dynabook 2010秋冬モデル

新たなスタートを切ったdynabookシリーズの魅力に迫る

2010年秋、東芝のdynabookシリーズが大幅にリニューアルを行った。その象徴ともいえるのがモデル名の変更だ。

モデル名を示すアルファベットは従来の二文字から一文字に減り、そのアルファベットに続いて独自基準によるグレードや画面サイズ、製品の世代を表す3桁の数字が付与されるスタイルになった。例えば、「dynabook Qosmio DX」は「dynabook Qosmio D710」、「dynabook RX3」は「dynabook R730」といった具合になる。とくに独自基準のグレードを示すようになったことで、多彩な製品が揃うdynabookシリーズのなかでもカテゴリーや製品間の上下関係が分かりやすくなったことが、製品選びの指標として便利に感じられる。

本稿では、今回リニューアルされたモデルを三つのカテゴリに分けてまとめたい。一つ目のカテゴリはAV PCのdynabook Qosmioブランドの製品で最上位にあたる液晶一体型AVPCの「dynabook Qosmio D710」、15.6型液晶でSpursEngine™を搭載する「dynabook Qosmio T750」、16型液晶のスタンダードAVノート「dynabook Qosmio T560/T4A」の3製品がリリースされた。

二つ目のカテゴリはコンパクトPCだ。光学ドライブ内蔵で世界最軽量(※)として定評あるdynabook RX3シリーズの後継モデルとなる「dynabook R730」、超低電圧版インテル® Core™ i3 プロセッサー搭載のネットノート「dynabook N510」が登場、いずれもWiMAXモジュールを内蔵し、モバイル時の通信性能にこだわりを見せる。(※) R730/39A。光学ドライブ搭載の13.3型ワイド液晶搭載機で一般に市販されているコンシューマー向けノートPCとして。バッテリパック61AA装着時。2010年10月、東芝調べ。

そして三つ目のカテゴリがスタンダードノートPCだ。PCの基本性能を追求するこのカテゴリでは、インテル® Core™ i7 プロセッサーを搭載した「dynabook T560/58A」、インテル® Core™ i7 プロセッサーを搭載し高画質な3Dが楽しめる「dynabook T550」、スタンダードな「dynabook T350」がラインナップされる。

dynabookシリーズの異色モデル「dynabook Qosmio D710」

dynabook Qosmio D710(シャイニーレッド)

dynabook Qosmio D710(プレシャスブラック)

今回リニューアルされた製品のなかでも、とくに注目したいのがdynabook Qosmio D710だ。ノートPCのブランドとして定着しているdynabookのなかで、6月に誕生したばかりの液晶一体型デスクトップPCである。しかも今回の秋冬、3種類の仕様と2つのカラーで計6モデルという意欲的なラインアップだ。

最上位モデルとなる「dynabook Qosmio D710/T8AB(プレシャスブラック)/T8AR(シャイニーレッド)」は、CPUにインテル® Core™ i5-460M プロセッサーを採用。定格クロック2.53GHzで動作するデュアルコアCPUとなる。インテル®の最新テクノロジーであるインテル® ハイパースレッディング・テクノロジーやインテル® ターボ・ブースト・テクノロジーもサポート。

インテル® ハイパースレッディング・テクノロジーは一つのCPUコアで二つの処理を並列実行することができる技術だ。CPUコアの待ち時間に別の処理を進めるのだ。デュアルコアであれば4プロセスを同時に進めることができ、Windows®上からはデュアルコアにもかかわらず4コアCPUとして認識する。

インテル® ターボ・ブースト・テクノロジーはCPUの発熱や消費電力における”余力”がある場合に、自動的に動作クロックを引き上げる技術だ。インテル® Core™ i5-460M プロセッサーの場合は標準クロックの2.53GHzに対して、最大2.8GHzまで引き上げられ、より高速に動作する。

インテル® ハイパースレッディング・テクノロジーもインテル® ターボ・ブースト・テクノロジーも、Windows®の基本的動作はもちろん、画像編集やゲーミングを実行する場合には明確に「効いて」くるだろう。

見た目だけではなく、見えないところにも配慮したデザイン

次にdynabook Qosmio D710の外観をチェックしておきたい。プレシャスブラックとシャイニーレッドの2色がラインナップされることは先述のとおりだが、いずれのモデルも同社の液晶テレビ「REGZA」から継承した、シルエットと質感が大事にされたデザインだ。何か一つが強く主張しすぎることなく落ち着いた雰囲気にまとまったデザインが印象的で、カジュアルな部屋からフォーマルな雰囲気の部屋まで、どんなシチュエーションにもしっくり来そうだ。

液晶テレビ「REGZA」のDNAを継承したスタイリッシュなデザイン

画面上部にWebカメラを搭載。ビデオチャットや、後述するジェスチャーコントロールに利用できる

液晶の下部に内蔵されたスピーカーは、デザイン上のアクセントにもなっており、このあたりはPCというよりAV機器的な雰囲気を醸し出している。とはいえ内蔵されたスピーカーはONKYO®製。加えて、音声のエンハンスメントを行うドルビーアドバンストオーディオや、ダイナミックレンジ最適化などを行うMaxxAudio®3の活用もあって、内蔵の二つのスピーカーで非常に豊かな音場を作り出してくれる。

画面下部にONKYO®製スピーカーを搭載。ボディカラーにあわせたカラーリングはデザイン上のアクセントにも

液晶ディスプレイはフルHD対応の21.5型液晶を採用。画面の輝度調整や音量調整などは、本体右側のボタンで行うことができる。このほかのインタフェースは本体背面および本体左側に用意されている。インタフェース周りでも、本製品のいくつかのこだわりを見て取ることができる。

本体右側面に輝度調整や音量調整などが行えるボタンを配置。BDドライブも搭載

左側面にはメモリーカードスロットや音声入出力、USBポートなど

一つは台座に空けられた”穴”だ。これもまた一見デザイン上のアクセントにも受け取られそうだが、実はこれはケーブルマネージメント用に設けられたもので、ここにケーブルを通すことで配線をスッキリさせることができるのである。

また、背面にHDMIとD4、ライン音声の入力端子を備えるのも特徴だ。つまり、このPC一体型液晶ディスプレイへ他の機器の映像を映し出せるのである。dynabook Qosmioブランドを関する本製品は当然ながら地デジチューナーを内蔵しており、テレビも見られるPCという基本的な機能を有する。加えて外部入力にも対応することで、家庭用ゲーム機などの接続などにおいて、不足なく”テレビの代わり”を務めることができる液晶一体型PCになっているわけだ。

なにかと配線が煩雑になりがちなAV PCだが、スタンドの穴がケーブルオーガナイザとなってスッキリ。ちなみに無線LAN搭載なので、有線LANの配線はなくてもOK

HDMI入力端子と、これまたデスクトップPCとしては異色のD4入力端子を装備。PS3やWiiといったゲーム機や各種プレイヤーなど接続可能

左側面に2基、背面に4基を備えるUSBポートは、PCの電源が切れている状態でもUSBポートから給電可能になる「スリープアンドチャージ」をサポートする。また、Mic入力ないしLine-inにデジタルオーディオプレイヤーなどをつなぐことで電源オフ時でも本体のスピーカーが利用できる「スリープアンドミュージック」機能もある。USB機器の充電やスピーカー利用のためにわざわざPCの電源を入れるという手間から解放される有用な機能で、願わくば世界中のあらゆるPCがこの仕様を取り入れてほしいと感じるほど便利だ。

本体電源がオフでもUSB端子からの給電が可能なスリープアンドチャージ機能。ユーティリティーから制御することができる

デジタルオーディオプレーヤーを音声入力端子につなぐと、電源オフ時でも本体スピーカーから音を鳴らすことができる「スリープアンドミュージック」

SpursEngine™を活用したユニークなツールも

さて、本製品はdynabook Qosmioブランドを冠するAVPCということで、当然ながら地デジ対応チューナーを内蔵。しかも、本製品は地デジチューナーを2基搭載することで、2番組録画や裏番組録画にも対応する仕様になっている。

テレビ視聴・録画はQosmio AV Centerで行う。ユーザーインタフェースが洗練されており、画面左側でテレビの視聴や関連操作、右側にはテレビ番組表や録画予約リスト、録画映像のリストを表示できる。とくに右側ペインは「番組ナビ」「録るナビ」「見るナビ」といった具合に、目的別に画面が切り替わる格好になっており、初めて触っても戸惑うことなく操作できるだろう。また、PCを使い慣れた人ならマウス操作、AV機器のように使いたい人はリモコンを使うことが想像されるが、どちらを用いた場合でも直感的に操作できる。

さらにD710/T8Aは東芝が開発したSpursEngine™を搭載。SpursEngine™は同社の液晶テレビ「CELL REGZA」のほか、PlayStation3のメインプロセッサでもあるCell Broadband Engine™のストリーム処理コアと映像用のハードウェアエンコーダー/デコーダーを組み合わせてPCのアーキテクチャ向けに開発した、映像処理特化型のメディアプロセッサーである。その恩恵はさまざまなアプリケーションで享受できる。

先のQosmio AV Centerの場合は、SpursEngine™を使って録画データをリアルタイムに圧縮することで、最大で標準(TSモード)の8倍の時間の番組を録画可能になる(※)。例えば、見ないかも知れないけど録っておこうかな、と悩むような番組もHDD容量の圧迫を気にすることなく気軽に録っておける。(※)地上デジタルハイビジョンTV放送(予約17.0MbpsをTSモード(約17.0Mbps)で録画した場合とEPモード(約2.0Mbps)で録画した場合で比較したおよその値。画質はもとの映像に対して劣化します。

Qosmio AV Centerの画面構成。左側にテレビ映像、右側に番組表(番組ナビ)、予約リスト(録るナビ)、録画ファイルのライブラリ(見るナビ)が配置され、直感的に操作できるインタフェースになっている

録画モードは標準のTSモードから、8倍録画のEPモードまで5段階に調整可能。SpursEngine™によるリアルタイムエンコードの恩恵で、高速&高圧縮、しかも低CPU負荷での処理が可能となっている

この8倍録画(※)と似た使い方になるが、動画の各種トランスコードにもSpursEngine™を利用可能だ。プリインストールされる「Corel® Digital Studio™ for TOSHIBA」は動画や写真などのメディアファイルから、ブルーレイなどに向けた動画データを作成できる。このアプリケーションでは実際にトランスコードする際にSpursEngine™を使用して高速に処理ができる。実際にSpursEngine™を使用して4分38秒の長さを持つ1440×1080 約12MbpsのAVCHDファイルを、1920×1080 20Mbpsに変換してみると、所要時間は5分33秒となった。1秒当たりに処理可能なフレーム数は約50フレームと非常に高速で、SpursEngine™がないPCとの差は歴然といえる。

Corel® Digital Studio™ for TOSHIBAを用いると、デジタルビデオカメラなどで撮影したファイルからBlu-ray Discを簡単に作成できる

Corel® Digital Studio™ for TOSHIBAと連携動作するCorel® DVD MovieWriterでSpursEngine™を使ったエンコード。高速&低CPU負荷なエンコード処理の恩恵をここでも受けられる

さらに、本製品では動画編集ソフトの定番として知られる「ADOBE® PREMIERE® ELEMENTS 8」をプリインストール。ここに、SpursEngine™対応のエンコードプラグイン「CRI Elements Plug-In for TOSHIBA」を付加しており、「ADOBE® PREMIERE® ELEMENTS 8」で編集した動画の最終出力にもSpursEngine™を活用できるようにしている。

このほか、低解像度の映像を高解像度化する「超解像処理」もSpursEngine™を用いて行われる。DVD映像やネット動画など、まだまだ低解像度の映像を視聴する機会は多いし、過去に撮影したホームビデオを多数保管する人もいるだろう。こうした動画を高解像度液晶で再生すると、無理に引き延ばして視聴することになるため、画像が粗くなる。ここで、超解像処理をリアルタイムに施すことで、くっきりした映像を映し出せるのだ。

ADOBE® PREMIERE® ELEMENTS 8」にSpursEngine™用のプラグインを用意。さまざまな動画サイトに合わせたプリセットがあらかじめ用意されているのも便利

TOSHIBA DVD Playerのアップコンバート(超解像処理)を有効にしたもの(左)と無効にしたもの(右)。古いDVで撮影した映像をDVDにしたものだが、超解像処理によってかなりクッキリした映像になっていることが分かる

ジェスチャー認識もユニークな機能だ。本体上部に内蔵されたWebカメラの映像が捉えた手の動きをSpursEngine™によって解析し、アプリケーションの起動やカーソル操作などを行える。マウスやリモコンなどを使うより未来的な操作であるし、個人的にはスナック菓子を食べながらテレビを見るときにリモコンを汚さずに操作ができるという有用性を感じる。

WebカメラとSpursEngine™の合わせ技であるジェスチャー認識。OSの基本操作など、かなり細かい操作が可能。詳しくは下の動画をチェック!

Loading the player ...

このほかにも東芝オリジナルアプリケーションを含め、多数のアプリケーションがプリインストールされている。いくつか印象的なアプリケーションをピックアップして紹介したい。

東芝製品ではわりとおなじみになっているアプリケーションではあるが、「TOSHIBA Bulletin Board」が便利で、ユーザによってさまざまに活用できる、可能性を秘めたアプリケーションだ。これは、写真や動画、Webページへのショートカット、Officeファイルを、一枚のボード上に自由に貼り付けられるアプリケーションだ。ボードは複数作れるので、雑多に集まってくる情報を一つにまとめておける。当然、後述の各種ノートPCにもプリインストールされているので、プライベートからビジネスまで幅広く活用できるだろう。

「おまかせフォトムービー」は動画関連アプリケーションの一つで、複数の写真から自動的に動画を作り出すものだ。動画のテーマを選択して、そのイメージに沿った動画を自動的に作り上げられるだけでなく、顔認識技術で多数の写真のなかから特定の人物が写っている写真だけをピックして動画を作り上げることもできるのがポイント。これもまた未来的な印象を受けるメディア処理アプリケーションの一つだ。

こうしたさまざまな機能を提供する一方で、省電力にもこだわりを見せている。先にも紹介したとおり本製品はデスクトップにカテゴライズされる製品ではあるものの、低消費電力なCPUを使っている。PCをオンにした状態で液晶をオフにできるのも消費電力抑制に一役買うだろう。

アプリケーションでも東芝ecoユーティリティを用意。画面上でスイッチを切り替えるだけで省電力モードへ移行できる。さらにPCが消費している電力をリアルタイムに表示してグラフ化もできるので、大きな視点でいえば地球環境に対する意識を自身のなかで高めることにつながるのではないだろうか。

動画、写真、Webサイト、Officeファイルなどを、一枚のボードに自由に貼り付けられる「TOSHIBA Bulletin Board」。ペンシルツールによる書き込みも可能で、使う人によっていろいろな活用がなされそうなアプリケーションだ

東芝ecoユーティリティは、ワンタッチでのecoモード化や、消費電力モニタを装備。性能・機能だけでなく、省電力にも気を遣った製品になっている

指定したフォルダ内の写真ファイルから、テーマに沿って自動的にムービーを作り出せる「おまかせフォトムービー」。顔認識機能を備えており、特定の人物が写る写真だけを抽出してムービー化する機能も持つ。右(scr11)はフィルムストリップ状に加工されたシーンだが、すべての写真に同一人物が写っていることが分か

ノートPCのQosmioラインナップも充実

dynabook Qosmio T750は15.6型ワイド液晶モデル。SpursEngine™搭載のハイスタンダードAVノートだ。

dynabook Qosmio T560/T4Aは16型ワイド液晶採用のスタンダードAVノート

この秋には、dynabook Qosmioブランドを冠するノートPCも2製品発売される。「dynabook Qosmio T750」は、dynabook Qosmio D710のノートPC版ともいえる製品。インテル® Core™ i5-460M プロセッサーを搭載した15.6型液晶のPCで、地デジチューナーは1基の搭載となる。SpursEngine™も搭載しており、先述のSpursEngine™ならではの各種メディア処理をノートPCで利用したい人にうってつけの製品といえるだろう。

「dynabook Qosmio T560/T4A」は、液晶は16型とやや大きめ。SpursEngine™は非搭載だが、地デジチューナーは内蔵しており、テレビ視聴・録画をノートPCで気軽に楽しめる製品といえる。

まだまだある! dynabookのノートPCラインアップ

RXのDNAを受け継ぐdynabook R730

続いては、コンパクトなPCの新製品ついて触れていきたい。東芝のモバイルPCといえば、真っ先に「dynabook RX」を思い浮かべる人も少なくないだろう。歴代dynabook RXシリーズは光学ドライブ搭載ノートとして世界最軽量を実現しているシリーズで、前世代のdynabook RX3からは液晶サイズが13.3型となった。

この後継として、秋から発売されるdynabook R730も同じく13.3型液晶を搭載し、重量は約1.27kg(※)。もちろん光学ドライブも内蔵し、最薄部16.8mmを実現している。先代同様、堅牢性にもこだわっており、荷重の大きい部分にハニカムリブ構造を採用することで、薄いボディでありながらも強度を高め、100kgf加圧、76cm落下、30cc防滴といったテストをクリアしている。乱暴に扱う人でなくとも、屋外でのPC利用や運搬中には何が起こるか分からない。PCが壊れることによるビジネスの停滞が許されないようなシビアな状況もあり得るわけで、言うまでもなくモバイルPCにとって堅牢性は重要なポイントの一つだ。(※)R730/39Aでバッテリパック61AA装着時



名機「RX」を受け継ぐ「dynabook R730」

 

採用されているCPUも本製品の特徴に挙げられる。こうしたモバイルPCの場合、性能を多少犠牲にしてでも低電圧や超低電圧版を採用することで、熱処理や長時間のバッテリ駆動を実現する製品も多いが、本製品は通常版のモバイル向けインテル® Core™ i5-560M プロセッサーを搭載。インテル® ハイパースレッディング・テクノロジーやインテル® ターボ・ブースト・テクノロジーにも対応している。通常版CPUの搭載は冷却面の工夫などもあり実現している。

さらに省電力化に貢献するデバイスとしてSSDモデルもラインナップ。より省電力で高速に動作するSSDを組み合わせることで、バッテリ駆動時間はバッテリパック61AA装着時で約11時間、バッテリパック91AA装着時で約16時間(※)が公称されている。こうした点からも、PCとしての性能とモバイル性能のバランスを追求するdynabook Rシリーズの姿勢が強く感じられるだろう。(※)R730/39Aの場合。JEITA測定法Ver1.0による値(WiMAXオフ時)。駆動時間は使用環境および設定などにより異なります。

また、屋外利用においてはネットワークの問題もつきまとうが、本製品は下り最大20Mbpsで接続可能なWiMAXのモジュールを本体に内蔵している。USBドングルなどを使うと、それを装着する手間があるし、挿しっぱなしにした場合は突起物による携行性の低下という事態がおこる。また、接続のための操作が不要であることはWiMAXの魅力の一つといえるが、モジュールの内蔵はその魅力を高めることになる。「モバイルPCを起動したらインターネットにつながっている」という世界は、一度体験したら手放せなくなるはずだ。

さらにパワーアップしたネットノート dynabook N510

この秋に発売されるもう一つのモバイルPCが、東芝ではネットノートにカテゴライズされる「dynabook N510」だ。旧世代のモデルでいうと、dynabook MXの後継となる。

小型ながらパワフルな性能を実現した「dynabook N510」

11.6型液晶とネットブックに近いサイズのPCでありながら、超低電圧版インテル® Core™ i3-U380M プロセッサーを搭載することで、ネットブックとは一線を画す性能を実現しているのがポイントだ。

カジュアルなユーザも想定し、カラーバリエーションも3色を用意されている。また、タイルキーボードや使い心地を高める加工をパームレストに施すなど、機能的なデザインを実現している。さらにはdynabook R730同様にWiMAXモジュールも内蔵。屋外におけるインターネット利用もちゃんと考慮されているのだ。dynabook R730より一回り小さいノートPCとして、強い個性を持った製品といえるだろう。

クアッドコアCPU搭載機もラインナップされるスタンダードノートPC

ここまでにAV性能、モバイル性能を追求した二つのカテゴリの製品を紹介してきた。最後に紹介するのは、売れ筋のスタンダードノートPCだ。スタンダードとはいっても、ここではPCとしての基本性能にこだわりを見せている。PCとしての基本性能とは、例えばCPUの処理能力であったり、グラフィックス機能の描画速度といった部分だ。

「dynabook T560/58A」と「dynabook T550」の両製品は、クアッドコアCPUであるインテル® Core™ i7-740QM プロセッサーを搭載。インテル® ハイパースレッディング・テクノロジーによりWindows®上では8コアCPUとして認識する。さらにインテル® ターボ・ブースト・テクノロジーにより最大2.93GHz(定格1.73GHz)で動作する、非常にパワフルなCPUだ。

クアッドコアCPUで強力な性能を実現した「dynabook T560/58A」

3D表示に対応する「dynabook T550」

一方、グラフィック面では両製品とも高性能GPUを搭載。グラフィックス機能やGPUというと、ゲームの性能が向上するだけだから自分には関係ないと思う人もいるかも知れないが、Windows® 7ではデスクトップの描画にもグラフィックス機能の性能が影響を及ぼしており、とくにWindows® 7のAero デスクトップ エクスペリエンスで提供されるデスクトップのエフェクト表示などの快適さで差が生まれるのだ。

また、dynabook T550は液晶ディスプレイが通常の倍速で動作する120Hz表示に対応しており、アクティブシャッター式のメガネと受光部を組み合わせた3D立体視ソリューションがバンドルされる。一般的にはエミッターとよばれる受光部をUSB接続するが、本製品は受光部を液晶の上部に内蔵しているのも大きな特徴となっている。

3D立体視は現在話題が高まっているが、ノートPCでも3D立体視対応のゲームや、今後登場予定のBlu-ray 3D対応タイトルを楽しめるのだ。さらに、DVDタイトルを3D映像へ変換する2D→3D機能もプリインストールされているので、3Dコンテンツを所有していなくても立体視の迫力を味わえる。

このほか、両製品ともBlu-rayドライブを内蔵し、640GBとノートPCとしては大容量のHDDを搭載。メモリも標準で4GBとなっており、多数のアプリケーションを起動したり、大容量のデータを扱うさいの性能で、とくに意味を持つクアッドコアCPUの性能を引き出すことにつながるだろう。

ここまでパワフルでなくとも、もう少しシンプルなノートPCが欲しい人に向けてはdynabook T350をラインナップ。上質感のある「リュクスホワイト」「プレシャスブラック」「モデナレッド」の3カラーでラインアップされており、そのスタイリッシュなデザインが評価されている。インテル® Core™ i5-460M プロセッサー、Blu-rayドライブや640GB HDD、超解像技術〈レゾリューションプラス〉など、上位モデルにひけをとらないスペックと機能も人気のヒットシリーズだ。

上位機に負けない装備の「dynabook T350」。インテル® Core™ i5 プロセッサーやBlu-rayドライブなど、性能面では一線級

基本性能を踏まえつつ独自性も強いラインナップ

以上のとおり、東芝が2010年秋にリリースする各製品をチェックしてきた。このリニューアルで登場したPCは、基本的なPCとしての性能や使いやすさを大事にしつつ、随所に独自性を盛り込んだ、東芝らしい製品が揃った印象だ。

AV PCにしても単に地デジ対応のテレビ視聴・録画が可能なだけでなく、SpursEngine™によって、動画編集の快適さと、コンテンツをさまざまな形で活用し楽しめる独自性が両立しており、面白い。動画や音楽といったAVコンテンツがあふれかえる世の中で、この処理性能と独自性は有意なものだろう。

コンパクトPCはノートPCにこだわる東芝らしさが強く出ている部分だ。性能、堅牢性、デザイン、ネットワーク接続性のどれをとっても、可能な限りユーザ満足度を高めようという配慮が感じられる。とくにWiMAXモジュールの内蔵は大言壮語ではなく、一度手にした人はモバイルPCの基準が変化するはずだ。

スタンダードPCにしても、インテル®のクアッドコアCPUの搭載や高性能グラフィックスプロセッサの搭載、話題の3Dなど、基本性能にプラスアルファのトッピングを施している。もちろんAVPC、モバイルPCを含めた全製品が、64ビットOSと32ビットOSのセレクタブルとなっている。

多くのPCが多数のメーカーから発売されるなかで、ここまでに紹介しきれていない機能も多数あるdynabookの秋冬モデル。強く心ゆさぶられるところがあるのではないだろうか。

【Reported by 多和田新也】

 

Intel、インテル、Intel ロゴ、Intel Inside、Intel Inside ロゴ、Intel Core、 Core Insideは、アメリカ合衆国およびその他の国に おける Intel Corporationの商標です。

インテル® ターボ・ブースト・テクノロジーを利用するには、同テクノロジーに対応したプロセッサーを 搭載したシステムが必要です。インテル® ターボ・ブースト・テクノロジーの実際の性能はハードウェア、ソ フトウェア、全体的なシステム構成によって異なります。詳細については、http://www.intel.co.jp/jp/technology/turboboost/を参照してください。

インテル® ハイパースレッディング・テクノロジーを利用するには、インテル® ハイパースレッディング・テクノロジーに対応したインテル® プロセッサーを搭載したコンピューター・システム、および同技術に対応したチップセットと BIOS、OS が必要です。性能は、使用するハードウェアやソフトウェアによって異なります。インテル® ハイパースレッディング・テクノロジーに対応したプロセッサーの情報など、詳細についてはhttp://www.intel.co.jp/jp/products/ht/hyperthreading_more.htmを参照してください。

[PR]企画・製作 株式会社 Impress Watch 営業統括部
お問い合わせ先:watch-adtieup-toshiba1010@ad.impress.co.jp
Copyright (c) 2010 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.