とくにPCや車、工作など趣味人の多いWatch読者には、この掃除機を声を大にしてオススメする。

 その理由は以降で明らかにするが、一言で言えば「フィルターを使わずゴミと空気を遠心分離するので強力な吸い込みを持続でき、応用性が他社製品から群を抜いているから」だ。

 家電をレビューする筆者がこんなことを言うのは反則なのは十分承知の上だが「どこのメーカーのどの掃除機を買っても、リビングやキッチンは、同じようにキレイになる」。なぜならメーカーはそれに最適化して設計をしているからだ。でも掃除をするところは、本当にリビングやダイニング、キッチンだけだろうか?

 おそらく車を持っている読者は、車内の清掃にも使いたいだろう。自作PCや工作などをする趣味人の読者であれば、自分の部屋も掃除したいだろう。しかしなぜかこれらは、リビングとは別の掃除機で、車ならシガーソケットから電源を取る吸引力の弱いフィルター式掃除機、自分の部屋は以前リビング用に使っていたオンボロ掃除機という場合がほとんどだ。

豊富なアタッチメントで意外な場所まで掃除できる。写真は6種類となっているが、通常使う延長管と床ブラシが加わる

 しかしトルネオVは、リビングやダイニング、キッチンがきれいになるのは当然、6種類ある豊富な先端アタッチメントを組み合わせて使い、小型で軽量という特徴を活かして、愛車や一般的な部屋では出ないゴミが多い趣味人の部屋もキレイに掃除できる。

 どんな部屋でもそこそこ掃除できるなら汎用性が高いというべきかも知れない。しかしトルネオVは、場所や状況の応じて使える豊富なアタッチメントに加え、目詰まりすることなく、部屋の隅々までキレイに掃除できるので汎用の一歩先を行く応用性の高い掃除機なのだ。

 また外見や音、挙動から見ても技術的に非常に興味が沸いてしまった(笑い)ので、東芝に無理をお願いしてエンジニアリング的なインタビューもさせてもらった。

趣味人ならサイクロン掃除機しか選択肢はない

 独身・既婚に関わらずWatch読者は趣味人が多いだろう。たとえば自作PCや工作、車を趣味とする人だ。たくさんの細かなパーツを、ふとした拍子に床に落として紛失してしまったことがあるだろう。とくに電子部品となると、小さいのに数千円もするパーツもあり、必死に床を探すも出てこないという経験をしていないだろうか?

 こんなときは掃除機で床を吸うと、行方不明のパーツを見つけられることがある。しかし紙パック式の掃除機だと、いちいち紙パックの中をホコリまみれになって覗いたり、パックを破って中を出して確認するのは大変。しかしサイクロン掃除機なら、吸ったものを外から確認できるので「パチ!」と何かを吸った音が聞こえたら、すぐにダストカップの中を確認できる。もちろんゴミと誤って吸い込んでしまった大切なものでも、すぐ取り出せるのがサイクロン掃除機の大きな特徴のひとつだ。このように趣味人ならぜひサイクロン掃除機を持っていたい。もし紙パック式の掃除機を使っている場合は、すぐに買い替えをオススメしよう。

紙パック式の掃除機は、大切なものを吸い込んでしまうと、ホコリまみれになって探すのが大変   サイクロン式の掃除機なら、ダストカップの中が見えるので大切なものもすぐに見つかる
ダストカップを高速旋回する第1のサイクロンで大きなゴミと空気を分離、その後上部の12気筒サイクロンでミクロのゴミを99.9%遠心分離するのでフィルターが不要

 中でもオススメしたいのが東芝のサイクロン式掃除機「トルネオV」(VC-SG512)だ。

 普段リビングやダイニングで使う掃除機としても優秀なのだが、一般的なサイクロン掃除機にはマネできない趣味人の部屋の掃除にも使える応用性の高さが魅力。

 PCの場合は冷却ファンが吸い込んでしまった微粒子状のゴミが多く、工作ではあっという間に掃除機が目詰まりするおがくずなどのゴミ、車の電装系いじりではフロアマットの微粒子の砂ゴミが多い。そのためフィルター式のサイクロン掃除機では、すぐに目詰まりしてしまい、肝心のパーツを吸い込む吸引力がなくなってしまうときがある。しかしフィルターレスのトルネオVなら、99.9%(※1)のゴミをサイクロンで遠心分離するので、吸引力がまったくと言っていいほど落ちない。このため予想外に部屋の隅まで転がっていった重い部品でも確実に吸い込んで発見できるのだ。

(※1)東芝試験基準による東芝試験ゴミ(繊維ゴミ(綿・紙・毛髪等) 1/3質量、砂ゴミ2/3質量)による、分離前後の試験ゴミを比較(分離力99.9%以上)。東芝試験ゴミによるものであり、ゴミの種類や量などによって異なります。

東芝独自のサイクロン機構でミクロのゴミを分離する技術

 サイクロン式掃除機の多くは、フィルターを併用したものとなっている。しかし東芝のトルネオVは、なぜ99.9%(※1)のゴミをサイクロンだけで分離できるのだろうか?

 そのひとつが、強力な吸引力を生み出すトルネオV用に開発した自社製の高性能モーターだ。東芝によれば45,000rpmで高速回転し、他社製モーターに比べるとトップクラスの性能だという。これは民生用から鉄道などのモーターまで製造する東芝の強みと言えるだろう。

 またサイクロンの構造も非常にコンパクトで独特のものとなっている。その最たる特徴がダストカップ上部にある12気筒のサイクロン(コーン)だ。フィルター式のサイクロン掃除機は、ダストカップの上部はフィルターになっており、カップのサイクロンで遠心分離できなかった細かなゴミはフィルターで濾し取るようになっている。しかしトルネオVは、ダストカップ上部にある12個のコーンでミクロの微粒子まで遠心分離して濾し取るためフィルターを持っていない。つまりこれが目詰まりせず、吸引力を持続できる秘密だ。

多くのサイクロン掃除機は、このようにフィルター式であることに注意して欲しい   写真の矢印の部分が上部にあるサイクロン機構。円錐状のコーンが12個あり、台風なみの風速でミクロのゴミを遠心分離する   吸い込み口から空気とともに入ったゴミはダストカップ内のサイクロンで大きなゴミを分離。ダストカップ下に溜まったゴミは下部の圧縮機構でボール状に圧縮される。第1サイクロンで分離できなかったゴミは、上部の小さいサイクロンに空気とともに入り、ミクロのゴミまで遠心分離される。その後キレイな空気を排気口から出す

 東芝の話によれば、直径数cmのサイクロンには台風並みの風速が流れ、これによりミクロのゴミも遠心分離するという。ここで分離された微粒子状のゴミは、ダストカップ上部に溜まるが、それを見ればどれだけ小さなゴミなのかがよく分かる。

ダストカップのサイクロンで分離した大きなゴミはカップの底に溜まり、ボール状に圧縮される   上部のサイクロンで分離したミクロのゴミは、カップ上部のフチに集まる。粒子の細かさを見れば、いかに小さなものまで遠心分離できるか分かるだろう

 またサイクロン掃除機は、ダストカップがやがて綿ゴミでいっぱいになってしまうが、トルネオVはこれを圧縮するしくみを持っている。とはいえモーターなどを使って圧縮するわけではなく、サイクロンの台風並みの風を使って自然に圧縮するのだ。このため長時間の掃除ができるだけでなく、ゴミが丸くボール状になるのでゴミ捨てもしやすくなっている。

リビングの床もピカピカ!軽いから2階への持ち運びも楽

 トルネオVの応用力の高さから、ここまで自室の掃除を説明してきたが、毎日使うリビングの掃除についても説明しておこう。

 最初に使った感想は、とにかく軽いということ。普通の掃除機は、軽い紙パック式でも本体とホースや床ブラシ(ヘッド)も合わせて5kg以上、サイクロン掃除になるとさらに重くおよそ6kg以上ある。しかしトルオVは、ホースやヘッドも含めてもたったの4.7kgしかなく、1階と2階の行き来も楽に持って歩けるほど。事実、いろいろと実験するためにトルネオVを2階の作業部屋に置いてあったのだが、奥さんが便利だからと言って毎朝1階のリビングに持って行ってしまったほど。

 さらにリビングの床掃除をして驚かされたのは、ホースや床ブラシの驚異的な軽さだ。大げさかも知れないが、「これは発泡スチロールでできてるのか?」と思うほど軽い。

 その秘密は軽くて頑丈なカーボンファイバー(炭素繊維)をプラスチック樹脂に混ぜているところにある。カーボンファイバー樹脂は、その軽さと強度から最新式の旅客機のボディにも使用されているハイテク素材だ。これにより従来と同じ強度を持ちつつ樹脂の肉厚を薄くして軽量化しているのだ。

 東芝の話によれば、床ブラシの重さは従来機に比べると31%軽くなっており、ホースの直径も従来品の46mmから40mmに細くして、1gでも軽くなるように設計したという。

床ブラシの樹脂の刻印には「PP+CF」とある。これはポリプロピレンという軽く丈夫なプラスチック樹脂のことで、それにCF(Carbon Fiber)を加えさらに頑丈にした樹脂となっている。

 また床ブラシにはモーターで動く回転ブラシがついているので、毛足の長い絨毯を掃除しても床ブラシを押す力はほとんどいらない。とにかく軽くてスイスイ掃除できるのが、トルネオVの特徴だ。

 また回転ブラシ自体にも仕掛けがある。一見すると他のブラシと同じに見えるが、よく見ると起毛の一部がキラキラと光っている。これはAgブラシ(銀繊維)を織り込んであるためだ。この銀の繊維は、ゴミや床の静電気を中和して床からゴミを取りやすくしている。さらに床ブラシの奥についているイオンプレートからは、マイナスイオンが発生し、静電気を抑える働きをしている。

ところどころに見える銀色の起毛が銀繊維のAgブラシ   ヘッドの奥にある2つの水色の部分が、イオンプレート。ここからマイナスイオンを発生し静電気を抑制する   床はマイナスにもプラスにも帯電するので、Agブラシで床の静電気を抑制する。またゴミはプラスに帯電しているので、イオンプレートから放出されるマイナスイオンでゴミの静電気を中和することで、吸いやすくしている

 簡単に言えば、銀の繊維とマイナスイオンという空気の洗剤を使い、ゴミを床から浮かして吸い込むという機能だ。そのため掃除機をかけたフローリングなどは、拭き掃除をしたかのように、まったくザラ付かないピカピカの床になる。

 さらに便利さを感じたのは、家具の下のわずかな隙間にも入り込むという点。これまでわずかな隙間はロボット掃除機でなければ掃除できかったが、トルネオVはロボット掃除機よりさらに狭い6.5cmの隙間にも滑り込ませられる。

移動式のキャビネットなど、かなりすき間が狭くても床ブラシはすんなり入り込む   取手を回転させて床に密着させると奥の方まで床ブラシで掃除できる。ロボット掃除機の入り込めないすき間も掃除ができるのだ

豊富なアタッチメントの組み合わせで隙間から高所まで、布団や洋服の花粉まで掃除

 トルネオV(VC-SG512)の応用性を高めているのは、その豊富なアタッチメントにもある。

※下位機種は、すき間ノズルのみ

●奥まった狭い隙間や高い場所の掃除

 伸縮ロングノズルは、縮めると45cm、伸ばすと82cmになるすき間ノズル。家具と家具のすき間や冷蔵庫の奥、ペンダントライトのホコリなどの掃除に便利。

短い状態では45cm、伸ばすと倍ほどになる伸縮ロングノズル   家具のわずかなすき間の奥まで掃除できる

●エアコンや冷蔵庫の上や壁の掃除に

 ロングブラシは伸縮ロングノズルの先に取り付けるブラシ。ブラシを引き出してより奥を掃除したり、壁などの角度に合わせて使える。これは超便利なアタッチメントだ。

ブラシを回転させるとエアコンの奥までブラシが届くようになる   壁などを掃除する場合はブラシの角度を変えられる   管の途中も曲げられるので、作業しやすい角度に微調整できる
エアコンの上を掃除したり、壁を掃除する場合に便利なアタッチメント。写真は付属品用ホースを併用

●窓のレールや家電の通風孔の掃除に

サッシのすき間などは、短いすき間ノズルを使って掃除

 すき間ノズルは、窓のレールや家電の通風孔、部屋のコーナーなど狭い部分に溜まったゴミを集中的に吸い取るアタッチメント。


●洋服やカーテンなど軽い布系の掃除に

 洋服布用ブラシは、服についてゴミを取るだけでなく、カーテンなどにも使える。サッと掃除機をかければ花粉なども吸い取れる便利なアタッチメント。

花粉の時期には、洋服なども軽く掃除機をかければ花粉も取り除ける   たとえレースのカーテンでも、吸い込んでしまうことがない

●布団やブランケット、座布団の掃除に

 ふとん用ブラシは、布団叩きの要領で中で回転する機構(写真の緑色の部分)が、ホコリを叩き出すので、ホコリやダニなどを吸い取りやすくしてくれる。ただし高級素材の座布団などは、生地を痛めてしまう場合もあるので注意。

ふとん用ブラシの裏側。布団の上をコロコロ転がすと、緑の玉が布団を叩きつつ、ホコリを吸い込むというもの   布団にシーツ、ブランケットなどの上をコロコロ往復させると、ホコリやダニなども取れる   驚くほどホコリや微粒子が取れてビックリ!

●高いところや本体が通れない狭い場所の先の掃除に

 付属品用ホースは、本体のホースに接続すると、ホースを最大4mまで延長できる。本体を床に置いたまま高い場所を掃除したり、階段や本体が通れない狭い場所の先を掃除する場合でも、伸縮するため使い勝手がいい。

縮んだ状態では90cm、伸ばすと2m40cmにもなる付属品用ホース   本体を床に置いたまま、付属品用ホースで階段の半分程度まで掃除ができるほど延長できるので、使い道がかなりある

 これらのアタッチメントは、ホースや延長管、付属品用ホースなどに取り付けができ、13パターンの組み合わせが可能だ。

  本体 付属品用
ホース
伸縮ロング
ノズル
  手元ホース先 延長管の先
伸縮ロングノズル × ---
すき間ノズル ×
洋服布用ブラシ × ×
ふとん用ブラシ × ×
付属品用ホース × --- ×
床用ヘッド × ×
ロングブラシ × × ×

 さらに手元ホースと延長管の先には、引き出し式のワンタッチブラシがついているので、部分的に掃除する場合はとくにノズルを付けなくても、ワンタッチでヘッドを外せばブラシでお掃除できる手軽さも備えている。

手元のブラシはワンタッチで引き出して、ローボードなどの掃除に便利   アタッチメントと付ける手間がないので、サッ!と掃除してサッと片付け   延長管のブラシは、床ブラシを外すだけでいい
これらのアタッチメントは、添付されているバッグの中に入れておけるので、かさばらず紛失もない。

 さてこれだけたくさんのアタッチメントがあると、保管場所に困るという人がいるだろう。しかし専用のバッグが付属しているので、この中に放り込んでおけば紛失してしまうこともない。洗濯機置き場の横やクロゼットの中に置いたり、引っ掛けておけばいいだろう。

応用性とトルネオVの実力を実証する愛車の掃除

 本体の軽さと豊富なアタッチメントは、リビングでも便利に使えるが愛車の掃除にも応用できる。その使い勝手は、洗車場にある掃除機よりも格段に使いやすく、電気代しかかからない。

 またシガープラグで電源を取るハンディークリーナーは、吸引力が弱くたいていはフィルター式なので、細かいゴミが多い車を掃除するには不向きだ。その点トルネオVなら車内のすき間にある微粒子のゴミを吸い込んでも、ほとんど吸引力は落ちず、豊富なアタッチメントでさまざまな場所を掃除できるのだ。

 とくに車は静電気を帯びるシートやフロアマットの化学繊維が多くAgファイバーブラシとイオンカーボンヘッドが大活躍する。

シートはまず床ブラシを使い、静電気を除去して表面上のゴミを吸い取る。次にすき間ノズルで、奥に入ってしまったゴミを吸い取る   シート下のすき間も小型の床ブラシなのでスイスイ入り込む
運転席の下などは、付属品用ホースと伸縮ロングノズルで奥の奥まできれいに   ダッシュボードは伸縮ロングノズルの先にロングブラシを取り付けてサットひと吸い。   付属品用ホースで延長すれば、本体を外に出して車内を清掃できるので、ゴミも舞い散らない

 もし床下に落ちていた小銭を吸い込んでしまっても、ダストカップの中が見えるので、すぐに取り出せる点も便利。

 ウチのワンボックスカーをトルネオVで掃除したところ、とれたゴミはこんなにあった! また使用した電力を調べると0.5kWAで電気代に換算すると11円となる。洗車場の掃除機は、だいたい5〜10分で200円なのでかなり安く済むというのが分かるだろう。

車は砂埃が多く、リビングとは様相がかなり違う。ダストカップのフチにはミクロの微粒子がミッシリ付着している。フィルター式の掃除機だとすぐに目詰まりしてしまうだろう   ダストカップで遠心分離したゴミもかなり粒子が細かいもの。フィルターレスのサイクロン掃除機でなければ、何回かフィルターの掃除が必要だ

人間工学に基づいたグリップデザインで毎日使う奥さんにも優しい

 毎日使う掃除機なので、ちょっとした使い勝手の悪さが手に大きな負担をかけているということがある。トルネオVは先に説明したとおり、床ブラシや延長管、ホースが非常に軽く作られており、ほとんど力を使わなくてもスイスイと床ブラシを移動できるので手首への負担は最小限だ。

 しかし東芝はそれだけでは飽き足りなかったようで、グリップにもひと工夫している。それは床ブラシを家具の下のすき間などに滑り込ませるとき、手首を頻繁にひねらなければならないという問題だ。そのため人間工学に基づいた形状で、手首の負担を最小限にしている。

この位置を握ることで、ホースと手首が一直線になる。床ブラシの向きを変えても、腕の筋が張っていない点に注目
一般的な掃除機は、グリップが丸くないので上を持つしかない。こうすると床ブラシの向きを変えたとき、手首とホースが一直線にならないので、手首と筋に負担がかかる

 さらに掃除をチョット中断して電話をしたり、来客の相手をしたりといったときに便利なのが、ちょいとスタンドだ。普通の掃除機なら再び掃除に戻ると、床に倒れているホースを取るために「よっこらしょ」と腰を下ろさないといけないが、トルネオVなら本体に延長管を引っ掛けておけば、自立するのでサット掃除に戻れて腰の負担も少ない。

 また掃除を終えたあともコンパクトに収納できるのもポイントだ。本体が小さいので、およそA4用紙サイズのすき間があれば収納できる点もいい。


ちょいとスタンドに立て掛けておけば、ホースは自立したまま、掃除を中断できる   縦置きにして省スペース収納。ゴミがこぼれてしまうこともない

毎日使うものだから賢いエコ運転で電気代の節約もできる

ecoモードボタンを押せば、あとは掃除機が自動的に強弱を切り替え、掃除を中断しているときはアイドリング→停止→再開を切り換えてくれる

 新しい掃除機は、吸引力を少し落として電気代を節約するエコ運転モードを備えるものも多い。トルネオVにもエコ運転モードを備えているが、吸引力はそのままでしっかり掃除をしつつも消費電力を抑えるという賢いエコモードとなっている。

 まず床がフローリングなのか絨毯なのかを見極め、フローリングであればさほど吸引力を必要としないので「パワー低減」となり、絨毯であれば毛足の奥のゴミも吸い出すため自動的に「強力パワー」へ切り替わる。さらに「ゴミのこしまセンサー」により、ゴミがある場所では「強力パワー」、ゴミがなくなったら「パワー低減」に切り替わるのだ。

【ムービー】ゴミありからごみなしへ

 また階段などを掃除すると、1段掃除し終えて2段目に床ブラシを移動させるときなど、1秒以上床ブラシが床から浮いているとアイドリング運転に切り替わる。掃除を一時的に中断して家具を動かしている場合など、6秒以上床ブラシが床から浮いている(ちょいとスタンドにかけた場合も同様)と、自動的に電源が切れるようになっている。しかも再び掃除をし始めると、自動的に吸引を始めるという賢さだ。

【ムービー】階段を1段掃除してアイドリング、階段にあるモノを避けてスイッチOFF、再びON

 東芝によれば、VC-SG512はエコモードで使うと強モードで使うよりも年間の消費電力量を最大で約52%削減(※2)できるとしている。電気代に換算すると年間682円が330円となる計算だ(著者宅基準)。もし紙パック式の掃除機を使っている場合は、交換用のパックも不要になるので、財布にもやさしいと言えるだろう。

 このようにトルネオVのエコモードは、吸引力を犠牲にすることなく賢く節電できるのが特徴だ。

(※2) 新製品VC-SG512、SG412、S312の強モード運転との比較。東芝独自の測定基準によるものであり、使用方法等により数値は異なります。

エコモードによる消費電力量の削減率

形 名 削減率(強モード時とエコモード
時の年間消費電力量の比較)
強モード時の
年間消費電力量
エコモード時の
年間消費電力量
VC-SG512
VC-SG412
約52% 約31kWh/年
(850W時)
約15kWh/年
VC-S312 約44% 約31kWh/年
(850W時)
約17kWh/年

エコモード時の年間消費電力量は東芝条件(エコモードで1日6分間運転)による試験値。電気掃除機の1日当たりの平均使用時間:約6分(日本電機工業会調べ)。

面倒な床ブラシのお手入れも簡単・回転ブラシが丸洗いできるからいつも清潔

 トルネオVは、メンテナンス性にも優れている。たとえば床ブラシの回転ブラシは、3ステップで取り外しが可能だ。

汚れやすい床ブラシの回転ブラシは、手を汚さずに3ステップで取り外して水洗いができる。

 もちろん取り出した回転ブラシは、水洗いしてもOK。その他アダプタ類のほとんども水洗い可能で、ダストカップ(上部のサイクロン機構は除く)も水洗いできる。

水洗いできるパーツ一覧

ダストカップ(上部サイクロン機構除く)
回転ブラシ
2WAYブラシ
すき間ノズル
ふとん用ブラシ
排気清浄・プリーツフィルター

 また掃除機自体がフィルターなどの目詰まりを自己診断し、メンテナンスランプが点灯するので、手入れをするタイミングも見逃さない。
※フィルターはサイクロンで取り除けなかった0.1%のゴミを取り除く補助フィルター

メンテナンスランプが赤く点灯したら、ダストカップやフィルターなど目詰まりの原因になるところをお手入れすればいい

 海外製の掃除機は、分解して手入れができなかったり、水洗いできない部分が多くある。それは当然のこと。なぜなら世界広しと言えど、掃除機を洗う国民は日本ぐらいしかないからだ。しかし国産のトルネオVは、分解・水洗いできる部分が多いので、たとえば車の掃除をし終えたら水洗いしてキレイになった掃除機でリビングの掃除が可能だ。

家族で使う掃除機だから、お父さんも声を大きくして欲しい

 さてここまで使い勝手やテクノロジーを含めてトルネオVを紹介してきたが、いざ掃除機を買うとなると機種選びは毎日使う奥さんに譲ってしまいがちだ。

音は通常のサイクロン掃除機と変わらないが、ペットもさほど怖がらない。運転音の音質が違うのかも知れない

 しかしトルネオVは軽く、たとえ2階建ての一戸建て住宅であってもコレ一台で済んでしまう応用性の高い掃除機。それゆえ家族全員で使うものとなるため、メカに弱く、ブランドを重視してしまう奥さんであれば、購入に際して技術的なアドバイスをしてあげるといいだろう。

 とくに先端のアタッチメントは、数が多く組み合わせて使えるので、ちょっとしたパズル。アタッチメントの活用は、おそらくお父さんの方が上手なので、アドバイスすると奥さんも「そっか!そんな便利な使い方ができるんだ!」と感謝してくれるはずだ。

 筆者も1カ月ほどトルネオVを使ってきたが、面白いほどゴミが取れるので、掃除機をかけるのが楽しくてしょうがない。しかも今までの掃除機では掃除できなかった場所をいろいろなアタッチメントで掃除できるので、こんなところも掃除できるのか!という新たな驚きを覚えた。

 トルネオVは、強力な吸引力が持続するフィルターレス・サイクロン掃除機というだけでなく、掃除をエンターテインメントにしてくれる掃除機だ。

(藤山 哲人)

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